歪んだ顔、言葉ではとても形容できない怪物がいた。
その口からは、私たちが信じられない言葉が次々と放たれる。
「君たちは、過去に戻ったと思っているんだよね?」
「えぇ、そうよ。だから、彼は生きていた。その世界で私たちは彼を救えたのよ!」
言い返した彼女に向けられたのは、嘲笑だった。
「過去なわけないじゃん!バカなの?」
嘲笑、、、いや、馬鹿にされただけだった。
それもそうだろう。
現実の世界に過去に戻る手段なんてものはない。
「君たちが過去だと思っていたのはパラレルワールドさ。だから、彼は生きていた。こんな風にね」
指をならすと彼女たちの前にいくつかの画面が出てくる。
葉山グループと仲良く遊ぶ彼。
由比ヶ浜さんが消えて慌てる彼。
私のいたところを見て涙を流す彼。
この三つが彼等が二度目と言った世界なのだ。
「幸せそうだよねぇ。じゃあ次はこっちの世界だ」
また指をならすと画面が切り替わった。
目に入るのは、赤。
見えるが面すべてが赤色に染まっている。
「な、なんだこれは!!何で比企谷が死んでいる世界がこんなにも多いんだ!」
彼女たちがその色について理解することができたのは一瞬遅れてからだった。
「あれ?君いたの?ごっめーん、気付かなかったよ」
「そんなことはどうでもいい!なぜ彼が死ななきゃいけないんだ!」
「だからいったろ?代償だ、とね。」
画面の中には彼がいない。
先ほどの三つの世界以外では、彼が殺された世界しかないのだ。
そしてすべて、彼が自分で自分を殺してる。
それが代償。
間違えた彼女たちに、救いの手を差し伸べるために彼は自分の命を生け贄にした。
全ての彼の命を捧げ、彼女たちは他の世界に行くことが出来た。
彼女たちが望んだことのせいで、彼は死ぬ。
彼女たちが自殺を止めようと動いた世界線もあった。
彼、葉山隼人が少し前に見た夢はその世界線の一部だ。
少なくとも彼女たちはそんなことは望んでいないだろう。
話についてこれていない、彼女は別として。
「ち、違う、俺はこんなこと望んでなんか、、、」
「は、八幡が、、、私たちのために」
予想ができていた言葉を口にしたふたりを見下ろす。
はぁ、と一つため息をつき化け物は言葉を放つ。
「まあ、どうでもいいさ。それで君たちはどうする?あの彼を本物じゃないと言って諦める?それとも、彼と一緒に生きていく?」
化け物の問に彼女たちは、少しばかり悩む。
このまま、彼と幸せな日々を暮らす。
彼もそれを望んでいるのではないかと考えもする。
そんな資格がないだろうと自問する。
「俺は、、、」
「私は、、、」
「私は、、、」
そして彼女たちは決断する。
決断した彼女たちはもとの世界軸に戻っていく。
一つ目の世界ではなく、彼がいる三つの世界へと。
「さて、これで契約は終わりか」
誰もいなくなった白い世界で呟く。
彼の目の前には、三つの画面がある。
彼と一人、それ以外の二人は消えた世界が三つ。
そこで彼らは、楽しそうに心から笑っている。
他の、二人のことは忘れて。
「あぁ、契約は終わりだ。」
一人の男の声が白い世界に加わる。
「八幡よ、残念だったな。」
この化け物と彼ー比企谷八幡ーは契約を結んでいた。
しかし、その契約の条件を彼女たちは満たせなかった。
故に全てが終わる。
「じゃあな、八幡」
「あぁ、世話になった」
化け物は手元に三つの球体を取り出し、握りつぶした。
すると、目の前にあった三画面は初めからなかった者のように消えた。
彼女たちと共に。
「本当に残念だったね。」
化け物の声が白い部屋に響く。
その声に反応するものは誰もいない。
はい、これで完結です。
バットエンドですね。
初めて作品を完結させられました。
pixivではまだ完結できてませんが、、、。
書き終えるというのは、なかなかに難しいです。
でも、それを可能にするのは読んでくださる皆さんのお陰でもあります。
本当にありがとうございました。
では、また次の物語でお会いしましょう。
姫兎でした!