目が覚めるとそこは広く、豪華な装飾が散りばめられた部屋のベットの上だった。
体を上手く動かすことが出来ない。なんだこれ。
「あうあうあ」
…は?なんか変な声が出たぞ。もしかして…
「うあ《俺》、あうあぁ《赤ちゃん》?」
うわぁ、まじかよ。
しばらくすると母親と思われる女性が部屋に入ってきた。
「どうしたの〜?恋太郎くん。抱っこかな?」
どうやら俺は不安そうな顔をしていたらしい。いけないいけない。
女性は俺を抱きかかえ揺すり始めた。そのまま歩いて部屋を出てリビングらしき部屋に着くと、これまた父親らしき男性がソファに座ってなにかの端末をいじっていた。
「恋太郎は良い子だなぁ〜。よく寝てミルクも飲むし、可愛いなぁ〜。」
「もう…あなたも可愛がるだけじゃなくてもう少し面倒を見てくださいね?」
「ごめんごめん。ほら、おいで恋太郎〜。」
……
そんなこんなで自分の名前や状況を知ることができた。
俺の名前は綿月恋太郎で、綿月家はかなりの名家であること。
簡単に言うと貴族のようなものだ。
ただ、精神年齢が20歳を過ぎているのに赤ちゃんとして生活するのは拷問と言ってもよかったと思う。それでも、俺は両親に愛されていることを身をもって体感した。
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それから数年後…
おっす!俺綿月恋太郎!15歳!今年で中学生活も終わりかぁ!
いやぁ〜ここまで長かった。
うん…本当に。実際、体が思うように動かないことがどれだけ辛いか分かった。体が動かせるようになると、防衛隊陸軍総司令官の父上に頼み込んで剣術を教わった。父上の訓練は死ぬほど辛かったけど、体を自由に動かせていることが何より楽しかった。
それから2人の妹が誕生した。
これがもう死ぬほど可愛いわ。多分目に入れても痛くない。名前は豊姫と依姫。もう犯罪的な可愛さだと思う。もうシスコンになろうかな…
なんて考えながら歩いていると
「あら恋太郎。随分機嫌が良さそうね。」
後ろから声をかけられた。普通にびっくりした。後ろから声をかけられるのは苦手なんだよなぁ。
「あぁ輝夜。なんてったって今日は修学旅行だしな!ウキウキするぜ。」
輝夜は俺の幼馴染。フルネームは蓬莱山輝夜。俺と同じく名家のお嬢様で、同じ貴族学校に通っている。
「恋太郎は本当に子供ねぇ。テンション上がりすぎよ。」
「本当は輝夜だって楽しみで夜も眠れなかった癖に。」
「なっ…そ、そんなことないわよ!!」
そう、輝夜はとにかく素直じゃない。所謂ツンデレってやつだと思う。
「もっと素直になればいいのに…輝夜は可愛いんだからその方が絶対モテるぜ?」
「う、うるさいわね!私はあんたと違って周りの人間に無駄な愛想を振りまかないのよ!」
「そう怒るなよ。せっかくの修学旅行、楽しもうぜ?」
「そうね!!」
輝夜の歩き方がめっちゃルンルンしていた。めっちゃ可愛かった。
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修学旅行1日目つつがなく終わった。
そして2日目、俺たちは都市外の森でハイキングをしていた。
周囲を防衛隊員の人たちが歩く中、俺たちは安全にハイキングを楽しんでいたはずだった。
おかしい。どうしてこうなった。さっきまで一緒に歩いていた防衛隊員の人たちはたった1体の妖怪によって地に倒れ伏し、生徒も半数は意識が無くなっていた。
そう。説明していなかったがこの世界には人を喰らう生物、つまり妖怪がいるのだ。
妖怪がフラフラとした足取りで捻れるようにこちらに振り向く。
「ッ!」
その瞬間、心臓を鷲掴みされたかのような恐怖を感じた。
俺以外の生徒も様々な反応を見せていたが、全員が等しく恐怖を味わい、動けなくなった者もいた。
この状況、できるだけ生存者を増やすには誰かが囮になるしかない。
「みんな、俺が時間を稼いでるいる間に都市に戻って助けを読んでこい!!ここから都市までの距離はそんなにないはずだ!みんな、できるな?」
「そ、そんな!あなたを1人で置いていけないわ!」
輝夜が叫んだ。
「安心しろよ輝夜、それにみんな。俺は死ぬつもりなんてないからな。」
「約束よ。絶対に死ぬんじゃないわよ!」
「おう!それじゃあまた後でな!」
俺はみんなが都市に向かって走っていったのを確認すると妖怪の方に向き直った。
「貴様1人でこのワシを食い止めようとは…随分とまぁ、度胸があるじゃないか。気に入った。ここはせいぜい遊ばせてもらおうではないか。」
「時間を稼ぐのが目的だけどよ、俺は死ぬつもりはないぜ?」
「ほう…そこまで言うのなら、せいぜいこの私を楽しませて見せよ!!」
はい、主人公がここぞとばかりに死亡フラグを建てて大ピンチです。
次回は戦闘回を予定きています。
それでは明日も、サービスサービス。