フェンリスが逃げた後、俺とグリムドアは家に戻ってきた。
『よう、逃げられたみたいだなぁ、これで二度目か…お前もしかして弱い?』
そして、馬鹿にしたような口調のベリタスに出迎えられた。
殴ってやろうかコイツ、戦闘にはクソほどの役にも立たないくせして。あ、実体がないから物理攻撃効かないっけ?むかつくなぁ。
「くははッ。今ものすごくイラついてんだ、舐めたこと言ってるとその存在ごとダークマタ―で叩き斬るぞ?」
『……………』
「え?なんで黙るのベリタス?もしかしてお兄さんのあの黒い剣みたいなのって、ベリタスも切れるの?」
フードを取り機械銃を机の上に置きながら何となくグリムドアが聞く。
『…………………………………』
「くははははッ!試してみようかぁ?ベリタス君~」
『いや、マジでシャレになってないから。俺の事も切れるかどうか分からないけど、神様の特典で作り出した物体の剣の形状した何かって、なんか明らかにやばそうじゃん?』
何言ってんだコイツ?
「神様の特典?」
グリムドアが不思議そうに俺を見てくる。て言うか服えぐれてるし、メッチャ血ついてんだけど。
「あ」
今気付きましたか。そうですか。
「お兄さん」
「ん?どうかした?」
しばらく自分の服の破けたところを見ていたグリムドアが唐突にこんな事を言った
「お兄さんって魔法使いだったの?」
「……………………え?」
ソウルを消費して使用するアクティブスキルは、確かこの世界では錬金学とかって名前がついてなかったか?グリムドアは知らないのか?確かグリムドアもなんかスキル持ってるよな?
『それは、錬金術を研究する学問の事だろ、まだこの時代では詳しい事が分かっていない事はおろか、使用するのに自身の「魂」を消費する事すら解明されてない。ついでに言うなら、グリムドアが使ってるのは錬金術じゃなくてその亜種だ』
ベリタスが俺が無意識に声に出していたのを聞きつけ解説する。
「解説ごくろう便利キャラ」
「…………………(泣)」
て言うか、目の前にいるグリムドアに聞こえてなくてこいつには聞こえてるってどういう事?
「れんきんじゅつ?」
この子分からない事は何でもひらがなに……。
「ああうん、あれは魔法だな(錬金術だけど)。まあ俺は使えるってだけで魔法使いじゃ無いけどね」
正直錬金術云々の話をするのは面倒だったのと、俺自身そんなに詳しく知っているわけではないのでグリムドアの言う通り、魔法という事にしておいた。
「なんだ……そうなんだ」
「うん、そうだよ。ところでその服どうすんの?」
一応、ここに来る前に立ち寄った町で、今着てるコートと同じものを作ってもらった。グリムドアに貸してもいいのだが。
「あ、着替えはあるよ。で…なんだけど…。着替えるから少し出てってくれない」
「ああ、良いぜ」
そう言って、俺は再び家の外に出る。さて、明日からどうするか。正直グリムドアとフェンリスの事は気になるが、グリムドアに教えてもらった監獄王の牢獄の場所はまだ確認できていない。もしかしたら間違っている可能性はある。まぁ無いとは思うけど。とりあえず。
「監獄王の牢獄の確認を優先するかねぇ」
などと考えていると。
「テメェも出てけぇ!」
『ちょッ…おわッ』
なんて言う声が家の中から聞こえてくる。
そういやベリタス忘れてたな。
もういい、と言うので家の中に入ると争った形跡があった。いや、グリムドアが暴れた形跡だな、この場合。どうでもいいけど。
俺はフェンリスとバトりに行く前同様ソファに寝転がった。
「え?寝るのお兄さん?」
今まで着ていたあかい服から、少し色の抜けた、デザインの同じ服を着たグリムドアが、不思議そうに聞いてきた。
いや、君も今ベッドにいるじゃん?
「そうだけど……眠くないかな、ボクは。それにお兄さんかなり寝てたんだよ?」
…………。
「ベリタス。今何時?」
『オレは時計代わりか!5時48分』
文句言いながらも教えてくれるベリタス君やさしい。
「確か、寝たのって11時か、5時間くらいしか寝れてないじゃん。10時まで寝るから」
「寝過ぎ!?」
「おやすみー」
俺が目を閉じた後も何か言っているグリムドアとベリタスを無視して、俺は明日の予定を立てながら眠りについた。
「朝だよお兄さん10時だよ」
「俺、別に妹属性嫌いじゃないけど、別にそこまで好きってわけでもないんだよね」
「何言ってんの?ほら10時だよ!起きて!」
「いや、実際目は覚めてるよ?体を起こせない理由には、お前が深くかかわってるんだよ?」
言外に俺の上から退けとグリムドアに言う。
「朝ごはん作ってよ」
無視ですか。そうですか。
て言うか、グリムドアが俺の上に乗っかった状態で目を覚ますとかデジャヴ。
ただし今回は重さを感じたんじゃなくて、のしかかられた衝撃で。
小さい子供がいる日曜日のパパ気分。
「朝飯か、何がいい?」
「ハンバーグ」
有るのか、この世界にも。
ハンバーグねぇ。バハムートンの肉で作れるかなぁ?ダークマタ―の剣できれば簡単にミンチとかはできそうだな、確かフライパンも昨日見たけど有ったでしょ。
『そんなもので切ったらまな板が一瞬で木端になるだろうが……』
「やったあ!」
まだ、作るとも言ってないんだけど?てか、あれか、お子様ランチ頼む幼児気分かグリムドアのチョイスは。
『じゃあカレーも作れば?』
「何それ?」
スパイスが無いだろうが。確かにこの世界に来てからある程度料理は鍛えた。というか、三つ目の特典は、「すべての技」なのだが、何とイザナギなどの料理スキルも含まれるのだ。だから正確には習得したという方が正しい。だからスパイスからカレーだって作れる。
「まあそんな時間かかりそうなもの作らないけどな。そうだな……タマゴあるし親子丼ぽいもの作るか」
『お前完全に昼飯のつもりだなそれ』
「いや?昼飯も後で食うよ保存食で済ますけど」
「はやく~」
分かったからそろそろ退こうね?
まあ、そんなわけで俺が朝食作ることになった。
三つ目の特典が一番反則っぽいですね。
もしできたら、手書きだけどフェンリスの絵載せようと思います。