『討也、お前が持ってるそれなんだ?』
ニコラを探す途中で立ち寄った町でベリタスは、討也が水の時代になってから持つようになった武器を指して言った。
討也は、手に持っていた赤い柄の武器をベリタスに見せながら。
「火の時代に「朱竜」倒したじゃん?」
『ああ、そうだな』
それはベリタスも覚えている、ガスタール火山で、オーガスタスと討也は四竜の一角である「朱竜」を打倒している。
「で、その時「朱竜の焔の眼」を回収しただろ?」
『お前が勝手にな』
それもベリタスは後から聞かされたことだ。
「それは別にいだろ。で、お前「カノッサ」って知ってるか?」
『闇の時代に帝国で作られた「魔眼」を移植した槍の事だな』
「そ、これもその同類だ」
成程、つまりそれは「朱竜の焔眼」を移植した武器という事か。確かに、よく見ると目のようなものが取り付けられていた。だが、それにしても…。
『どうやって移植したんだ?』
今は水の時代。帝国が出来上がるのは光の時代の終わり。どうあがいても現在の技術では不可能である。
「そんなもん3番目の特典で技術なんてどうとでもなる。そして2番目のダークマターを作る能力で機材だって問題はない」
『ああ、そういやそうだったな』
討也はなんでもありなのだ。
「さて、試し斬りにでも行こうぜ!くははははははッ!」
『いや、ニコラを探すのはどうした?』
探し始めてから結構な日数が経過しているので飽きてきたのか?とベリタスは考えていた。
「あー。それもちゃんとするよ?まあ、ほら、さっき聞いた教会に行く道すがら出てきたドラゴン相手にでも」
なぜ教会に立ち寄るのかというと、ニコラの友人にファウストという男がいて、その妹、メリルという人物が教会でシスターをしているからである。手当たり次第に町や村を探すよりは教会を探す方が手っ取り早いとベリタスが言い出したのだ。
『成程、お前から言い出しておいてリタイアかと思った。それにしても…それ、焔眼を移植しただけで本当に効果あんn……!?』
「なんだ?」
ベリタスが途中で言葉を止めた。本来なら、討也よりもベリタスのほうが索敵範囲が広いのだが、討也も今回は気づいた。
なぜならそれが自分に向けられた敵意、攻撃的な意思の類だからである。
逆に言えば討也に向けられたそれらの気配を察知できたベリタスがどれほど索敵能力に優れているかということである。
二人が見る先にいたのは、青い魔道服、フードをかぶった杖を持った魔道士風の青年。
討也と同じくその顔には笑みが浮かべられていた。
「へえ、どこのどいつか知らないけどよ、どうやら試し斬りに付き合ってくれるらしいぜ?」
そう言いながら、「朱竜の焔眼」が取り付けられた武器を魔道士に向ける。
「朱竜の焔の眼」ということは、やはり炎が出るのだろうか。
そう考えたベリタスは慌てて討也を止めた。
『まて、それはドラゴン相手に使え!街中で火なんか使うな!』
そう言われた討也は、仕方なく武器をダークマターで作った異空間の倉庫に放り込みつつ。
「よく、火出せるって分かったな」
とつぶやいた。
名前からしてわかる。
「まあ、いいや。気分転換にはちょうどいいだろ。相手になってやるよ、どこからでもかかってきやがれ」
楽しげな笑みを浮かべ、そういいながら、討也はだらりと下ろしたままの拳に力を込めた。
さて、魔道士風の青年が誰かわかるかな?