S.O.N.G.専属料理人   作:北ノ覇王

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今回の料理

餃子
炒飯
杏仁豆腐





俺は2課の厨房近くの部屋を宛がわれた

必要な荷物は明日、緒川さんと車で取りに行く

 

どうしてそうなったかというと

ラーメンとスタミナ丼を作り続けて

深夜を回ってしまったからだ

 

そして今は訓練施設を使わせて貰っている

日課のトレーニングを忘れていたからだ

柔道特有の柔軟体操から始まり

各種技の確認から打ち込みまでだ

 

「ふぅ…後は打ち込みかな」

「腹ごなしに組手をしないか?正晃」

 

弦十郎さんが赤いカッターシャツから

ピンクのネクタイを外して袖を捲りながら歩いてきた

あのガタイからして強いのは分かる

 

「相手になるか分かりませんが、お願いします」

「よし!先手は譲ろう。掛かってこい!」

 

俺は幼い頃から格闘技に興味があり

空手、剣道、柔道、拳法の段を取るまでになっていた

高校で取れる2段まではだが実力はそれ以上だ

 

「胸をお借りします!コォォォ…せいッ!!」

 

空手の息吹きからの最速の左正拳突きを

弦十郎さんに向かって放つが

片手で払い除けられたが想定済みさ

本命の返し刃の右正拳を打つ

 

「ほぉ…なかなか良い拳だ」

「まだだッ!」

 

前蹴り、まわし蹴り、逆まわし蹴り、正拳、フックなど

回転するように矢継ぎ早に技を繰り出していく

速さも重さもどんどん強くなっていく

 

「これは…ぬりゃあ!」

「そいつを待っていた!」

 

弦十郎さんの拳に拳を合わせる

回転により練り上げた内功を放出する

 

【波動拳】

 

「ぬうっ…!?」

「はぁぁぁぁ!!」

 

発剄で弦十郎さんの拳を体ごと後退させ

一気に踏み込み、腕と脇の間に腕一本をねじ込み

背中を厚い胸板につけ、重心を下げバランスを崩し

一気に跳ね上げ、地面に思い切り叩き付ける

 

荒れ狂う竜巻に巻き込まれ、吹き飛ばされ

地面に勢い良く叩き付けられるが如く

柔道の技、背負い投げを改良した

竜巻一本背負いだ

 

弦十郎さんを叩き付け、手を離した

 

「見事…だが、詰めが甘いぞ!」

 

弦十郎さんの下から突き上げるアッパー

腹にまともに食らい、俺の体が宙を舞う

 

両腕を十字にして受けた為

思ったよりもダメージは少ない

着地した後、互いに蹴りを放って

手合わせが終わった

 

━━━━━━━━━

「うむ。空手、柔道に加えて拳法か。やはり男は」

 

「飯食って、映画見て、寝るでしょ?」

 

「おぉ、まさか君もか?」

 

「ブルース・リーは漢のバイブルですよ」

 

ガシッと硬く握手を交わし

 

「「Don't think, feel.」」

 

燃えよドラゴンの名台詞を言う

10代の男と30代後半の男が握手をし

互いを認め合うのを生暖かい目で

櫻井了子が見つめていた

 

「いいわねぇ~写真撮っておこ」

 

━━━━━━━━━━

 

翌日

 

リディアンの食堂に出勤すると

おばちゃんが声を掛けてきた

 

「あら♪あなたが来てくれたら助かるわ~」

「今日から正式にお世話になります」

 

話を聞くにおばちゃんも2課の協力者らしい

リディアンの地下にあるのだから規制はしてるよな

 

今日の日替わりは2つ

前回は試験も兼ねた特別だったらしい

 

A定食…餃子 炒飯 中華スープ 春雨サラダ 杏仁豆腐

 

B定食…ご飯 ホッケ 味噌汁 胡麻豆腐 あんみつ

 

さて、掛かるとするか

白い鉢巻きを締めて

厨房に立った

 

俺の担当は餃子、炒飯、杏仁豆腐だ

 

まず餡を作る

 

1キャベツ 白菜 ニラ ねぎを細かく刻み

全体に塩を振りかけ混ぜる

水分が出てしんなりするまで放置

 

2鶏ガラスープの元 濃口醤油 みりん 料理酒 おろし生姜 オイスターソース 胡麻油を混ぜておく

 

豚挽肉を塩胡椒と2を加えて、混ぜ合わせる

野菜の水気をしっかり絞り、挽肉と混ぜる

 

皮に包んで胡麻油を塗ったフライパンに並べる

火を着け、強火で焼き色をつけたら

水を調節しながら投入し、蓋をして中火で5分焼く

水がなくなりカラッとなれば完成

 

 

続いて炒飯だ

 

炒飯は中華において基本であり

才能を測る料理とされている

炒飯を旨く作れぬ者は大成することはない

 

今回は炒飯は黄金炒飯(半熟卵とネギの炒飯)を作る

 

熱した中華鍋に油を熱し、溶いた卵をいれて

手早くかき混ぜる。スピードが命だ

卵が半熟になったら米を投入し素早く混ぜる

(この時に使う米は炊きたてか若干冷やした米が良い)

 

ネギのみじん切りを入れて塩胡椒で味を整える

醤油はあくまで香り付け。ここで酒を入れて

パラッとしたら完成

 

最後に杏仁豆腐を作る

 

一般的に杏仁豆腐(あんにんどうふ)という人が多いだろう

しかし、正確には杏仁豆腐(きょうにんどうふ)だ

 

作り方としては

 

ゼラチンを水でふやかし

牛乳、砂糖、杏仁霜を鍋に入れて混ぜる

完全に溶けたら中火でかき混ぜながら

沸騰寸前まで温める(80度くらい)

火を止めてゼラチンを入れて溶かす

ダマにならないように木ベラでしっかりと

完全に溶けたら粗熱をとり、冷蔵庫で冷やすだけ

最後に生クリームとチェリーを乗せて完成

 

━━━━━━━━━━━

 

side 天羽奏

 

昨日の定食の味が忘れられなくて

用事で居ない翼には悪いけど食堂に来てみた

今日はいつも通りの2つだ

 

腹は普通に減っていたので

A定食の中華にしてみた

 

「いたって普通の餃子と炒飯にスープと春雨サラダね…どれどれ。このタレに付けるのかな…ん、あふっ!!?」

 

ひとくちで濃厚な肉汁が溢れだし

野菜の甘味と若干の塩味が心地よい

更に餃子のタレは市販の物では出せない旨さだ

餃子を食べつつ、炒飯を口に運ぶ

 

「ん…美味し♪にんにくが入ってない理由が分かるね。餃子の味を生かす為に、敢えてシンプルにしてあるんだ」

 

春雨サラダは酸味、中華スープで調和がとれてる

一応、あたしも女の子だ。口臭が気になる

 

「この餃子、にんにく入ってないね」

「本格的ねぇ。いくらでも食べれるわ」

「しかもこの杏仁豆腐…泣けるわ」

 

その言葉を聞いたあたしは

思わず餃子にかぶりついた

数分もかからずに完食したあたしは

白くぷるぷるした杏仁豆腐に

スプーンを挿れた

 

「あたしチェリーって好きなんだよな♪普通はクコの実乗ってるけど…あれ苦手だからなぁ。生クリームとチェリーは非常に助かる」

 

なんだか1人でブツブツ言ってる

怪しい奴に見られそうだな

自重しよう

 

生クリームと杏仁豆腐をすくって口にいれる

咀嚼するまでもなく、ほろりほろりと崩れる

自然な甘さと濃厚な生クリームのハーモニー

今のあたしなら絶唱にも耐えられるかも

 

ごちそうさま

 

カウンターに食器を下げに行くと

昨日の若いお兄さんが忙しそうに動いていた

あぁ、やっぱりな

するとお兄さんがこちらに歩いてきた

 

「今日はあの青い髪の子は居ないんだ」

 

「あぁ。翼は家の事情で学校に来てないんだ…あとで会うんだけどね」

 

するとお兄さんはあたしに

小さめのタッパーを渡してきた

「こないだ美味しそうにしてたから。これはお土産!渡してやって」

 

「あ、ありがとう」

 

 

放課後、シンフォギア起動実験で

あたしはガングニールのペンダントを握り

 

【Croitzal ronzell Gungnir zizzl】

 

聖詠を口ずさむ

いつもならLiNKERを使わなくては

シンフォギアを纏えないあたしが

なんのしがらみもなく成功したんだ

しかも、短時間しか稼働できなかったのだが

その日、1時間以上を記録した

 

「奏~良かったね…良かったね…グスッ」

「あぁ…はいはい。なんで翼が泣くのさ」

 

泣き止んだ翼にお兄さんから貰った

杏仁豆腐を渡すと目に見えて喜んでいた

あたしは昼は必ず学食と決めた

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