私達の屋上   作:: 渚 :

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ひえええ夏休みが終わらないでえぇぇ


憂鬱な雨

今日も朝から雨が降っていた。

 

夜に天気予報を確認して、晴れとは言わないからせめて曇り、雨降らないで。と願いつつ眠って、朝カーテンを開いて外の天気を確認してため息をつくまでが最近の朝の流れとなっている。

 

雨に濡れていつもより暗い色の通学路を歩く、水たまりを踏まないように気をつけながら。たまに考え事をしていると水たまりがすぐそこにあってぴょんっと飛ぶように避けてしまう。後ろは絶対に振り返らない、見られていたら大分恥ずかしいし。

 

去年の秋からこの間、零に出会うまでは雨の日だって別に平気だった。ただ傘を持っていくのめんどくさいな、とか。図書室行ったら家に帰らなきゃな、ぐらいにしか思わなかった。

 

ミサンガを作る約束をした日から、零には会えていないのだ。

 

作ると言ったらあんなに嬉しそうにしていたから、多分楽しみにしているんだろう。奈桜に渡したらすごく喜んでいたし、零にも早く渡してあげたい。ちなみに奈桜は「見て!南海が作ってくれた!」とクラスメイトに自慢しに行ったので慌てて止めた。

 

その子も遠慮がちに「もし良かったらで良いんだけど…」と後でこっそり言いに来てくれたので作ってあげたら喜んでくれた。

 

零用のミサンガを入れた小袋は鞄に入れたままだ、紙製の袋なのでくしゃくしゃにならないように教科書やノートとは別のところに入れた。

 

なんて考えてるとまた水たまりが目の前にあった。飛んで避ける。雨の日の考え事は少し控えよう。

 

零のクラスが分かっていたらすぐ渡しに行きたいところだが、知らないのが難点だ。私のクラスも教えていないし。それに変な噂を立てられたくないって言ってたから、迷惑になったら困る。

 

零はほぼ話したことのない私の悩みを聞いてくれた人だ。迷惑なことを話したと気にする私に、「じゃあ悲しい事や辛い事を話したら変わりに嬉しい事や楽しかった事を話そう」とわざわざ提案までしてくれたのである。お人好し…というかなんというか。まあそれに救われたのが私だからなんとも言えない。

 

別に悲しいことがなかった日でも、「良い事あったか?」と聞いてくれた。あの日から嬉しいことは大分たまっている。

 

1番仲のいい友達にミサンガを渡したら喜んでくれた、苦手教科の小テストで満点を取れた、この前借りた小説がとても面白かった、友達経由で別の子にもミサンガの話が行ってその子にも作ったら喜んでもらえた。

 

会えたら話したいので、最近は携帯のメモ帳に書きためているくらいだ。それに話を聞くばかりなので、零の嬉しいことも聞きたい。そういうことを考えているとなんとなく口元がにやけてしまうので、少し気をつけなきゃ。

 

ぼんやり歩いていたらもう学校だ。放課後は少し天気が良くなっていることを願いつつ、下駄箱に向かった。

 

☆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━☆

 

6限も終わり、放課後になった。結果から言うと雨は降り続けたままだった。珍しく帰ってないのは図書室で騒いでいる人がいなかったからである。そういえば屋上行く前はここで本読んで帰っていたな。ひとりで図書室内をうろうろしていると、司書の先生に話しかけられた。

 

「鶴川さん、今日は何を探してるの?」

 

「あ、佐田(さた)先生、たまには怪談とかも読んでみようかなって」

 

「怪談ならこのあたりがオススメよ、もうすぐ暑くなるし、ホラー特集でもしてみようかしら」

 

「いいと思いますよ、私も手伝いましょ_

 

ドサドサッと何かが崩れる音がした。

 

「あら、何かしら」

 

音が気になったので先生の後をついて行くと、緑色の表紙をした本が本棚の中で斜めになっていた。何冊か本棚から飛び出しているのもいる。

 

「卒業アルバムだわ」

 

「うちの学校、卒アル置いてあるんですか?」

 

「そうよ、見てみる?」

 

「えっと、片付けてから見ます…気になりますし」

 

「鶴川さんも2年生だし、再来年にはいなくなっちゃうのね…」

 

「多分、また来ますよ。ここの図書室の本、全制覇してみせます」

 

「頼もしいわね」

 

どんな写真を使われるか、今のうちに調べておかないと。できたらマシな感じで映りたいからね。

 

そんな少し変わった目的で、私は倒れた卒アルに手を伸ばした。

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