ヱヴァンゲリヲン RE:LIVE   作:フィアネン

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なかなか難産でした


RE20:特別な日(前)

2015年10月14日、水曜日。その日は波乱の一日だった。

 

例によって5時に起きてみんなの弁当を作ってやるんだが…昨日の一件で、一番デカいフライパンが使い物にならない。控えめに言って最悪だ。

 

 

(バタバタバタバタ!!!!!)

『キャアアアアアアアアアア!?!?!?みみみミサト、風呂場になんかトリが…!!』

『え?アスカお前、ペンペンを見たことなかっんん!?!?!?』

俺はその光景に真っ青になって慌てて目を逸らすが、アスカも数秒後に察したようだ。その格好のまま俺に足蹴をしてくるんだが、その時に反射的にフライパンで防御してしまった。ゴン!という鈍い音が響く。

 

『エッチ!変態!信じられない!!』

『アスカが勝手に飛び出てきたんだろ!!ざけんな!』

 

カーテンが勢いよく閉じられる音がするまで、とりあえずそっぽ向きっぱにしといた。フライパンを改めて見ると、足蹴りされたトコがちょうどへこんでいる。あーあ、ひっどいへこみ方。こりゃ買い換えかなァ。板金できないし。

てかこれ、人間がやっちゃいかんでしょ。

 

別に一人増えるのは問題ない。でも、「仲良くする」のにゃまだまだ時間が足りてねぇな、間違いなく。無惨な姿になったフライパンを戻し、小さめのプレートで料理を作っていく。

その他下着の洗濯やら試験の順位やら色々ぶーぶー文句言ってくるし、頭痛がしてくるよ…。どっちかっつーと母親の苦労がよく伝わってくる…。

まぁでもミサトさんは今日は休暇みたいだし、それだけが救いかな。6時ちょい過ぎくらいに、本来の当番が起きてくる。

 

「あれ?おはよう。今日は僕の当番じゃなかったっけ?」

「おはよう。ま、これを見てくれよ…。」

 

俺は例のブツを見せる。それを見たシンジは納得してくれたようだ。

 

「あ、ああ…昨日の騒音って、それが原因なの…。」

「今朝のはそのお詫びだ。夕食とフライパンは頼むよ…。俺は午後からレイと実験行かにゃならんからね。」

「え?僕らには召集来てないよ?」

「俺らはなんか名指しで呼ばれた。よくわからねぇんだけど、すっぽかすのはナシだからな。」

 

(ち、ちょっとファースト!?何でバ影嶋の部屋から…!?)

(いつも一緒…。)

(は、はァ!?)「ちょっとバ影嶋!どーゆうことよ!?まっさかアンタ、もうファーストと先まで」

「お前らはそんな話題しか出せねぇのかよ!?俺は絶対に手を出さないからな!?」

 

「おはよう…エイジ君…。(ふぁあ~)」

「おはよう、レイ…。」

「大丈夫?」

「あんまり大丈夫じゃない…。」

 

段々、頭痛が現実のモノになってきたよ…。ジーザス…。

 

通学路。

なんかレイが恋人繋ぎを無言で要求してきたから、とりあえず手を差し出しておいた。んでも握り返さないことに不満だったのか、むくれた顔でこちらを見てくる。あーわかったよ、んな顔しないでくれ…。

軽く握り返してやると、レイは満足した様子で俺の左腕にくっついてくる。ほんと、表情豊かになったよなァ、レイ。

 

「ねえ、エイジ君。何か欲しいもの、ない?」

「欲しいもの?うーん………特にな…あっそーだ、フライパン買わねぇとだわ。」

「そうじゃなくて、エイジ君自身が欲しいモノ。何かないの?」

「えぇ、んな唐突に言われてもなァ…んー、あ、あれ…?」

「どうしたの?」

「いや、なんか目がね…ドライアイかなァ。」

「目薬、持ってないの?」

「あんま習慣が無かったからね。んでも買わないとかなぁ。」

 

実験の帰りにでも買おうか。遅くならなきゃいいけど。

 

「おーおー、今朝もお熱いのぉ、綾波とエイジは。」

「ん?トウジとケンスケか。久しぶり。」

「おはよ、エイジ。にしてもさ、何で惣流まで一緒にいるワケ?」

「新しい同居人だ…ゲロだよ…。

 

「「ええ!?!?」」

 

「んな、どういうイミよそれ!!」

「アスカほら、落ち着いて…。」

「ちょっと、気安く触んないでくれない!?」

 

「エイジお前、ほんま罪人やなぁ…。」

「美女3人に囲まれての生活…ああ、やっぱり羨ましい!!ズルいぞ、エイジにシンジ!」

 

「そう思えるのは一緒に暮らしてないから言えることだぜマジで…。」

 

(なあっ!?ってバカシンジ、いつまで腕掴んでんのよ!)

 

パシン!!

 

(いった!ちょっとアスカ!?)

 

多分、うちの女性陣で一番マトモなのはレイだけだ。贔屓抜きでもね…。

 

「そうなの?」

「レイに対してんな事思うわけないだろ?ちょ、その顔は反則だ…。」

 

頼む、そんな悲しそうな顔しないでくれよ…。

教室に居ても、他の男子クラスメート数名からなんか妙に刺のある視線が来てたし、また誤解されそうだ、こりゃ。

 

 

 

-碇シンジ-

 

あの状況で僕がぶたれるのって、どう考えてもとばっちりだよなぁ…。

不平を感じながら席について宿題の確認をしてると、カヲル君からの挨拶がくる。

 

「おはよう。(にゃーん)久しぶりかな?シンジ君。」

「おはよう、カヲル君。…って、え?猫?」

 

カヲル君の腕には、抱き抱えられている三毛猫が居心地良さそうにしている。小ささから見て、まだ子猫のようだ。

 

「登校してたらついてきちゃって。無理矢理追い払うわけにもいかないしね。」

「そ、そうなんだ…。」

「でもどうしよう。家じゃあ猫は飼えないし、かといってそのまま放っておくのも…。」

「えっ?ま、まあ、家にもペンギンがいるから飼えなくはないと思うけど…。」

「本当?それじゃあ、今日の帰りに君の家に寄っていってもいいかい?」

「え?まあ…別に、いいよ?」

「ありがとう、シンジ君。」

 

何だろう、この、屈託の無い笑顔って言えばいいのかな…。そんな表情をしてる。……それでも、どうしてこんなに僕に接近してくるんだろ?ちょっと、近すぎる気もするけど…。

ん?メッセージ?

 

[んでも問題はペンペンとの相性だけどね。ケンカしなきゃいいけど。E]

 

え!?Eって、もしかしなくても…!

 

「どうしたんだい?シンジ君。」

「エイジ君、聞いてたの?」

 

彼は席を立って、こっちの歩いてくる。

 

「まあ、あんくらいの声量だったら聞こえるよ。にしても猫かァ。俺も昔、実家で飼ってたな…。やっぱりこういうケモノは癒しだよ癒し。」

 

そう言ってエイジ君は、カヲル君が抱えている子猫の顔を両手でわしゃわしゃ触る。子猫の方も満更でもない感じで、されるがままにいじられている。少し触ったら、エイジ君は戻っていった。

 

「ありがと、渚君。久々に猫を摂取できてよかったよ。」

 

「猫を…」「摂取?」

 

「なんか彼、不思議な言い回しをするね。」

「そ、そうだね、カヲル君…。」

 

 

-影嶋エイジ-

 

昼になり、俺らは弁当を食ってから登庁してる。昼の電車、それもNERV関係者専用列車なもんだから、人は誰も乗っちゃない。このだだっ広い空間を、完全に俺らが独占している。

そうなると、レイの遠慮が無くなるのもいつも通りで…。

 

「ねえエイジ君…お願い、して。」

「え?してって…何をよ。」

 

唐突にレイが顔をこっちに突き出してきたもんだから何をどうして欲しいのか全くわかったもんじゃない。

 

「今朝、子猫にしてたの。いいでしょ?」

「え?あ、アレをか?」

「ダメ?」

「…わかったよ。」

 

なんか、完全にシラフの時にこーゆうことをするのって、やっぱ抵抗があるなァ。

恐る恐るレイの両頬に手を添える。互いが触れたとき、二人とも同時にビクッってなってた。毛皮があるわけじゃないから、親指で頬をムニムニしてやる。レイの頬、柔らかい…

 

「どうしたの?顔、赤いわ。珍しいわね。」

「えっ、そ、そんなこと…」

「こういう嘘、つけないのね。」

「意地悪いなぁ…。」

 

 

 

-惣流・アスカ・ラングレー-

 

「ちょっとバカシンジ、どーゆうことよ?なぁんでアイツが家に来るの?」

「いいだろ?それくらいさ。アスカに迷惑かけるワケじゃないんだから。」

 

「僕が来るのは迷惑だったかい?」

「そんなことはないよ、カヲル君。」

 

「何なの、バ影嶋といい、バカシンジといい…」

 

それにこの渚カヲルとかゆーヤツ、なんか不気味なのよねぇ。妙に色白ってのもそうだけど、いっつも首や手首に包帯巻いてるし。 それにあの赤い目…ファーストを見てるようでヤな感じ。

 

「ただいま。」

「ただいまー。」

「お邪魔します。」

 

「お帰りー。あら、お友達?どうぞ入ってちょうだい。」

 

帰ると、まだあのバカップルは帰ってきてなかった。何の連絡もないとか、余程遅いのかしら。いつも神経質なくらい連絡寄越してくるのにさ。

 

「あれ?ミサト、あのバカ二人は?」

 

「エイちゃんとレイなら、終わる目処が立たないから先に夕飯食べてていいよって連絡来たわ。」

 

「あっそ。ありがとミサト。」

 

そっこーで部屋に戻って、制服から着替える。…そいや、バ影嶋の部屋って何があるのかしら。こないだ部屋の中見られたし、あたしも仕返ししていいよねェ?

 

「勝手に入らせてもらうわよ~。」

 

つっても、当然返事は来ない。やっぱ日本人って、警戒心がないわねェ。自分の部屋に鍵もかけないなんて…。

中を見ると、思ったより何もなかった。ベッドに机と椅子、電子ピアノがあるだけ。机が少し大きいくらいで、特段何か面白いものがあるわけでもない。参考書だって高校のもの…こんな本あったかしら?机に広がってる一冊を勝手に手にとって中身を読んでみる。…これ、本来2、3倍は厚みがある内容のモノよね?こんな本があるのねぇ。それでも、やってることは微積の基本。やっぱ大したことじゃないわね。それで、この漫画は…え?少女マンガ?アイツ、こんな趣味があったの?読んでやって、アイツが帰ってきたらバカにしてやろ。

 

一冊手にとって読んでみる。

 

 

……………。ん?これ……

 

 

……………………………。

 

 

お…お…面白~い!こ、これ、絵だけは古い少女系だけど、中身は完全に学園ギャグね!!もうさいっこう!!勝手に持っていかせてもらうわ、全巻ね!

あ、そういえばこれ…やっていいかもしれないわね。仮に失敗しても、あの渚ってやつを追い返せるいい口実にもなるし。さあて、決まったなら早速行動するわよ。

 

「二人とも、もう子猫とペンペンは会わせた?」

 

「まだだよ?」

「どうしたのアスカ。なんかおかしくない?」

 

「うっさいわね!それより、これから二匹のお見合いするわよ!ミサトー!ペンペン引っ張り出してー!シンジ、お盆借りるわよ!」

 

(え?いいわよ?)

 

「お盆?何に使うのさ?」

 

 

-綾波レイ-

 

16時になって、実験は一段落ついた。初号機とのシンクロ実験は久しぶり。それだからか、なかなか上手くいかない。

初号機の中に居るとき、碇君の匂いを感じた。それと、微かにエイジ君の匂い。それを感じるだけで、安心する…。

 

「俺は一回家に戻るけど、レイはどうする?」

「私は少しお買い物するから、いい。」

「はいよ。カード渡しとく?」

「いい、平気。」

「わかった。んじゃ、また後で。」

「ええ。」

 

私は中央一度着替えてから、中央のデパートへと向かった。エイジ君、最近きちんと休めていないのかもしれないわ。特に、眼に負担がかかってるのが外からもわかるもの。

 

「贈り物」…。こんな時にこそ、喜んでくれると読んだことがある。豪華なものでなくてもいいと読んだ。

 

大切なものは、「自分の気持ち」だって。

 

言葉だけでなく、何か、見える形で何かしてあげたい。ずっと、何かを貰ってばかりだったから。

 

 

 

 

-惣流・アスカ・ラングレー-

 

「はい見合って見合って…」

「何なのこれ…。」

「君の家って、面白い人が住んでるんだね。」

「多分それは誤解だよ…。」

 

子猫とペンペンを対面させて、お盆で仕切りを作る。あのマンガじゃあニワトリを使ってたけど、こっちでも険悪なムードになって、さっさと帰ってもらわなきゃね。

 

「はっけよい、のこった!」

 

その掛け声と共に、お盆を上に上げる。さあ、どーなることやら…?

最初は互いにキョトンとしていたけど、子猫はペンペンに恐れずに近づいて、喉を鳴らしてる。ペンペンの方も特に警戒する様子もなく、仲良くしているよう。なんか違う気もするけど、まあ、いいんじゃないかしら。

 

「よかったね。それじゃあこの子をよろしく、シンジ君。」

「わかった。」

「何よ、キッカケを作ったのはあたしよ?もー、恩を感じるとか、そーゆうのはないのかしら?」

 

「それならアスカがその子の面倒見てやりなよ。どーせ家に居ても暇してるだけだろ?」

 

「「うわぁ!?」」

 

「な、バ影嶋、帰ってたの!?」

「お、おかえり…。あれ、綾波はどうしたの?」

「影嶋君か。お邪魔してるよ。」

 

「お、よー渚君。ゆっくりしてってな。俺はちっと着替え取りに来ただけ。そしたらまた本部行きだよ。」

 

「ふーん、ごくろーさまですこと。」

「なにやってるの?」

 

「レイを初号機とシンクロさせる実験。互換性実験なら他のメンツも来ていいと思うけど、不思議だよね。そんじゃ。」

 

「あれ?シンジ君、彼って家だと髪はまとめているのかい?」

「いや、料理と仕事の時だけ。今はあんまり余裕がないのかも。」

「アイツの余裕がない、ねぇ…。」

 

普段からそんな素振りを見せないから、そういう状態になってるのが全然想像できない。

にしても、あたしがこの子の面倒を…。丁度足元に近づいてきたから、抱き上げてみつめあう。

 

「ねえ渚、この子ってどこで会ったの?」

「通学路の少し外れたところ。一人で寂しそうにしていたんだよ。」

「ふーん…。あたしと一緒なんだ。

「え?」

 

「…いいわ、あたしが面倒みてあげる。」

「いいの?僕がやろうか―」

「あたしがやるって言ったらやるの!」

 

子猫は喉を鳴らしてる。カワイイかも。

 

「なーアスカ、俺の漫画読んでもいいけどさ、全部持ってく事ァないだろ?汚すなよー?」

「わかってるわよ!ったく、せっかくいい感じだったのに…。」

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