シーフードミックスフライ
サバの味噌煮
肉野菜炒め
濃厚バニラアイスクリーム
特異災害対策機動部
日本政府が設けている組織である
何故か私立リディアン音楽院の地下に
建造されているのを除けばだが
俺に用意された戦場は食堂
ではなく音楽院内の学生食堂だった
どうやら俺を試すらしいな弦十郎さん
「いや~助かるよお兄さん、コックが倒れちゃってね。1日だけ頼むわ~明日からは下ね」
「あいよ♪」
10:00~調理開始
今日のメニューは日替わりで
A定食…シーフドミックスフライ
B定食…サバの味噌煮
C定食…肉野菜炒め
1200人分もの食事を毎日提供するのだから
定食のみに絞らねば間に合わない
まずはシーフードからだ
材料はアジ、タラ、イカの3種
アジとタラは鱗を取って三枚に卸す過程で
骨抜き処理も慎重に行い、酒を振っておく
イカは胴、わた、足をに解体し皮と軟骨を取る
この時に墨袋を破らないように
それらに塩コショウで味を付け小麦粉を両面にまぶし
溶き卵に通してパン粉をつけるのだが
ポイントはパン粉を付けすぎないこと
揚げる際には油を170~180℃にする
温まるまでにゆで卵を作っておき
少し冷ましてから包丁で刻み
玉葱をレンチンしてみじん切りで刻んだものと
少量の酢と適量のマヨネーズと混ぜ合わせる
タルタルソースだ
これで後はきつね色になる様に揚げるだけだ
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続いてサバの味噌煮だ
先程のように三枚に卸し、骨を取り除く
そして熱湯を両面に掛ける。これは臭み抜きだ
鍋に砂糖、酒、みりん、醤油、味噌を入れ
中火でぐつぐつ煮立たせ
サバの切り身と刻みショウガを入れる
時々煮汁をかけながら、とろりとするまで煮る
これは少し濃いめにする
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続いて肉野菜炒めだ
豚細切れ、人参、キャベツ、もやし、ピーマンを使う
人参は皮を剥いて短冊切り、キャベツは一口くらい
ピーマンは種を抜いて1cm幅に切る
豚肉は蜂蜜で下味をつけて置いたものに
薄力粉をまぶしておく
中火で熱したフライパンに油を引いて
豚肉を炒め塩コショウを少量振ってさっと焼いて
ボウルに避けておく
人参、キャベツ、ピーマン、もやしを強火で炒め
にんにく醤油を加え、肉を投入して完成だ
一応、塩分控えめで、かつ旨い物を目指した
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「よっしゃ終わったぜ」
「聞いては居たけどすごいわね…1200人分よ?」
「おかわりするかもしれんし、余分に拵えたのと冷凍庫にはデザートを用意したぜ」
「嘘でしょ!?」
たった二時間で1200人+αの下拵えをこなした上
アイスクリームまで作っておく手際の良さ
他の人から見れば、残像が見える程の速さなのだから
無理もないだろう
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バニラアイスの作り方
牛乳を鍋で弱火にかけ、沸騰させない様に上白糖を溶かす
卵黄をボウルに溶いて、先程の牛乳を少しずつ混ぜ
こしザルを使ってこしながら鍋へ戻し
中火で木べらを使って
とろみがつくまで混ぜながら5分ほど煮たものを
氷水を張ったボウルで冷やす
違うボウルで生クリームを6分に立て、混ぜ合わせる
最後にバニラエッセンスを
適量くわえてバットに移し冷凍庫で30分寝かせる
一旦取り出してスプーンでかき混ぜ
1時間冷やせば完成だ
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12:00~昼休み
ガヤガヤガヤ
「え…このフライうまっ!?」
「サバ味噌…至高」
「この学校に来て良かったぁぁぁぁ!」
side 風鳴翼
叔父様から今日は食堂で食事をしろと言われたので
奏と一緒に食堂へやって来た
「なぁ翼、今日一段と混んでねぇ?」
「うん…叔父様が今日はこちらでと進めるから」
へぇ?いつもは2種類しかない定食が3つね
シーフードミックスフライ
サバの味噌煮
肉野菜炒め
「あたしはシーフードにするぜ」
「なら、私は野菜炒めを」
奏のミックスフライは
3種のフライとキャベツの千切りに味噌汁とご飯
そしてなにかの食券
私の野菜炒めは
肉入り野菜炒めだが何処か、ふわりと食欲をそそる
味噌汁とご飯が付いているな
それにこの食券は…!?
バニラアイスだと!!?
「おい!今日の定食凄くねぇか?」
「凄いなんてものではない、叔父様…なにかしたな」
箸で肉と野菜を口にし、咀嚼する
瞬間、口内を肉の旨味と野菜の甘味が調和され
食欲が増す…これはニンニクか!旨い!!
「翼、これ食ってみろ!で、野菜炒めくれ」
「えぇ、構わないわよ」
これはタルタルソースか
白身魚のフライだ
カラリと揚がりサクサクとした衣
タルタルソースの酸味と合わさり、絶妙な美味しさ
私と奏はペロリと平らげてしまった
極めつけは、デザートのアイスだ
食券を受付で渡すと、席まで持ってきてくれるらしい
「はいよ!濃厚バニラアイスだよ」
若い男性がテーブルまで持ってきてくれた
作り手の装束を身に纏っている
いつもの女性ではない
この学舎は教師からスタッフまで女性が多いのだが
「あの!」
「ん?なにか?」
男性が立ち止まり、こちらを向くと
短く刈られた短髪にスラリと高い身長
顔は平凡だが芯があり、がっしりとした体格だ
「フライ旨かったよ。いつも食堂では食べないけど、びっくりしたんだ」
「わ、私も…野菜炒め、美味しかった」
「ありがとうございます!今日だけの臨時なんだけど、喜んで貰えて良かったです。ごゆっくり」
この料理が食せるなら
毎日でも通うというのに
奏の嬉しそうな笑顔を見ながら
私もアイスを口に運ぶのだった
ところで私、甘いもの禁止されてなかったかな?
side out
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~17:00 食堂業務終了
「お疲れ様でした!」
「いや~素晴らしい手際でしたわ。じゃあ、後はあちらの男性に付いていっとくれ」
ペコリとお辞儀するスーツ姿の男性