ダンジョンにハジケを求めるのは間違ってるだろうか 作:お通しラー油
第11話
【ダンまち劇場 火曜サスペンス
オラリオ殺人事件
豊穣の女主人の涙が犯人の下へと導く
若き冒険者の命を奪った犯人の卑劣なる手口
敏腕探偵がこの難事件に挑む!!】
「唐突に何か始まってるぅ!!」
今日も冴え渡るベルのツッコミを他所に話は進む。
現場には刑事姿のボーボボに鑑識姿のアイズ。更には婦警姿の首領パッチと天の助が現場検証を行っていた。
「被害者はベート・ローガ。年齢二十台くらい。死因はところてんを喉に詰まらせての窒息死。推定死亡時刻はーーー」
「俺死んでねぇぞ!」
「るせぇ! 被害者は黙ってろ!」
「ごふっ!」
有無を言わさぬボーボボの鉄拳を喰らい倒れ伏すベート。そんな彼の周りを白チョークで囲っていく。
「なんて酷い傷だ。顔面を殴られている。これは相当被害者に恨みを持つ者の犯行と見て間違い無いな」
「いや、さっきあんたが思いっきり殴ったでしょうが」
「ボボボ警部! 被害者の遺体からこんな物が!」
鑑識をやっていたアイズがいつの間にかベートの服から一枚の紙切れを取り出していた。
因みにその時にちゃっかりベートの財布も失敬しているのだがそれはご愛嬌って事で。
「むむ! こ、これは!?」
「何て書かれていたのですか、警部?」
「いやぁん!パチ美こわぁい!!」
「天子もこわぁい!!」
そう言って身体をくねらせる非常食達。
はっきり言ってこいつらの方が遥かに怖い。
「これは、被害者のダイイングメッセージだ!」
「いや、そもそもベートさん死んでないって」
横でベルが否定するもの相手にされず茶番は続けられる。
「ここにはこう書いてある。【ダンまち四期決定!】とーーー」
「な、なんだってぇ!?」
あまりの衝撃に顔に影が入り凄まじいまでの濃い顔になるアイズ。
「え? そんなに驚く事なの?」
「馬鹿な! 早過ぎる。まだ三期終わったばかりなのに。これでは、制作期間が間に合わなくてスケジュールがカツカツになって要所要所はぶられて削られまくって結果的に原作読んでないと内容が伝わらない手抜き作品になってしまう!」
「今すぐ制作スタッフの皆さんに土下座してこい! あんた何とんでもない事口走ってんだ!」
流石にそれにはベル君も激おこプンプン丸であったそうだ。
「はぁ、それでそのメッセージがどうダイイングメッセージになるんですか? まぁ、ベートさんは死んでないんですけども」
「簡単な事だ。これはつまり。【レギュラーキャラを削除して第四期で次期レギュラーを獲得しようぜヒャッハー!】と言う犯行動機の下行われた密室殺人だ」
「全然密室じゃねぇしそもそもレギュラーキャラ取りたいなら別の人でしょうが!」
「おいおい聞いたかよ。あいつベートがまるでレギュラーキャラじゃないって言ってるぜ」
「マジでひでぇよなあいつ」
「自分が主人公だからって有頂天になりやがって」
ここぞとばかりにネチネチと陰湿な言葉を投げ掛けてくる首領パッチと天の助の二人。
思わず怒りに任せて蹴り飛ばそうかと思ったがやめておいた。
そんな事をしたらこいつらの思う壺だ。
僕はあくまで普通の冒険者を目指してるのだからここで奴らに突っ掛かるわけにはいかない。
「制裁!」
「「ぎゃーーーーー!!」」
そこへ突如白髪の老人のコスプレをしたアイズが杖を振り回して襲いかかって来た。
その際に間近にいた首領パッチと天の助は諸に巻き込まれてしまい杖によるメッタ打ちを食らってしまった。
アイズが落ち着く頃にはボロ雑巾のようにズタボロにされた二人の姿があった。
「何その格好?」
「王とは常に傲慢でなければならない。故に王は我慢などせん。常に我儘に、常に貪欲に、それが王というものだ!」
「誰のセリフだよそれ!?」
完全に別キャラになってしまったアイズにベルもどう接すればいいのか対応に困ってしまった。
「このメッセージから容疑者はだいぶ絞られるな」
「ってかあんたはまだ刑事ネタやってたのかよ!」
周りがカオス一色に染まる中ボーボボだけは平常運転で刑事をやっていた。
ボーボボ刑事の推理の元リストアップされた犯人と思わしき人物は次の通りとなった。
・フィン・デュムナ
・テァオネ・ヒリュテ
・ティオナ・ヒリュテ
・ガレス・ランドロック
・レフィーヤ・ウィリディス
・リヴェリア・リヨス・アールヴ
・ロキ
・アイズ・ヴァレンシュタイン
・ベート・ローガ
・ベル・クラネル
・ボボボーボ・ボーボボ
・首領パッチ
・ところ天の助
・ところ天の助
・その他大勢の冒険者達
以上がリストアップされた容疑者たちである。
これを見た皆の反応はーーー
「「「あれれぇぇ?? 僕達、私達の名前があるぞぉぉ!!」」
だった。
「しかもなんで俺だけ二個も名前あるのぉ?!」
「って言うかなんで俺まで容疑者扱いしてんだよ! 俺寧ろ被害者だぞ! ってか俺が死んだ体で話進めてる癖になんで俺まで犯人扱いしてんだーーー」
「お黙り!!」
「ぐべぇ!!」
必死のベートの抗議も虚しくボーボボの平手打ちの前に一蹴されてしまった。
倒れ伏すベートの遺体にアイズか涙を流す。
「酷い。顔の右半分が水膨れみたいに膨れて・・・ぷぷっ!!」
「何で笑えるのこれ見て」
余りにも悲惨なベートの顔を見て噴き出すアイズにベルはとてつもない不安を覚えたと言う。
「さて、この中から犯人を決めるんだが、もう面倒だからくじ引きで決めるか」
「「「何でだーーーーー!」」」
あまりにもいい加減なボーボボのやり方に文句を言う一同だったが、有無を言わさぬボーボボの前にやむ無く従うことになった。
そうして一斉にくじを引いた結果ーーー
「ぼ、僕のだけ違う・・・」
当たりを引いたのはロキファミリア団長のフィンだった。
「まさかお前が犯人だったとはな」
「ち、違う! 僕は何もやってない! そもそもくじ引きで犯人を決めるなんて無茶苦茶ーーー」
「言い訳してんじゃねぇ! 鼻毛真拳奥義【遠くまで聞こえた君のゲップ】」
「ぎゃぁぁぁぁーーー!!」
有無を言わさぬ鼻毛制裁の前に敢えなく力尽きるフィン。
こうして、事件は幕を下ろすかと思われたのだがーーー
「さてと、それじゃ予行練習はこのくらいにして本番行くか」
しれっとそんな事を言って再開するボーボボ。
「こ、これ予行練習やったんかぁ?!」
「じ、じゃぁフィンにやったあれはいったいなんなんだ?」
「ん? ただの憂さ晴らし」
「「「こいつ最低だぁぁぁぁーーー!」」」
ただの憂さ晴らしの為にボコボコにされたフィン哀れ。
しかしここはダンまちの世界であってダンまちの世界にあらず。
ダンまちの世界とキャラにボーボボのキャラと設定が強引に捩じ込まれた理不尽とカオスが入り混じった闇鍋のような世界なのだ。
故にこの世界ではまともな奴ほど雑な扱いを受けることになる。
「げぇ! 今度は俺かよ!?」
今当たりを引いたベートのように。
「次は貴様か?」
「ちょっと待て! なんで被害者でもある俺までくじ引かなきゃなんねぇんだよ!」
「ごちゃごちゃうるせぇ! 鼻毛真拳奥義【夕方6時から鳴るモーニングコール】」
「ぎゃぁぁぁぁ! それもうモーニングじゃねぇぇぇーーー!!」
「ベートさぁぁぁぁん!!」
ベルの目の前で唯一まともだった冒険者ベートが倒れ伏す。
「しっかりしてください!」
「ち、畜生。どいつもこいつもハジケやがって・・・まともなやつはお前だけかよ」
「えっと、そうみたいですね」
「た、頼むぜ・・・お前の手で・・・このふざけた世界を・・・元に・・・ぐふっ!!」
「ベートさぁぁぁぁぁーーーん!! 多分死んでないと思うけどベートさぁぁぁぁーーーん!!」
ベルの目の前でベートは力尽きた。彼にとって唯一初めて出会ったまともな冒険者であったのに。
哀れベート・ローガ。この世界がダンまちメインの世界であったならこんな扱いを受けなかっただろうに。
「さて、次だが・・・もう面倒だからお前ら全員犯人で良いや」
「「「なんだそれぇぇぇ!!」」」
「喚け喚けぇ! 所詮この世は弱肉強食!強い奴が正義なんだよ! 鼻毛真拳奥義ぃぃぃぃ!!」
「「「ぎゃぁぁぁぁぁーーーー!!!」」」
最早やりたい放題だった。
ボーボボが繰り出す鼻毛の一撃にロキを含むロキファミリアの団員ほぼ全員が漏れなく滅多撃ちにされて倒れ伏す。
ちなみに何故か天の助だけは念入りにボコボコにされてた。
「何で俺だけぇぇぇぇーーー!!」
「特に理由はない(キリッ」
天の助の悲痛の叫びも虚しく容赦なく襲いかかる鼻毛の群れに対抗策などあるはずも無くことが終わった後にはバラバラにされた天の助のそれが転がってるだけであった。
「くっ、残ったのは私達だけか」
「うん、まぁ、そうだね」
最終的に残ったのはベルとアイズの二人だけであった。
そんな二人にボーボボは容赦なく迫ってくる。
「ぐふふぅ。あとはお前らを倒してこの事件は解決だぁぁ〜」
「最早これが事件だよ!」
「げびゃびゃ!! この名探偵様の手にかかればどんな難事件も解決してやるよぉ!!」
そう言って手にしたナイフに舌を這わせるボーボボ。
その姿は探偵というより寧ろ犯人の方が合ってた。
「それもう探偵じゃなくてあんたが犯人だよ!」
ベルもそう言っていた。
「なにぃ! 何故俺が犯人だと分かったんだ!?」
「そりゃあんたがそうやって暴れ回ってるからだろ! 誰が見たって犯人はあんただよ!」
「そ、そんなぁぁぁぁ! 俺の完全犯罪がぁぁぁぁーーー!!」
「あんたは探偵なのか犯人なのかどっちなんだよ!」
ベルの名推理の前に馬脚を表すことになってしまったボーボボ。
するとボーボボの体が突如溶け出し始めた。
「はぁぁ!? と、溶け出したぁ!?」
「む、無念だ。この俺は完全犯罪を妨害されると体が溶けてしまうと言う呪いを受けていたのだ!」
「何だよその意味不明な呪いは!?」
「おじ様!!」
またしても対応に困ってたら今度はアイズが溶けかけてるボーボボの前にやって来た。
そして溶けかけたボーボボの手を握る。
「すまないアイズよ。お前を守ると約束したというのに。俺はどうやらここまでのようだ」
「いや! そんなのいや! おじ様と離れるなんて! 私は嫌だよ!」
「え? 何これ? 急に感動シーン入れられても全然感情移入出来ないんだけど」
話に全くついていけてないベルを他所にアイズとボーボボの感動シーンは続いていく。
「アイズよ。強くなれ! 誰よりも、この俺よりも強くハジケまくれ! そして掴むんだ! 栄光のさばの味噌煮缶を」
「うん! 私やるよ! 必ず掴んで見せるよ」
「いや、買えよそれくらい」
「期待・・・してる・・・ぜ」
その言葉を残し、ボーボボは完全に溶けてその姿を無くしてしまったのであった。
「おじ様! おじ様ぁぁぁぉぁぁーーー!!」
叔父であるボーボボの死に涙するアイズ。彼の死が彼女をより強き冒険者へと誘う事であろう。
・・・多分。
「そこはハッキリしろよぁぉぉ!!」
ボーボボ亡き今、オラリオに迫る魔の手が・・・あるかもね〜