ゆっくりと目をあけるとそこは森の中だった。
「へぇマジで「ロードラ」の世界に来たわけか」
実は、俺は現実世界で「ロードラ」をプレイしていた。お気に入りのキャラは北条まゆやヤマトだが、ここが本当に「ロードラ」世界であるならば会うこともできるのだろう。
「さて、まずはここがどこかの確認、そしていつの時代かも確認しとくべきだな」
とくに、いつの時代かは非常に重要である。
『それなら心配しなくていいぜ』
ふいに頭上から声が聞こえた。が、見上げたそこには何もいない。
いや、目線の斜め上にフワフワと漂う紫色の光球が一つ。
「よぉ、お前があいつが言ってた相棒か?」
『あいつ、つまり【魂神】アドレナクが作ったのがおれだ』
アドレナク……成程、それが俺をこの世界に送りつけたあいつの名前か。
『俺はベリタス、どっかの言葉で「真理」て意味だ』
どっかの言葉って…自分の名前じゃねえかよ。まあいいか。
「俺の名前は神無討也(かみなしとうや)とりあえずよろしくな、『ベリタス』」
「で?心配いらないって言ってたけどお前ここがどこでいつの時代かわるのか?」
とりあえず今一番知りたい情報をベリタスに聞いてみることにする。
『ここはワノクニっていう島国だ。時代はもうすぐ火の時代になろうとしてる』
なろうとしているということはまだ無の時代か。
この時代に関わってきそうな神といえば真っ先に思いつくのは【料理神】イザナギだが…。
「けど、キャラのストーリーから察するにイザナギはもともとは人間で、イザナミが料理をするところ見てあんな鳥のコックになっちまったはずだよな。ってことはイザナギは神って名前ではあるけど神とは関係ないのか…」
イザナミのストーリーに「自分が料理をする姿を決して見てはいけない」とある。そしてイザナギはある時自分の城にイザナミを招いて自分の前で料理を作れ、と言っている。ストーリーには正確にはイザナギという名が載っているわけではないが、ほぼイザナミのストーリーに登場する「男」とは、イザナギであると考えていいはずだ。
『イザナミのストーリーに登場するのがイザナギかは置いといて、その二人はもう死んでるからこの時代からは干渉のしようがないぜ?』
え?
死んでんの?………そうか。
「なら……まずはルオン大陸に向かうか」
もうすぐ火の時代だというのならば、勇者オーガスタスをはじめとしたキャラクターがいるはずだ。
『ルオン大陸か…、北西西にある大陸のことだな…』
ベリタスが何やら思案するようにつぶやく。
「なんだ?どうかしたのか?」
『いや、コイツは俺の意見だからあくまで参考程度にとらえてくれてよ?思うにルオン大陸の連中は、この火の時代においては「神」との関わりは無いんじゃねえか?』
「あ?お前「ロードラ」の知識あるわけ?」
『ああ、もちろんだぜ』
何やらベリタスが自慢げに言うのは気にしないでおくことにしよう。
「だったらよく考えてみろ?朱の葬団を屠ったのが誰なのかをな」
『?冥王アヌビスだが……ああ成程、使徒のほうから神に迫ろうってことかよ。けどよ、まだラビもアーロンもカロルも生まれてすらいないと思うぞ?』
確かに、あれは火の時代の終わりのころの話だ。
だったら………。
「咎人」の線から神への糸口を探してみるか。だとするならば話は早い。「失敗作」と後の時代に呼ばれることになるおそらく「咎人」であろう存在を探し出せばいい。ちょうどいいことにこの時代には2体もの「失敗作」がいるはずだ。
「よし、ベリタス【獣王】フェンリスと【猟王】グリムドアを探すぞ」
『了解だ』
どこにいるのかは全くわからないが、世界中を探せば間違いなくいるはずである。
とりあえず目的は決まった。俺とベリタスは、この森を抜け出すために朝を待つことにする。
こうして後に6000年もの間続く、少年の、神無討也の物語が、静かに幕を上げた。
次回はワノクニを出ます。主人公の名前ありきたりかな?まあいいや!