討也とデウスの実力は、ほぼ同等だった。
スピードも、パワーも、技術も。
そのことに討也もデウスも驚いていた。
討也は、まさかデウスがこれほどの強さを持っているとは思わなかった。十分チートである討也と互角の力。それはデウスがただの神ではなく、観測者―――統べし三神の一人だからこそでもある。
デウスにとっても、討也の強さは予想外だった。まさかこれほどの力を持つ「王」がいるとは、人の身で神と対等に渡り合える者がいるとは。
「統べし三神ってのは伊達じゃ無いってか!」
「[神殺王]……成程、ハッタリではないという事か!」
振り下ろされた大鎌が、打ち上げられた槍が、ぶつかり合って音を鳴らす。
両者の力は拮抗している。
故に、ぶつかり合ったその刃も、ギリギリと凄まじい力で押し合われていた。
が、力が拮抗していても、武器の強度までは拮抗していない。
ピシリとデウスの槍の刃に再びヒビが入り、一部が欠ける。
空中を蹴りデウスは後方へと跳ぼうとする、そこへ、討也の蹴りが放たれた。
後ろに下がろうとしていたところに後方へと吹っ飛ばす高威力の蹴り。
デウスは蹴りは槍の柄で防いだものの威力まで殺ぎ切ることはできずに、水面へと叩きつけられた。水中に沈む前に水面を蹴り、空中へと跳び上がる。
そこへ、空中を蹴り光速で接近した討也が、赤いマチェットの様な形状の武器で追撃を見舞う。
いつの間にか大鎌は消えていた。
デウスは、反射的に防ぐ。
刃を打ち付けあった時の衝撃で水面が揺れた。
「どういうつもりだ?」
「……何がだ?」
「何故武器えを変えた?」
二つの刃は、強度もほぼ同じであった。つまり、討也は武器を変えることによって自分だけが有利な状況を変え、実力だけの勝負に出た。そうデウスは考えた。
そして―――そんな甘い考えで倒せるほどの我ではない!
自らのアドバンテージを捨て去るなど愚かな行いだと。
が、討也は別にそんなことを考えて武器を変えたのではない。
最初からデウスとスピード、パワー、技術だけの実力勝負をする気はない。
そもそもデウスと討也では生きてきた時間が違う。その分鍛えられた技術と経験がデウスにはあるのだ。地力では討也はデウスには勝てない。
ならばデウスの持つ、技術と経験に対抗できる技を用意しなければいけない。
つまり―――デウスが持たない要素を討也が身に付けていなければならない。
そして討也にはそれがある、3番目の特典によって得た余りあるほどの「スキル」が。戦いの中で得た自分だけの技が、武器が。
「こういう事さ」
―――焔翼の炎翔(ひよくのえんしょう)
赤いマチェットから炎が噴き出す。それは討也が言った言葉通り、火竜の翼のようにも見えた。
「ッ!?」
それをブーメランのように投げつける。
弧を描きながら移動する赤い武器は、周囲に灼熱の炎をまき散らしながらデウスへと迫った。
炎を纏っていなければ、叩き落とす程度の事はデウスにとっては容易である。が、あれにそんなことをすればこちらがただでは済まない。
デウスは自分から火の中に突っ込む気などさらさらなく、仕方なしに距離を取り、それから回り込んで武器を持たない討也に攻撃を浴びせてやろうとした。
が、討也が無造作に拳を突き出す。デウスは自分から離れたそんな位置で何故そんな動作を取ったのか疑問に思った。
そしてすぐに分かる。
拳が叩きだされた空間から、衝撃波が放たれたのだ。それはマチェットがまき散らした炎を巻き込み、ドラゴンのブレスのように自分に向かって叩きつけられる。
「がああぁああッ!!」
慌てて、目や口などの部分を腕でガードしたが、やはりダメージは免れなかった。
弧を描いて戻ってきたマチェットを討也は掴む。
「なかなか効くだろ?」
くははははッ!と楽しげに笑った討也は、デウスに向けてマチェットをかざす。
ゆらりと攻撃色に染まったのは、討也の目だけではない。
赤いマチェットに取り付けられた焔眼(ひのめ)も赤く輝く。
デウスが何が来るのかと身構えた次の瞬間。
「焔眼の火玉(ひのめのかぎょく)」
討也の声と同時に、空中に紅い花が咲く。
カノッサも何か特殊な力が有ったりするのかなぁ?
ジュリエットさん関連のストーリーが出て欲しい