蒼閃の軌跡   作:衝動エンジョイ勢

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投稿した分を読み返した時文字数が物足りなく感じたので、今話からちょっと増えるかもです。
6/24 誤字修正致しました。内容に一切変更ございません。


リンク/眼

 駆ける。

 一度引き返しては行き止まりを探し回り、確かめる。満足すれば先へ進む。先に進んで分かれ道があればしっかりとそれぞれ行き止まりにたどり着くまで走る。その途中で最初に別れた白髪の女の子とすれ違う。驚いたような顔でこっちを見ていた。彼女今奥から来なかったか?あの小さい身体でもこんなに早く踏破できるのか…

 

 

 粗方調べ終わったジェイルは日頃利用しているマッピング用の手帳に書き込んでいた。旅を始めた時から続けていることだ、今となっては癖になっている。書き終えてようやく歩き始めたその時ARCUSがひとりでに光を帯びた。

「これはさっきのリィンの時と同じ…?」

 戦闘音が頭に響き始める。

 

 

 

 

 

 ─────旧校舎地下 広間───────

 

 広間に集結した、ジェイルを除く九人はイグルートガルムと言われる暗黒時代の産物と対峙していた。

 

「くっ…ジェイルはいつ来るんだ!?」

 

「ふっ…彼なら、やぁっさっき…すれ違ったよ。せいっ」

 

「本当か、フィー!それなら…皆!ジェイルがここに到達した時驚かせてやるんだ!こんなやつ俺達で倒してやる!」

 

『応ッ!』

 

 リィンの激励によって皆の士気が上がる。彼の求心力が皆を繋げ、それぞれが取る行動を直ぐに理解し連携を図る。ガーゴイルの攻撃を避け隙のない連撃をぶつけ、少しずつ弱らせていく。

 

「フィー!」

「分かってる。クリアランス。えい」

 

「マキアス!」

「あぁ!今なんだな!?」

 

 多人数戦、しかも近接使いがいる中でフレンドリーファイアの可能性が高い乱射系や散弾銃を二人が放ちそれを察知したラウラ、ユーシス、ガイウスは即座に離れる。次の行動を繋がりにより理解したユーシスは剣からアーツに切り替え、エリオットが攻撃アーツを止め離脱に合わせてティアで前衛を回復。それまでアーツとアイテムによる補助寄りの立ち回りをしていたアリサも、前衛の交代とエマのARCUSのエネルギー補充に合わせて弓で足止めを行う。

 その場で行われている連携、戦闘はベテランまでは行かなくとも2、3年共に歩んできたものと見紛うほどだった。お互いの声かけもわずかとしながらお互いの一挙手一投足を理解し、彼らが今出せる最高のパフォーマンスを発揮していた。

 銃撃により体制を崩したガーゴイルにリィンとラウラが一気に詰寄り、フィーと合流した。最後の詰めに取り掛かる。

 

「フィー、ラウラ!決めるぞ!」

「うん、脚だよね?しっ!」

 

 フィーが持ち前の小柄さを活かしガーゴイルの足元に潜り込む。

 

「──…今ッ、紅葉斬りッ!行け、ラウラ!」

「ぉぉぉおお!奥義・洸刃乱舞ッ!」

 

 それに合わせたリィンがガーゴイルの体制を崩し、ラウラが必殺の一撃(Sクラフト)を叩き込んだ。イグルートガルムの頭を切り落とし沈黙させる。ガーゴイルの身体は青銅に戻っていった。

 

「…終わったか…」

「………やったぁ!!!」

「ふぅ…こんなものがただの学校の地下にあるなんてな。さすがは帝国だ」

「いやガイウス、はぁ…はぁ…帝国にこんなのが沢山あるなんて…思わないで欲しいな…ふぅ…」

「…………フン……」

「もー無理!早く寮に戻ってシャワー浴びたいわ…はぁ…」

「本当にそうですね…それに、こんなに短時間で疲れたのは初めてです…明日は筋肉痛かも…ですねぇ…」

「同感。今日はもう帰って寝たいな」

「ふう…世の中にはまだまだこんなに不思議なものがいるのだな…私も精進せねば…!」

 

────パチパチパチパチ…────

 各々がその日一番の大物を倒し達成感に浸っていた時、見計らっていたかのようにちょうど階段の先から教官が降りてきながら拍手をしていた。

 

「お見事!その連携は君たちが渡されたラインフォルトとエプスタインが共同開発した戦術オーブメント、ARCUSによるものが大きいでしょうね。あなた達はARCUSに搭載されたリンクシステムの可能性を最大限引き出してくれた。お姉さん驚いちゃった♪────え?」

 

 演技臭いリアクションを取っていた教官が突如間の抜けた声を上げた。目の前で佇んでいた、青銅色に戻ったガーゴイルが胴体のみで色を取り戻し動き始めたためだ。エマがそんなはずは無い、首は落としたのにどうして、とうわ言のように呟いていた。なんとか立ち上がろうとする生徒たちを教官が止めた。

 

「大丈夫よ、お姉さんに任せなさい!あなた達がこんなに頑張ったんだもの。私だってちょっといいとこ見せないとね!」

 

かなり変わった、いかつい形のブレードと導力銃を取り出した教官に、ただ一人座り込んだまま光るARCUSを握っていたリィンが声をかける。

「─────いや、その必要はなさそうです」

次の瞬間ガーゴイルは砕け散った。

 

 ───────────────────────

 

 ARCUSの光が皆の声を届けてくれる。皆が最奥で頑張っているようだ。なぜかは分からないがリィンと連携した時と同様に皆の動きが頭に流れ込んでくる。青髪の少女が敵の首を落としたのが見える。緩やかにARCUSの光は収まっていき、伝わってきていた戦闘の緊張感もなりを潜める。

 マッピングのおかげでかなり早く着けたなと思いながら走るのを止めゆったりと歩く。たどり着き、扉が開いた瞬間目に入ったのは首なしの敵を前にして、腰が抜けている風でもなくただ純粋に動く必要がないからと言わんばかりに座り込んだリィンだった。他のもの達は力を振り絞って立ち上がろうとしているように見える。

 ────ジェイル、任せた────

 声が聞こえ、気づけばガントレットで敵を殴り飛ばしていた。

 馬鹿かこいつ(リィン)は。あの距離で再起動した敵を目の前に、座り込んだまま今日初めて会ったやつに全幅の信頼を置くアホがどこにいるというのか。

 

「遅くなってすみません。ジェイル・アーライト、到着致しました」

 

 力任せに拳を振り抜き着地、二、三歩足踏みし勢いを殺す。他のみんなの顔が驚きに染っていてなんだか小気味いい。リィンと目が合う。こんなにも自然に笑い合っている相手が今日初対面だなんて不思議な気分だ。

 これがⅦ組…あのリュート弾き皇子、全く説明してくれなかったじゃないか。心に火が灯る。身を焦がす程の熱、それほどの期待が全身を駆け巡っている。

 

 

 

 

「ふぅ…仕切り直して。このⅦ組は特別なクラスよ。参加は強制しない。参加しなかった場合は元の予定通りのクラスに入ってもらうことになる。まだ初日なんだし馴染むのにそう苦労はしないでしょうね。」

 彼女は続ける。ジェイルは見ていないが、先程のおちゃらけた空気とは一転した真面目な雰囲気に少し息が詰まる。

「─────君たちはARCUSの適性があったがために選ばれた。戦場で互いに連携し生き残るために最善を尽くせるこの機能…本学院はその可能性に意義を見い出し、若い世代に協力してもらうことにした。それこそ最初に言った通り、一切の身分に関わらずね。…これから自分が歩む道なんだもの。親にだって、もちろん私たち教官にだって決められない。あなた達自身が決めるのよ、これからどうしたいか」

 

「ちょっとジェイル!聞いてるの?見た目に依らず不良なのかしら!?全く…あなたが最後よ。君がARCUSの適正とは別に特別な事情でこのクラスに来たのは、一応、話に聞いてるわ。だけど私はあなたの意思を尊重する。あなたが離脱する場合は私も何とか上に掛け合うわ。──どうするの?」

 

「─────ハハ、まさか!こんな所を自ら離れる?あるわけないだろうそんなこと。ジェイル・アーライト、参加させてもらいますよ。当然ですとも!」

 

 笑顔で教官に返事をし笑い返す。

 眼鏡の赤いフレームの外でひしめくどす黒い線と点を視界に入れないようにするかの如く、ただひたすらに正面を向いていた。

 

 

 

──────────────────────

 オリエンテーリングが終わり、Ⅶ組は第三学生寮というⅦ組に当てられた専用の学生寮を利用することになった。本来ならジェイルも二階の男子フロアを利用する予定だったが、リフォームが間に合わなかったせいか床の一部は軋み、水道も未整備。この状態で机やベッドを運び込めば床抜けの心配もあり、念の為リフォームが完了するまで喫茶店キルシェの一部屋を学院が借り、それを貸与する形を取ろうとしていたらしい。

 しかし第三学生寮に着き説明を受けたジェイルは階段の裏にあったスペースの奥、物置部屋を見つける。サラにこの部屋でいい、むしろこの部屋が良いと強く主張したため、ジェイルの部屋はその他Ⅶ組メンバーとしては不本意ながら一階のフロアより若干降りた場所の物置部屋に決まったのだった。

 物置部屋とは言っても随分綺麗だったな。前の利用者が退去した際に片付けたままだったのだろうな…物置に洗面台があったのは不思議だが。しかも水もしっかり綺麗なものが流れている。どうして男子フロアの一角のあそこがああなるまで放置されていたのかは謎だ…。前の住民に俺と同じ部屋の趣味をした人がいたのかと思うと少しくすぐったい。

 俺の性格なら本当に最悪の場合入らない可能性もあっただろうに…あの殿下にはⅦ組に入ることは決定事項だったのだろうか。手紙がとっくのとうに届いてるっていうのはなんとも微妙な気分になる。果たしてあの殿下が焚き付けたのか他の方たちもグルだったのか…。

 バルフレイム宮から一通、アストライアから一通……は?宛先すら書いてない、直接投函?殿下!?あのバカホント何やってんだ…今度ミュラーさんに言うしかないぞ。…これなら若しかすると直接見てたのかもしれないな。返信を書くのは…明日にしようかな。今日はもう疲れた。洗面台に行き顔を洗う。

 

「───────────ぁ」

 

 迂闊だった。そうか、ここは鏡があったんだったな。辺り一面に線が走る。ちらほらと点が浮き出る。───それは当然、鏡に映る俺自身の姿にも。頭に鋭い刺すような/鈍い殴りつけるような痛みが生まれる。

 この鏡に映る線は鏡の線なのだろうか、俺の線なのか。分からない/分かっている。───俺の輪郭を境にして線と点が濃くなる───違う、これは鏡が脆いだけだ/違わない、これは俺の─────────────

 

 

 

 

 

 

 

身体が冷たい

 

 

苦しそうな声

 

 

冷ややかな言葉

 

 

飛ぶ怒号

 

 

飛び交う銃声

 

 

身体が弾けた

 

 

 

 

─────────────────────

 

「ベッド、せっかく置いたんだけどな」

 

いつも通りの朝だ。




この次は一章ではなく幕間一話挟む予定です。
設定を小出ししていくスタイル
殿下達とのつながりは一話の冒頭の数時間後に出来ました。この時の話は二章辺りの幕間で書きたいと思ってます
旅を始めたのは殿下の勧めと自分の決心両方によるものです。眼の扱いは今後出てくる人と違ってクソザコナメクジです。旅をしている間、貰った眼鏡に頼りっきり。緊急時に使うくらいなので何をどうすれば何が起こるのかを把握してるくらいだと思ってください。
旅で使用していた武器はプレートの着いた手甲と小さいナイフです。
今の装備は手を守る手甲と違い、殴るための籠手となっています。イメージはGEのリンドウさん。

現在だいたい6000字半ばになるようにしていますが皆さんはどれくらいが好みですか?

  • もうちょい少なめ(3000~5000)
  • 今くらい(5000~7000)
  • もうちょい多め(7000~9000)
  • 一章三話ペースで進めろ(9000~)
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