マギアレコード 偽書e/s memorys   作:ジャックノルテ

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第13話 ウチはお買い得やで

□29 別れの日記

 

 

???「わたしのクラスで事件があった」

 

???「仲が良かった二人の生徒が仲違いした上で担任をも巻き込んで言い争いの末に自滅した様な物だ」

 

???「それはたった一人の生徒、彼女が行った事だった」

 

???「クラスメートはたった一人の彼女の様々な行動に翻弄されて互いが互いを憎み合う様子は仲が良かった頃を知っていれば知っている程に滑稽だった。安っぽい信頼など簡単に崩れるのは自明の理だった」

 

???「だからこそわたしに向けられた信頼が本物だと感じられた」

 

???「今回の騒動を引き起こした彼女はそのまま学校を去った」

 

???「クラスメートは彼女を恐れ誰も自然と彼女の話題を出す事はタブーとなって行った」

 

???「クラスメートはあの騒動で彼女が自白して騒ぎを煽り立てた事で真相を知ろうとしなくなっていった」

 

???「だからクラスメートの誰しもが気付く事が出来なかった」

 

???「本当の犯人がわたしだと言う事に」

 

???「全てはわたしが行った事」

 

???「声真似の協力以外は全てわたしの独力だった」

 

???「どうしてそんな事をしたのか?」

 

???「それはわたしが本当の意味での信頼を知りたかったからだ」

 

???「クラスメート同士の薄っぺらい関係では無く、わたしが求める本当の信頼を導き出す為にはクラスメートには犠牲になって貰うのが効率的だった」

 

???「だからこそわたしはわたしがやろうとしている事を彼女にだけ話した。本当の意味で信頼している彼女にだけ」

 

???「彼女は聞き入れてわたしは行動した。彼女に声真似の協力は頼んだが全てはわたしが行った。大人しいわたしがそんな事をするとは誰も思わなかったのだろう。拍子抜けするほどに全ては簡単に進んでいた」

 

???「自分への感謝を強要する担任の姿は人として腐った姿その物だった。それを見て後はわたしが名乗り出て全てを暴露するだけだった」

 

???「暴走している担任から目を背けていた彼女はわたしと目があった。その時に彼女は笑みを浮かべると突然、全ては自分が行ったと暴露したのだった」

 

???「わたしは混乱した。どうして彼女がわたしの代わりに名乗り出てしまったのだろうと。でもその後、担任は彼女の顔面を殴った。あそこまで担任が暴走するとわたしは思っていなかった。驚くわたしの目の前で彼女は教務主任に取り押さえられた担任の顔面に拳を突き出すも顔面寸前で止めて担任は情けなくも腰から崩れ落ちた」

 

???「冷めた目でそれを見た彼女はつまらなそうに教室から出て行った」

 

???「その日の放課後にわたしが帰り道に使っている公園の木の陰に彼女はいた」

 

???「彼女はわたしを待っていてくれた。どうして先に名乗り出たのか?わたしは率直に疑問をぶつけた」

 

???「彼女はわたしが暴力に晒されるのが嫌だったからと答えた」

 

???「わたしに向けられた彼女の顔に浮かんでいたのは本当に嬉しそうな顔だった」

 

???「その傷跡の消えた美しい表情を見た時にわたしは自分の思いを改めて強く感じていた」

 

???「わたしは彼女と共にいたい」

 

???「だからわたしは行かなきゃいけないのだと知った」

 

???「今までの全てを捨てる事に苦しさはあった。けど、人の身体から老廃物が出る様に何かを捨てる事なんて当たり前であり気にする事がおかしい」

 

???「だからわたしは、わたしが行くべき道へ行く」

 

???「石菖香乃木」

 

 石菖香乃木が失踪前に唯一残した手掛かりである日記にはこう書かれていた。

 神浜市にスーパーセルが接近した後、石菖香乃木は失踪した。

 家族から捜索願いは出されたが何の成果も得られなかった。

 少し前に同じ中学から失踪した菖蒲彩月との関連も取り沙汰されたが誰も真相を掴む事は出来なかった

 

 

□30 神浜市 大東区 大東学院 放課後

 

 

 大東学院の前で待ち合わせをする安積はぐむと宮尾時雨。

 二人は並んで誰もいない路地を歩いて行く。

 

はぐむ「それで今日はどうするの?時雨ちゃん」

 

時雨「今日は・・・・・!!」

 

はぐむ「時雨ちゃん?」

 

 唐突に歩みを止めた時雨の目にはこちらに向かって歩いて来る私服姿の菖蒲彩月の姿が見えた。

 

はぐむ「あっ!?あなたは」

 

彩月「よう!お二人さん」

 

はぐむ「彩月さん・・・・・」

 

時雨「・・・・・・・」

 

彩月「なんや?暗い顔して」

 

 馴れ馴れしく近付く彩月。

 

はぐむ「どうしてここに?」

 

彩月「お二人さんに頼みたい事があってな」

 

はぐむ「頼みたい事?」

 

時雨「・・・・・。嫌だ」

 

彩月「?」

 

時雨「嫌だ!僕達を改革派みたいに殺すつもりじゃ!!」

 

はぐむ「それで!!」

 

彩月「なんや。改革派の事を聞いたんか」

 

時雨「やっぱり!はぐむん!」

 

はぐむ「時雨ちゃん!」

 

 二人は咄嗟に魔法少女へ変身して彩月に向き直る。

 しかし彩月は変身すらしようとしない。

 

彩月「確かにウチが改革派の連中からソウルジェムを奪って殺したのは事実やけど別に二人を殺すつもりは無いで」

 

時雨「信じられない!」

 

彩月「面倒やな・・・・。これでどうや?」

 

 彩月が片手を上げた瞬間に二人の変身が強制的に解除されてしまった。

 

はぐむ「えっ!?これって」

 

時雨「強制制御!?」

 

彩月「殺そうとするんなら強制制御があるから簡単やで」

 

時雨「魔法が使えない・・・・・」

 

はぐむ「どうしよう!?時雨ちゃん!!」

 

彩月「話を聞かなきゃ本当に殺そうか?」

 

時雨、はぐむ「!?」

 

 ニヤニヤと笑みを見せながら話す彩月に背筋が凍る二人。

 

時雨「分かった・・・・・」

 

はぐむ「分かりました・・・・・」

 

彩月「それでええで。第一、ウチは二人を殺す気は無いで。気に入っとるからな」

 

時雨「・・・・・・」

 

彩月「それにこれからの事を考えたらお互いに協力者はいないと困るしな」

 

はぐむ「協力って?」

 

彩月「マギウスの説明会と裁判を経た以上は、神浜市内に大きな魔法少女の共同体が出来るんは時間の問題やな。けどそこに参加しない奴らも必ず現れるやろ」

 

はぐむ「確かにそうかも・・・・・」

 

彩月「マギウスの言っていた魔法少女至上主義やマギウスに恨みを持っている奴ら。それに他の街の魔法少女も良い顔はせんやろ」

 

時雨(この人・・・・・。凄く良く状況を見てる・・・・・・・・)

 

彩月「まあウチが見た所、お二人さんはこれから出来る共同体に参加するかは五分五分やな。まあそれはそれとして。ウチの頼みを聞いてくれへんか?」

 

時雨「何をするの?」

 

彩月「簡単や。このキューブを学校と公園に設置するだけでええ」

 

 そう言って彩月はアリナの。この場合は彩月が使うアリナと同じ魔法のキューブ。

 彩月のキューブを手に出現させた。

 その色はアリナの物と異なり目立つピンク色をしている。

 

はぐむ「それって」

 

彩月「アリナ様と同じキューブの魔法やな。と言っても何も入っとらんけどな」

 

時雨「それを設置させてどうするの?」

 

彩月「設置するだけでええんや。ただその場所の端でもどこでも良いから置くだけでええ。それをしてくれたらお二人さんのお願いを聞ける範囲で聞いてもええで」

 

時雨「例えば?」

 

彩月「もし魔法少女至上主義を唱える別のチームを立ち上げる気があるなら手伝うてもええで」

 

時雨 はぐむ「!?」

 

彩月「何を驚いとるんや?神浜市内全ての魔法少女がチームに所属するとも限らんと思うで。それぞれの主義が違うんや。別のチームを立ち上げるのもアリやろ」

 

時雨 はぐむ「・・・・・・・・・」

 

彩月「まあ少し先走り過ぎたなあ。お詫びにウチの秘密を教えたる」

 

はぐむ「秘密?」

 

彩月「ウチの使う今の魔法の秘密や。この魔法にはな・・・・・。強制制御は簡単に使用できるんやけど他人の魔法を覚える為には面倒な条件があるんや」

 

時雨「そんな事を教えて良いの?」

 

彩月「怖がらせたお詫びと協力してもらう礼やな」

 

時雨(協力するなんて言っていない!?)

 

彩月「他人の魔法を覚える為にはな・・・・・。ある場所にある魔法陣に置いたソウルジェムを対価にする事でしか魔法を覚えられないんや」

 

はぐむ「そのソウルジェムって・・・・・・」

 

彩月「改革派のソウルジェムやな。そして願いを叶えた時の条件付けで他人の魔法を覚える時はマギウスのお三方の魔法からしか覚えられないんや。だから今はこれしか使えん」

 

 彩月の手にキューブが出現、次に魔力で透き通った傘と透き通った本が出現しては消えて行った。全てのキューブ、傘、本もピンク色に染まっている。

 

時雨「今のって・・・・・」

 

はぐむ「マギウスのお三方の魔法・・・・・」

 

彩月「そうや。あの神浜決戦の際にマギウスのお三方から覚えた魔法や。と言ってもレベルは1やけどな」

 

はぐむ「え?」

 

時雨「!! もしかして・・・・・」

 

彩月「おや?分かったみたいやな。そうやで。魔法を覚える事は出来てもその魔法のレベルは1だからここからはウチが育てなきゃアカンと言う事やな」

 

はぐむ「魔法を育てる・・・・・」

 

彩月「そうや。魔法だって育てれば前よりは強くなるやろ」

 

時雨「確かに・・・・・・」

 

彩月「そして今、ウチは改革派のソウルジェムを一つだけ残しているんや。まあ結果的に残ったとも言えるな。それがこれから役に立つんや」

 

はぐむ「何の役に立つんですか?」

 

彩月「ウチが今、狙っているのは環ういの能力や。それがあれば自動浄化システムを作り出した4つの基礎魔法は全て揃う」

 

時雨「自動浄化システムの基礎魔法・・・・・?まさか!?」

 

彩月「環ういの魔法があればウチ一人で自動浄化システムに干渉が可能になる筈や」

 

はぐむ「えっ!?」

 

時雨「確かに理論上は出来ると思うけど・・・・・」

 

彩月「まあ直ぐは無理やな。まず魔法の同時使用なんかは出来へんから色々と試さなアカンしな。追々やるしかないな」

 

はぐむ(凄い・・・・・。わたし達じゃとてもじゃ無いけどこんな事は思いつかなかった)

 

時雨(確かに味方にいれば良いかも知れないけど・・・・・・)

 

彩月「まあこれがウチの秘密や。と言う手も誰かに聞かれたらバラしてええで」

 

はぐむ「ええっ!?」

 

時雨「秘密じゃないの?」

 

彩月「秘密は秘密やけど誰かにウチと話している所を見られたら話しても構わんで。バレても問題は無い訳やし。二人がウチの仲間と思われても困るやろ?」

 

はぐむ(この人・・・・・。それも考えて・・・・・)

 

時雨(確かに十七夜さんが来たらどうにもならない・・・・・)

 

彩月「それにウチは灯花様とねむ様から自動浄化システムに関する講義を受け取るから今の神浜に置いてお二方を覗けば一番、自動浄化システムに詳しいから組まなくても友好関係のがええやろ?」

 

 そう言いながらウインクする彩月。

 

時雨「・・・・・。確かにそうかも」

 

はぐむ「時雨ちゃん!?」

 

時雨「これからの事を考えるなら・・・・・。彩月さんみたいな協力者はいると思う・・・・・」

 

彩月「そうやろ!そうやろ!ウチはお買い得やで」

 

はぐむ「時雨ちゃんが言うなら・・・・・」

 

彩月「じゃあこれで協力関係は成立やな」

 

 そう言った彩月の笑顔は話を聞かなきゃ殺そうか?と言った時と同じ笑顔だった。

 

 

□31 神浜市内 北養区 里見メディカルセンター周辺

 

 

 彩月が時雨とはぐむと会った後、私服姿の朱奈は一人で里見メディカルセンター周辺を歩いていた。

 

朱奈(ここ・・・・・・)

 

 周囲を見渡して外灯を見つけるとその傍に駆け寄る。

 誰もいない事を確認すると目の前にある外灯に朱奈が手を翳すと彩月のキューブが出現して外灯の柱に押し当てるとキューブは柱の中に押し込まれた。

 

朱奈(これで後は・・・・・)

 

??「おや?君は・・・・・」

 

背後から声を掛けられて驚いた朱奈が振り返るとそこには車椅子に乗ったねむと車椅子を押す柊桜子の姿があった。

 

??=ねむ「やあ。一夜。じゃなかった。今は朱奈だったね」

 

朱奈「ねむ様・・・・・」

 

ねむ「少し話せるかな?」

 

朱奈「はい・・・・・」

 

 近くのベンチに移るねむと桜子、朱奈。

 

桜子「|・・・・・・|」

 

ねむ「さっきは何をしていたんだい?」

 

朱奈「・・・・・・」

 

ねむ「別に咎めるつもりは無いよ。たぶんだけど彩月に頼まれたんだろう?」

 

朱奈「はい・・・・・。彩月さんが仕事としてこれを設置して来てくれって」

 

 朱奈は手の平に彩月のキューブを出現させた。

 

ねむ「これはアリナのキューブの色違いだね。何が目的なんだい?」

 

朱奈「知らないです。中身は入っていないけど彩月さんは自分が指定する場所へ設置するだけで良いって」

 

ねむ「そう。でもそれを話して良かったのかな?」

 

朱奈「彩月さんは誰か魔法少女に見つかったら話して良いって」

 

ねむ「・・・・・。成程。つまり君は今言った事、以上の事を知らされていないと言う事だね」

 

朱奈「はい・・・・・」

 

ねむ「桜子。頼んでいた事は?」

 

 不意にねむが桜子に話を振る。

 桜子はいつの間にか朱奈の頭に手を掲げていた。

 

桜子「|今終わった。やっぱりこの子の身体の中にもアレと同じ物が入ってる|」

 

ねむ「やっぱりそうなんだ」

 

朱奈「アレって何ですか?」

 

ねむ「それはね・・・・・。君の体内にある物と同じ物の事だよ」

 

朱奈「!?」

 

ねむ「君は何処まで聞いているんだい?」

 

朱奈「わたしの身体の中に魔力の塊・・・・・。魔石があるって聞いてます」

 

ねむ「魔石か。妥当な言い方だね。その魔石は君の体内にある物以外にも他にもあるんだよ」

 

朱奈「この魔石って・・・・・。一体何ですか?」

 

ねむ「これから僕が言う事は推測も混ざるけど聞いてくれるかい?」

 

朱奈「はい・・・・・」

 

ねむ「この魔石はエンブリオ・イブの欠片。自動浄化システムにアクセスする為に必要な物だと思うよ」

 

朱奈「!!」

 

ねむ「神浜市での事は聞いているんだよね?」

 

朱奈「一夜さんから聞いたり、彩月さんから聞かされていたから・・・・・・」

 

ねむ「そう。きっとこれから神浜市のみに展開している自動浄化システムを巡って魔法少女同士の争いが起こると思う。魔石を宿している以上は君も巻き込まれるだろうね」

 

 

綾女テレパシー「そんな事を私が許すと!!」

 

 

 周囲に響き渡る敵意を込めた綾女のテレパシー。

 

朱奈「綾女ちゃん!?」

 

ねむ「!!」

 

桜子「|!!|」

 

 桜子は反射的に戦闘フォームへと変身して周囲を見渡していた。

 

桜子(|何処にいるの?魔力は感じるけど姿が見えない・・・・・・|)

 

ねむ「筒地綾女だね。僕は君と敵対するつもりはないんだけどね」

 

綾女テレパシー(それでも朱奈を巻き込もうとするのなら同じ事よ)

 

ねむ「既に巻き込まれていると思うけどね」

 

朱奈「綾女ちゃん!ねむ様の話は聞いた方が良いと思う!」

 

綾女テレパシー(・・・・・。朱奈が言うのなら)

 

 ねむには綾女のテレパシーに混ざる敵意が少し和らいだ様に思えた。

 

ねむ「と言う訳で桜子。変身する必要はないよ」

 

桜子「|分かった|」

 

 桜子は不服そうだが変身を解除して制服姿に戻った。

 

ねむ「相変わらず姿を見せないんだね」

 

 そう言いながらねむと桜子は綾女の魔力反応がある方向に視線を向けていたが姿は見えない。

 

ねむ「魔石をどうにか出来ない限りは・・・・・。朱奈は戦いに巻き込まれる。それは分かっているんだろう?」

 

綾女テレパシー(・・・・・。それは否定しないわ)

 

ねむ「だから僕、と言うよりも僕達と組まないかい?」

 

綾女テレパシー(・・・・・・・・)

 

ねむ「僕達と組んだ方が魔石に関する問題も速く片付くんじゃないのかな?」

 

桜子「|ねむ|」

 

 不意に桜子が声を掛けて来てねむは桜子が見ている方向を見ると彩月が歩いて来た所だった。

 

彩月「おんやあ?ねむ様。朱奈さんと綾女さんの引き抜きなんかはさせへんで」

 

ねむ「そんなつもりは無いよ。手を組みたいと言っただけだよ。君も含めてね」

 

彩月「ウチも?」

 

ねむ「そうだよ。彩月。君も僕らと組まないかい?その方が朱奈の体内にある魔石に関する事や君と戦った3人の裏切り者への対処がしやすくなるんじゃないのかな?」

 

彩月「確かにいい話やけどウチは嫌やで」

 

ねむ「どうしてだい?」

 

彩月「だってウチはもう自由なんや。この神浜市で自由に好き勝手にやらせて貰うで」

 

ねむ「まあそう言うと思ったよ。でも協力してくれるならこれを君に託しても良いかなと思っているよ。桜子」

 

桜子「|ねむが言うのなら|」

 

 無表情に桜子はポケットの中から魔力を帯びた石を取り出して見せた。

 

綾女、朱奈「!?」

 

彩月「!! それは」

 

ねむ「君の言う所の魔石と言う物だよ。この通り僕も一つ所有してる」

 

彩月「どこでそれを」

 

ねむ「桜子が拾っておいてくれたんだ」

 

桜子「|そう。私のウワサ結界の中にエンブリオ・イブが倒された時に飛んで来たから拾っておいた|」

 

彩月(盲点やったわ。ねむ様達に見つかりたくないから避けとったからなあ・・・・・・)

 

ねむ「これを君に渡すと言っても駄目かな?」

 

彩月「嫌や」

 

ねむ「むぅ・・・・・」

 

彩月「と言うか奪うのもアリやろ」

 

 彩月の手には出現させたパルチザンが握られている。

 

彩月「幸いナナツメさんは近くにおらん。今なら獲れるやろ」

 

朱奈「彩月さん!」

 

綾女テレパシー(朱奈!離れて!)

 

 朱奈は綾女のテレパシーのする方に離れる。

 それを見た桜子は再び戦闘フォームへ変身していた。

 

桜子「|ねむを傷付けるなら容赦しない|」

 

彩月「ウワサが相手とはええ経験になるな」

 

ねむ「・・・・・。桜子。打ち合わせ通りにして」

 

桜子「|分かった|」

 

 ねむの言葉と同時に彩月に向かって駆け出す桜子。

 彩月も変身して迎え撃つ構えを見せた。

 桜子の左腕から伸びる光の剣が彩月のパルチザンとぶつかり合う。

 何度かぶつかり合いの後に光の剣が紐の様になったと思うとパルチザンに巻き付いた!

 

彩月「!!」

 

桜子(|今!|)

 

 桜子が光の剣を引っ張るとパルチザンを握っていた彩月は予想外の行動によってバランスを崩してしまう。

 

彩月「チッ」

 

桜子「|!!|」

 

 桜子の右手にはいつの間にか魔石が握られている!

 

彩月「なっ!?」

 

ねむ(むふ。悪いけど彩月で効果を試させて貰うよ)

 

 魔石は彩月の胸に何の抵抗も無く入り込んでしまった。

 

彩月「何考えとるんや!?」

 

 魔石の入り込んだ胸を押さえて片膝を付く彩月。

 

ねむ「魔石の効果は分からないからね。だからこそ君で実験しようと思ったんだよ。むふ」

 

彩月「ちぃ。油断したわ・・・・・。貴重な魔石をこんな事に使うと思わへんで」

 

ねむ「確かに貴重だけど効果を確かめるのは必要だからね」

 

彩月「相変わらず性格が悪い人やな」

 

ねむ「誉め言葉だと思っておくよ。むふ。それに魔石は二つだけじゃないだろうしね」

 

彩月「そうやろな。二つだけとは思えん」

 

ねむ「だから彩月。僕に雇われないかい?僕と灯花に雇われるのなら、これから神浜市に出来る魔法少女チームとは関係が無いから良いだろう?」

 

彩月「嫌やと言いたいんやけどなあ」

 

ねむ「でも僕に雇われるのなら魔石に関して何か分かったら教えてあげても良いよ」

 

彩月「ねむ様には敵わんなあ。仕方ないから雇われてもええで。ただし条件があるで」

 

ねむ「どんな条件だい?」

 

彩月「どうせならウチと朱奈さんを雇って給料をナナツメさんと同じ額の給料をくれ!」

 

ねむ「それは灯花と相談するよ。ただし雇われるのなら僕からも条件はあるよ」

 

彩月「なんや?」

 

ねむ「これ以上、魔法少女を殺さない事だよ」

 

彩月「ええで。そんな事をする意味も無いからな」

 

ねむ「それじゃこれは君との連絡用のガラケーだよ」

 

 そう言って桜子に近付いたねむは桜子を介してガラケーを彩月に渡した。

 

彩月「用意が良いな。最初からそのつもりだったんか?」

 

ねむ「否定はしないよ。君に首輪を付ける事はこれからも必要な事だと思うからね」

 

彩月「流石はマギウスのお三方やな」

 

ねむ「嫌味かい?」

 

彩月「誉め言葉と受け取ってくれ」

 

ねむ「まあ良いよ。と言う訳で朱奈。君もぼくに雇われる事になるよ」

 

朱奈「・・・・・・」

 

彩月「朱奈さんの方も雇われても問題無いで」

 

朱奈「・・・・・・。綾女ちゃん。綾女ちゃんはどう思うの?」

 

綾女テレパシー(問題無いと思うわ・・・・・・・)

 

 姿を見せない綾女はテレパシーでだけ返事を返して来た。

 桜子だけは綾女がいると思われる方向から視線を外さなかった。

 

桜子「|・・・・・・|」

 

ねむ「じゃあこれで両者との契約は成立だね」

 

彩月「ハメられた様なもんやけどな。ナナツメさんがいないのも罠なんか?」

 

ねむ「ナナツメなら今日は灯花の買い物にみふゆと一緒に付き合っているよ。それに僕には桜子がいるからね」

 

桜子「|私は大切な人を守りたいだけだから|」

 

彩月「と言うかなんで連絡用の携帯がスマホじゃ無くてガラケーなんや?スマホにしてもええやん!」

 

ねむ「裏切ったのに良くそんな要求が出来るね」

 

 呆れた様子を見せるねむ。

 

彩月「だって灯花様は金持ちやん!」

 

ねむ「だったら裏切らければ良かったね。むふ」

 

彩月「こんな目に合うならそこは同意やな」

 

ねむ「君の悔し気な様子が見れて僕は満足だよ。それと一夜、じゃなかった。朱奈。これを渡しておくよ」

 

 そう言ってねむはスマホを取り出すと朱奈に差し出した。

 

ねむ「これは一夜に預けていたスマホだよ。護衛の黒羽根から調整屋を通して返却されたからまた持っていてくれるかな?」

 

彩月「ええなー。朱奈さんはスマホかい!?」

 

ねむ「彩月の事はともかく、僕は一夜の事を信じているからね」

 

朱奈「でも・・・・・。いいんですか?」

 

ねむ「うん。僕は君を信じるよ」

 

朱奈「・・・・・・・・・。分かりました」

 

 朱奈は躊躇いながらもねむからスマホを受け取った。

 

彩月「ええなー。ええなー。スマホええなー」

 

ねむ「年上なのにそう言う所は子供っぽいね」

 

彩月「ふざけとるだけやないかー」

 

ねむ「じゃあ改めて・・・。これからもよろしく。彩月、朱奈。それに綾女さん」

 

彩月「よろしゅう」

 

朱奈「よろしくお願いします」

 

綾女テレパシー(朱奈が協力するのなら)

 

ねむ(これで今の所、彩月を敵にするのは避けられたね。他の敵対している魔法少女、ナル、ベル、あすみんと言った3人と彩月が敵対しやすくなるだろうし妥協点としてはここまでかな)

 

 ねむは密かに自身と灯花の計画が上手く行った事を心の中で喜んでいた。

 

 

 

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