水の時代
「さて、前回の神との戦いを踏まえて、俺はもう少し鍛えようかと考えている」
『まあ、いいんじゃねえの?でもよ、スキル使えば勝てたんだろ?ならそれで良くない?どうせ一対一で圧倒できる実力つけても、一対二とかになったらスキルでも使って勝つしか無いんじゃね?』
ベリタスのいう事はもっともである。火の時代の終わりに戦った神は、結局スキルを使用することであっさり倒せたのだが、あくまであれはアヌビスも手出しをしなかったらこそ一対一が成り立っていた。これから先どうなるかはわからない。
というわけで。
「だったら一対二になった時のこと考えて、二対二にできるようにしないとな」
『こっちの戦力を増やすのか。まあ、それも良いとは思うけどよ。で?誰?お前が持ってるその禁書?』
討也が持っている禁書というのは、火の時代に、禁書館に招待されたとき、討也がこっそり持ち出してきた「グリムドア」の書の事である。
が、残念なことに、自分の魂を持たない討也には召喚できなかった。
ベリタスを削って召喚してみようと思ったのだが、ベリタスは断固拒否している。
「まあ、召喚できないんじゃ仕方ないよな」
『じゃあ諦めるのか?』
「いや、お前に戦ってもらう」
『無理だっツーの』
「大丈夫だ」
『何が?』
討也とて、何も根拠もなしに大丈夫だと言っているわけではない。
「水の時代にあることをいったん整理してみたんだけどよ、そうすると、魂だけの存在が器を持った事例があるんだ」
『クトゥールだな』
クトゥール。例えて「邪悪」。ニコラという錬金学者生み出した完全な「人の魂」にして、水の時代に君臨する魔王でもある。
クトゥールは本来人間の魂であり。つまりベリタスと同じく器を持っていない。しかしながら、他者の肉体に乗り移ることができる。
『いや、言いたいことは分かったよ。お前が言うとおり、魂だけの存在が器に乗り移る方法はあるのかもしれん』
だが、とベリタスは続ける。
『オレはその方法を知らない』
もちろんそれは討也にもわかっている。というか、もしこれで知ってるとか言い出したら怒っているところだろう。
「だから、知ってそうな奴に聞いてみようじゃんか」
魂に詳しそうな相手に。
『成程……。で?誰に聞くんだ?ニコラなら何かわかるかも知れないけし、魂についても詳しそうだとは思うけど……』
果たして乗り移り方など知っているだろうか。
「まあ、聞いてみるだけ聞いてみようぜ?それに、ニコラ探し出して聞きたい事聞き出したら、そのあとにすぐやることもあるわけだし」
『?』
「神との戦いだよ。俺はそのためにこの世界にいるんじゃあねえか」
『いや、知ってるけど……』
水の時代って……神に関連する出来事なんて有ったっけ?とベリタスは考える。が、すぐに討也はその答えを出した。
「水の時代…リヴァイアとレヴィアの姉妹の母親の代に神関連の出来事があるだろうが。まあ、それは良い。まずは先にニコラを探すぞ」
そう言って地図を取り出して行き先を決めている討也を見ながら、ベリタスはさらに考えた。
『(ヴェルブラッド家と神って関わり合いなんて有ったっけ?)』
ベリタスには討也のいう事がさっぱりわからなかったのだが、ひとまず、二人はニコラを探し出すことにした。
水の時代スタート!