ヱヴァンゲリヲン RE:LIVE   作:フィアネン

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RE27:影武者

[敵は都市部中央に突如出現、混乱で避難も遅れています!]

[形状は前回倒した使徒と同形状と確認!]

[関係各所への連絡、急いで!]

 

「クソ、なんでもっと早く気づけなかったんだ!?」

 

[こっちだって突然ATフィールドの反応を確認したんだ、無茶言わないでくれよ!]

 

「ええい、こんなこと言ってても仕方ねぇな。エヴァ全機、緊急発進!クロッシングスタート!」

 

意識をエヴァ全機に集中させ、パイロットと意識をリンクさせる。

 

「アーク、敵の情報をこっちに寄越してくれ。」

 

-わかったわ。-

 

プラグ内に敵情報が表示される。形状だけでなく、基本スペックも同じと推測されている。でも何故だ?あの時コアは確実に破壊した筈。どうして同じヤツが一ヶ月も間を空けて仕掛けてくるんだ?どれも前例との辻褄が合わない。

 

「いつも通りアスカが前衛、シンジとレイが後衛だ。ポイントE-6の郊外に敵を誘導、そこで素早く撃破するぞ。」

 

[了解。]

[あの毛虫、また出てきたのね。ヤな感じ。]

[作戦は?]

 

「敵が以前と同じ攻撃方法ならば、アスカは遠距離攻撃に対して回避・誘導のみ行い、その間にシンジとレイが二方向からの同時射撃をする。弱ったらコアへの直接攻撃開始。これでいいんじゃないかな。細かい動きはアドリブで指示する。」

[またあたしが囮役なの~?]

「その役はアスカが一番信頼できるんだ。頼むぞ。」

[わかったわよ~ったく~。]

 

エヴァが各々の迎撃ポイントに着くと、使徒は高層ビルの陰に移動し、叫びのような音と共に膨張する。楕円体の表面に多数の棘を生やした物体に変化したそれは、ビルを巻き込んではいるものの攻撃をしてくる様子はない。何をしてくるんだ…?

 

[目標の行動が予測できないわ。命令があるまで、各自その場で待機。長丁場になりそうね…。]

[ながちょーば?何それ。]

「長丁場:長い道のり/一つの事柄が一段落するまでに長くかかること/演劇などで、時間が長くかかる一連の場面。この場合は2つ目の意味だな。」

[ご親切にどーも!]

 

プラグ内に検索内容を表示させて読み上げた。これ便利だな。にしてもあの形状、まるで卵みたいだよな。卵…何か引っかかる。卵…毛虫……まさか!

 

「葛城一尉、即時攻撃を進言。」

 

[エイジ君どうしたの?]

 

「アレは敵の蛹である可能性があります、それなら敵が動けない今が攻撃のチャンスです。」

 

[下手に手を出す方が危険だわ、待機命令は継続させます。]

 

「成体になって面倒な戦いになるよりかはマシだと思います。先手を打てるなら打つべきです。」

 

[…わかったわ。攻撃許可を出します。]

 

「ありがとうございます。それじゃシンジ、マステマで攻撃開始。反撃の際は俺がサポートする。射撃で反応できないんじゃないかって心配は大丈夫だ。」

[わかった。]

 

シンジはマステマを構え、敵に向かって射撃をする。敵外郭に接触する直前に蛹?はATフィールドを発し、銃弾を全て防ぐ。その直後に敵は表面の棘を初号機に向けて射出する。

 

[わっ!?]

「大丈夫だ。」

 

案の定シンジは突然のことで反応できなかったようだが、俺が代わりに反応してフィールド展開、反撃に対して無傷でやり過ごす。どんな形状になっても自己防衛機能は生きてるって事か。

 

「こいつは厄介ですね、本当に成虫になるまで待たなきゃならないかも。赤木博士、解析よろしくお願いします。」

 

[わかったわ。くれぐれも刺激しないようにね。]

 

「了解。というわけだ、全員現在の場所を維持したまま待機。下手なことしやがったらその場で機体にロックかけるかコントロールジャックで無理矢理止めるからな。」

 

[え~!?このままいつまで待てばいいのよ~!?]

 

「敵が動くまで。休憩時間のようなもんだよ。」

 

[休憩ってまだ何もやってないのよ~?折角のあたしの活躍の場が~。]

 

「あんまりグダグダ言ってるとコクピットから叩き出すぞ。少しは黙ってろ。」

 

[バ影嶋の悪魔!鬼!人でなし!]

 

「変な日本語ばかり覚えやがって…。」

 

 

 

夕焼けの空が暗くなり、山の輪郭が紅い線に照らされた頃、変化が起こった。

 

[し、信じられません、目標の質量が増加しています!]

[質量が!?]

[はい、測定誤差ではありません!]

[エイジ君の勘、大当たりね。敵は間違いなく完全変態タイプの成長しているわ。自己進化の延長といったところね。]

[んなコト言って、これじゃあ敵の能力が把握できないじゃない!]

 

「その時はその時ですよ。全機、戦闘準備。もうそろそろ来るぞ。」

 

蛹が割れる音。奇っ怪な鳴き声と共に、使徒の成体?が姿を現す。細い括れのある体に肥大した下半身、翼、そして腕らしき場所には3本の棘を持った回転する器官。両腕から生えている部分が頭部にあたる所か。恐らくあの回転してる棘と標準装備の使徒ビームが攻撃手段だな。

 

「全機、戦闘態勢。目標、使徒成体。」

 

[あれが、使徒の本当の姿…。]

[どーせ見掛けだけよ、恐れることはないわ。]

[でも、目標の攻撃方法はまだわからないわ、慎重にいきましょう。]

 

「そうだな。フォーメーションそのまま、アスカは郊外に敵を誘導しつつ、適宜途中の兵装ビルで武器を調達してくれ。余計な損害を出さなきゃ何でもやってくれていい。ポイント変わらず。

…それじゃあ、攻撃開始。」

 

 

 

 

-碇シンジ-

 

[おらぁああああああこっちに来なさぁああああああああい!!!!]

 

アスカがライフルを目標に射撃しながら目の前に躍り出て、目標の注意を引く。エイジ君の狙いどおり、目標はアスカに釣られて移動を開始した。

僕らは気付かれないように注意しながら後を追い、迎撃ポイントまで移動する。

 

「エイジ君、目標の攻撃方法はわかった?」

 

[ああ、全員に共有する。敵の攻撃は標準装備の使徒ビームの他に、回転させている棘を伸ばしての近接攻撃がある。リーチはそこそこあるが、EVA専用陽電子砲やバズーカなら射程外だ。]

 

通信と一緒にクロッシングでイメージも送られてくる。思ったより攻撃の方法は少ないんだ。これならまだ、遠距離から攻撃していれば大きな被害を受けることはないかも。でも、エイジ君は何か、別の事に不安を持っているようだ。そんな感情が伝わってくる。

 

[エイ君、どうしたの?]

[妙だ、コアが見つからない。普段なら体表に必ず露出してるのに。]

 

「身体の中に埋まってるんじゃないの?」

 

[その可能性も今検証してる。攻撃に対して怯んじゃいるから、ダメージは入ってる筈なんだけど…。]

 

アークで解析をしている彼を他所に、発令所からの通信が入る。

 

[気を付けてください!目標を示す測定数値のいくつかがゼロを示しています!]

[どういうこと!?]

[つまり、あなたたちの目の前にいる敵は、『実体であり、実体でない』というコトよ。]

[何よそれ!?それじゃあたしたち、マボロシと戦ってるってゆーの!?]

[でも目標の攻撃は本物よ。実体でないという説明がつかないわ。]

 

[…解析完了。最悪の結果だ、アイツには”コアが存在しない”。]

 

[[[「はああああああああああ!!!!!?????」]]]

 

[俺だって同じこと言いたい気分だ!とにかく作戦続行、初号機、零号機も戦線参加、3方向からの同時射撃で敵を押さえ込め!兵装ビル2から6番、スタンバイ!ワイヤートラップビル、スタンバイ!何としても被害を抑えろ!]

 

その指示と共に、僕らは各々受領した射撃武装:僕はマステマ、綾波はパレットライフル、アスカは陽電子砲を装備して攻撃を開始する。

 

[避難状況を報告してくれ!]

[現在、56%完了!戦闘区域付近の民間人を最優先で避難中です!]

[遅ぇぞ!ったく、こっちは飛び道具を使ってるっつーのに…!]

 

エイジ君は流れ弾を警戒してるんだ。僕らだけならこんなこと考える余裕なんて無い。

 

[目標のダメージ、依然として認められず!]

[アイツ、段々攻撃で怯まなくなっていってるわよ!?]

[学習してやがる。効かないってのがわかってきたのか!エヴァ全機、指定座標から緊急退避!ワイヤートラップ射出と共に全砲台射撃開始!]

 

僕らが退避をするのと同時に、ワイヤーが四方八方から飛んできて目標を絡めとる。それと同時に多数の砲弾が着弾し、凄まじい煙を上げる。だけどそれも効果は薄く、目標は移動を開始した。

 

[目標が移動を開始しました!]

[あの方向…!]

[あたしたちの学校じゃない!?クソ!]

[まさか!おい、学校の方向は避難は終わってるのか!?]

 

[現在のその地区の避難完了率、95%!]

 

[だったら…!]

[アスカ!?]

 

アスカは目標の気を引くために陽電子砲を構える。

 

[喰らえ!]

[ダメ!アスカ!]

[バカ波!?何を!?]

[レイよせ!]

 

着弾直前で目標は危険を察知したのか、身を翻して光弾をかわす。目標から外れた光弾は学校の方へ飛んでいくが、それを零号機が身を呈して庇う。

 

[キャア!!!][があっ!!ぜ、零号機コントロールジャック!畜生クソ痛ぇな!]

 

エイジ君が零号機を動かして、見事な体術で目標との近接戦をする。ナイフで敵の棘攻撃をいなしながら、頭部と思われる場所に深々とナイフを突き立て、蹴り飛ばして距離を無理矢理離す。零号機が膝をついたのを見て、すかさず僕がフォローに入る。

 

[今度こそ…嘘、弾切れ!?こんな時に!?]

「綾波!エイジ君!」

 

目標はまた学校の方向に移動を開始するけれど、僕は体当たりをして、目標と取っ組み合いをして無理矢理止める。その間にも目標は両腕の棘で攻撃をしてくるけれど、反撃も防御もできない。攻撃の度に両肩、胸に鋭い痛みが何度も襲ってくる。何度目かの攻撃で、僕は至近距離で光線を受けて大きくビルの方向へ吹き飛ばされてしまった。

 

「ぐあぁっ!!」

[シンジ!コイツ!!]

 

アスカは拾ってきたパレットライフルを持って、自分の方へと注意を向けるように立ち回っている。とにかく僕も起き上がって、また参加しなきゃ…!

っ、警告音!?LCLの浄化装置が故障!?

 

[シンジ君聞こえる!?弐号機と零号機が目標を食い止めるわ!シンジ君はその隙にプラグの修理を受けて!]

「で、でも…!」

[大丈夫、10分もあれば終わるから。今作業用トレーラーをそっちに向かわせてるからね!]

「…わかりました、ミサトさん。」

 

[シンジ、さっさと修理を受けちゃいなさい!そんな状態の初号機で戦われても、こっちが迷惑なのよ!]

 

「わかったよアスカ。ごめんみんな、少しの間離脱する!」

 

 

 

前はエヴァに乗るのが嫌で仕方なかったのに、今じゃこれに乗れないことがこんなに苛つくなんて。早く、早く終わってよ…!このままじゃアスカが…!

 

「碇くん…。」

「どうしたの山岸さん。こんな所に居ちゃ危な―」

「お願い、私を殺して!お願いだから!」

「な…何言ってんの?」

「わかるの、私の中にあの怪物がいる!あの怪物の魂が宿ってる!」

 

彼女は泣きながら座り込み、尚も懇願する。

 

「わかるの、わかるのよ!だから殺して、早く私を…!」

[おい、何でまたお前がここに居るんだ!痛い思いをしないと理解できないのか!?]

「エイジ君、そりゃ言いすぎだよ!」

「エイジくん…?影嶋くん、そのロボットに乗ってるの!?お願い、私を―」

[俺はドクター・キリコじゃねぇんだぞ、いい加減に……待て、まさか…!]

 

<修理完了、再起動の準備にかかる!>

 

「とにかく、山岸さんはすぐシェルターに行ってね!あと…そんな簡単に殺してなんて言わないでよね。」

 

プラグへと駆ける。ごめん、今の僕にはこの程度の言葉しかかけられない。アスカ、綾波…今行くよ。

 

 

 

 

 

-影嶋エイジ-

 

畜生、山岸さんからのクロッシングってそういうことか!こんなんわかるワケがねぇ!

 

「アーク、接続そのままで俺は外に出る!クロッシング維持頼むぞ!」

 

-了解。無茶はしないでね。-

 

「その約束は守れるかわからねぇな。内線接続、剣崎さん、外に車をお願いします!」

『この状況下でですか?』

「この状況を打破できる可能性があるんです!お願いします!」

『了解。』

[ちょっとエイジ君、何をする気!?]

「アークから情報を貰ってください!以上!」

 

これは賭けだ。しかも後がない賭け。最悪だな、こんなギャンブルをするハメになるたぁ思ってなかった。車両用出入り口へと駆けながら、サヤに話しかける。

 

「サヤ、聞こえるか?」

「どうしたの兄さん!?」

 

「最後の仕事だ。俺は裏で指揮を執り続けるから、サヤは山岸さんの説得と、あわよくば彼女の身体から敵のコアを追っ払ってくれ!」

「そんな、あたしができるの!?」

「俺の記憶があるだろ?それを使えば大丈夫だ。どんな手を使ってでも彼女を絶対に殺すなよ。」

「…わかった、頑張る。」

 

「ありがとう。…剣崎さん、よろしくお願いします!場所は中央デパート!」

「了解。」

 

車に飛び乗ると俺はクロッシングに集中し、パイロット全員との視界、思考、痛みを共有する。やはりコアへの直接攻撃が無い分、ダメージ蓄積がほぼゼロの状態だ。俺が与えた頭部へのダメージも既に再生している。俺らは滅茶苦茶不利な消耗戦を強いられるのか。にしてもあの頭部、妙にスカスカだったな。恐らく本来コアが格納されてる部分だ。

 

[シンジ、フォワード!アスカの隙を埋めろ!]

「エイジ君!?わかった!」

 

弐号機のライフルのマガジン交換を狙った光線は、初号機の死角からのタックルで未然に防がれる。

 

[零号機、迎撃開始!]

「了解!」

 

更に態勢を立て直すまでのカバーをレイにさせる。しばらくは露骨に遅滞戦闘を繰り返さないと。でも、それも限界が来る。その前に、何としてもコア問題を解決してもらわにゃならねぇ。サヤ、頼むぞ…!

 

 

-影嶋サヤ-

 

兄さんが言ってたのはこのビル。本部からそこまで遠くなくてよかった。

 

「ありがとう剣崎さん!それじゃまたいつか!」

「本部に連れ帰るまでが私の仕事なのですが…」

「兄さんじゃなくて、『私』との!それじゃ!」

 

そりゃ急に性格と声が変わっちゃったらそんな反応をするよね。…まだ電源は生きてる。少し危ないけれど、体力温存のためにエレベータで屋上へと上がる。後は全てを運に祈るだけ…。

 

やっと着いた。マユミちゃん、飛び降りようとしてるの!?

あ、足が!ダメ!

 

間一髪、彼女の腕を掴んで何とか落ちずに済んだ。てかこれ、ドラマやアニメで見る以上に肩に負担かかる。演出なんかじゃここでベラベラ喋るけれど、そんなことしたらお互いに脱臼してお陀仏になっちゃう。

 

「な、影嶋くん!?どうして!」

「1、2の3!よいしょ!」

「きゃっ!?」

 

柵越しに無理矢理引き上げ、シメに彼女の腰を抱き抱えて無理矢理屋上へと引き込む。もちろん私がクッションになってあげて、彼女には痛い思いはさせなかった。

互いに離れて座り込み、私から喋りかける。

 

「へへ、学校ぶり。兄さんに怒られたばっかなのに、まだここにいたんだ。」

「その声、サヤさん!?でもどうして、女装してるときのキャラだとばかり思ってたのに…。」

「解離性同一性障害ってヤツじゃない?ま、私の場合は兄さんと上手くやってるけど。」

「かいりせい…?」

「ああ、いわゆる二重人格って言うヤツ。クロッシング…じゃなかったあなたが心を読んでるとき、私が前に出てるときに違和感を感じなかった?感じてたらそういうことよ。」

「もしかしてサヤさん…いや、影嶋くん?」

「どっちでもいいよ。」

「サヤさんは私のように、他の人の心を読めるの?」

 

「私はマユミちゃんのようにはできないよ。読めるのは相手から送られるものと、このヘッドセットを着けてるときにあの巨人に乗ってる人たちと表層だけ。全然人の本心なんて読めたものじゃないわ。」

「そう…そうよね。私のように、誰かの心に入るのも、誰かが心に入るのもわかる人なんて…」

「マユミちゃん、あなたは大切なことを忘れてる。」

「え?」

「全部飲み込もうとしちゃダメ。ちゃんとイヤなのは拒絶しなきゃ。このままじゃ今みたいにパンクして自殺に走っちゃうよ?」

「え!?そ、そんなこと…」

「ある。私のよく知ってる人も、毎回無茶をしては自分で全部背負い込もうとして、自分の心身をボロボロにしかけた人がいるの。その人、折角パートナーになる子がいるのに、その子を守るためとか言ってずっと一人で無茶してた。

今のあなた、その人に似てる。受信した感情全部を受け止めようとしてるせいで、心が疲れてる。それを隠そうと、自分に蓋をしてる。」

「それは…」

 

 

 

 

-山岸マユミ-

 

彼…いや、今は彼女の方が適当なのかしら。彼女の言葉は痛いほど私に突き刺さる。だからか、彼女の最後の言葉がとても響いた。

 

「だからさ、もっと素直になろ?」

 

そっか。私、ずっと誰かと関わるのが嫌で、それで自分にも、他人にも自分自身を偽って過ごしてた。だから…

 

「ありがとう、サヤさん。少しだけ…前を向けるような気がする。」

 

「どーいたしまして。それじゃ…」

 

彼女は私に身体を近づけ、一言囁く。

 

「ごめんね。」

「え?」

 

突如として首を絞められ、一瞬で意識を失った。

 

 

 

 

-影嶋エイジ-

 

[兄さん、終わったよ。]

 

「はっ!?ぷはっ……はー…オーライ、汚れ役ありがとう…。」

[どういたしまして。これで私ともお別れか。なんか少し寂しいな。]

「大丈夫だよ。お前がいた記憶ってのは残る。それでいいだろ。」

 

[な、パターン青の反応がもう一個出現!]

[場所は!?]

[中央デパート屋上、エイジ君が…いえ、反応消失しました!]

[目標内部で、一瞬反応が二つになり、再度一つの反応になりました!]

 

「狙いどおりだ。三人とも、そいつはもう無敵じゃない!蹴散らせ!コアは頭部中央!」

 

これだけ叫ぶと、激しい疲労感と睡魔に襲われる。立とうとしても、そもそも身体が上手く動かない。あ、もうダメだ、シャットダウン。

 

 

 

 

 

 

-綾波レイ-

 

[三人とも、そいつはもう無敵じゃない!蹴散らせ!コアは頭部中央!]

 

「みんな、エイ君の声聞こえた!?」

[聞こえたよ!!]

[もちろん聞こえたわ!今までの借りを返してあげるわ、蹴散らしてやる!!]

 

この後三人は阿吽の呼吸で連携が決まった。私がライフルで牽制、アスカがマゴロク・E・ソードでフィールドと腕の破壊、その再生の隙を突いて碇くんがデュアルソーでコアを両断して勝利した。

 

 

本部に戻ると、エイ君がまた無茶をしたとか言って、病院でスーツ姿のまま寝かされていた。と言っても今回は脳に過度の処理をさせてのオーバーヒートのような状態らしく、大人しく寝ていれば回復するとの話だった。もう、相変わらずなんだから。

ベッドの横にある机にはヘッドセットが置いてあり、椅子にはスーツの上着が掛けられている。このヘッドセットと上着は彼専用…というかシステムに乗っているときの精神汚染を予防するためのものって後で聞いた。ことにヘッドセットは私たちが使ってるタイプとは大きく異なり、細く白い構造体となっていて、側頭部から下顎を覆うように装着するものになってる。これ、どうやって着けるんだろ?手にとってくるくる回しながら見てると、耳に引っ掛けれそうな所を見つける。それに合わせてかぽっと被ると、パシュッという軽い音と共に頭にぴったりフィットする。べんり~。そんなことを考えてると、クロッシングのような感覚が私を襲う。

 

-影嶋エイジと違うパーソナル。あなた、誰?-

 

「え?私は綾波レイよ。その声、まさか『私』なの…?」

 

-いいえ。元は同じだけれど、もう私達は違う歩みをしている。既に私はあなたではないし、あなたも私ではないわ。それに、影嶋エイジに関しても心配することはない。彼は指揮をしながら同時に山岸マユミの説得もしてたのよ。脳への負担は精神汚染に起因するものじゃない。-

 

「そっか。よかった…。」

 

-いつか、あなたのことをもっと教えて。システムルームで待っているわ。-

 

「クロッシングで話せるのに?」

 

-面と向かって話したいの。私もあなたと同じ『人間』だから。-

 

「わかった。」

 

-ありがとう。-

 

クロッシングが切れた。あ、あの子の名前聞き忘れちゃった。まぁいっか、今度行った時に聞こ。…病院だけど、今日も一緒でいいよね。

 

 

 

 

 

-影嶋エイジ-

 

空腹で目覚めた。はろーわーるど。時計を見ると現在時刻は11:23、半日近く寝てたのか。とりあえずロッカールームに行こうと起き上がると、まだふらふらする。束ねていた髪をほどきながらドアノブに手を掛けようとした瞬間、ものすごい勢いでドアが開かれミサトが押し入ってくる。

 

「なんだなんだ、殴り込みかミサト?」

「そんな呑気なコト言ってらんないわ!使徒よ、発令所に来てちょうだい!」

「……はい????????」




エイジ君のヘッドセットはファフナーEXOのAlvisシナジェテイックスーツのものと同じデザインです。
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