ヱヴァンゲリヲン RE:LIVE   作:フィアネン

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今週は色々ありすぎて非常にのろのろ書いてました。
最早切れ目がわからず戦闘直前まで無理矢理全部ぶっこみました。



RE26:文化祭(その3/終)

前日も俺はアークに入って対話をしていた。

 

「兄さん、最近は少しだけ楽そう。レイちゃんと話したの、効いたでしょ?」

「お前まさか、あのときレイがいるの知って攻撃してきたな?ったく、余計なことしやがって…。」

「へへ、ごめんね。あの時はキツいこと言っちゃって。でもお陰で鎖は外れたじゃん。」

「都合いいヤツだほんと…。」

「それより、明後日はどうするの?また私が出ようか?」

「俺がぶっ倒れたのってスイッチの失敗じゃないのか?アレ以降スイッチもなにもやってないのにぶっつけで上手くいくかっつーの。」

「私が兄さんに合わせればうまく行くよ。」

「おま、できんならそれを最初からやってくれよ。」

「だって兄さん、あのとき良からぬこと考えて興奮してたでしょ、知ってるんだからね。それのせいで暴発したんだからね?」

「ふざけ、俺は誓ってそういう趣味は無い!」

「ほんとかな~。」

「お前最早俺じゃなくなってきてるだろ。はい終わり、じゃあ明後日は頼むよ。接続終了。」

「わかった、じゃあね。」

 

視界がプラグ内に戻ってくる。

 

-本当に張り詰めた感じは弱くなってきたわね。-

 

「コアにまで言われちゃ俺も終わりだな。そんなだったのか?」

 

-私でもわかるくらいだった。-

 

「そっかー。俺もまだ修行が足りてねぇな。」

 

-葛城ミサトからも言われたでしょう?心にだって休息は必要。それに、この一連の出来事で私も成長できたから。-

 

「成長?」

 

-ええ。私は貴方から多くの感情を学んでる。でも、私はもっと知りたい。様々な感情を。-

 

「そうだな、一区切りついたらレイとも話すか?とりあえず文化祭が終わったらでね。」

 

-ありがとう。-

 

「それじゃ、俺は上がるよ。」

 

 

プラグ内から出ると、レイが待っていてくれた。

 

「お疲れ様。」

「いつもありがとな。」

 

 

家への帰り道、ふと明日の話題になる。

 

「ねえ、エイ君。文化祭って、学校外の人も来れるんだよね。」

「まあねぇ。そうじゃないと文化祭の意味ないしな。」

「そうなんだ。…エイ君の親も、来るのかな。」

「俺の親かァ。来てくれるかは半々くらいじゃないかな。」

「はんはん?」

「俺の親はこういうのは絶対来るんだよ。例え俺が黙っててもね。んでも、今の俺はきちんと親を認識できるかがわからない。」

 

「写真とかは無いの?」

「俺が元々持ってた携帯にも、アルバムにもそういう写真は一枚たりとも無かった。だからこっちでの俺の親の事は声以外わからない。」

「そっか。…寂しくはないの?」

「大学入って以降は数年一人暮らししてるから、そういう寂しさは無いかな。…これは本当だよ?」

「あ…ふふ、そういえばエイ君、25歳だっけ。」

「もう26だよ。そうそう、もしかしたら親父は来てくれるかもしれない。」

 

「エイ君のお父さん?」

「そ。こないだのデートの時の電話、親父からだったんだよ。正直、嬉しかった。なんかさ、こんなことになっても繋がってるんだなって。」

「なんか、羨ましいな。お父さんとお母さんがいるのって。私には居ないから。」

「今の俺も似たようなもんだよ。俺らみんな、親に対して何かしらの不自由持ってんだな。

「来るといいね。」

「ありがと。」

 

 

 

その日の夜は特に何もなく、軽くリハだけして寝た。

そして次の日、文化祭一日目。

 

「よかったねエイ君、パイロット特権でシフト無しだなんて。」

「いいのか悪いのか…ま、今日はゆったり見てられるのはいいね。」

「でしょ?外行こ。」

 

 

「それじゃあ2パックください。レイ、金あるよな?」

「エイ君のおごり。」

「えぇ~?ったく、しょうがないなァ。…はい、丁度。」

「あざっした~!」

 

「はぁ~、美味しそう!いただきます!はむ…」

「どう?たこ焼き。美味いっしょ?」

「もぐもぐ…なんだか、タコって不思議な食感。固いのに、ブニブニしてるような…。」

「タコっつーのはそーゆうもんだからね。もぐ。んー、やっぱ塩も美味いな。」

「ねえ、その焼き鳥の皮って美味しいの?」

「美味いよ。何ならもも肉より食いやすいしね。」

「ほんと?じゃあちょうだい!ばくっ。」

「おわ、ちょっと!?」

 

レイは焼き鳥の食いかけを俺の腕ごと掴んで口元に寄せ、あっという間に全部取っていってしまった。

 

「すげぇ勢いだな…。食いたかったんならもう一本あったのよ?俺のをかっさらわないでもさ。」

「いいの。んん、美味しい!柔らかくてほんと食べやすい。」

「…ま、いっか。じゃあそっちのもいただき。」

 

俺はかっさらわれて空になった竹串をたこ焼きに差し、二個同時にキープする。

 

「あ~、私のたこ焼き!」

「いーだろ2パックもあんだからさ。だいたいそれ俺が食おうと思って買ったんだからな?もぐ。ん~やっぱたこ焼きはいつ食っても美味いわ。」

 

 

「美味しかった!それじゃ次はクレープ買いに行こ!」

「よくそんな食った後にクレープいけるな。休むとかそういうのは必要ないのかよ?」

「平気。ほら行こ!」

「ちょ、待ってくれ!」

 

 

 

 

 

-碇シンジ-

 

僕らはシフト組まれてないらしいけど、別に特別どこかに行こうとかそういうのは感じないんだよなぁ。とりあえず焼きそばだけ買って食べてると、山岸さんから声をかけられる。

 

「ごめん、隣…いい?」

「え?いいけど。」

「ありがとう。」

 

隣に座ってくる彼女を横目に焼きそばを食べる。…なかなか話が始まらない。

 

「あ、あの…ひとつ聞いてもいい?」

「いいよ。何を聞きたいの?」

「どうしてボーカルに私を推薦したの?それがずっと気になって。あ!その、碇くんに文句を言うとか、そういうんじゃなくて…その…」

「ああ、それは…実は僕もよくわからないんだ。」

「え?わからない?」

「正直、頼んで引き受けてくれそうだったからっていうのはあるよ。でも、君の歌を聴いて、選んでよかったって思った。最初はアスカにやってもらおうかって思ってたんだけどさ、何か君の方がいいかな、って思って。」

 

「それは悪ぅございましたね!」

「痛!!アスカ!?」

 

いつの間にか真後ろにいたアスカに脳天を殴られる。余りにも理不尽に痛い。

 

「あたしが聞いてないと思って言いたい放題言っちゃってさ。それにしても~、二人ってそーゆう関係だったの~?」

「は!?何でまたそういうことしか言わないのさアスカ!」

「だって~、バカシンジがこんな風に女の子と話す光景なんてそうそう見ないからねぇ。」

 

「でも惣流さんって、碇くんと一緒の家に住んでるんですよね。なんだか、羨ましいなぁ…。」

 

「はぁ?こんなバカと一緒にいると疲れるしバカが移るわよ?それに私らは毎日毎日バカップルのイチャつきを見せつけられてるしね。」

 

「バカップル?」

 

「影嶋と綾波よ。アイツらもあたしたちと同じ仕事してるからって一緒に住んでんのよ。それでも羨ましいっての?」

 

「賑やかで、楽しそう。やっぱり羨ましい。」

 

「ふーん…物好きもいるのねぇ。あ、加持さん!」

「あ、ど、どうも加持さん…。」

 

「みんな楽しそうだな。おや、その子は誰だい?」

「最近転校してきた山岸さん。」

「はじめまして。」

 

「どうも。そういえばエイジ君とレイちゃんは一緒じゃないのかい?」

 

「二人はあっち。」

 

アスカがイヤそうな顔をしながら加持さんの後ろを指差す。

 

(ほら、早くしないと売り切れちゃうよ!)

(あーあーだからつって引っ張らないでくれ!)

 

「平常運転だ…。」

「楽しそうでいいじゃないか。」

 

「ね~加持さ~ん、あたしと一緒に見て回ろ~?」

「しょうがないなアスカ。それじゃ、俺はこれで。二人とも楽しめよ。」

(加持さ~ん、明日の出し物見に来てくれますよね!)

(ああ、もちろん見に行くよ。)

 

そんなこんなで加持さんとアスカは行ってしまった。正直、嵐が過ぎ去って一安心してる。

 

 

 

 

 

-影嶋エイジ-

 

「買えてよかった、あんな並んでるとは思わなかった…。」

「ほんと、びっくりしちゃった。」

 

だいぶ待たされたから、俺らは休憩に適当なベンチに座る。何とか一人一個は確保できた。

 

「はい、あーん。」

「…マジで言ってんのか。」

「いいでしょ?私とエイ君の仲なんだから。」

 

一瞬どっから仕入れてきてんだなんて考えてしまったけれど、当然っちゃ当然か。最近は色んな子と話すようになったし。

左側の髪をかきあげて、俺は差し出されたクレープを一口かじる。う、やっぱ少しきつめの甘さ…練乳は苦手だ。やっぱ人工系って言えばいいのかはわからないけど、そういう甘さは依然として慣れることはないなァ。

 

「美味しい?」

「うん。相変わらず甘いのは慣れないけど。」

「よかった。あ、ほっぺにクリーム付いてる。ちゅ。」

「!?!?!????!??!?!!!??」

 

いきなり頬についてたらしいクリームを吸い取ってきたもんだからマトモに言葉も出せなかった。こーゆうのは未経験だから余計に。

 

「あ、顔真っ赤。エイ君カワイイ。それじゃ私にもあーんさせて。」

「ジーザス…。」

 

頭の回転が鈍って反論が全く出てこない。今日は無限に振り回されそうだ…。

 

 

 

 

-綾波レイ-

 

午後もエイ君と一緒にぶらぶら校内を歩き回った。

1年がやってたお化け屋敷じゃあ私ばっかり驚いて、エイ君はずっと涼しい顔をしてた。

 

「ねえ、怖くなかったの?」

「えぇ?だってあんなのちゃっちいしなァ。正直レイが真横で驚く方がビビるよ。あ、その時のレイは可愛かったなぁ。」

「もう、いじわる~。」

 

 

その後は射的に行った。既製品のおもちゃの銃を使って的当てをするんだけど、これがなかなか当たらない。エイ君は一発目を外しただけで、他は全部当ててた。やっぱり本物を使ってると全然違う…のかな。またこないだみたいに「全部マグレだよ」って言ってたけど。

最後は出欠確認もあるから2-Aの教室に戻ってきた。フリーマーケットはそこそこ売上が出たらしく、売れ残ってるのも数えるほどしかなかった。

私が残ったのを漁っている中、エイ君は洞木さんと話してた。

 

「悪いな、俺らの仕事が不確実だからってシフト外してくれるなんてさ。」

「いいのよ、いつも命がけで頑張ってくれてるんだから。」

「そいつはどうも。にしても思ったよりだいぶ売れたんだなァ。もっと残るもんかと思ってたよ。それにケンスケが焼いたCDも案外売れてんな。明日の宣伝までしてるしばっちりじゃん。」

「みんなが頑張ってくれたお陰よ。というかまだ時間じゃないんだから真面目にやらないとなの。」

「言うて出欠確認はもう10分後くらいだろ?もうそろそろ楽にしてもいいでしょ。」

「そうかな?」

「そんな堅物だとトウジにいい加減気付いて貰えなくなるぜ?」

「あ、ち、ちょっと!?」

 

「エイ君、これどう?」

 

「似合わねー……そりゃ40くらいのおばさんが着るようなのだよ。」

「う、うん、確かにそんな感じがある…。」

 

「ええ~…。」

 

 

それから私らは出欠確認の時間になって、事実上の放課後になった。何人かは残って色々話し合っったり各々の部活の所に行ったりしてるんだけど、私らはもうやることもないから帰るかとなった。今日も軽く定期訓練があるからと本部に向かおうとすると、教室から出る前に洞木さんと渚くんから呼び止められる。

 

「どした?もしかして明日の例のこと?」

「そう。これ渡しておこうと思って。」

「げぇ、まさかとは思うけど朝からこれやれっつー訳は無いよな?」

「え?朝からやって欲しかったんだけど。売り込みにもなるし。」

 

「?????????????????」

 

洞木さんの言葉に珍しくエイ君が絶句してる。やっぱりこないだ倒れたのもあって、嫌がるとは思ってた。

 

「ま、君らは今日一日楽しんだだろうし、明日くらいは協力してね。」

「わかったよ…。」

「明日は朝から僕が行くからよろしく。何時くらいに行けばいいかな?」

 

「俺は5時には起きてるよ。まあ通学時間と色々の調整を考えたら6時半とか?」

「エイ君それは無茶…」

「わかったよ。それじゃ、それくらいの時間に向かうからよろしく。」

「え。」

「あい了解。」

 

渚くんもエイ君もそれでいいんだ…。

私も明日に備えて気合入れなきゃ。

 

 

 

 

 

-影嶋エイジ-

 

とりあえず訓練は特に面倒なこともなく、サヤとの話しも軽くに終わった。帰って夕食くってからは少しだけレイと一緒に指を動かして、指が固まらないようにしてから就寝。今日ばかりはメールも連絡も全部無視した。そんなんで寝れなくなりましたなんてシャレにならねぇ。

 

 

 

「はろーわーるど…。飯作らねぇとな…。」

 

今日は一日ぶらぶらとはいかず、色々企画にあっちこっち引っ張られる未来が見えたから軽めの昼食も一緒に作っとく。サンドイッチでいっか。

朝食も適当に作ってると、レイが起きてきたようだ。え、なんかだいぶ不機嫌そうな顔してるけど。

 

「エイ君、おはよ~…。」

「お、今日は早いじゃんかレイ。おはよう。」

「だって携帯がうるさいんだもん…。」

「携帯?それはごめん。これは渚君からか。もしもし?」

 

『おはよう影嶋君。まだ5時半だよ?本当に早起きなんだね。』

「何だ何だ、んなことで連絡寄越してきたのか?勘弁してくれよ。こっちは一人叩き起こされてんだからな?」

「ひどいよー渚くん。」

 

『いや、そうじゃなくてさ。先に着替えといて欲しいんだよ。化粧してから着替えてだと汚しちゃうかもだからさ。』

「わかったけどさ、んなくらいメールでいいだろ?」

『君に直接伝えたかったんだよ。それじゃ、後で。』

「はいよ。」

 

向こうが電話を切ったのを確認してから耳を離す。ったく、ハタ迷惑って言っちゃダメかよ?起きたもんは仕方ないから、俺らだけ先に朝食食って今日の用意の確認をしていた。まだ来るのは30分後くらいだし、楽譜やら着替えやらをゆっくり確認していった。

 

 

 

 

-綾波レイ-

 

「はぁ~、やっぱ抵抗はあるなァ。」

「そう言わないの。それより、今日の勝負下着どう?」

「ほんとそういうのどっから仕入れてきてんだ…。似合ってるけどちっとそれは背伸びし過ぎじゃないの?だいたい自分の部屋があるのにここで着替ないでく」

「も~一言余計なんだから~!」

「あだだだ!悪かった悪かった!」

 

私だって不平があったら文句は言うし、頬だってつねるわ。アスカの全力ビンタは流石にやりすぎだと思うけど。にしても男子ってこういうのを見せられると顔を赤くするとか動揺するとか喜ぶとか聞いたけど、やっぱエイ君は全然そういう反応をしてくれない。きちんと感想言ってくれるのは嬉しいけど。

 

「二人とも~渚くんがき…。何やってんの二人とも。」

 

唐突に葛城さんが部屋の扉を開けてくる。一瞬全員が固まるけど、状況を素早く理解した私たち2人の動きは早かった。私はベッドのシーツを取って体を隠し、エイ君はベッド近くに置いてある時計を掴んで葛城さんの顔面に投げつける。

 

「えっち!!!!」

「ノックくらいしやがれ!」

 

「ぎゃん!!」

 

葛城さんったら、デリカシー無さすぎ。こんなことされるのも普段の行いが悪いって理解して欲しい。慌てて制服に着替える私を他所に、エイ君は紙袋を持って、倒れた葛城さんのパジャマの首根っこを掴んで引き摺っていく。

 

(ミサト、ドアをノックせずに入るのは憲法違反なの知ってるだろ!)

(ごめんって~!それよりエイちゃん、レイともうヤることヤっちゃ)

(バカか、んなことする訳ねぇだろが!!だいたい犯罪だぞ犯罪!!)

(もー朝っぱらからうるさいわね二人とも!!折角気分よく寝てたってのに!!)

(あーもうアスカ、落ち着きなよ…。)

(クェ~ッ!!)

 

あ、アスカまで参戦しちゃったら収集つかなくなっちゃう。渚くんが来てるのにこれって、なんだか恥ずかしい…。やっぱり葛城さんは保護者としてダメダメな、そんな気がする。

 

 

数分してやっと事態が収束した。朝から疲れる…。

 

「やっぱりシンジ君の家は楽しそうだね、朝から賑やかだし。」

「そ、そうとも言える…のかな。」

「すっげぇポジティブに言えば渚君のように言えるかな。俺らだって疲れるんだぜ?」

「ねぇ影嶋君、いい加減名前で呼び合わないかい?」

「どした唐突に。」

「何となく。もうそんな他人行儀じゃなくてもいいんじゃないかってね。」

「んー、確かにそうだな。お、アスカ終わったな?」

 

「アンタらが独占するからって急いでやったのよ、感謝しなさいよね。ねーシンジ、ボディーソープ切れかかってたわよ?」

「え、本当?買ってこなきゃ…。って何、何カヲル君!?」

 

「家庭的な姿、中性的な容姿…ふふ、やっぱり僕は君が好きだな。」

「え?あ、そう。それじゃ僕は先に行かないとだから…。」

 

碇くんはチェロを持って先に学校へと向かった。確かに大きいし、運ぶの大変そう。

それより、渚くんの碇くんへの態度、イヤな予感。

 

(ねぇ、エイ君も気を付けた方がいいよ、渚くんて”ソッチ系”かもしれないから。)

(ああ、肝に命じとくよ…。)

 

「さてエイジ君、そろそろやろうか。綾波さんもよろしく。」

「そうだな、もうそろそろやっとかないと流石に間に合わなくなりそうだ。」

「わかった。…エイ君に変なことしちゃダメなんだからね。」

 

 

 

 

 

-葛城ミサト-

 

うう、まだおでこが痛い…。エイちゃんたら時計を投げつけてくるなんてひどぉい。確かにノックしないのは悪かったけど、下着姿のレイと一緒に居るなんて紛らわしいコトしなきゃいいのよ。…んでもあんなにいつも一緒にいて、まだ手を出さないなんてどうなのかしら。やっぱり彼は大人というか堅物ねぇ。

それにしてもいつになったら入れるのかしら。私まだ支度が終わってないのに~。

 

(はい完成。前の時より若干薄めにしてあるから違和感はだいぶ良くなったんじゃないかな。)

(こっちもできた。ハーフアップって案外やってみるとできちゃうのね。)

(二人ともありがとう~!)「ミサトさんお待たせ!」

「わお、現物が完成した直後も相変わらずそっちの性格でいくのね…。」

「はい!」「本当はめちゃくちゃ疲れるんですよねこれ…。もう今日以降は封印しますよ。」

「そ、そうなの…。」

 

正直、ここまで性格が変わっていると不気味でもあるし、不安だわ。リツコはストレスによる暴発って言っていたけれど本当かしら…。

 

「それじゃ行ってきます!」

「行ってきます。」

「あ、そうだミサトさん!兄さんが言いたいことがあるって!」

 

「どうしたの?」

 

「さっきは流石にやり過ぎました、すみません。それじゃ行ってきますよ。」

 

「行ってらっしゃい。」

 

もしかしたら、これが彼なりの素直さなのかもしれないわね。でも、やっぱりかなり危うい状態。いつか、きちんと休ませてあげないと…。

 

 

 

 

-影嶋エイジ-

 

「ね、ねえ君、転校生?俺は…痛っ!?」

「あっち行きな~、しっしっ。」

「ちくしょ~…。」

 

デコピンで迫ってきた男子を追い払う。彼、俺の詳細を知ったら二重に後悔するだろなこりゃ。

 

エイ君たら人気者~。

はァ~アイツらマジで言ってんのかよ?

 

これでもう5回目だ。教室まで俺の精神が持つのか?こんな経験、正直したくなかったけど。こうしつこいと割とイラつくんだな。なるほど、アスカの気持ちが何となくわかるな。

 

「おっはよ~!」

「おはよう。」

 

「おは…あれ、エイジは?」

「よ、綾波。ん?隣のヤツ、誰や?」

「サヤちゃん。エイ君の妹さんらしいよ。」

「よろしくね!」

 

「お、おーう…。アイツ、双子なんて聞いとらんぞ?」

「まったく、驚きだよ…。」

 

ゲぇ、マジで身内しか俺のことを認知できてねぇのか?もう嫌だぞこんなん。

 

「はい、おはようございます。それじゃ出席をとっていきますね。」

俺はか行だから早めに来るのはいいんだが、これほど緊張というかイヤな待ち時間は初めてかもしれない。上手く行かなかったテストの返却以上だ。

 

「…影嶋エイジ君。」

「はい…。」

 

「「「「「ええええええええええええええ!?!?!?」」」」」

 

俺が渋々素の声で返事をすると、案の定、若干数名を除いた教室の全員が驚きの声を上げた。最悪、ゲロ過ぎる。

 

 

 

 

 

-???-

 

「それではこれまでの情報収集のレポート、お渡ししますよ。間違いなくアダムは碇ゲンドウに渡りました、ここまでで、そちらの情報との齟齬はありますか?」

 

「ありがとう、加持君。うむ、メブカドネザルの鍵の有無、使徒の差等割りと変化があるな。」

「それについてはこちらでの情報があるよ~。」

 

「真木波君か。そちらでの成果はどうだった?」

「相も変わらず真っ赤っかになる未来ばっか。いくつかの世界じゃあそれを回避してるけど、中佐が絡んでる世界線じゃあどれもバッドエンドばっかりだにゃん。こんなんで本当にゲンドウ君やゼーレの計画を阻止できるの?」

「その為に我々はここに居るのだ。それで、ここはどの分岐との関係性が深い?」

 

「んーと、使徒の形状と色んな人の動きから推察するに、”CS1-14(ワントゥフォーティーン)”か一番、次点で”AA1-26”が近いかな。私らが来た”MA1-4r”とは根本が違う可能性が高いね。にしても中佐、相も変わらず自分だけで抱え込んで無茶ばっかしてたよ?甘いのが苦手ってのとコミュ能力があるって違いはあれど変わらないね、彼。」

「そういう所はエイジ君と息子はよく似ているからな。私だって心配だ。『俺がエイジの代わりにアークの制御をする』なんて言ったときだって、私ら大人が手を出せないのが非常に不安だったのだから。」

「ま、そのための私らパイロットなんだしさ。人がヒトである限界を突破できるのは子供だけってことよん。」

「私はそれが不憫で、やるせないのだよ。未来ある子供を戦わせてるわけだからな。」

「それは同感です。そういえば昨日からご子息が文化祭で出し物をやるらしいですが、行かれますか?」

「ああ、勿論だ。息子の戦闘以外の活躍もこの目で見たいしな。」

 

「でもご子息はこっちでの動きの記憶を消されてんでしょ?幾らエヴァを使って記憶ごと転生しちゃったとはいえ、そんなことしてよかったんですかにゃ?」

「私だってつらいさ。でも、それ以外の有効手段を考えられなかった私の責任で行っていることだ。…失礼、ゼーレの定例会だ。老人の相手をしてくる。15分で終わらせる、加持は送迎の準備をしてくれ。」

「わかりました。」

「私はまたダイブしてくるよん、収穫あったら連絡するから。」

「頼む。」

 

 

 

 

 

-影嶋エイジ-

 

「ど、どーだった兄さん、久々の接客は…。」

「こりゃバイトよりしんどい、体力ガリガリ削られるなコレ…。」

 

今は昼休憩で接客から外して貰っているが、この後はコンテストがあり、15分のインターバルを挟んでからバンドの演奏やら俺らの出し物とかの各クラスのステージ企画が発表される。正直、ハードスケジュールだ。しんどい。人気の少ないベンチで座って休んでいると、レイが昼を買ってきてくれた。

 

「はい、これ昨日のお詫び。私の奢りよ。」

「ありがと。…あ~やっぱたこ焼き最高。」

「…やっぱり食べてるときも女の子にしか見えない。ピアスとかマニキュアとか塗ったら完璧だったのに。」

「俺は痛い思いはしたくない主義なんだよ。勘弁。」

「別にピアス穴開けないでもいいのはあるよ?」

「知ってるよそりゃ。でもわざわざ体に穴を開けるものの類似品を身に付けるって時点で生理的に無理ってヤツなんだ。だいたいレイこそどう思ってるんだよ、わざわざ体に穴あけてまで装飾品をつけることとかさ。」

「私は…キレイになれるのなら色々なことやってみたいな。」

「んなコトしねぇでも十分美人だと思うけどなァ。」

「え!?……ばか。」

 

こんなくだらない話をしながら昼食を食べていると、校内アナウンスで呼び出しがかかる。

 

〈女装・男装コンテストに出場される方は体育館に集合してください。繰り返します―〉

 

「あーあ、お呼び出しされちった。行くか。」

「ええ。」

 

 

体育館に来た時も、妙に念入りに本人確認をさせられた。周囲の面子がだいぶ男っぽい顔のままだったのに対し、俺はほぼ女子にしか見えなかったかららしいよ。もうどうでもよくなってきた。これってもしかするとシンジっぽい顔パーツなんかな、俺って。カヲルも確かシンジのことを中性的な顔つってたし。あんまり自分の顔を意識したことが無かったからよくわからねぇな。

もうそろそろ出番か。どうなることやら…。

 

 

 

 

-惣流・アスカ・ラングレー-

 

今日の午前中は加持さんも居なかったし、午後は出番が来るまでずっと座りっぱなしだから退屈でしょうがない。

 

「ねーシンジ、加持さん見なかった~?」

「今日はまだ見てないや。そんな気になるの?」

「あんたバカぁ!?今日はあたしの発表があるのよ?加持さんに見て貰わないで誰に見て貰うってのよ!」

「はは、そっか…。」

 

ったく、このくらい予想がつくでしょうに。にしても、この茶番さっさと終わらないかしら。男が女の格好をして、女が男の格好をして何が面白いのかしら。影嶋のヤツもノリノリでやっちゃってるし、影嶋もそれを見て喜んでる奴らもバカみたい。

しょうもない企画を流し見してると、シンジから声をかけられる。

 

「これの次だから裏にもう行かなきゃだよ。」

「わかってるわ。さっさと行っちゃいましょ。」

 

ステージ裏には既にバンドのメンバーといつもの二人が待機していた。

 

「あら、もう女装はやめたのね。」

「あんな格好のままやってられるかっつーの。それよりアスカ、学校に来てから変に叫んでたりしてないよな?」

「何よ、今朝のだけよ。私の輝かしい美声を加持さんに披露したいしね。」

「それはよかった。…お、出番か。頑張れよ。」

「おう。ほな、行ってくるわ。」

 

バンドのメンバーはステージへと上がっていった。次は私らの番ね。

 

「そういえば、演奏順ってどうなってるの?やっぱりあたしが一ば」

「演奏はシンジ、レイ、アスカの順でやるよ。」

「は、はぁ!?どうし」

「バカ、声がでかい!」

「ご、ごほん!…んで?どうしてあたしが一番最後なワケ?」

「んなもん決まってんだろ?アスカのが大トリだからだよ。俺らが最後の発表者だから、シメを決めるのはアスカだ。責任重大だぞ?」

「な…なーんだ!そんな程度想像してたわよ!やってやろうじゃないの!」

「おっしその意気だ、よろしくな。」

 

なーんだ、あたしがこの発表の締めをする…いいじゃない!影嶋のヤツ、なかなかわかってるじゃないの。これなら加持さんも褒めてくれるかな?

 

 

 

 

-影嶋エイジ-

 

「どうしたレイ、緊張してんの?」

「うん、ちょっと…。こんなこと、今までしたことないから。」

「そっか。そうだなァ、深呼吸して、軽く指を揉んどきゃ大丈夫よ。そこまで気を構えるようなモンじゃないしね。」

「そう?やってみる。」

 

レイは俺が今言ったことをやってみている。これで少しは落ち着いてくれるといいけどね。俺はまあ大丈夫だと思うけど、楽譜が全部あるかをもう一度確かめる。

 

「ふう、ホントに少し落ち着けた。ありがと。」

「よかった。お、あいつらのも終わったな。次か。」

 

<さて、次のメンバーですが、彼らはなんと、只のクラスメートじゃありません!>

 

「ん?」

「え?」

 

ケンスケの言葉、なんかイヤな予感がする。

 

<なんとこのメンバー、エヴァンゲリオンというロボットに乗って地球の平和のために戦っている戦士たちなのです!そんな俺たちのヒーローみたいな人たちの演奏、どうぞお楽しみください!それではよろしくお願いします!>

 

「やりやがったなアイツ。」

「うん。」

「いいのかな、あんな事ベラベラと喋っちゃって…?」

「いいじゃない、あたしの注目が上がるし。」

「アスカはんな事しか言わないなほんと。んじゃ行こう。」

 

俺らは並んでステージへと出る。

 

「えーと、もう俺らの事を説明してくれたんで手短に行きます。演目は

『Canon in D』

『Quatre Mains』

『心よ原始に戻れ』

です。楽しんでいってください。」

 

 

 

-碇シンジ-

 

最初は僕とエイジ君での演奏。パッヘルベルのカノンはわりと有名な曲だと思う。

でも、こんな大勢の人の前で演奏するのは僕も初めてで、正直不安だった。一番最初に楽器店で演奏したときはエイジ君と店員さんだけだったからまだよかったけれど、やっぱり緊張する。

ピアノの演奏から始まり、少しずつチェロの音が重なっていく。

 

僕は一度練習中に訊いてみたことがある。

 

『ねぇエイジ君、どうして僕とのデュエットをしようと思ったの?』

『俺とは嫌だったか?』

『あ、ち、違うよ。そんなことはないけどさ。』

『はは、ちっとばかし意地が悪かったな。単純にシンジのチェロを聴いたとき、一緒に演奏できたら楽しいだろなって思っただけよ。だから俺もクラシックをクラシックらしく弾けるように頑張ったのよね。』

『そうなんだ。…たしかに、楽しいかも。』

『そいつはよかった。んじゃ、今日はこれくらいにしとくか。そうそうシンジ、言っときたいことがある。』

『何?』

『もっと自己主張していいんだぜ?そんじゃ、また明日よろしく。』

 

まだ、僕にはそこまで積極的にはなれないかもしれないけど、それでも―

 

演奏が終わると、大きな拍手が飛んでくる。なんだか照れくさいけど、嬉しかった。

 

 

 

-綾波レイ-

 

次は私との連弾。『Quartre Mains』は音の旋律が綺麗な曲。最初はゆっくりやっても指が絡まって動かなかったけど、この一か月必死にやったらとても上手になった。こんな楽しいことを知れたなんて、私は幸せ。

あ、一つ音外しちゃった。少し慌ててエイ君の方を見ると、彼は笑いながら

 

(大丈夫。)

 

と言ってくれた。その後はミスもなく最後まで弾き切った。でも、あのミス部分だけが気になっちゃうな。

 

 

 

-惣流・アスカ・ラングレー-

 

さて、ラストはあたしね。最初はこの天才のあたしてもうまく歌えなかったけど、今じゃどんな歌でも歌える気がする。それにしても、影嶋って割と評価できるヤツなのよね。ちょくちょく無茶をしてるらしいけれど、自分の能力を決して驕らないし、訓練もサボることはない。本物の努力家ってところね、あたしには及ばないけど。

それにしても、この曲はリズム感が好き。アイツがところどころ裏ボーカルを歌うのも合わさって完璧って感じね。やっぱコイツはエヴァなんかより後方支援の方が合ってるわね。歌いきった後は、今までに無い程の拍手が飛んできた。こんな大勢の人があたしを認めてくれるなんて初めて。客席に加持さんを見つけて思わず手を振ると、加持さんはあたしに反応して手を振り返してくれた。嬉しい。

 

 

 

 

-影嶋エイジ-

 

はぁ~、何とか3連続の演奏は終わったな。マジで疲れた、こんなこと二度と無いだろ。いや、あったらもっと体力つけとかないと…。

 

「ねーねーシンジ、加持さん手を振ってくれた!もー幸せ!」

「そう、よかったね…。」

 

「あーあ、あのミスが無ければ完璧だったのに…。」

「本番のミスなんてよくあることだよ。いつでも完璧にできるとは限らないんだからさ。レイはよく頑張ったさ。」

 

そう言って頭を撫でてやると、レイははにかんで笑ってくれた。後は閉会式かな。そう思った矢先、全員の携帯が一斉に震える。俺は真っ先に開いて内容を確認すると、非常召集の4文字が。こんなタイミングで使徒とか勘弁してくれ。

 

「全員確認したな。行こう。」

 

「うん。」

「了解。」

「もちろんよ。」

 

俺らがステージ裏から体育館への出口に同時に駆け出すと、校内アナウンスから避難指示が出る。

体育館を出る直前、加持さんの隣に座っていた男と目が合った。その目を見た瞬間、立ち止まってしまう。

 

この目、見覚えが?

 

「親父?」

「エイ君、どうしたの?」

「あいや、何でもない!」

 

俺の呟きは誰にも届くことは無かったようだが、俺には何故か、あの男が俺の親父だと、そう感じた。

 

いや、それよりも先ずは使徒殲滅が優先か。




音楽に関してはyoutubeで調べて聴いてみてください、どれもいい曲です。(心よ原始に戻れは2012ver.)
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