討也が一匹目の飛竜を堕としたことに勢いづいて、騎士たちもドラゴンの討伐を開始した。
中でも特に数多くのドラゴンを倒しているのがオーガスタスである。
さすが、「火の時代の勇者」の名は伊達ではない。
もっともそれは騎士たちの中ではの話。神無討也は、他の騎士たちが来れない空中で、飛竜を次々と撃破していた。
もちろん素手で。
討也はこの200年間旅をする中で己を鍛えてきた。もちろんそれは、高い身体能力を使いこなすというのもあるが、ダークマタ―の新しい使い方も編み出してきたのだ。
それが、足元にごく少量のダークマタ―を出現させ、その上に立つというもの。
これを使えば空中で静止することもできるのだ。まあ、それだけなのだが、空中で静止していると、格好の的になるのか、飛竜が次々と討也を狙い撃ちにしてくる。中には炎を吐いてくるのもいる。それを難なくかわし、ドラゴンに対して致死量のダメージを的確にたたきこむ。空中にいる討也に飛竜が向かう事は、同時に地上で戦う騎士たちの負担を減らす役割も担っていた。
もっとも討也は飛竜を沈めるときに一々したなど見ていないので、上空から落ちてくるドラゴンを騎士たちは一生懸命躱していた。
一応ベリタスがそこはフォローしてくれているようである。
飛竜を倒していく中で、討也は少しばかり自分の体に違和感を感じていた。
「………何だろうな……この振りまわされる感じは…」
つぶやきながらも、確認のため空中を蹴って飛竜に突撃する。そのまま拳を突き出して、狙いを定めたドラゴンの命を刈り取った。
特に何か支障が有るわけではない。が、どうも肉体の動きに意識がついていかないのである。
討也は、第一の特典のおかげで亜光速で動く事が出来る。もちろんそれに耐えるだけの身体強度に、その速度に対応できる動体視力も持っている。ヴェルトギリアムのバズーカの弾丸だって躱そうと思えば可能なのだ。
なのに体の速度に反射しきれない。
動体視力が衰えているのか、もしくは速度が亜光速以上なのかは討也にも分からないが……。
「まあ、別に良いか、全力じゃなきゃ倒せないわけじゃないしね」
そう結論し、討也は少し力を緩めて、迫りくる飛竜の大群に突っ込んだ。
「これだけの数を相手に一人で戦うとは、やはり規格外だな」
ドラゴンの首をはねながら、オーガスタスは独り言のように呟いた。
『まあ、チートだからな』
その独り言に反応したのはオーガスタスの横でフワフワと浮かんでいるベリタスだ。
「ちーと?というのは何なのか知らんが…ところで先程から空から降りてこないが大丈夫なのか?」
『ああ、体力もチートだから心配は無いぜ。あ、そこ!落ちてくるぞ!』
「ふむ、これなら「朱竜」も案外簡単に倒せるかもしれんな」
既に飛竜は討也によって半数が倒されている。そして、火山のマグマ中から巨大な赤い鱗をもつドラゴン…「朱竜」が姿を現した。