家庭でも作れる醤油ラーメン
スタミナ丼
スーツ姿で眼鏡を掛けた
男性が俺に頭を下げた
「先程の手際お見事でした。私は緒川と申します。特異災害対策機動部二課のエージェントをしております」
「へぇ、弦十郎さんの部下?俺は藤井正晃(フジイマサアキ)です。宜しくお願いします」
「私も食させて頂きましたが、鯖をあれ程美味しく頂いたのは久しぶりでした」
「って事は親父の鯖味噌食べた事ありますね?」
親父の作る鯖味噌は何故か旨い
俺の鯖味噌は親父の直伝だが
まだその域には到達出来ていない
やがて、一番奥のエレベーターに着くと
「藤井大将さんの食堂には、司令や同僚と何度かお邪魔していますよ。あ、こちらのエレベーターにお乗り下さい」
「あ、はい」
カードキーを通すと動きだし
地下へエレベーターで降る
相当広い空間が広がっているようだ
扉が開くと弦十郎さんが待っていてくれた
「やぁ!文句無しの腕だな。見させて貰ったぞ…ようこそ、特異災害対策機動部二課へ!」
「ありがとうございます。院の下にこんな施設があるとは」
周囲を見渡していると女性が歩いてきた
「貴方が正晃君?私は櫻井 了子。ここの防衛システムの管理などをしているわ…ちなみに研究者でもあるのよ」
櫻井さんの容姿は紫色の瞳で、アップにまとめたマルーン色のロングヘアーと白衣を身に纏い、眼鏡を掛けている
「彼女は2課の頭脳でな。あちらにいるのは藤尭(ふじたか)君と友里(ともさと)君だ!」
弦十郎さんが紹介すると二人が席を立ち
頭を下げてくれた
「宜しくお願いします。ところで俺の仕事って」
「それについては説明しようと思っていた。君には昼間リディアンの食堂の厨房で働きながら、夜は此方でコックを勤めて貰いたい。そしてゆくゆくは、我々で君の店を用意する予定だ」
なるほどリディアンと2課の両方ね
うん、やりがいのある仕事だ
俺の力がどこまで通じるか
「分かりました。やり遂げて見せますよ」
「うむ。ところで…何から作って貰えるか?モニタリングしていたら腹が空いてなぁ。はっはっは」
「そうねぇ…出来る?正晃君」
「勿論。急なんで有る物で作りますが」
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冷蔵庫の中を見ると
挽肉、豚細切れ、煮豚、キャベツ、白菜、人参、玉葱、もやし、にら
調味料は特殊な物以外、一通り揃っている
ラーメンでも作るか
ラーメンはインスタントか専門店で食べるのが
普通と思うかもしれないが
実は家庭でも美味しいラーメンは作れる
ラーメンの基本はスープである
日本人は麺が好きで、余程不味くなければ
食べきれてしまう。しかし、具とスープは残してしまう
俺の中でラーメンとは
スープまで飲み干してこそと
常々考えている
作り方としては簡単だ
鍋に湯を沸かしておく
キャベツ、白菜、もやし、にらを食べやすい大きさに切る
玉葱は微塵切り、人参は扇状に切り3分ほどレンチンする
湯が沸いたらコンソメと鶏ガラスープの元を混ぜる
豚肉は、筋切りを行いすりおろし玉葱に漬けておく
次はタレだが
醤油に生姜を漬けこんだ物に
マグロ節で取っただしとチャーシューの煮汁を入れて
寝かせた物を使う
熱した中華鍋にラードを溶かし
挽肉と野菜を炒めていく
本来なら火の通りずらい物から炒めるが
今回はレンジで加熱短縮している
調味料としては
にんにく、スキムミルク、オイスターソース
野菜ジュース、チリパウダー、焼肉のたれ
大根おろしだれ、豆板醤を鍋に投入する
鍋から野菜を一旦、ボウルにこしながら取る
その際に、野菜から出たエキスは鍋に残しておく
鶏ガラとコンソメの合わせスープを
鍋に入れて馴染ませる
これでスープは完成だ
後は麺をゆでて、タレをどんぶりに入れて
スープと合わせ、野菜と煮豚を盛り付ければ
醤油ラーメンは完成だ
続いて、すりおろした玉葱に漬けておいた豚細切れを
フライパンで先程の野菜と一緒に炒める
味が付いているので炒めるだけ
仕上げに卵黄と青ネギを散らし
少々にんにくダレを掛けてやると
スタミナ丼の完成だ
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「ラーメン?いや、インスタント買い置きはなかった筈」
「いや、俺が買ってあった。生ラーメンだ」
「生姜の良い香りですね」
「うむ…辛抱堪らん。食わせて貰おう!」
ズズーッ
ズゾゾッ
「旨ぁっ!?」
「見た目に反してしっかりした味だわ!」
「スッキリとした旨味と野菜の甘味…美味しいわね」
「しかし、こんな短時間でこれだけの物を作るとは…」
ドンッ
「弦十郎さんには足らんでしょう。親父には負けますが、スタミナ丼です」
「むうっ!?分かっているなぁ正晃君!」
ラーメンを置くとスタミナ丼に
手を付ける弦十郎さん
「野菜はしんなりしているが、旨味は濃縮している。更にガーリックソースが良いアクセントだ!旨いぞォ!!」
「ずるいわ!私も食べたいわよ!!」
「材料はまだあるんで作りますよ」
結局、材料がなくなるまで
皆はおかわりを食べ続け
俺の1日は終わった