ヱヴァンゲリヲン RE:LIVE   作:フィアネン

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こっからはご都合主義全開です。


RE48:反逆

-赤木リツコ-

 

私の研究室で、ミサトと私は事前の打ち合わせを始める。最初はミサトが剣崎君からの戦自の情報を受け取るところから始まった。

 

「戦自に動きがある?…なるほど、ありがとう剣崎君。リツコ、ここを攻撃するにあたって最初に動くならどういうアプローチを取る?」

「まずはMAGIを制圧するわね。MAGIの制圧はここの占拠に等しいわ。でも、それに関しては大丈夫よ。」

 

「まーリツコが言うのなら間違いないわね。そうだ、クロッシングシステムのエヴァへの搭載、あの話はどうなったの?」

「カヲル君とレイの協力のお陰で実用段階になったわ。急ピッチでの搭載予定だから、初号機と弐号機のF型には搭載可能できるはずよ。カヲル君とレイは能力があるからエイジ君と同じでシステム無しのクロッシングができるから必要ないし、後は参号機と四号機の追加装備ね。ただ、これは攻撃までには間に合わない可能性が極めて高いわ。」

 

「シンジ君とアスカが戦力の要ね。後は量産機の性能がわかればいいんだけれど…。」

「少なくともS²機関が搭載されているのは間違いないわ。ここへは空輸されてくるでしょうし、そんなもので外部電源で動いていたら幾らバッテリがあっても仕方ないもの。それに補完計画にはS²機関が必須だわ。」

「そんなのが9体も出てくるとか頭が痛いわね…。よし、プランを考えるわ。ありがとう、リツコ。」

「頑張ってね。私も技術面では協力するから。」

 

ミサトは手を振って私の部屋から出ていく。…後は指令の計画を壊す事を考えなきゃね。手っ取り早いのはレイと指令を引き離す事。でも、今の指令にはレイだけじゃなくてミチヨちゃんもある。かなり危ない状態ね。でも…それでも、今の私たちには両方の計画の概要を握っている。

私は…あの男だけでなく委員会にも反逆しようとしているのね。馬鹿を通り越して大馬鹿者ね、私。

煙草をふかしながら、私は新たな計画書を打ち込み始めた。

 

 

 

 

 

-碇シンジ-

 

カヲル君への説得の後、僕らは暫く本部泊まりになる事になった。ミサトさん曰く『エヴァを奪取したいのなら、間違いなくパイロットが真っ先に狙われる』との事だった。

それでも、数日経ってもやっぱり慣れない。僕ら4人は控え室で勉強をしつつ、休憩の時には今後の事を話していた。

 

「なんだかジオフロントには出れるけど、ずっと地下の控え室にいると時間の感覚がわからなくなってくるよ…。」

「仕方ないわよ。ミサトなりのあたしたちへの配慮なんだから。」

「それでも、よりによって相手が人間なんて…。」

「人間だけとは限らないさ。相手はダミープラグを使った量産型を出してくる。それなら遠慮無く戦えるだろう?」

「でも、エヴァ同士の戦闘なんてツインドッグ同士でしかやったことないよ。そんなんで上手くいくのかな。」

 

そんな事を言っていると、アスカが立ち上がって怒鳴る。

 

「もー、ウジウジ考えないの!今はエイジも使えないんだし、あたしたちだけで戦わなきゃいけないでしょ!?リツコのお陰で私たちでも負担をかけない双方向クロッシングシステムを複数人で使えるようになってるんだから、後はあたしたちが頑張んなきゃ!」

「惣流さんの言うとおりだよ。僕らのトリプルドッグはまだ未完成だ。それに僕の四号機はB型装備だし、それを念頭に置いたフォーメーションも考えないと。」

「今度こそ、あたしがアイツの代わりをしなきゃ世界が滅びるのよ…?今やらないで、いつやるってのよ…!」

 

アスカは多分、今までの戦闘で自分の指揮が上手く行ってないことに負い目を感じてるんだ。アスカだけが悪いんじゃないのに…。

 

「…私が参号機を使えれば。」

「レイ、それは言っちゃダメよ。今エイジはエイジで頑張ってるんだから。そうでしょ?」

「…ええ。」

 

[これは特定の部屋にしか流していない放送です。現在放送を聞いた職員及びパイロットは、至急作戦課のブリーフィングルームへ集合してください。]

 

ミサトさんの声の放送が流れる。僕らは控え室を出て、ブリーフィングルームへと向かった。

 

 

 

 

 

-葛城ミサト-

 

「だいたい4、50人といった所かしら。皆、協力してくれてありがとう。」

 

「葛城二佐、これは何の集会でしょうか。」

「階級が高い職員やパイロットまで召集とは一体?」

 

「それは、私の独断と偏見で信頼できるメンバーを集めたからよ。これからの情報は、少しずつネルフの内外に出していく予定です。現段階ではかなりの機密だから、心して聞いてちょうだい。」

 

全員が何も言わずに私の話を聞く。

 

「まず、ネルフの存在の意味よ。私たちは今まで、ここの機関が使徒殲滅…つまり、世界の滅びを防ぐためだけに存在すると思っていたわ。でもそれは違う。」

 

周囲からどよめきの声。パイロット組も、シンジ君とアスカは面食らった顔をしているわね。

 

「ネルフの存在意義は、使徒を全て殲滅し終わった後には無くなるわ。ゼーレというネルフの上位組織によって行われるサードインパクトの隠れ蓑に、私たちはいいように使われていた訳ね。」

 

「嘘だろ!?」

「サードインパクトが人為的にって…!」

 

「静かに!サードインパクトを防ぐには、私たちには一つの方法しかないわ。今後行われるネルフ本部への直接攻撃を防ぎ、量産型エヴァ5~13号機を殲滅する必要がある。

そのため、このようなプランを立てたわ。」

 

正面の大型スクリーンに作戦を表示させる。

 

「まず、戦自の突入組は間違いなく第一発令所の直接占拠を狙う筈よ。ここにはオリジナルのMAGIがあるわ。でも、うちには第二発令所という第一と配置が殆ど変わらない場所がある。そのためダミー情報を流してここへと誘導し、ここで戦自の兵士へと私たちが知り得る情報を全て提示するわ。」

 

「でも、それじゃあ第二発令所を破壊されて終わりじゃないですか?」

「誘導に乗らない可能性もあります。」

 

「その二つの懸念は、私たちの切り札を出すわ。…彼女は綾波ミチヨちゃん。私たちとは少し違って、クロッシングという一種のテレパシーのようなものを使える子よ。」

 

-皆さん、初めましての人が多いですね。私は綾波路世です。-

 

「本当だ!頭の中に声が…。」

「声ってより、文章か?」

 

「私はそれを両方使い分けられるわ。要は情報か、会話かを選択できるの。」

「彼女のこの能力を使って、私たちは戦自の無力化と味方への引き入れを同時に行うわ。」

 

「引き入れといったって、末端の兵士を引き入れただけじゃあ…。」

 

「それも、私たちに協力してくれる組織があるわ。…加持君、よろしく。」

 

奥から加持君が姿を現す。暫く見ていなかった職員も多く、身を案じていた人は安堵の声を出している。

 

「ども、対ゼーレ非公開武装組織” ヴィレ”の諜報課長、加持リョウジだ。戦自上層部への引き入れと裏の手回しは、俺がヴィレメンバーと共に行う。俺らは完全にゼーレと敵対することになるが、これで3つの組織の協力体制が整うな。」

「それでも初期はこの事を悟られないように、量産型エヴァが出てくるまでは耐える必要があるわ。そのための本部防衛作戦を伝えます。」

 

スクリーンの画像が変わり、本部と都市の簡易的な図が表示される。

 

「戦自は都市自体はなるべく傷つけたくない筈よ。その為、まずは都市周辺の連絡基地を破壊して、外の状況を不明瞭にしてくる。その後の都市自体への攻撃は局所的…例えば兵装ビルのみを攻撃して、その特殊装甲の隙間から降下してくると見ているわ。そこからの対応は稼動可能なエヴァ全機を投入、そのATフィールドで本部施設の防衛をしてもらうわ。指定ポイントはその場で指示を出します。その後侵入してきた量産型は、ジオフロント内で全てを殲滅。

以上が作戦概要よ。これ以上は今は情報が少なくて憶測しかできないから割愛するわ。

それでは、迎撃メンバーを点呼します。」

 

私はひとりひとりの目を見て、名前を呼ぶ。

 

「初号機パイロット、碇シンジ!」 「はい!」

「弐号機パイロット、惣流・アスカ・ラングレー!」 「はい!」

「四号機パイロット、渚カヲル!」 「はい。」

「そして参号機パイロット…綾波レイ、影嶋エイジ!」 「はい。」

 

エイジ君の返事は来ないが、ミチヨちゃんはクロッシングで彼へとこの会話を流してくれている。伝わっている筈。

 

「レイはアークシステムを使って参号機を動かして。エイジ君は…リベロとします。彼は今までの経験で、必ず必要なポジションについて防衛行動をしてくれる筈。あなたの判断を、皆が信じるわ。赤木博士、彼らへF型装備の概要を伝えて。」

 

画面が切り替わり、リツコがスクリーンに写ってF型装備計画の概要を表示する。

 

[了解。エヴァのF型装備はATフィールドを攻撃や移動へ指向を変えた使い方をした、攻撃力と防御力、機動力の両立を突き詰めた武装よ。

固定兵装はプログレッシブ・ダガー、インパクトボルトよ。プログダガーに関しては今までのプログナイフを大型化したものと考えてくれればいいわ。

インパクトボルトは両肩に搭載されていて、簡単に言えばATフィールドを利用して増幅させた、高出力の電撃を相手にぶつける武装よ。単独兵器では最高の攻撃力ね。

勿論今までの武装も問題なく利用できるし、必要に応じてパージしてB型装備にもなれるわ。但し肩のウエポンラックは装備されないから、固定兵装は無くなるわ。そこだけ注意して。私からの話は以上よ。]

 

周囲がどよめく。『何故、ここまでの情報開示をするのだろうか』と。

一息置いて、最後の言葉を言う。

 

「ゼーレのサードインパクトの目的は、私たち人類の魂を一つに纏め上げ、新たな生命体へと進化させる計画よ。その時、私たちという個体は消滅する。それが、『人類補完計画』。エヴァンゲリオンはただの兵器じゃない、その計画の鍵を握っているわ。

そして、セカンドインパクトは…南極で見つかった最初の使徒『アダム』を卵に還元しようとし…インパクトを延引し、被害を最小限に防ぐためのものだった。」

 

[そして、碇指令の計画。それは綾波レイと、自身に宿したアダムを使って、補完の中で初号機と融合することにあるわ。当然インパクトが発生するから、他の人間は全員死滅するわね。]

 

「私はセカンドインパクトで生き残った人たちの『生きる希望』を…インパクトで命を失ってしまった人たちの『無念』を、無駄にはしないわ!!」

 

私の宣言に、部屋の人が静かになる。

 

「みんなに…いいえ、ここの職員だけでなく、たった15歳の子達にこんな重責を背負わせてしまっている。こんなバカな大人だけど、それでも…信じてくれるのなら……

私を、この情報を信じてくれている人だけ、この作戦に協力してください!!お願いします!!」

 

全員の前で深々と頭を下げる。私だって、父さんの無念を晴らしたいのは当然よ。でも、それ以上に…もう、彼ら(パイロットの子達)のような子を、これ以上増やしたくない。私たちのような、汚い大人に利用されることが、これ以上起こらないでほしい。その一心だった。

数秒経ってから、少しずつ声が上がってくる。

 

「俺だって大人だ。子供をただ見送るだけで死ぬなんて御免だ!!」

「ああ、ゼーレとかいう組織の計画を知った今、黙ってる事なんてできないよな!!」

「俺に出来ることなら何でも協力する!!」

 

「みんな…ありがとう!作戦の詳細な指示は追って連絡するわ。今日の最後の命令は同士を増やす事よ。少しでも賛同者を増やして。あなたたちのIDに、今回の作戦及び補完計画の全ての閲覧権限を与えてあるわ。みんな、お願い!」

 

「「「「「了解!!!」」」」」

 

 

 

 

 

-惣流・アスカ・ラングレー-

 

あの後の数日後、シンジとレイ、カヲルは改めて新しいプラグスーツを渡された。デザインはエイジやあたしのと同じタイプで、ヘッドセットも統一された。いつ敵が攻撃をしてくるかがはっきりしない以上、暫くはプラグスーツで生活する羽目になりそうね。

 

「なんだか、最初はこんな大事になるとは思ってなくてさ。大変なことになっちゃったね。」

「そうね。でも、あたしたちがやらなきゃ、人は滅びる。他人から洗脳されてると言われてようと、あたしはあたしの意思で戦うわ。それに…シンジ以外ともごちゃまぜになって一つになるなんて御免だし。」

「僕もだよ、アスカ。」

 

あたしたちは寄り添って、外側の耳にイヤホンをつけて一緒に音楽を聴いている。ジオフロントの人工的な夜景は、それはそれで綺麗だった。

 

「シンジ…気付かない内にけっこう背が伸びたわね。」

「そうかな?アスカも可愛くなったと思うけど。」

「あたしが可愛いのは元からよ。」

「ううん、前はもっとツンツンしてたじゃないか。今じゃ綾波を気遣う余裕もあってさ、そんなアスカ、好きだよ。」

「言うようになったわね?シンジ。男前になったじゃない。」

 

シンジの頭に腕を回して、キスをする。シンジも最近は慣れてきてくれたのか、あまり恥ずかしがらなくなってきた。

 

「シンジ…あたしって本当に、エイジの代わり出来るのかな。自信ないや。」

「アスカらしくないよ。それにさ、あの時の事なら…僕だって結局何もできてなかったよ。結局エイジ君が全部片付けちゃったし。アスカだけの負い目じゃない。」

「ほんと…?」

「うん、ほんとだよ。それにエイジ君も、『アスカがそんな事で気に悩む必要はない』って言うだろうしさ。」

「それはアイツの強がりよ。エイジが一番、あの時に辛かったんだから…。」

 

シンジは、その回答を聞いて苦い顔をする。

 

「また、少しの間だけでいいから…みんなと一緒に居たいのに…。どうしてこうなっちゃったんだろうね。」

「今度…謝りに行かない?私たち、だいぶエイジを追い詰めてたし。」

「…そうだね。」

 

「今日はもう寝ましょ?明日の訓練もあるし。」

「うん、部屋戻ろっか。」

 

 

 

 

 

-綾波レイ-

 

みんなはトリプルドッグの訓練をしているのに、私は未だに満足にエヴァとシンクロができない。何故か、参号機が怖い。

 

私は何者なの?

もう、それを私に教えてくれる人はいない。

なら、『彼女』の言う通り自分で導き出すわ。

 

「参号機コントロールジャック、開始。」

 

エヴァは、人の心を映し出す鏡。それなら、エヴァを通して彼の心を少しでも…。

シンクロは受け入れてくれた。参号機はどんな心を………え?

 

「何で…彼自身の心がそのまま流れてくるの…?」

 

違う、私はこれを見たい訳じゃない。エヴァの、参号機の心を知りたいのに、どんなに頑張っても彼の心しか見えない。彼の心を見ていると、ずっと自分の心まで締めつけれらていく。

 

 

 

自分を許してはいけない。自分は幸せになってはいけない。

皆を守る。例え自分がボロボロになって、動かなくても。

 

自分の過去のせいで、自分自身を罰する心。

 

 

レイに、もっともっと、広い世界を見せてやるんだ。

もっと色々な表情を見せてほしい。

幸せにしてやりたい。

 

『彼女』と出会って、少しだけ前向きになった心。

 

 

自分を深く理解してくれる人は誰もいない。

離れた所にいたトウジは助けられたのに、目の前にいたレイは助けられなかった。

もう味も、色も、痛みもわからない。

クロッシングで俺の存在を、もう肯定してくれない。

レイを殺そうとした、自分自身が許せない。

 

『彼女』を失って、また激しい自己否定を繰り返す心。

 

 

誰も、レイの死を受け入れてくれない。

俺から全てを奪った使徒が、レイから心を奪った大人が憎い。

使徒にこの怒りをぶつけられなかったら、この心はどこに吐き出せばいいんだ?

違う、これは罰なんだ。

俺が幸福を感じてしまった事への罰。

なら、最後に使徒を倒すって責任だけを果たして、いなくなろう。

 

 

 

彼はずっと、『彼女』だけを見ているハズなのに。なのにどうして―

 

「私を、最後まで認めてくれようとしていたの…?矛盾しているのに…『皆』の中に、私の存在が…。」

 

-違うわ。エイ君はあなたを、『私とは違う別個人としての綾波レイ』として生きてほしかったの。私自身に未練が残らないように。本当はね、私の部屋で彼と接触した時に私はそのまま消えるはずだったの。-

 

「でも…あなたはまだそこにいるわ。それはどうして?」

 

-私が、彼を苦しめてしまっているのがわかったから。その罪を、私が背負おうと思ったからよ。-

 

「どうしてあなた達はそこまでクロッシングにこだわるの?普通の人間なら、心の深部まで曝け出すなんてしたくないはず。」

 

-私たちなんて、既に普通の人間じゃなかったわ。でも、私たちは互いが人ならざる者ってのを受け入れ合ったの。だから、クロッシングも抵抗なく受け入れられた。あなたが彼とのクロッシングを怖がるのは、あなたが人間になれた証明。彼だって、あなたとのクロッシングは気を遣ってくれたでしょ?-

 

「私が、人間…。こんな欠けた心を持っているのに…。」

 

[総員、第一種戦闘態勢!地対空迎撃用意!]

 

「始まった…。」

 

私はシステムルームから出て、発令所へ向かった。

 

 

 

 

 

-葛城ミサト-

 

発令所には、4人のパイロットが並んで待機している。私の隣にはミチヨちゃんもおり、ここには今まで集めた全ての同志がいた。外部に少しずつ漏らしていった補完計画の情報も、何度もゼーレに揉み消されたが、そのたびにまた開示を進めていった。

 

「みんな集まってくれたわね。これから作戦概要を伝えます。

まず、地上での迎撃は一切行わないわ。私たちは戦自に対して積極的な反撃行為はしません。

その代わり、ここ本部は必ず死守します!

ジオフロントの本部周辺に等間隔にエヴァを配置、全機のATフィールドを互いに干渉・増加させ合って一枚の大きなフィールドを形成させます。それで基本的に通常兵器に対しては無敵になるわね。委員会が痺れを切らして量産機を投入してきたらこれらを全て殲滅するのよ。

最後に、碇シンジ、惣流・アスカ・ラングレー、綾波レイ、渚カヲル、影嶋エイジ。

あなた達に人を撃てとは命じないわ。エヴァンゲリオンのパイロットとして、為すべきことをしなさい!」

 

「「「「了解!!!!」」」」

 

彼らは走ってケージへと向かう。ここからはどれだけプロ集団を化かせるかの勝負ね…!

 

「本部防衛作戦開始!第一発令所へと通じる全通路に特殊ベークライト注入開始!!」

「了解、ベークライト注入開始確認!」

 

「非戦闘員は総員ドグマへと後退!ドグマと第二発令所、外部とのパイプも全て塞いで!何としても第二を袋小路にするのよ!」

「了解!」

 

「MAGIがハッキングを受けています!MAGIタイプ5基からの同時攻撃です!」

「リツコ!」

「わかってる、Bダナン型防壁の準備をするわ。これなら62時間は耐えれるから、後は外での活躍に期待ね。」

「ええ…。」

 

リツコは素早くキーボードを叩き、MAGIの防壁を展開していく。その間にも地上施設は攻撃を受けており、連絡所や兵装ビルが狙い撃ちされていく。

 

「都市の第5、第8兵装ビル損壊!爆砕ボルトにも点火されています!第7集光ビルも破壊されました!」

「了解。侵入ルート確認、エヴァ全機、ケージアウト!!後はミチヨちゃんを通じてアスカが指揮をお願い!」

 

[わかったわ!]

 

「戦自VTOL及び…陸上巡洋艦侵入!機体コード”トライデント”と確認!」

 

「相手もなりふり構ってられないから試作の陸上巡洋艦まで引っ張り出してきたのね…。ジオフロント内ではN²兵器も使ってくると予想されるわ、それの対応もお願いね!」

 

「侵入部隊、第一層に侵入!」

「外部からの通路は全て遮断!どんな手段を取ってもいいから、第二発令所方面へ誘導しなさい!」

 

まだ、ヴィレの協力を公にするような行動には出れない。この戦闘が終わるまでは、私たちの力だけで終えなければ…世界は滅びる。犠牲を極力出さない、全ての計画を頓挫させる、指令と副指令の拘束…。こんなことを同時にやるなんて、ほんとバカだと思うわ。

だからなのかはわからないけれど、自然に笑みが溢れていた。

 

 

 

 

 

-碇シンジ-

 

射出された初号機F型、弐号機F型、参号機、四号機はそれぞれ指定されたポイントへと向かう。やっぱりホバー機動はシミュレーションをやっていても難しい。楽々とこなすアスカはやっぱり凄いや。

 

[全機ポイントに到達したわね!これから全員の意思を繋げて、一つの巨大なフィールドを形成するわ!…クロッシングスタート!]

 

今、ここでエヴァを動かしている4人の意思が流れ込んでくる。互いが互いを認識できて、まるで4人が並んで操縦しているような感覚になる。

 

[行くわよ…スタート!!]

 

アスカの掛け声と同時に全てのエヴァがジオフロントの天井へと手を掲げる。同時に天井のガラスやビルが破壊され、空から戦自のVTOLが降下してくる。

僕らはATフィールドを展開して、降下部隊からの攻撃全てを防ぐ。ミサイルも、N²兵器もこれの前では意味がない。降下もできず、僕らのエヴァに対して有効打を与えられずでうろうろしているVTOLの背後から、巨大なロボットがジオフロントに侵入してくる。

 

[来たわね、戦自の問題児…。トライデントに対しても攻撃は絶対にしちゃダメよ!]

 

[全く…リリンも大層なものを作るね。ATフィールドには意味ないのに。]

[戦自には戦自なりのプライドってのがあるのよ。来るわ!!]

 

トライデント3機は僕らのフィールドの上に着地し、腕部のレールガンや機首の機銃、ミサイルで至近距離からの攻撃をしてくるが、それも一向に効果はない。しばらく攻撃をしていると、一体のトライデントがワイヤーを飛ばして初号機の掌へと接続する。

 

[接触回線オープン!シンジ君、それに乗ってるのはシンジ君よね!お願い、目を覚まして!早くそれから降りてよ!]

「その声…まさか霧島さん!?霧島さんなの!?」

[ああ…やっぱりシンジ君!早く、それから降りて!あなたはネルフの人たちに騙されてるのよ!?]

 

目の前のロボットから霧島さんの声がして、僕らに戦いをやめてくれって言ってるのか…?

 

「霧島さん、何を言って…!?」

[シンジ、耳を傾けちゃダメよ!真に受けたら今までの頑張りが全てパーだわ!!]

 

[惣流、お前まで…!]

[みんな、もうこんなことはやめよう!?僕らがどうにか頑張って上の人と掛け合うからさ!]

「ムサシにケイタまで…!?まさか、三人とも…!」

 

[…そう、私たちは戦自の少年兵。あなたたちのスパイをやっていたの。]

「そんな…三人が、スパイだったなんて…。」

 

初号機のフィールドが弱まり、その部分だけ抜け落ちて霧島さんが乗っているトライデントが僕の、初号機の上に降ってくる。

アスカは言葉に出て、綾波は何も言ってないけど感情から動揺していることが伝わってくる。怖いくらい何も思っていないのはカヲル君だけだ。

 

[どうしても降りないなら…実力行使しちゃうわよ。]

「どうして、こんな…。」

 

ジオフロントの破壊された天井には降下部隊は既に居らず、僕らエヴァ組と霧島さんらトライデント組だけが対峙していた。

 




クロッシングへの補足

エイジ君がやっていたクロッシング
・初期(2nd impressionパート以前まで)のクロッシング→ミチヨが受け取ったエヴァの視界を必要に応じて切り替えてエイジ君が受け取るシステム。この時点では痛覚や感情の共有はない。

・中期(バルディエル汚染以前まで)→エヴァパイロット全員が受け取った感覚、感情、痛覚をミチヨを通じてエイジ君が全て同時に受け取り、彼ら一人一人へと直接指示をするシステム。エイジ君はこの時点ではクロッシングを受信できても送信はできない。

・後期(バルディエル汚染以降)→エイジ君が自発的にエヴァパイロット全員との接続を同時にして、感覚、感情、痛覚全てを受け取り、彼らへ同時に直接指示を飛ばす行動。

アスカが今までやっていたのは中期を一人に絞ってやっていたのだが、それでも自分以外の人の思考が自分の中に直接流れていたため激しい負担になっていた。


今回初出の「双方向クロッシングシステム」について
・今までは上述のように、受け取る側が一方的に感情や感覚を押し付けられていた。
・しかし今回のシステムは「双方向」、つまり互いの存在を認識し合い、あくまでもパイロット二人の緩やかな繋がりを人数分増やすことで、実質的に全員の思考を共有をしている。


わかりやすく言えば、エイジ君のやっていることは聖徳太子(10人同時に問答するアレ)、アスカ達のやっていることは会議に近い。
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