火の時代もすでに終わりに近づいたころ、神無討也は「朱の葬団」のメンバーとして活動していた。
勇者オーガスタスがいた時代からゆうに700年は過ぎている。
その間討也は、最果ての地エウレカにて修行をひたすら続けていた。その理由の一つは、ヴァルザークという使徒との戦いで、もう少し実力をつけておいたほうがいいと判断したからである。ヴァルザークが使徒の中で弱いというわけではないのだが、それでも神には届かないだろう。討也はそのヴァルザークを相手に、互角の戦いしかできなかった。最終的には武器のおかげで圧倒したが、それはあくまでダークマターで作った武器のおかげ、決して自分の力ではない。
それに、どういうわけか亜光速でまでしか一番目の特典では出せないはずなのだが、ガスタールで明らかに自分の速度に意識が振り回された感覚があった。恐らくそれは亜光速以上のスピードが出ているということで間違いない。ならばどうせ亜光速以上の速度を出して、かつ肉体に損傷がないのであれば、スピードは出せるに越したことはないと思ったのだ。
さすがに700年もの時間があったからか、スピードのほうは問題なく出せるようになった。ついでに修行中にもう一つ特典についてわかったことがある。
それが二番目の特典、ダークマターを作り出す能力なのだが、使い方に慣れてきたためか自分で性質をいじった物質を作れるようになったのである。もっともまだ作れる物質の種類には限界があるのだが。
三番目の特典については変化なし。700年もあったのでだいぶ多くのスキルや技術を習得した。
さて、討也が所属している「朱の葬団」だが、簡単に言うと各地で暴れているドラゴンを討伐するための組織である。700年もたってドラゴンの数がかなり増たというのもそうだが、ドラゴンが最近になって明らかに人間に牙をむくようになったのだ。ロードラの世界にはドラゴンの討伐を目的とした組織がいくつもできることになるが、この「朱の葬団」はおそらく討也の知る限り一番最初にできた対ドラゴンの組織である。
『で?使徒と戦ってみたいっていうのはわかるけど、わざわざ朱の葬団に入る必要あったのか?』
「冥王アヌビスのストーリーから考察すると、アヌビスは朱の葬団を倒すために出てくるはずだ。だから朱の葬団にいたほうがいち早く情報を得られるだろ?」
ベリタスと討也は、今回はただ単に暇つぶしで動いているわけではない。「神」と「使徒」は密接な関係にあるのだから、使徒にかかわれば神にもかかわれる可能性が高いのである。
ただ現れたドラゴンを倒すだけの日々。そんな毎日に討也が少し飽き始めていたころ、活動していた葬団のメンバーが襲撃を受けたという知らせが届いた。
「やっとか……くははははッいよいよ火の時代も終わりだな」
『ま、その前に使徒と派手に喧嘩しておくのもいいかもな』
「お前どうせ、戦えないだろ」
そんな会話をしながら、二人は襲撃を受けた場所に向かっていった。
アヌビスの登場は次回になかな、いやあ、まだ終わってないけど火の時代長い…