「二年F組のヒキタニという生徒が先日屋上から飛び降り自殺した。これから、体育館にて全校集会が行われる。」
はぁ、教師にも名前を間違われるなんて憐れな人ね。
それにしても、彼が死んだ?
全くあの教師は何をいっているのかしら。
彼なら昨日も普通に奉仕部に来ていたじゃないの。
全く、変なことを言わないでほしいわね。
「先生、彼は比企谷です。それに、死んだですって?ふざけた冗談はよしてくれないかしら?」
私の放った言葉によって周りのクラスメイトの視線が教師に集中した。
はぁ、嘘なんてつくからよ。
「あ、あぁ、そうだったのか。彼は比企谷という名字だったのか」
「えぇ、そうよ。それで、死んだなどとふざけた冗談は撤回してくれないかしら?」
名字の間違いはすぐに訂正するくせに、死んだという最悪な言葉だけは撤回する様子がなかった。
「いや、その、だな。彼は、昨日の放課後に屋上から飛び降りたんだ」
「はぁ、もういいわ。彼の身内に話を聞くから」
私は、携帯を取り出し彼のもとに電話を掛けようとした。
そういえば、私は小町さんとは連絡先を交換しているのに彼とはしていなかったのね。
くすり、と微笑みながら連絡先から『比企谷小町』を探し出してコールした。
そういえば、中学生なのだから携帯は持っていないわねと思い通話を切ろうとした。
がちゃり、電話をとった音がした。
「雪乃さんですか?」
少し、嫌な予感がした。
電話に出た彼女の声が少しくぐもって聞こえた。
たまに、鼻をすする音もした。
簡単に言えば、彼女は泣いていた。
私は、頭がいい。
この学校のなかでは誰よりも。
彼女の泣いている声と教師のあの発言。
あともう1つでもピースが揃ってしまったら。
「小町さん。彼は、いるかしら」
声が震えているのが自分でもはっきりとわかった。
口内がかさつく。
無理矢理唾をのみ込んで彼女の言葉を待った。
「お兄ちゃんは、昨日から帰ってきていません。」
「そう、私の担任がおかしなことを言うのよ。彼が死んだって言うの。面白くない冗談よね?」
嫌な予感は的中した。
でも、それでも、彼女の口から聞かない限りは信じたくなかった。
「雪乃さん。お兄ちゃんは、昨日、自殺したみたいなんです」
その言葉を聞いた瞬間、私の目から涙が溢れた。
「うそ、嘘よね?彼が死ぬはずなんてないわ!」
「小町だって、小町だって嘘だと思いたいよ!でも、さっき見たものは、お兄ちゃんだったんです。ずっと一緒に暮らしてきた、お兄ちゃんだったんです」
言い終わったあと、彼女はすぐに電話を切ってしまった。
電話が切れた音を聴いたあと、私は何があったのかよく覚えていない。
気がついたときには、家のなかだった。
目の前には、姉さんがいた。
仮面は割れ、涙を流しながら私の姉さんは座っていた。
その姿を見て私は、また泣き出してしまった。
どうしてこんなことになってしまったのだろうか。
どうして、私は気づけなかったのだろうか。
彼の、服のなかは様々な傷でいっぱいだったことを。
どうして、私は彼を救ってあげられなかったのだろうか。
彼は、私を助けてくれたのに。
どうして、
どうして、どうして、
どうして、どうして、どうして、どうして、どうして、どうして、どうして、どうして、どうして、どうして、どうして、どうして、どうして、どうして、どうして、どうして、どうして、どうして、どうして、どうして、どうして、どうして、どうして、どうして、どうして、どうして、どうして
どうして、私はこんなに愚かだったのだろうか。
もし、もしも。
もう一度あのとき、彼にすべてを任せてしまったあの瞬間に戻れたなら。
などと、期待をしても叶わないことはわかっていた。
私の後悔は永遠に終わることはないだろう。
この命がつきるまで、私は後悔し続ける。
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では!姫兎でしたー!