襲撃を受けたという場所はひどいありさまだった。幾重にも動かなくなった人間の体が重なり。焼き尽くされたのか、真っ黒に炭化したものもあった。
が、そんな気配には目もくれず。神無討也は自分の「王威」を外側に放つ。別に気配を探るためではない。
この気配で、相手を呼び寄せるためである。
ほどなくして、現れたのは、俺も知っている使徒のひとりだった。
知っているといっても、知り合いというわけではない。ロードラのユニットの中では割と知名度があるキャラだとは思うのだが……どうだろうね?
現れたのは冥王アヌビスである。「幽葬の槍」をその手に持った彼女は、「まだ残っている者がいましたか」と、独り言のようにつぶやいて、まっすぐ突っ込んできた。
神じゃないのは残念だけど、まあ一応神と関係があるから良しとしよう。
「さて、それじゃあ、「バベル」の場所でも聞いてみますか?」
『場所覚えるのは俺の仕事なのか?』
「当たり前だ」
そんな会話をしながら俺は、足元の自分の影からダークマターで大鎌を作り出す。さらに今回はダークマターで炎を作ってそれにまとわせた。大鎌のほうは「非伝熱」の性質を持たせた金属で作ってある。
こちらに向かってくるアヌビスを、俺も地面を蹴って跳び上がり迎え撃つ。
刃と刃がぶつかり合い、金属音を立てた。
「何者だ…人外!」
攻撃を受け止められたことを驚いたのか、もしくは、俺の「王威」から人間らしからぬものを感じたのか、神の使徒にして「冥王」アヌビスは、俺を「人外」と呼んだ。
「答えてやる義理はねえよ…人形!」
そう言いながら俺はアヌビスの槍を弾き上げると、がら空きなった胴に蹴りを叩き込む。
ドラゴンだって一撃で沈めることができる攻撃を、アヌビスは左手の盾で受け止めた。
が、そのまま弾き飛ばされていく。地面にたたきつけられることなく空中に離脱したのはさすがというべきだろう。
さらにアヌビスは空中から「ダークネスカノン」を放ってきた。
俺は影から自分をドーム状に覆う盾を作りそれをやり過ごすと、再度地面を蹴って跳び上がる。
それも亜光速に近い速度で。
とびあっがてからすぐに、空中を蹴った俺は、手にした大鎌をアヌビスの頭上から振り下ろす。
辛うじて反応したアヌビスが受け止めるが、そのまま地面へと吹っ飛ばされる。
俺が地面に降りると、ふらつきながらもアヌビスも立ち上がっていた。
叩きつけられた衝撃はかなり大きかったようだ。
「人形といいましたね」
「ああ、言ったな」
「何を知っているのですか?」
「さあ?」
「そうですか…」
『ならば無理やりにでも話してもらおう』
「!?」
俺の背後で急に気配が現れ、俺は慌てて振り返る。
そこには、赤い鎧を着て、大きな斧を持った者が立っていた。
「へぇ…………面白そうだな。お前」
彼にしては珍しく、構えをとった討也は、しかしそれでも楽しげな笑みを浮かべた。
ベリタス。空気。