私達の屋上   作:: 渚 :

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久しぶりの投稿になってしまいすみません!

色々片付けたのでこまめに更新出来たらなと思ってます!

それではどうぞ!


小さな約束

「おはよー」

 

「おはよっ!南海っ!…んー?」

 

「…なに?」

 

教室に入って奈桜に声をかけると不思議そうな顔でじーっと見られた、え?化粧ならいつものと変えてないけど…

 

「なんか良いことあった?いつもより元気って言うか…なんか吹っ切れた顔してる」

 

「…うん!ちょっとね」

 

高校に入って初めての友達だけど、彼女はもしかしたら私のことを意外と見ててくれているのかもしれない。なんかちょっと嬉しくなってしまった。口元にやけてないかな大丈夫かな。

 

「で…南海ちょっとお願いがあるんだけど…」

 

ちらっと私を下から見上げる奈桜。あざといが引っ掛からないからね。

 

「数学の宿題なら見せませーん」

 

「ぐ、なんで分かったのぉ…」

 

「一限が数学の時はいっつも見せてって言ってくるでしょ…もう慣れたよ、教えてあげるから見せてみ、自分でやんなきゃ意味ないよ」

 

「うぐぅ…正論…」

 

しょげた顔をしながら渋々ノートと教科書を出す奈桜。

 

「どこが分かんない?」

 

「どこが分かんないか分かんない…」

 

…ちょっと骨が折れそうだけど…

 

「一限までに終わるかなぁ…」

 

「大丈夫、まだ予鈴まで30分くらいあるからがんばろ」

 

「南海ってもしかして神様…?」

 

「ふっふっふ、神だぞえっへん…なんてね。じゃあ1問目から_」

 

まあ友達に勉強を教えるっていうのも青春っぽい、よね?

 

☆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━☆

 

「到着っと」

 

図書室に寄って本を返してまた1冊借りる、休日は3冊くらいまとめて借りるからこのペースだったら図書室の本読み切れちゃうんじゃないかな。

 

本を読む前に、零が来てるか確認しとこうか、前みたいに鉢合わせになってなんか言われるのも、ね。

 

「………あ」

 

零は来ていた、少し体を丸めて、ぽかぽかした陽の光を浴びながら寝ている。私と話している時はあんなにくるくる忙しなく表情が変わる零だが、ぐっすり眠っている。寝ると人の表情はあどけなくなる、とか聞くけど本当なんだな。

 

「………」

 

こんな硬いところで寝て体を痛めないのかな。体を丸めてるってことは、少し寒いんだろうか。袖まくったままだし。

 

「………」

 

ちょっと考えた末に、私は自分のパーカーを脱いでそっと零にかけた。

 

(深く考えてはいけないぞ、たまたま寒そうにしてるし、私はちょっと暑い気がしなくもないからかけた、親切にしただけ、そう)

 

意味のわからない言い訳をしながら梯子を降りる。なんとなく耳を塞ぎたくなってヘッドホンを付けて音楽を流す。借りてきた本を引っ張り出して文字の羅列に目を向けた。

 

☆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━☆

 

「…っ!南海っ!」

 

「!?」

 

本から顔を上げると、零がちょっと困ったような顔をしながらこっちを見ていた。

 

「…!……!」

 

やばい何を言っているのかわかんない。ヘッドホンを外す。

 

「だからな_」

 

「ごめん零序盤何言ってんのか全然聞こえてなかった」

 

「………」

 

呆れた表情をされた。だってヘッドホンつけてたから仕方ない…よね。

 

「熱中すんのは良いけど、熱中し過ぎだ。今はもう5時だぞ。」

 

「えっうっそ!!」

 

腕時計を確認すると5時だった。そろそろ帰らなきゃ。

 

鞄から栞を取り出して本に挟もうとすると

 

「それ、栞か?綺麗だな」

 

「…あぁ、これ?」

 

お手製の栞だ、栞って言っても刺繍糸を三つ編みにして端っこを軽く結んだ。他にも何個か持っているが、白と紺色、あと水色。私の好きな3色で作ったこれは特にお気に入りだ。

 

「ミサンガみたいなものだけどね。私は付けないで栞に使ってるの。簡単だし、結構気に入ってるんだ」

 

「ミサンガって言うと…あれか、あの、女の子がよく付けてるやつ」

 

「切れると願い事が叶うらしいよ。付けたことないから知らないけど」

 

特にめちゃくちゃ叶えたい願いがある訳でもないし。

 

「零はなんか願い事あるの?」

 

「んー…あるっちゃあるけど」

 

「作ったげようか?暇だし」

 

たしか今日は宿題出てないはず。

 

「俺に?」

 

「うん、明日でいいかな?あと何色使ったらいい?」

 

「やった!約束な!俺はなー…赤と黒が好き!」

 

赤と黒…ほーう?

 

「…ん、約束約束…で色は厨二病の名残?」

 

「なっ!?失礼だな!?」

 

「赤と黒と、じゃあと1個は…無難に白ね。」

 

「スルーかよ…あ、そうだこれありがとな」

 

パーカーを渡された、律儀にたたんである。

 

「どういたしまして、寒そうだったからかけたけど…あそこでほんとに寝てるとは思わなかった…体痛めないの?」

 

「慣れると平気だぞ?」

 

「慣れるほど寝てるんだ…」

 

「まーな」

 

たわいもない話をしていると、最終下校の鐘が鳴った。

 

「じゃ、帰ろっか」

 

「あ、今日はなんかいい事あったか?」

 

「…今日は別に暗いこと話してないけど」

 

「無いならいいけど…」

 

んー、嬉しかったこと、楽しかったこと、だよね。

 

「…友達に顔が明るくなったねって言われた」

 

「おぉ!」

 

「あともう1個…家に帰ってからの予定ができたこと、かな」

 

「…おう?」

 

あ、なんか分かってないな、まあいいや。話を聞いてもらったお礼のつもりで作ろうかな。

 

「零は帰らないの?」

 

「俺は先生に見つかるギリギリまで残るー、最近それが楽しみなんだ、まあ屋上で見つかって鍵閉められたら困るけどな」

 

「そうだね、昼寝場所が無くなるもんね」

 

「あぁ、南海にも会えなくなるしな」

 

「そう?だって同学年でしょ?」

 

「まあそうだけど、クラスまで行くのめんどいし、南海だってびっくりするだろ。あと変な噂立てられたくない」

 

「なるほどね」

 

まあ私も少し困るかな、奈桜に見つかったらなんか言われそうだし。

 

「ん、じゃあ私は帰ろっかな、早く屋上から出なよ…また明日」

 

「おう!また明日な!」

 

いい笑顔だ。うん、あの言葉を言っても大丈夫になったし。

 

屋上の扉を閉めるまで零はぶんぶんと手を振ってくれた。軽く振り返して扉を閉めた。早く帰ってミサンガ作ろう。




久々に書いたので少し長めになりました。

暇つぶしに楽しんで頂けたら幸いです。
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