悟飯、怒りのあまりブロリー化!   作:にゃもし。

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ナメック星偏 序

 

 

 地球に襲来して来た二人のサイヤ人──ナッパとベジータはキレてブロリー化した悟飯の手によって戦意を喪失するほどの重傷を負い、地球の病院に入院するはめになった。

 

 

 二人が入院してから数日が経ったある日の深夜のこと、歩けるほどまでになんとか回復した二人は着の身着のまま、ナッパはクマさんパジャマ、ベジータはウサギさんパジャマのまま敵(特にカカロットのガキ)に気づかれないように戦闘力を極力落として病院をこそこそと脱け出し、自分たちの一人乗りの丸い小型宇宙船──アタックボールがあると思われるブリーフ博士の家までやって来た。

 

 

 そこで彼らは目的のアタックボールを見つけた。

 

 

 ……のだが、一つは整備されたであろうか、いつでも動かせるようになっている。問題はない。

 

 

 しかし、もう一つの方はおそらく研究のためだろう、部品の一つ一つまで細かく丁寧に解体されていた。どう見てもすぐには使えない。その解体されたアタックボールを見て二人は唖然とした。

 

 

「悪いなナッパ、このアタックボールは一人乗りなんだ」

 

 

 突然、指先から細い光線を連続で二つ放ってクマさんパジャマ姿のナッパの両膝を撃ち抜くベジータ。突然の出来事にナッパは避けること叶わず両膝から床につけて前のめりに倒れてしまう。

 

 

「連中に伝えておけ、ナメック星人を皆殺しにされたくなかったらカカロットのガキを連れてナメック星に来い──とな?」

 

 

 倒れ伏すナッパにそう言い放った後、「くはははは」……と哄笑を上げながらウサギさんパジャマ姿のままアタックボールに乗り込むベジータ。やがて出入口の扉が固く閉じられると、ベジータを乗せたアタックボールはふわりと宙に浮き、その後、夜空を駆け抜ける流星の如く、上空へと飛んで消えていった。

 

 

「そりゃあねえぜ! ベジータぁぁぁーっっっ!!!!」

 

 

 悲痛な声を上げるナッパ。彼の脳裏にブロリー姿の悟飯がちらつく。

 

 

「あら? この宇宙船、君のだったの? ごめんね。あとでかっちょよく改造するからそれで許してね」

 

 

 そこへ騒ぎを聞きつけてやって来たのかブリーフ博士が現れて暢気にそんなことを宣うが、当の本人はカカロットのガキがいる地球に一人取り残された絶望とその人物に一方的に痛め付けられた記憶が鮮明に蘇ったらしく両目が白目を剥いた状態に、さらに寒さに震えるみたいに全身が細かく痙攣、おまけに口から大量の泡を吹いて意識が飛んでおり、博士の話を聞けるような状態ではなかった。

 

 

 夜が明けて翌日、ベジータがナッパを置き去りにして一人で地球から逃亡したという報せを聞きつけた悟空たちがブリーフ博士のいる研究所に駆けつけてきた。

 

 

「……ただの脅しだと思うが、あのサイヤ人が本気で実行した時のことを考えて地球のドラゴンボールは使わない方がよさそうだな。地球で死んだ連中には悪いが……」

 

 

 何やら気難しそうな表情でピッコロはそう語る。ちなみに情報源は研究所内の防犯カメラからである。直接ナッパから聞こうとしたが、件の彼が未だに意識不明の状態に陥っている故。

 

 

「ナメック星にはお前たちで行ってこい。俺は死んだ連中と一緒に界王とやらの下で修行してくる。悔しいが今の俺が行ったところでフリーザどころかサイヤ人にも勝てんからな……」

 

 

 「俺は地球かナメック星のドラゴンボールでナメック星に送ってもらえばいい」ピッコロは最後にそう言い残すと悟空たちをその場に残して研究所を後にした。界王がいる界王星へ向かうために……

 

 

 そしてその数ヶ月後にナメック星へ行くための宇宙船が完成、その後一週間ほどで彼らはナメック星に降り立った。宇宙船に搭乗したのは宇宙船の操縦や修理を任せられたブルマに雑用としてサイヤ人襲来時、最後までなんとか生き延びたクリリン。もしもの時の切り札、サイヤ人の二人を一人でボコった悟飯。到着した時にはすでに全てが終わって強者と戦いために乗っている悟空──の計四人。

 

 

 目的であるナメック星に無事に到着した四人は早速ドラゴンボール探しにナメック星の各地を駆け巡る。主に悟飯、クリリンの二人だが。ちなみに悟空はブルマから「こんな秘境に私を一人にする気!?」と言われ、しぶしぶ残る。

 

 

「誇りとやらを見せるひまがなかったな?」

 

 

 ナメック星を探索していた悟飯とクリリン。そこで彼らが見たものはナメック星にある集落の一つ、そこに住んでいるナメック星人を一方的に虐殺して回っているフリーザ軍の姿であった。

 

 

「落ち着け悟飯! 今は耐えるんだ!」

 

 

 そう悟飯に言い聞かせて落ち着かせようとするクリリン。崖の上から見つからないようにこっそりと眼下を見ている彼らは今まさに最後まで生き残ったナメック星人の子供──デンデがフリーザ軍の一人、ピンク色の体に頭と腕にトゲを生やした肥満体の男──ドドリアに殺されようとしている場面を目撃する。

 

 

「やめろぉぉぉおおお───っっっ!!!!」

 

 

 そのフリーザ軍のあまりの非道さに……

 

 

 悟飯はキレてブロリーと化した。

 

 

 ブロリー化した悟飯は崖から飛び出し一直線にドドリアへ飛びかかる。

 

 

「な、なんだ!? この大男は!?」

 

 

 突然、目の前に現れたブロリー化悟飯に狼狽えるドドリアさん。とりあえず口からエネルギー弾を放って様子を見る。悟飯は避ける素振りを一切見せず悪魔のごとき笑みを浮かべてエネルギー弾と激突、轟音とともに辺りに爆煙が撒き散らされる。

 

 

「へっ、脅かしやがって」

 

 

 冷や汗を足らし頬に伝った汗を手で拭うドドリアさん。死体を確認すべく爆煙が晴れるのを待つドドリアさん。やがて爆煙が晴れてそこに現れたのはドドリアさんの攻撃を受ける前と何ら変わらない姿格好のブロリー化悟飯さんの姿があった。

 

 

「 み な ご ろ し だ ~ 」

 

「ひっ!!!?」

 

 

 両腕を高く掲げて物騒なことを宣言するブロリー化悟飯さん。ついで怯むドドリアさんの頭部側面に問答無用に回し蹴りを叩き込み、あっけなくドドリアさんの頭部が熟れた果実のように粉砕、頭部を失ったドドリアさんの体が力なく倒れる。

 

 

「ほう、素晴らしい。どうです? 私の部下になるつもりはありません?」

 

 

 一部始終を見て感嘆したフリーザさま、浮遊する卵型の乗り物に乗ったままブロリー化悟飯さんに近づく。ザーボンさんが「迂闊に近づくのは危険です!」と注意するも聞く耳持たず、ふよふよ接近。はたしてブロリー化悟飯さんの返事は?

 

 

「へぶっ!?」

 

 

 顔面へのパンチ1発。憐れフリーザさま乗り物ごとボールのようにバウンド。途中、乗り物から投げ出されて地面に頭から突っ込み、ぷるぷる震える。

 

 

「フリーザさま~~~!!!?」

 

 

 思わず声をかけるザーボンさん。そのザーボンの後頭部にクリリンの飛び蹴りが炸裂。頭から地面に突っ伏す。

 

 

「悟飯! 今のうちに逃げるぞ!!」

 

 

 ザーボンさんに蹴りを食らわせて蹴り飛ばしたクリリンは即座にデンデを確保、ブロリー化悟飯さんに逃げるよう促すが……

 

 

「こいつらはピッコロさんの仲間を痛めつけたんだぁ。もっと痛い思いをあじわわせるべきだぁ~、くはははは」

 

 

 クリリンは内心、歯噛みする。こんなことなら悟飯の母親であるチチを連れてくるべきだったと、だが同時に今ならここにいるフリーザ軍を壊滅できるんじゃなかろうかとも考えた。この間、僅か0,3秒。

 

 

「まずはドラゴンボールが先決だ! それで死んだナメック星人みんなを生き返らせることができる! その方がピッコロも喜ぶはずだ!」

 

 

 そう結論付けたクリリン。この間、僅か0,5秒。クリリン、ブロリー化悟飯さんの返事を待たずにデンデを抱えて飛翔、集落から離れる。

 

 

「くはははは、命拾いしたなぁ?」

 

 

 遅れてブロリー化悟飯さんもぶわぁっと力強く宙に浮くとクリリンの跡を追って空を飛ぶ。

 

 

 二人の闖入者がいなくなった集落にて、いち早く復活したザーボンさん。フリーザさまに恐る恐る声をかける。

 

 

「追うんですよ! ザーボンさん!」

 

 

 血走った目、憤怒の形相でザーボンさんに指示を下すフリーザさま。ザーボンさん、二つ返事で二人の跡を追って空を飛ぶ。

 

 

 かくしてナメック星の上空にて、ある意味、この世でもっとも危険な追走劇が始まった。

 

 

 追えばブロリー化悟飯が、追わねば怒り狂ったフリーザさまが……

 

 

 はたしてザーボンさんの運命や如何に……

 

 




ざわ…( ´・ω・)にゃもし。ざわ…

■前話でおしまいなのは中途半端かな? …と思いまして。

※デデン → デンデ に訂正よ。

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