「で、結局こうなるわけだな……」
結果から言うとクトゥールを見つけることは出来た。探すまでもなく、向こうから来るのを待っていればいいということでベリタスと意見が一致したのだ。
クトゥールは予定通りに現れた。ヴェルブラッド家に。
が、あえて討也とベリタスはそれを静観することにした。なんせクトゥールは虹の時代にまで関わってくる重要人物である。下手に干渉して未来が予想できない物になったら笑い事では済まない。
討也とベリタスが干渉しなかったために、予定通り、今のヴェルブラッド家当主レヴィアはクトゥールと契約することになる。
その後クトゥール討伐隊が妹のリヴァイアにより結成され、そのメンバーにされそうになった討也が一人で別働隊として動くことで話をつけた。
それはよかったのだが…。
『そもそも話が通じる相手じゃなかったな』
現在の状況を眺めながらベリタスが呆れたように言う。
「つうかなんでこっちの顔見るなり襲い掛かってきたし?」
リヴァイアのクトゥール討伐隊よりも先にクトゥールと遭遇した討也は、現在進行形でクトゥールと切りあっていた。いや斬りあっていた。
「にゃははははははは!」
猫みたいな奇妙な笑い声をあげて討也に襲い掛かる悪食王は、しかしなぜか若干涙目だった。
と、言うより笑い声にももうやけくそな感じが混ざっている。
それもそうだろう。この状況を悪食王を知るものが見たらさぞかし不思議な光景に移ったはずだ。討也はクトゥールの剣を、全てカッターナイフみたいなちゃっちい刃物でペチペチと叩き返しているのだ。
名を口にすることすら畏れ多いと言われる悪食王は、神殺王によって完全に遊ばれていた。
ドラゴンをあっさりと両断するようなクトゥールの攻撃を受けて討也の持つナイフが耐えられる理由はただ一つ。そのナイフすら討也がダークマターを使って作り出したチート級の代物だからだ。
『ソレずるいだろ』
約数時間後、クトゥールは地面に大の字になって転がっていた。
「バカな……何故……数十年前より…も強大な力を……得たはず……の我が…勝てぬのだ……?」
「一回呼吸整えてからしゃべれや」
『つーかその質問何度目だよ?』
討也はダークマターで何か新しい物を作ってみようかなどと思案しつつクトゥールに前から知りたかった情報を聞いてみることにした。
「ていうかさ、魂だけのお前がどうやって他人の身体に乗り移ってんだ?」
「お前を食っていいなら教えてやる」
不貞腐れたようなでクトゥールが言う。それに対し討也はめちゃくちゃいい笑顔で。
「だから良いって言ってるだろ?いつまでたっても俺を食わないのはお前だろ?」
「うがあああぁぁ!!ムカつくうぅぅぅッ!!」
まあ、クトゥールが食おうとしても討也が軽くあしらっているだけの話だったりする。
「で?どうすんの?今日はもう終わりにすんのか?」
そう、討也はこんなことをかれこれ1週間位は続けているのだ。
「……………………………ご飯食べてくる……にゃはッ」
「いってらっしゃーい」
のそりと立ち上がったクトゥールに手を振ってやる討也。
「うああああああああぁぁぁぁぁあッ!!!目の前でバハムートン焼き出すなぁあああああッ!!!」
「涎拭けよ」
『こんなことしてるとすぐ討伐隊来るぞお前ら?』
ベリタスの声は二人には届かなかった。