【any%】がっこうぐらし隠しルートRTA 【キャラ視点マシマシ】   作:わさべ。

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(次話が書き上がるのは課題が解決したらです。失踪はたぶんないです)

(気長にどうかお待ちください)


裏3日目午後~5日目朝

「めぐねえ。百舌鳥の事で聞きたいことがあるんだ」

 

百舌鳥が倒れて急いで敷布団に運んだあと、あたしはめぐねえに問いただしていた。

 

「…どうしたんですか……?」

 

あたしから百舌鳥という名前が出たことに少し驚いていたけど、すぐに親身になって聞いてくれた。

 

百舌鳥のことをあまりにも知らなさすぎること、百舌鳥の様子がおかしいこと。他にも沢山あるけど今はその2つで良い。それだけでも知りたかった。

 

「…ごめんなさい。実は私も蓮保さんの事を知らないんです」

 

 

…そうか、1番仲がいいめぐねえでもわからないのか。……百舌鳥から直接聞けたら楽だが、そこまでプライベートな所に踏み込む勇気はない。

 

 

「…うちの学校に来てからの事は知っているんですけど、来る前の話を聞いてみても覚えてない、わからないばかりで………私とあった頃は色々忘れっぽかったので、うっかりした性格の子なのかと」

 

 

帰ってきた答えは、求めていたものではなかった。それでも重要な情報がありそうだ。

 

(覚えていないならまだしも、わからない……?)

 

…考えられる事は何か大きなトラウマを抱えていて、それを思い出さないようにしているか、だ。それなら、今までの発作に説明がつく。……呟いていた言葉に納得してしまう。

 

発作が終わったあと後遺症はあるけど何もなかったかのように振る舞うから、脳が記憶を思い出させまいとしているのだろうか。それとも、忘れているだけなのか。

 

 

「趣味とかを聞いてみても言葉の意味を知らなかったり、家にかえってから何をしているか聞いても何もせずに眠るだけ、なんて聞いた時は凄く不安になりました。…でも最近は趣味を見つけて取り組んでいたみたいなので、ほっとしていました」

 

 

(…なら、ここまで多彩なのは何故?)

 

アウトブレイクが発生してから百舌鳥には助けられてばかり。…バリケードの作り方なんてサバイバルが趣味じゃないと知りえない情報だろう。

 

 

「……でもこんな状況になってしまったので、最近はやっていなさそうですけど…」

 

 

めぐねえは百舌鳥を撫でながら呟いた。

 

撫でる姿は母親のようで、子供を寝かしつけているように見えた。なんというか……めぐねえがお母さん……違和感ないな。

 

 

「…んぅ……おはよー……」

 

「ゆき悪い、少しうるさかったな。おはよう」

 

「おはようございます、ゆきちゃ……ん?」

 

 

まぶたをこすりながら起き上がるゆき。寝起きで寝ぼけているのかめぐねえに抱きついてしまった。めぐねえはすこし驚いていたけど、すぐに受け入れて百舌鳥を撫でた時と同じようにゆきを撫でた。…よりお母さんらしさが増したな。

 

 

「…えへへーめぐねえあったかいねー」

 

「…そうね、ゆきちゃん」

 

 

ゆきは顔をめぐねえに埋めてだらけた顔をしている。不思議とめぐねえも嬉しそうだ。めぐねえがその表情を百舌鳥が拾ってきたデジカメでパシャりと撮る。撮った写真を確認してから机の上に置いた。

 

 

「…めぐねえならいいお嫁さんになりそうだな。……ちょっと抜けてる所があるけど」

 

「抜けてるってなんですか。私、結構しっかりしてますよ!!」

 

 

ほっぺたを膨らませてあたしを見つめてくる。…ぷんすこという効果音が似合いそうだ。めぐねえをなだめながら素直に謝った。

 

 

「……でも、結婚はしてみたかったですね。…それももう難しそうですけどね」

 

 

めぐねえは寂しそうに言った。…それもそうだ。たまたまこの学校に生活できる設備が整っているから今は暮らせている。学校のお陰で今まで通りに近い生活を送ることが出来ている。何を想定して作ったのかはわからないけど、設計した人には感謝を伝えたい。

 

 

「恵飛須沢さん。私、決めたことがあるんです。こんな状況だけど、日常をみんなと一緒に大切にしたいんです。辛い毎日だけど、だからこそ、日常を当たり前にしたいんです」

 

 

ほら、ゆきちゃんも今は忘れてるでしょ?と微睡んでいるゆきを撫でてそう言った。ゆきは幸せそうにめぐねえを抱きしめている。

 

…あたしも、少しの間だけ忘れることが出来た。めぐねえとのたわいもない会話、それだけでもいつもの日が戻ってきた様に感じた。

 

 

「…だから、私考えたんです。辛いことを部活動にしちゃえば、皆で頑張っていけるんじゃないかなって」

 

「ぷっ、あはははは!!」

 

 

その言葉を聞いて、思わず吹き出してしまった。

 

 

「な、何かおかしかったですか!?」

 

「あははっ、めぐねえらしいなって思ったんだ。部活動ってこんな状況じゃ思いつかないよ」

 

 

めぐねえは何時も自分より相手を大切にする。先生という使命感からかもしれないけど皆の支えになってくれて、凄く頼もしい。……あたしは自分自身の事でいっぱいいっぱいなのに。百舌鳥の発狂がいつ来るかわからないのに。

 

 

「…いいと思う。部活動。あたしは賛成するよ」

 

 

……でも、あたしは気付いている。この部活動は百舌鳥の為に作られるって。……百舌鳥はアウトブレイクが発生してから、今の今まで一度も誰かを頼ったことはない。全部、百舌鳥1人で抱えている。

 

今の百舌鳥は精神的にも不安定で、部活動という枠組みでどうにか安定させようと試みているのだろう。

 

 

「それなら、部活動名を考えないと……」

 

「部活動!?やりたいやりたい!!」

 

 

微睡んでいたはずのゆきが飛び起きて、話に参加する。楽しそうな事に首を突っ込むのはなんともまぁゆきらしい。

 

あれでもないこれでもないと言いながらも色々案を出しつつ、徐々に絞っていく。…これだけ騒がしいのにも関わらず、百舌鳥と連れ込んだ女の子の目が覚めることは無い。

 

すこし不安になっている時、ゆきがその案を出した。

 

 

「んーと、じゃあ学園生活部!!」

 

「おっ、ゆきにしてはいいんじゃないか?学園生活部」

 

「えへへー」

 

「…学園生活部、いいですね」

 

 

ほぼ満場一致だ。あとは他のみんなの意見も聞いてから決めよう。りーさんならどんなのが……?

 

そういえば、りーさんは?

 

 

「めぐねえ、りーさんがどこに居るか知らないか?」

 

「校内にはいなさそうでしたので、多分屋上ではないでしょうか?作物のお世話をしていると思います」

 

 

めぐねえに感謝を伝える。りーさんにも教えてあげないとな。みんなで作る部活動だから。

 

 

「……」

 

 

…皆との会話で誤魔化していたけど、やっぱりスッキリしない。

 

1度整理するためにも、落ち着ける場所に行きたかった。百舌鳥に時間を割かないとまた、いつ発作が起こるかわからない。解決策があるなら、どうにかして見つけ出すべきだ。

 

 

「…何かあれば私を頼ってくださいね?」

 

「もちろん。……めぐねえもなんかあったら言ってくれよ…?」

 

 

そう言ってあたしは職員室を後にした。…気難しい顔をしていたのだろう。めぐねえの観察眼には叶わない。

 

屋上に向かいながら百舌鳥について思考を巡らせる。遠くでゆきが騒ぐ声がきこえてくる。……何やってるんだ…?

 

…考えれば考えるほど謎が深まっていく。その中で思い浮かぶのは重い内容ばかりだった。

 

(…百舌鳥は、何をされたんだ?)

 

何がトリガーで発作が起こるのか考えても考えても、結局は振り出しに戻ってしまう。情報が足りない。あたしじゃ、力不足。皆の意見も聞きたいけど、百舌鳥に察されるのは宜しくないような気がする。

 

(…もしかしたら、覚えていないけど何かがあったことは把握しているかもな)

 

百舌鳥は相手の気持ちを察するのが凄く上手だ。……あたしが敵対視している時でも、腕の擦り傷に気付いて絆創膏をあたしに渡してくれた。…顔は笑顔だったけど手足が震えていたのを思い出した。

 

…自分の気持ちを隠すのも得意なのだろう。……あたし達の前で弱音を吐いていたのを発作の時以外は見たことがない。全部百舌鳥が抱え込んで、1人で解決しようとしている。

 

百舌鳥が抱え込むようになったのは、あたしが百舌鳥を追い詰めたからだ。百舌鳥は皆の事を思っての行動をしていた。……あたしはそれを知らずに自分勝手な行動をしてしまった。

 

 

「……あたしは、どうすればいい…?」

 

 

 

 

 

その呟きは、溶けて消えていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何も実らない自問自答を繰り返して気付けば屋上にたどり着いた。…りーさんに心配させないように、軽く気持ちを切り替える。…それでも、りーさんの洞察力は高いからバレるかもしれないから、その時はりーさんを頼ろう。

 

 

「りーさん!!部活動作るんだけど一緒に……?」

 

 

屋上でりーさんが地べたに座って頭を抱えながら震えていた。なにかに怯えるように。薄ら笑いを浮かべていて、正気ではなさそうだった。

 

 

「ふふ、あは…あはは……」

 

「りーさん!?しっかりしろっ!!何があった!?」

 

 

聞こえていない。あたしが体を揺すっても反応がない。ここまで気が動転しているりーさんは見たことがない。

 

 

「…っ、もしかして噛まれたのか!?」

 

 

そう思って触れて探ってみたけど、それらしい傷跡は見つからない。……それでも、りーさんはあたしに気付かない。

 

…ふと、りーさんの足元を見ると何かが落ちていた。

 

(緊急時避難マニュアル…?こんなものがあったのか。…もっと早く知ってたら、百舌鳥の力になれたのか……?)

 

軽く眺めてから、マニュアルをめくった。避難経路や非常用の電源に保存食の場所が示されていた。パッと見だと、ごく普通のマニュアルだった。

 

…とりあえず、後でめぐねえ達にも共有しておかなきゃな。

 

全てのページを軽く見ようとパラパラと捲ろうとした時だった。

 

 

「っ!!みちゃ、だめっ!!」

 

 

あたしからマニュアルを取り戻そうとりーさんがマニュアルを強く引っ張った。

 

その拍子でマニュアルをとめていた金具が壊れて散らばってしまった。

 

その時、目に入ってしまった。

 

かれらの特徴によく似た記述、かれらにならない為のワクチン、誰も知るはずのないアウトブレイクについて、細かく書き記されたレポート。そして、これから先起こるであろう事柄。

 

事前に把握して、マニュアルに書き記しているであろう事に吐き気を覚える。

 

 

「…皆がかれらになる事は想定済みだったのかよッ!!あたしたちはただの実験台とでも言うのかよっ……」

 

そのせいで、先輩が、皆が。………っ。

 

食べたものを戻しそうになるのを必死にこらえて、1ページずつ捲って確認していく。

 

そして、

 

 

 

 

 

「……なんだよ、これ」

 

 

--------------------完成形被検体番号04、個体名《蓮保 百舌鳥》

 

 

そして、赤くWARNINGと書かれた紙に記されていた蓮保 百舌鳥の名前と謎の番号。そこに乱雑に貼られた百舌鳥のものと思われる幼い頃の写真。

 

…これを見てしまったら、嫌でもわかってしまう。アウトブレイクに百舌鳥が関係している事を。

 

 

(もしかして、百舌鳥が引き起こしたのか…?)

 

 

読み進めれば進めるほど、アウトブレイクが計画的犯行だったことがわかってしまった。それに、百舌鳥のことを考えてみると、おかしいところが幾つかある。

 

…そのおかしかった所がこのマニュアルで納得してしまった。

 

学校に転入生として来たのは、アウトブレイクのため。

 

学校に来る前の話をはぐらかすのは、アウトブレイクのことを悟らせないため。

 

そして、突然こんな状況に陥っても行動が出来たのは、事前に知っていたから準備が出来ていた。

 

 

「う、お、おえぇぇっ」

 

 

びしゃびしゃとお昼に食べたものを吐き出す。……戻しきっても吐き気は治まらず、暫く動くことが出来なかった。

 

 

 

 

 

…このマニュアル、めぐねえに見せるべきではないとは思うが、百舌鳥の事を考えると伝えておくべきだろう。

 

あたしは弱ったりーさんを担いで、めぐねえの所に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんですかっ、こんなの……あまりにも……っ」

 

「……っ、もずちゃん…」

 

 

めぐねえとゆきにマニュアルを見せた。…信じられないのだろう。めぐねえは涙を流して何かを呟く。ゆきは放心してしまった。

 

「…百舌鳥の事、警戒しておいた方がいい」

 

あたしは追い討ちをかけるようにそう伝えた。何かが起きた時に、あたしの手の届かない所だとどうしようも無いからだ。心構えだけでも出来ていれば、対処はしやすいだろう。

 

 

「…蓮保さんを、疑えって言うんですかっ!!」

 

「じゃあ逆に信じれるのかよッ!!」

 

 

…怒鳴ってしまった事を謝りながら、あたしなりの考えを打ち明ける。

 

「アウトブレイクのことをあんなに詳しく書いてあって、かれらの習性のことだって……あたしが確認した限りその通りだった」

 

「…でも、でもっ!!」

 

「マニュアルに書かれていることは本当だった。……なら、百舌鳥の事についてもそう言える」

 

…出来るだけ、情は持たないようにしておきたい。……ひと思いにやれるように。あたしだって、嫌だ。そんな事したくない。

 

「…もし、何か起きた時。百舌鳥は切り捨てるつもりでいる。あたしが、なんとかする。するさ」

 

「…っ、くるみさんは、何も思わないんですか!?」

 

「思わない訳がないだろッ!!」

 

「あたしだってっ!!百舌鳥を見捨てたくないっ!!……でも、百舌鳥がかれらだった時、あたしはめぐねえ達を見捨てるわけにはいかないっ!!」

 

 

…一旦冷静になれ、あたし。……ここで納得して貰わないと、きっとあたし達は生きていくことは出来ない。……現状、百舌鳥に頼りすぎなのだから。

 

 

「…お願いだめぐねえ。百舌鳥のことは諦めた方がいいんだ。……このマニュアルに従うべきなんだよっ……」

 

 

 

 

その日1日は、めぐねえと口を交わすことはなかった。

 

 

 

 

 

■□▪▫■□▫▪■□▪▫■□▫▪■□▪▫■□▫▪

 

吐き気と異様な冷たさで目が覚める。……頭が痛い。……私は何をしていたんだっけ。…っ、気持ち悪い。

 

「……っ」

 

謎の痛みを耐えながら身体を起こすと、めぐねえが私の前でりーさんと見知らぬ女の子の看病をしていた。めぐねえに挨拶をする。……届いていないのか、反応ななかった。

 

…ふと、時計を見ると、7時を示していた。……私はどれだけ眠っていたのだろうか。

 

 

「…だいたい1日ぐらいね」

 

 

めぐねえが答えてくれた。…表情に出ていたのだろう。ありがとうと伝えるとめぐねえの表情が少しだけ曇ったような気がした。

 

…寝てばかりだと、皆の負担が増えてしまう。そう思い、起き上がろうとした時にふと気がつく。

 

(……なんで、私は縛られているの?)

 

強く結ばれていて、満足に動けない。移動をしようにも机に繋がれていて無理そうだった。めぐねえにほどいてもらう様に頼もうとした時だった。

 

 

「…ねぇ、蓮保さん。正直に答えてほしいの。なんでこんな状況下なのに、悩まずに行動出来るの…?」

 

……なんで、って皆の事を思って………

 

「……まるで、この状況になる事を知ってたかの様に行動してますよね…?」

 

 

…え?

 

「し、知らないっ。こんなことが起きるなんて知らなかったよ。私が行動出来たのは、皆が居たから……」

 

更にめぐねえからの視線が冷たくなる。……疑われている…?

 

「っ、なんで、めぐねえ…?私、何かした……?」

 

わからない。思い返してみても、心当たりはなかった。皆の為を思ってやってきたことは、余計な事だったの……?

 

 

「………百舌鳥、起きたのか」

 

 

「くるみちゃ…っ」

 

くるみちゃんの声色は敵意を持っていて、私を他人として見ている様だった。……最初の日に逆戻りしたみたいで胸が苦しくなる。

 

でも、最初の日とは違って酷く苦しそうだった。

 

 

「…なぁ百舌鳥、正直に答えてくれ」

 

くるみちゃんがそう言うと、私の目の前に束になった紙を見せてきた。

 

「…これは、一体なんなんだ」

 

緊急避難マニュアル、その紙にはそう記されていた。

 

「これもわからないよ…っ」

 

…くるみちゃん……なんで、そんなに怖い顔をしてるの?…やめて、折角仲直りが出来たと思ったのに。

 

「じゃあ、これは何なんだよ」

 

 

くるみちゃんの手によって見開かれたページには私の名前と見覚えのない顔写真が貼り付けられていた。

 

「わた、し…?え、なんで…?」

 

ナニカ引っかかる。わからない。思い出そうとすると、酷く気持ちが悪くなる。こんな記憶はない。

 

「知らない、こんなの知らないっ。……でも、でもっ、なんで?……ナニを知ってるの?私、怖いっ……」

 

ぐちゃりと思考を引っ掻き回すナニカ。ナニカが何なのかもわからない。ナニカ、は誰?私?……違うっ。知らないっ!!

 

 

「…これ、どういう事だよっ。やっぱり百舌鳥がアウトブレイクを引き起こしたのかよっ!!ここに来たのはその為かよ!?」

 

 

「違うっ!!私は巡ヶ丘学園で……?………あ、れ?……思い、出せな、い……?」

 

私がここに来た時……来た時?……いつ?……で、でも、何か、やる事が。

 

 

「っ、ほら、見た事かよっ。…今まで知らないフリをして、あたしを、あたし達を騙してたんだろッ!!」

 

 

私の首元を掴んで、いきり立つ様に怒鳴る。蔑むような目で私を覗き込む。

 

やめて、そんな目で見ないで。

 

「…違うっ」

 

私は、アレとは違うっ。……アレ、ってなに?

 

 

「こうやって仲良くなれるように仕組んだんだろ!!先輩を殺したのも、計算の内なんだろッ!!」

 

 

「ち、違うっ……知らないっ……く、るみちゃ、ん……め、めぐ、ねえ……私、本当、に………っ」

 

めぐねえに助けを求めようとした。

 

「………ぁ」

 

めぐねえと目が合わない。居ないものとして扱われている様な感覚。何時もなら、目線を合わせてお話してくれるのに。

 

「ごめ、んなさい……ごめんなさい、ごめんなさいっ………めぐねえっ、くるみ、ちゃん……っ。わからない、けど、私が悪い…んだよね……?」

 

私の声が届いていないのか、それとも、聞いてくれて無いのか、めぐねえとくるみちゃんは部屋を出ていってしまった。

 

…見捨て、られた……?

 

「ごめんなさいっ、だ、だから…っ」

 

私1人だけ、取り残された。同じ部屋で眠っている人がいるのに、拭いきれない孤独感。恐ろしい程に感じる既視感。

 

 

 

「ひとりに、しないで……っ」

 

 

 

それがどうしようも無く怖かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

■□▪▫■□▫▪■□▪▫■□▫▪■□▪▫■□▫▪

 

 

「…ひぃ…っ…………ひ……っ……」

 

 

自然と溢れる涙が止まらなくなり、どうしようも無く泣く事しか出来ない。

 

アウトブレイクから今までを何度も思い出して、私がやった事を振り返っても原因がわからない。

 

マニュアルに書いてあった事も、身に覚えがない。……強烈な違和感で頭が痛い。

 

……ひとりぼっちに感じる空間。呼吸が苦しい。

 

 

「…助けて、よぅ……怖いよ、ひとりは、嫌……なの……っ」

 

 

機械音が聞こえてくる。一定周期で鳴る音に聞き覚えがある。……ナニがあるの。

 

 

「私は……本当に私…?」

 

 

見知らぬ記憶が溢れ出す。鮮明に、忠実に。今まで見てきた記憶も、よりはっきりと。

 

痛みも苦しみも気持ち悪さも、全部身に覚えがある。……誰の記憶?…私じゃない。でも、覚えている、知っている。じゃあ、誰の?

 

 

 

おまえのきおくだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「もずちゃんっ、泣かないで……大丈夫、大丈夫だよっ」

 

身体を抱きしめられた。

 

小柄な体格で、私を包んでくれている。波を打つ暖かい鼓動の音が、私を落ち着かせてくれる。……それでも、涙は溢れて止まらない。

 

 

「…私も見たよ、マニュアル。くるみちゃんが持ってきてくれたんだ」

 

「……くるみちゃんと一緒にいたりーさんがちょっとおかしくなってて、不思議だなって思ってた」

 

「…みんなで一緒に見たんだ。読んでいくうちに様子がおかしくなってた理由がわかったよ」

 

 

…今起きてる事が計画された事だなんて、信じれない。ゆきちゃんはそう呟いた。

 

心做しか手が震えている様な…?

 

 

「…ねぇ、もずちゃん。マニュアルに書かれていたこと、本当に知らないんだよね?」

 

知らないと答える。…本当だから、1人にしないでっ……私は、知らない。知らない、知らない。本当に?

 

「そっか、教えてくれてありがとう。…私は、もずちゃんの事信じる。……もずちゃんが嘘ついた事、1度も無いからね!!」

 

ゆきちゃんに頭を撫でられる。小さい子供をあやす様に優しく、優しく。

 

 

「…私の事、怖くないの?」

 

「…もずちゃんが優しいってこと知ってるもん。皆が困ってる時、もずちゃんが頑張ってたの知ってるもん。それに、たかえちゃんを助けてくれたから……」

 

 

私がトイレから連れてきた子はたかえちゃん。……たかえちゃんって言うんだ。……良かった。気付く事が出来て。…あのままだったら、たかえちゃんもかれらになっていたかも知れない。

 

 

「たかえちゃんを助けてくれてありがとうっ……私、怖かった。受け入れたくなかった。私たち以外、皆がかれらになってるかもって」

 

「でもたかえちゃんがまだ生きていてくれたから、もずちゃんが助けてくれたから、頑張ろうって思った」

 

「私たち以外にも、生きてる人はいるって。何時になるかは分からないけど、助けが来るって」

 

「…もずちゃんが、たかえちゃんを助けてくれたみたいに」

 

 

……やっぱり、間違ってなかった。皆を助けてよかった。………でも、これから先、どうしよう。…皆に疑われて、私が動けば皆を警戒させてしまう。…もう学校に居られないのかな……?それとも、ずっとこのまま……1人で…1人……………

 

 

ゆきちゃんが、はなれていく。

 

いやだ。わたしをおいていかないで。

 

「…どこにも、いかないでっ……ひとりにしないで………ゆきぃ……」

 

真っ暗だ。誰もいない。私とわたしとワタシと私わたしワタシ私わたしワタシ私わたしワタシ私わたしワタシ私わたしワタシ私わたしワタシ私わたしワタシ私わたしワタシ

 

 

 

 

 

 

 

「もずちゃん!!私はここにいるよ!!もずちゃん……!!」

 

「…っ、ゆき、ちゃん……あぁ、ゆきちゃん………!!」

 

ゆきちゃんが居る。手を握って、目を合わせて、温もりを感じる。…私に誰かは必要だけど、誰かは私を必要としていない。

 

「大丈夫、もずちゃんはここに居ていいの。皆もここに居るよ。だからもずちゃんはひとりぼっちじゃ……」

 

………私が居なかったら、きっと幸せに暮らせたんだよね。普通の学生生活が送れてたよね。こんな、大変な目に合わなくて済んだよね。

 

「もずちゃん…?」

 

だから。

 

 

「……わたしの居場所は、もう無いよ」

 

 

 

ゆきちゃんは顔をゆがめて、目に涙を貯めて、私に顔を埋めて、言う。

 

「…私がみんなを説得するよ。納得してくれなかったら、その時考えるよ」

 

「だから、お願いもずちゃん。…そんな事、言わないでっ……」

 

「あ、ごめんねゆきちゃん。…もう、私の事はいいから。ほら、めぐねえやくるみちゃんに怒られちゃうよ」

 

「もずちゃんっ!!もずちゃんっ!!」

 

……私の言葉が届いたのか、どこかへ行ってしまった様だ。……ひとりは嫌だ、嫌だ、いやだ!!

 

「ふふ、へへへ。これで良かったよね」

 

こわい、こわい、またあの時間だ。あぁ、来る、いやだ、こないで、やめて、やめてやめてやめて………

 

「もずちゃん!!しっかりして!!もずちゃんっ!!」

 

 

あのけたたましい音だ。またアレをのまされる。からだをつかまれてゆさぶられる。

 

 

 

たすけて。

 

 

 

 

「っ、どうしよう。もずちゃんが、もずちゃんが」

 

 

 

かぎなれないにおい。まどをみるとえきたいがふりそそいでいた。

 

「………あ、雨。最近降ってなかったよね。これで暫くは水に困らないよね」

 

 

 

「…あぁ、よかった」

 

 

 

 

 

私は居ない。人の輪の中に。

 

誰とも接していなかった、あの頃を思い返していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

たすけて

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 










手のひら返し多い…多くない?(天丼)
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