夜になってから、討也とベリタスはようやく教会を発見した。
「森の中にあったから上空から見えなかったのか……」
『それ以前にお前が注意力散漫だからだよ』
「何言ってやがる。お前索敵能力に優れてんなら魂でもなんでも探って位置くらい特定しやがれ」
『魂の無いテメーが、ふっとんでっちゃうからその気配探るので必死だったんだよ!俺から見ればお前の気配は常にステルス掛かってるみたいなもんなんだ!それ火の時代の言ったよね!?』
「あのー」
「あ?なんだお前?自分だって800年でできる事増えた的なこと言っておきながら、その実初期から何の成長も無ぇのかよ?」
『は?何言っちゃってんの?俺だってできることの一つや二つ増えたからね!?ちゃんと成長してるよ?お前こそ火の時代から全然成長が見られないじゃん?適当な所とか人の話聞かない所とか、すぐ自分勝手に動く所とか!』
「くははははははははッ!成長も何もそれが俺ってものだろうが!」
『こいつ開き直りやがった!?』
「すみません。言い合いをするならお引き取り願いますが?」
「……………っち。ペットの分際で……」
『誰がペットだ!!………』
「まあ、いいや。どーでも。で?メリルって人ここにいる?」
「あ、はい。メリルさんはいますけど……ええと、中でしばらくお待ちいただけますか?」
そう言いながら、入り口で討也たちを出迎えた修道女は、中へと二人を招き入れる。ベリタスは魂だけの存在であるため、修道女は若干珍しいものを見るようにベリタスを観察していた。
「えっと……それで、私に用があるというのはどのような……?」
「あーうん。ファウストってお兄さんいるよね?」
「ええ、居ます」
大当たり。
『やっと見つかったか』
「あの……兄が何か?」
「実はニコラっていう人の居場所が知りたくてな、で、ファウストって人がニコラの知り合いだって聞いたから」
「あ……ニコラさんですか。それなら私も知っていますが」
「え?マジ?」
『どうする?誰に教えてもらってもいいんじゃないの?』
ベリタスの言う通り、別に討也としては誰がニコラの居場所を知っていてもいい。
「あ、じゃあもしよかったらニコラのいる場所を教えてくれない?」
「別にかまいませんが…………一体あってどうするんですか?」
「ああ、ちょっとコイツの事でな」
そういいながら討也はベリタスの方を指す。
それを見たメリルは、納得したような顔をした。
「魂だけの変わったお方のようですし……何か事情があるのですね。分かりました。今日はもう遅いので明日でもよろしいですか?」
詳しいことを説明しなくても勝手に納得してくれたのでよかった。
「ああ、構わない」
さて、明日といったが今日はどうするか……。そんなことを討也が考えていると、メリルが先ほどまで話をしていた部屋の入口で手招きをしていた。
「こちらにいくつか開いている部屋があるので、今日はこちらで泊まっていかれてはいかがですか?」
「?」
討也は首をかしげた。良いのかな?勝手に泊めたりして?それに、先ほどから修道院にいる人を何人か見たが、全員が女性である。そこに男である討也を止めるのもどうかと思ったのだが。
「今から村にもっどたのでは、村の宿もすでに閉まっていると思うのですが?」
「ああ、そうだな。じゃあそうする」
この修道院は、近くにある村から少し離れた山の中に建てられている。人の足で歩けば確かに数時間はかかるかもしれない。
もっとも討也の常識では空気を蹴って移動すれば1分もかからないのだが、あまり人間離れしたところを見せる必要もない。
ついでに言うならば、討也は習慣として睡眠をとるが本人の肉体は別に睡眠なしでも全く構わないのである。
まあ、一応今日はこの修道院に泊めてもらうことにした。
次の日、俺たちがニコラの居場所に案内してもらう直前。遣いに出ていた修道女が近くの村から血相を変えて戻ってきたことで、事態は一変する。