ヱヴァンゲリヲン RE:LIVE   作:フィアネン

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色々書いてたら3パート構成のはずが4パートになりそうです


RE23:文化祭(その2)

-惣流・アスカ・ラングレー-

 

なんかバ影嶋もバカ波も大変ねぇ、二人だけ待機が解除されないなんて。結局、ミサトだけはどうにか帰って来て夕食は三人で食べたけど。その時もだいぶ静かだった。あいつらが居ないだけでこんなに静かになるもんかしら。

夕食も終わり、自分の部屋でバ影嶋から(勝手に)借りてきた漫画の3週目をしてる。なんか最近はペンペンまで読んでるのよね、動物だからシンパシーがあるのかしら。それにしてもネズミの卵って言葉、ほんっと面白~い。

そんなこんなでベッドで丸くなってるリーベと一緒にくつろいでると、何かの楽器の音がしてくる。廊下に出てみると、シンジの部屋からってのがわかった。

 

「シンジ、何やってるの?」

 

「うわぁ!?な、何だアスカか。びっくりさせないでよ。」

 

「アンタが勝手に驚いたんじゃない。にしても、これってチェロよね?こんな特技があったなんて意外。」

「小さい頃からやってたんだよ。それに今度デュエットしようってエイジ君から誘われたから少し触っておこうって思ってさ。」

 

「え?バ影嶋も楽器できるの?」

「エイジ君、ピアノ上手だよ。普段はあんまり弾かないんだけどね。というか、人前でやるのを避けてるのかも。」

「へぇー、あのピアノ、普段誰が弾いてるのかと思ったら。…っていうか、これじゃ私だけハブにされてるじゃん!許せないわ、私も何かするわよ!」

「え?どういうこと?」

 

「あんたバカぁ?ほんっと鈍感ね!バ影嶋が何かやるっていうことは、ぜぇったいにバカ波も何かやるに決まってるわ!アイツらいっつもベタベタだもん!」

「ああ、言われてみれば確かに…。」

「でしょ!?明日の放課後、本部行くわよ!アンタらばっかりにいい顔させないわ!」

 

 

 

 

-碇シンジ-

 

アスカ、昨日からずっと変に燃え続けてる。何をする気なんだろう?何かヤな予感がしてならない。とりあえず昼までは大事になってはないけど…。

 

「どうしたんだい?シンジ君。最近、元気少ないね?」

「なんかさ、最近は色々あって。」

「確かに、昨日も学校を飛び出していってたしね。仕事、大変そうだね。」

「仕事だけじゃなくて、普段の生活もね…。カヲル君はそういうことで困ったりしないの?」

「僕は一人暮らしだからね、人間関係で困ったことはないよ。でも、そんな賑やかな生活も少しは憧れるかな。」

「カヲル君もそういうこと、思うんだ。」

「まあね。」

 

「シンジ、ちっと付き合ってくれんか?カヲルも一緒に来てくれ。」

 

「何だい?鈴原君。」

「僕らに用事って…。」

 

「まま、ええからええから。」

 

 

 

-影嶋エイジ-

 

「思ったより、難しい。指が動かない…。」

「もっと肩の力抜こうか。力んでると上手く鍵盤押し込めないよ?」

 

昼休みはラウンジのピアノで、レイの練習に付き合ってる。彼女曰く「一緒に弾きたい」とのことだったから、俺の知ってる好きな連弾の曲をやりたい。

レイがちゃんと小学校に通って、少しでも鍵ハに触れていればまだマシだったのだが、まぁ生い立ちを考えれば仕方がないか。

レイがたどたどしく1オクターブを弾いていると、青葉さんから声をかけられる。

 

「やあ、二人とも。昨日の夜ここのピアノ弾いてた人がいたってのは君らのことだったのか。」

「私らってより、エイ君です。」

「へぇー、エイジ君ってピアノ弾けたんだ。…おお、手も大きい。ねぇ、ギターなんかもいけたりするの?」

「ギターは一度だけ触りましたけど、コード押さえる指が絡まってダメでしたね。て事は青葉さんはギター弾けるんです?」

「俺の唯一の趣味でね。エレキ弾けるんだよ。」

 

「何だか、そっちの方が意外。」

「まぁ、あんまり人前で弾いたことがないからね。こんな積極的に話したのも久々だよ。」

「…確かに、俺に似てますね。」

「ねえ、エイジ君はコンクールとかに出場しないのかい?」

「俺はそういう評価は嫌いなんで。それに練習不足だから何とも言えませんね。」

「え、練習不足?あれで?」

「これに関しちゃ後で話すよ。飯食おう、腹へったわ。」

 

 

 

 

-碇シンジ-

 

「「よろしくお願いします!」」

 

「あの…私が、ですか?」

 

「頼んます!」

「その美貌を見込んで!」

 

「だって、私より綺麗な人はいっぱいいるのに…。」

 

「そんなことはないよ、山岸さん。」

「うん。嫌なら、無理にとは言わないから。」

 

「恥ずかしいですけど、私でいいなら…。」

 

「じゃあ、いいんだね?」

「ええ。」

「よっしゃあ!」

 

 

僕らは音楽室に戻り、山岸さんの歌を聴く。綺麗な声だ。トウジなんかは目を輝かせてる。山岸さんは最後に一礼して、歌い終えた。

 

「あ、あの…」

 

「完璧や!」

「凄い逸材じゃないか!」

「僕も、これほどとは思わなかったよ。」

「うん。とても綺麗。」

 

「照れ臭いですね、人前で歌うのって。」

 

「よーし、ボーカルは決まったし、他の役割分担しようや。ワイはギター、ケンスケはドラム、んでシンジとカヲルは…」

 

「あ、ごめん。僕はエイジ君とやることがあってさ、参加できそうにないや。」

「それなら、僕がキーボードをやるよ。僕もピアノは弾けるしね。」

 

「よし、決定や!ささ、練習するで~!」

 

「みんな、頑張ってね。それじゃあ僕はこれで。」

 

音楽室を出ると、目の前にめっちゃ怖い笑顔をしたアスカが仁王立ちしてた。

 

「わっ!?あ、アスカ、どうしたのさ?」

「あんたね~、いい加減にしなさいよ!?」

「え!?何のことさ!?」

「とぼけるのも大概にしなさいよね!あの地球防衛バンドってのに参加して、山岸とかいう地味女のお気に入りになろうってつもりなんでしょ!」

「な、どうしてそうなるのさ!?僕はあれを断ってきたってのに!」

 

「おいおい、こんな所で夫婦喧嘩すんなや。」

「そうだよ、これから練習するってのにさ。」

 

「「だからそんなんじゃない!!」」

 

 

 

 

-影嶋エイジ-

 

俺らは遅めの昼メシを摂ってる。最初がこんなんでもセンスはあるから、毎日きちんとやってりゃ普通に上手くなるだろね。

 

「ねえエイ君、どうしたらエイ君みたいな綺麗な音を出せるようになるの?」

 

「そら基礎をしっかり学んで、それを確実に表現できるように練習する。そうしてから曲に触れてけばできるようになるよ。」

 

「それじゃあ、どうしたらエイ君みたいな音を表現できるようになるの?」

 

「あー、それは…多分、レイは音楽を『聞いて』はいるんだけど『聴いて』はないんじゃないかな。これらにはちゃんと使い分けがあるんだよ。

『聴く』ってのはただ音楽を耳に入れるだけじゃない。音楽を体で、心で、魂で感じる。それらで音楽の性格、感情、思いを受けとる。そういう、音楽に集中することを『聴く』って言うんだよ。」

 

「むむむ、難しい…。音楽って、思ってたより難しいのね。」

 

「そんな難しいもんじゃないよ。多分レイは、まだ知らないことが多くあるだけ。これからいろんなことを知っていけば、感性ってのは育っていくもんだよ。」

 

「そうなの?」

 

「そう。音楽ってのはただ音を出すだけのモンじゃないからね。」

 

これってアレだな、言語化がめちゃくちゃ難しい。理詰めでどうこうって話でも無いし、理解してくれるのはしばらくしないとできないかなぁ。それに、俺らは一応セカンドインパクト後の世代だ。こないだ歌ったEternalWindだって、アレから雪の情景がパッと浮かんでくれるのかな。今の日本はだいぶ雪と疎遠な国だし。

 

 

17時くらい、俺にとっちゃ願ってもない事が起こった。その時はレイとピアノの練習にをしてたんだが、アスカが唐突に怒鳴り込んできた。

 

「バ影嶋!どういうことよ!?」

「相変わらずの全く言葉が足りてない文句やめろ。何だっていうんだ?」

「文化祭よ!あたしだけハブにしようったってそうはいかないわよ!」

「よし、それなら歌ってくれ!今、丁度そういう曲持っててさ!」

「え…え?」

 

 

 

-惣流・アスカ・ラングレー-

 

全くの予想外の返答に、あたしは困惑するしかなかった。バ影嶋の異常な早さの理解はともかく、もう曲があるってどういうことよ?そんな困惑する様子も気にせずに影嶋は早口で捲し立てる。

 

「多分知らない曲だとは思うけど、俺も一応歌えはするからさ。よし、これなら全員と何かしらできるな!」

「ま、待ってよ。それ本気で言ってんの?」

「はァ?当たり前だろ。やってくれんだよな?」

「ええ、まぁ…。」

「何だ、アスカらしくねぇ。それじゃ、これからのスケジュール立てるか。俺らもとりあえず待機任務は終わりらしいから、家に帰れるのが17時くらいとすると…」

 

何なの、コイツ…。今まで見たことないくらい異常に積極的になってるし。影嶋がシンジと色々話してる中、バカ波はピアノの前で寂しそうに座ってる。

 

「どうしたのよバカ波。アイツが居るってのにそんな顔して。」

「やめてよそれ。…エイ君との時間が減っちゃうって思って。」

「アンタねぇ…!ここ数日、一日中ベッタリだったでしょ!!!!」

「い、痛い痛い!頭グリグリしないで!」

 

バ影嶋って、こーゆう時は周りが見えなくなるのかしらね。ユニゾンの時はもそうだったし、普段がアレな分の反動?シンジよりかは鈍感じゃないってのが救いかしら。

 

「エイ君~アスカが頭グリグリしてくる~。」

「ええ?アスカー、程々にしろよー?」

 

「『よしよし』じゃないわよ、またそーやって甘やかして!バ影嶋もいい加減自覚しなさいよ!!」

 

 

 

 

-影嶋エイジ-

 

土曜日。俺は渚君に呼ばれたからとりあえず普段通り教室に向かった。着いたのはだいたい9時くらいだったかな。案の定レイもついてきたけど。

 

「おはよ!」

「おはよう。来たぞ、渚…君…?」

 

教室の机が全部寄せられ、広い空間が作られている。そんな中にポツンと椅子と机が1セット。そんでもって入り口側の端には渚君が何やら色々道具を出してるし、校庭側じゃあ洞木さんを筆頭に女子数名がが何やら色々服を持ってきてる。やっべぇ、ガチのやつじゃん。

 

「じ、じゃあ俺はこれで…な!?」

「逃げちゃダメ。」

 

レイに羽交い締めされる。グルだったか…。

 

「やられた…。」

「そんな身構えなくても大丈夫だよ、影嶋君。すぐ終わるからさ。」

 

 

「いーなー、地毛で茶髪なんてさー。」

「ねー、影嶋くんって家じゃどんな髪型してるの?」

「エイ君は料理してる時はポニテにしてて、それ以外はいつも通り。」

「え、料理までできるの!?凄ーい!」

「んなん一般常識だよ。大したことはやっちゃない。」

「それでも、やろうと思わないとなかなかできないものだよ。さ、口は閉じておいてね。」

 

結局俺は、されるがままに頭部をいじられ続けてる。目を閉じてるから何がどうなってるのかは何もわからない。顔の方には何かしらを当てられてる感触が続いてるし、髪の方は持ち上げられたり、縛ってる感覚もある。その間にも他愛もない話が続くが、さっぱりわからねぇ。ことに渚君が言ってること、メイク用語ってのは察しがつくんだが如何せん右も左もわからない人間だから困る。彼がこんな趣味があったなんて驚きだけどね。一人暮らしとはいえ、案外裕福なんかな。恐らくリップを塗り終えると彼は終わりだと言う。

 

「僕の方はできたよ。女装前提のメイクは初めてだから、少し違和感あるかもしれないけどね。」

「こっちもできた。…おっ、いい感じじゃない。」

「どうなってんだ俺は…。」

「はい、目を開けていいよ。」

 

目を開けると、鏡にゃ俺の知らない人間が写っていた。

思ったよりケバくないメイクで男の顔を隠して、髪型はなんか…形容できない、こういうことに関してはマジでボキャ貧だ。後で調べて見たところ「ハーフアップ」っつーらしい。まあ確かにそれくらいはできるくらいに放置はしてたけど…。

 

「なんかこれじゃあ眼鏡合わねぇなぁ。コンタクトの方がいいか?…どうよ?」

「その前に、これ着て。はい。」

「女子の制服?しかもこれ、だいぶ俺の丈に近いけど…そんな子いたっけか?」

「コダマ姉さんのなの。姉さんも身長高かったから。」

「へえ。それじゃあ、皆様は一回退室してもらっていいですかね?」

「わかったわ。逃げちゃダメよ!」

「もう諦めたよ…。」

 

体操着持ってきといてよかった。はァ、どうなるんだ俺…って

 

「おい渚!何覗いてんだ!?」

「僕ならいいでしょ?男同士だしさ。」

「ダメだ!出てってくれ!」

「そんなに怒鳴ることじゃないだろ?怖いよ…。」

 

そんな事をグダグダ抜かしてたから椅子を振り上げたら逃げ帰ってくれた。ったくよ、頼むぜほんと…。んーと、これはYシャツ着てからじゃないとだな。あ?これ見よがしにおいてるこれってまさか…。

 

「な、なあ。この置いてるヤツも着けなきゃダメか?」

「そーよ、そのために持ってきたんだから!」

「ジーザス…。」

 

半ギレの状態で体操着の下に”ソレ”を着けた。うっわ、これは……俺の体から胸が突き出てるってことに、凄まじい背徳感を感じてる。落ち着け、落ち着けよ……。ヤバい、俺が保てなくなりそうな、そんな感覚がある。震える手でスカートの上半身に掛けるところに手を通すと、鏡を持って、眼鏡を外してからそれを覗き込む。

や、やば…見た目は完全に女子じゃん。これが私自身なんて、到底思えない。初見の人間なら、完全に女子だと思い込むでしょ。

 

「ねえ、着替え終わった~?」

「え?あ、うん。終わったよ…。」

 

ずっと心臓がバクバク激しく動いてた。過呼吸になりそうなのを押さえつけながら、全員が入るのを待っていた。

 

「あ、思った以上に様になってるじゃない!」

「可愛い~!こう見ると眼鏡も案外似合ってるじゃない。」

「仕草まで女の子みたいよ、影嶋くん。」

「こう見ると、思った以上にいい感じに仕上がったね。」

 

「え、私が?まさか、そんなこと…。」

 

 

 

 

-綾波レイ-

 

女装したエイ君、本当に女の子みたいな感じだった。少し男らしい顔ってのもまたいい感じになってて、可愛い。

 

「エイ君、なんか別人みたい。」

「やだレイちゃん、私はエイ君じゃなくてサヤよ。影嶋サヤ。」

「え?どうしたの?」

「ふふ、どうしたのよ皆。そんな顔しちゃってさ。」

 

え?え?どうなってるの?こんなの、みんなが困るのも無理ないわ。声まで違うのは驚いた。しかも無理な裏声じゃない、自然な高音。本当に女子みたい。

どうなってるのか確認しなきゃ。荷物を全部まとめて、彼…いや、彼女?もうわけわからないけど、とにかく手を取って教室を飛び出る。

 

「エイ君、行くわよ!」

「え?ちょっと、どこ行こうっていうのよ?」

「赤木博士のところ!」

 

「ちょっと、綾波さん!?」

「…行っちゃった。どうしたんだろうね、彼。」

 

 

 

「…うーん、基本的なプロフィールは素の状態の彼にきちんと準じているわね。脳波の状態からも、確かにパーソナルは普段とは違っているけれど、精神汚染と言うには判断材料が不足し過ぎているわ。今は何とも言えないわね。」

 

「やめてください赤木博士。私はそんな危ない状態じゃないですよ。」

「どっちみち、明日の定期シンクロテストで精密検査する必要があるわね。明日はエイジ君だけ遅くなるわよ。」

「私はサヤです~。」

「…そう。ごめんねサヤちゃん。検診は終わりよ、帰っていいわ。」

 

「ありがとうございました、赤木博士。」

「もー、私は平気なのに~。」

 

 

「ねえサヤ、本当に平気なの?無理してない?」

「私は無理なんてしてないよ。それより、これから街に遊びに行かない?」

「え?」

「ほら、ここのパフェとか美味しそうじゃない?行こうよ、ほら!」

「あ、待って!」

 

それから数時間、二人で街を歩き回ったり、食事をしたり色々していたけれど、素直に楽しめなかった。今の彼女…いや、彼は余りにも『自然過ぎた』から。こういうこと、エイ君ならもっと避けるはずなのに…。

 

 

 

 

-惣流・アスカ・ラングレー-

 

そいや、バ影嶋は今日は女装コンテストのテストをやるとか何とか言ってたわね。面白い写真があるといいわねぇ~。正直間抜けな姿を見て思いっきりバカにしてやりたい。

リビングでリーベを抱きながらテレビを見てると、15時くらいに二人は帰ってきた。

 

「ただいま。」

「ただいま!」

 

ん?知らない声ね、誰かしら?

 

「お帰り、綾波。あれ、エイジ君はどうしたの?」

「バカ波?誰か来たの?」

「二人とも、それでちょっと問題が起きて…。」

「どうしたって……あの~失礼ですが、どちら様?」

 

バカ波の隣にいたのは身長の高い、少し男子っぽい顔の女子。

 

「エイ君なの…。」

「もー、私はエイジじゃなくてサーヤ!」

 

「え゛…?ちょっとバカシンジ、何見とれちゃってんのよ!!こいつは男よ!?」

「あだだだ、頬つねらないでよ!」

「助けて、二人とも…。」

 

意味わからない。何でこんなことになってるワケ?でも、見た目はまんま女だし、眼鏡と髪と緑の目があまり変わらないから辛うじてわかるけど。にしても今、自分の名前を「サヤ」って言ったわね?どういうつもりなワケ?

 

「アンタねぇ…人をバカにするのも大概にしなさいよ、この変態!!」

 

顔面に一発かまそうとすると、両腕でガードされる。こういうところは変わらないのね。ますますワケわからないけど、やっぱ気持ち悪いわね。

 

「痛いわねー、何するのよ?」

「つべこべ言わないでさっさと着替えてきなさいよ!!気ん持ち悪いわねほんと…!」

「言われなくてもそーするわよ。アスカちゃんたら、いっつも言葉より手が先に出るんだから。」

「な!?ああああ『アスカちゃん』なんて呼び方やめなさい!!」

 

それだけ言って笑顔で自分の部屋に戻っていった。ほんと、ロクでもない冗談ね。まるで別の人間がもう一人アイツの中に入ってるみたいじゃない…。それから少し経つと、ミサトが帰ってきた。

 

「ただいま~。」

「ミサト?妙に早かったじゃん。」

「今日の仕事はもう終わったのヨ。って、どうしたのよアスカ、幽霊でも見たようなカオしてるじゃない。」

 

「そりゃあ幽霊みたいなのを見たからね…。」

「どーゆうこと?」

「バ影嶋がさぁー…」

 

ドスン…

 

廊下の方で何か落ちたのかしら?鈍い音が洗面所の方から聞こえてきた。皆がわらわら寄ってくると、バ影嶋が真っ青な顔で呼吸を荒くして倒れてる。

 

「エイジ君!?大丈夫!?」

「ちょっと、どうしちゃったのよ!?」

「とりあえずベッドに運びましょう。シンジ君、手伝って。」

「はい!」

 

ミサトとシンジに肩を貸してもらいながら影嶋は引きずられていった。ふん、毎日無理ばっかするからよ…。

 

結局、夕食の時も部屋から出てこなかったし、何なら次の朝まで起きてこなかった。バカ波もアイツにつきっきりだったし、食事はまた3人でだった。…やっぱりシンジのは味が薄めね。こっちも嫌いじゃないけど。

 

 

夜、寝る前にリーベの飲み水だけ交換して自分の部屋へ戻ろうとすると、バ影嶋のところから話し声が聞こえる。は、どーせまた夫婦の惚気でしょ?しょうもなー

 

『怖いよ…』

 

え?あのアイツが、こんなストレートに弱音を?

 

『みんな、私の周りからどこか遠くへ行っちゃいそうなの。それが、怖くて…。』

『大丈夫よ、私はすぐ傍に居るじゃない。』

『ううん、3人とも…レイちゃんにシンジくん、アスカちゃんもみんな、私より離れた所に今でもいるの。私は羨ましいし、だから寂しいの…。』

『サヤ、どうしたの…?』

『ごめんね、上手く言葉にできなくて…。』

 

寂しい?アイツが?それじゃあまるであた

ううん、何を考えてるのあたしは!アスカ、あなたは今まで独りでやってきたじゃない!あんなエヴァすら受領できないパイロットのなり損ないなんかと同レベルじゃないのよ!同情なんかしてやる必要はないの!

あたしは…

 

「あたしは特別なパイロットなんだから…コネや七光りで乗ってる奴らとは全く違うんだから…!」

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