S.O.N.G.専属料理人   作:北ノ覇王

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思った以上に指が動きまして、近々稀に見ぬ災害や異常気象が増えましたね。夏は暑いもの、と言いますが、年配の方々こそお身体を大事にして欲しい。知らず知らずの内に、体は限界に…なんてことがないように、周りの方々が気にしてあげましょう。良い事はまわり回って、帰って来るものですから(諸説あり)

今回は、炊き出しのお話。メニューは【シチュー】です。




ガングニールの槍の破片で重傷を負った女の子は立花響さんと言うらしい。現在、緊急手術のおかげで一命は取り留めたとの事だ

 

絶唱と言われるシンフォギアの奥義を使った奏ちゃんだが、適応率が翼ちゃん並に上がっていた為、気を失う程度で済んだが、以前の奏ちゃんなら死んでいてもおかしくはなかったらしい

 

「正晃、そのな…お前を巻き込んでしまった事、すまなかった!!」

 

弦十郎さんが深々と頭を下げてきたが、そんな事はどうでも良い。彼女達の努力を無駄にしない為にも、今の俺が出来るのはこれしかねぇ!!

 

「弦十郎さん、今すぐ屋台とキッチンカーの人員と近隣の店から食材を招集してください!炊き出しをやるんです!!」

 

「ッ!わかった!1課にも協力を要請しよう。」

______

 

食材が届くまでは売れ残った商品に手を加える

 

まず、暖めた蜂蜜でベビーカステラを軽く浸して、上から粉砂糖をまぶす。普通なら甘過ぎるが、避難や怪我をしてパニック状態からの解放で疲労しているから、甘さは心を落ち着かせる効果がある。更に暖めた牛乳に砂糖を混ぜてと。

 

「よし!なるべく沢山の人に配ってくれ。お年寄りや子供に優先でな。」

 

「正晃さん。食材届きました!」

 

「よし。こういう時はあったかいものだ!!」

 

じゃがいも、にんじん、たまねぎ、牛乳、鶏肉、各種調味料が揃っている。

 

「俺が作りながら指示を出す!着いて来い!!」

 

まず、皮を剥いたじゃがいもを4等分にし、たまねぎをくし切りに、にんじんは乱切りにしておく。人数が居ると下ごしらえが速い。

 

鶏肉を1口くらいの大きさに切り、塩コショウで下味をつけ焼き色をつけて取り出す。

 

バターと油を寸胴鍋に入れ、中火で熱してたまねぎをサッと炒め、じゃがいもを加えて炒め合わせる。にんじんを入れて油が全体に回るように炒める。

 

一旦火を止めて、薄力粉を振るい入れ全体を混ぜ合わせたら中火で炒め、牛乳、水、コンソメ、ローリエを加える。

 

火加減に注意しながら、15~20分ほど野菜に火が通るまで煮立たせる。底が焦げ付かないようにかきまわしながらとろみがつくまで。

 

鶏肉を戻し入れて、塩コショウを加え5分程度煮る。最後に白ワイン、バター、コンソメを入れて味を整える。

 

 

「さあ、出来たぜ。あったかいシチューだ!!みんなこいつを食べてってくれよ!!」

 

料理人である俺にはこんなことしか出来ねぇ…けれど生きる為には食わなきゃならない。腹が満たされりゃ、明日への活力が出てくるってもんだ。

 

ノイズはいわば災害だ、誰かを恨んだり、責任を押し付けた所で失った人々は帰って来ないんだ。

 

「あ…あぁ…あったけぇ…」

「うまい…うまいよ…母さん…くっ」

「これ食ったら…心が落ち着く」

 

後にインタビューに答えた誰かが言った。

 

皆がうまいと呟きながら食べ、涙を流す。絶望したとしても、生きてさえいれば希望は来るのだと、会場に来ていた生き残った観客達はシチューを噛み締め、生きて行こうと思ったという。

 

その場にいた全員に振る舞われたシチューは素朴でありながら、何処か懐かしい気持ちになる美味さだったらしい

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