ロードトゥドラゴン(ロードラ)の世界に転生   作:錯也

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神、襲来

 

 ヴィーラと討也が初めて会った日から、2週間ほどが過ぎた。

 ヴィーラの傷はほぼ治ったようだ。

 姉妹との仲もさらによくなったようである。今では、毎日のように湖畔で歌を歌っていた。

 一方、その間討也は、修行をしていた。

 

 そして、いつものように、ヴィーラと姉妹が湖畔で歌を歌っているとき、それは現れた。

 

 最初に気づいたのは、ヴェルベット家の屋敷にいたベリタスである。さすがのチートな索敵能力である。ベリタスと一緒にいた討也も、すぐに湖畔に向かった。

 

 次に気づいたのはヴィーラ。湖畔全体に満ちた、冷たく重い気配に彼女は気づき、そして姉妹に湖畔の近くにある森の中に隠れているように指示する。姉妹がそれに従い、森の中に息を潜めたころ。姉妹もその圧倒的な気配に気づいた。

 

 ヴィーラが振り返ると、そこには長い白い髪を垂らした、禍々しくも、神々しくもある姿の神が、ちょうど水面に降り立ったところだった。

 その神の名は[龍神]デウス。

 統べし三神と言われる、神の中でもより高位な神である。

 デウスはヴィーラが一人であることを確認すると、ゆったりと水面を歩いて彼女に近づいていく。

 彼女を見る目は、まるで汚れたものを見るかのような冷たい目であった。

 その手に、禍々しい形状の槍が握られている。

 ヴィーラは、神無討也の言葉が真実であったことを悟った。

「お前は禁忌を犯した」

 デウスが言葉を紡ぐ。

 違う。

 ヴィーラは、そう言おうとしたが、しかしそれは声にはならない。

「人に対して情を持った」

 そう。

 彼女が姉妹とかかわり知った「人間」というものは、決して汚れた者たちなどではない。

「最早、お前は神ではない」

 そうかもしれない。

 デウスが、その禍々しい槍を自分に突き刺そうとする。

 そんな光景を見ながら、彼女は静かに目を閉じた。

 

 だが、その槍が、ヴィーラに突き刺さることはなかった。

 

「!?」

 ヴィーラに槍を突き刺そうとしていたデウスは息をのんだ。

 神である、その中でも高位である自分が、感じとれるほどの強い気配。それが、高速で、的確に、自分に向けて迫ってきていた。

「くははははははははッ!」

 そんな笑い声と共に、軽く音速を超えたそれが自分に超高速で迫る。

 デウスは、ヴィーラに突き刺そうとしていた槍で、その超高速飛来物体を迎え撃つ。

 が、ソレは、神速で繰り出した槍の一突きを、神速で弾き飛ばす。はじかれがら空きになったその胴体へ、神速で蹴りが繰り出された。デウスも、それを籠手を着けた左腕でガードする。

 ミシリ、と嫌な音、それと同時に、デウスは叩きだされたその蹴りの威力で後方に吹き飛ばされた。衝撃を最大限に叩きつけるのではなく、物体を押し出すような蹴り。

 音の正体は、今の蹴りで、籠手の一部が割れ、破損した音だった。

 もっとも、今の一撃でデウス本人にダメージは無い。

 いきなり乱入してきたその人物に、デウスは冷たい視線を向ける。

「我が邪魔をするとは……何のつもりだ?」

 水面に立つデウスに対し、その不届き者も水面に立っていた。

「別にぃ…ちょっとばかり……死んでもらおうと思っただけだ」

 そう答えた少年の右手には、赤いマチェットのような武器、中心にはドラゴンの眼とおぼしきものが取り付けられている。左手には、大ぶりのナイフが握られていた。

「神であるこの我に挑もうというか、成程。まあいい…貴様ごとき一人を片付けるのに時間はかけられん。さっさと掛かってくるがいい」

 デウスの声には、自信が満ちていた。それは、神である自分が倒されることなどありえないという自信。

 故に、討也はそれが気に入らない。

「全く……神ってのはマジで碌な奴がいないな!」

 そのちっぽけな自信ごと、てめぇの命もへし折ってやる。と、討也は水面を蹴ってデウスに高速で接近する。

 確かに早く、そして速い。だが、それでも、自分を倒すには至らない。余裕のままで、デウスは討也に槍の切っ先を向け。

「さらばだ、弱き者」

 神速で繰り出した。

 

 槍の切っ先が右肩に、ナイフの刃先が脇腹に、それぞれが目標に突き刺さった。

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