ダンジョンにハジケを求めるのは間違ってるだろうか   作:お通しラー油

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気が付けばこんなに空いてしまった。
誠に申し訳ないです。


第18話 衝撃のパワーアップ!? ご使用は計画的に 

 いきなり現れた魚雷先生に引きづられる形で見知らぬ場所に放り出された僕たちの前には同じように連れて来られたと思われるロキファミリアのアイズさんともう一人ベートさんがいた。

 

「あの・・・アイズさん・・・その格好は?」

 

「パジャマだけど」

 

 さも当たり前のように答える彼女だけどその格好のどこがパジャマなのか問いただしたい。

 明らかに昭和世代のディスコ辺りでフィーバーしてそうな格好をパジャマと豪語してる辺り本当にその格好で寝てるのだろうけどもどう見ても寝難そうなんだけど。

 

「因みに、私のパジャマはスケスケのネグリジェよん」

 

「私も」

 

「お前らには聞いてないよ」

 

「「ガーーン!!」」

 

 なぜか張り合ってくる首領パッチと天の助の二人の言葉をその場でバッサリと切り捨てる。

 こいつらと関わってたら余計に時間が掛かってしまう。

 そんなことよりも、まずするべきことが僕にはあった。

 

「ベートさん! 大丈夫ですか?」

 

「ぶはっ!! 死ぬとこだった!!」

 

 何故か縛り上げられてるベートさんの拘束を解いた僕は、何故ここにいるかを聞く事にした。

 アイズさんに聞いたところでまともな答えなんて返ってくる筈がないのでまともの人に聞くのが一番まともだと思えたからね。

 

「ほらほら! 女王様の鞭が欲しいのかぃ? なら豚のようにブヒブヒとお泣きぃ!」

 

 そんなベートさんに向かいSM女王の格好をした首領パッチが鞭を振るって来ていた。

 拘束されていた時なら反撃出来なかっただろうけど、今は僕が拘束を解いてしまったので。

 

「要るかそんなもん!!」

 

「ブッヒィィーー!」

 

 豪快に殴り飛ばされていた。まぁ、あんな事すれば当然だろうねぇ。

 

「全員目が覚めたようギョラね?」

 

 特徴的な語尾で話す存在に気付き皆の視線がそちらに向く。

 そこには手足こそ美女のそれだったがそれ以外が全て鉄製の流体状の形で作られていた。

 分かりやすく言えば【魚雷】に手足が生えたような姿だった。

 

「なんだてめぇ? さては新手のモンスターか!?」

 

「誰がモンスターじゃボケェ!!」

 

 怒号と共に失礼な発言をしたベートの顔面に見事なニーキックが見舞われる。

 

「ぶほっ!!」

 

 美脚によって鼻を凹まされ呻きながらのたうち回る。相当痛かったらしい。

 うん、アレは痛いよ。うんーーー

 

 そんな風に痛がるベートを見ていると、近くで首領パッチと天の助の二人、さらには何故かアイズさんまでもが顔を青ざめて震えていた。

 

「はぁ!? ど、どうしたの一体!?」

 

「あのお方は・・・間違いない! あの時のーーー」

 

 アイズの脳内に蘇る悍ましい光景。

 それは、彼女が幼少期の頃に起こった出来事だった。

 棒切れ片手に遊び回っていた彼女の目の前の地面からニョキニョキと何かが姿を現す。

 それは、一匹のミミズだった。

 ミミズはアイズを見てこう言って来た。

 

『大人になれ! されど子供らしさを忘れるな!』

 

 そう言い残し、ミミズは通り掛かった雀に加えられて連れ去られてしまった。

 以上、回想終わりーーー

 

「いや、1ミリも魚雷関わってないじゃないですか!! ただミミズが言葉を発して雀に喰われただけじゃないですか!!」

 

「あの日を境に、私は剣姫と呼ばれるようになった」

 

「呼ばれんの早いなおい! 幼少期からあんた剣姫だったの!?」

 

「違う、私の幼少期はこうだったーーー」

 

 再度回想に入ります。

 

 全銀河支配を目論む帝国軍に反乱軍は劣勢を強いられていた。

 そんな中、この劣勢を挽回できる超兵器が完成したのだった。

 

【隊長、これこそが!?】

 

【そうだ、これこそが我が軍の最終兵器、剣姫だ!】

 

 そこには全高200メートル。総重量0.2トン。無敵の強さを誇るスーパーロボットの姿があった。

 そのロボットの名は、剣姫ーーー

 

「最早人間ですらねぇぇーー!」

 

 滅茶苦茶な回想にツッコミを入れざるを得ないベルのツッコミは今日も冴え渡っていた。

 

「ふざけすぎぃーー!」

 

「げぼぉ!!」「ごふぅ!!」

 

 そんな二人を容赦なく魚雷の突撃が襲う。突然の襲撃に対応など出来るはずも無く二人揃って跳ね飛ばされてしまった。

 

「あんた達ふざけ過ぎよ! おふざけは許さないって先生言った筈よ!!」

 

 大層お怒りのご様子な魚雷。その怒りの矛先は次に首領パッチと天の助の二人に向けられた。

 

「あなた達【ギロリッ」

 

「は、はいぃ!」

 

「ぼぼ、僕達は全然ふざけてなどいませぇん!」

 

「今更遅ぉぉい!」

 

「「ぎゃっ!!」」

 

 すでに承知のことらしく、言い訳する暇もなく魚雷の突撃をモロに喰らう非常食達。

 普段からふざけまくってたんだしそんな言い訳で乗り切れるはずがなかった訳でーーー

 

「ざけんな! 勝手に俺達をこんな訳の分からねぇとこに連れて来やがって! ぶっ殺してやる!」

 

 鼻先が真っ赤に腫れ上がりながらも殺意増し増しなベートが魚雷ガールに向かい挑み掛かった。

 だが、そんなのでどうにかなる程魚雷ガールは甘い相手ではない。

 

「生意気言ってんじゃねぇよ三下が!!」

 

 ってな具合に雑魚敵を無双ゲーみたいに蹴散らす感覚で蹴り飛ばしてしまう。そのついでに近くにいた首領パッチや天の助、更にはアイズやベルすらも諸共に蹴り飛ばしてしまった。

 

「な、なんで僕らまで・・・」

 

「私に意見しようなんて100年早いわ! てめぇら纏めて再教育じゃボケェ!!」

 

 こうして、魚雷ガールの愛情のたっぷりこもった教育と言う名の苛烈な拷問は始まるのだった。

 少しでも意見しようものなら有無を言わさず無慈悲な突撃を喰らい、化粧のノリが悪いと八つ当たり感覚でこれまた突撃を喰らい、星占いでいい結果が出ないとやっぱり突撃を喰らう。

 そんな過酷な日々が続いたある日の事だった。

 

「はぁい、先生飽きたから今日の授業はここまで! あとは各自自習しておく事。わかったギョラね?」

 

『はい! 先生!!』

 

 皆が一丸となってそう答えた。一刻も早くこの無限地獄から解放されたい。

 その思いからか皆の団結はファミリアの垣根を越える素晴らしい結果を招いていた。

 

「誰が先生じゃゴラァァ!!!」

 

「「「ぎゃぁぁーーーー!!」」」

 

 その結果、魚雷ガールの渾身の突撃を喰らってぶっ飛ばされる羽目になったのだがーーー

 

***

 

「ひ、酷い目にあった・・・」

 

 数々の苦難を乗り越えてようやく慣れ親しんだホーム(無敵要塞ザイガス)へと帰還することが出来たベル。

 付近ではまたしても攻略しようと挑んだは良いものの見事に返り討ちに遭い打ち捨てられた冒険者達の姿がちらほら見受けられたが、それも何回か目撃すると見慣れてしまうようで今ではすっかり様式美としてしか見なくなっていた。

 

「ただいま戻りました!」

 

「お帰り、ベル君!!」

 

 このやり取りももうお馴染みと化していた。

 ホームに帰ればベルにとっての心の癒しとも言える主神ヘスティアが待っていてくれてる。

 それだけでも今日を無事に乗り越えられた事を感謝したくなってしまう。

 因みに首領パッチと天の助の二人もすでに帰ってきていたようだが、こいつらは背景と思って視界に入れないようにしている。

 見たってなんの特にもならない奴らだし。

 

 そんな具合に今日の成果の確認も兼ねてのステイタスの更新を行うこととなったベルとヘスティアの二人。

 何気にこの瞬間がベルにとって至高の瞬間なのは言うまでも無い。

 

「ん!?」

 

 何時もなら何事もなく終わる筈の中で、ヘスティアが何かに気付いたのか声を上げた。

 ステイタスの変化に驚いたからだろうか?

 そう思えたがそんな事でいちいち驚くようなステイタスでは無いことはベル本人が分かってる。

 だって数値が意味不明になってるんだし。

 

「どうかしましたか?」

 

「ベルくん、君どこかで魔法書でも読んだのかい?」

 

「いいえ。それが何か?」

 

「君、魔法覚えてるよ」

 

「なんですと!?」

 

 ヘスティアのその言葉に思わずベルもまた声を出してしまう。

 事実を確認する為に更新したステイタスを写してもらいそれを見る。

 まさか、まさか冒険者になって間もない身の自分に魔法が付与されるとは!?

 期待を胸にその写しに目をやる。

 

 

 

 

『ベル・ダイナマイト』

 

 効果:投げると大爆発します♡(取り扱いにご注意を)

 

 

 

 

「・・・・・・・・・・」

 

 期待していた分、目の前に映し出された結果にベルの絶望感は上乗せされた。

 間違いなくさっきの魚雷ガールのせいだと確信が持てた。

 しかも魔法と謳っておきながら投げると大爆発するとか、これを果たして魔法と分類して良いのだろうか?

 判断に困る中、ベルの脳裏に一つの不安がよぎった。

 もしも、もしもこれをあの二人が見てしまったらどうなるだろうか?

 そう考えただけで背筋が凍りつく。

 急いでこの結果を抹消しなければ。  

 

 そう思い立とうとしたベルの体は、首領パッチと天の助らの手によってグルグル巻きに梱包されてしまっていた。

 

「んな!? いつの間にぃ!!」

 

「ベルダイナマイトとか面白そうじゃん!!」

 

「物は試し物は試し! 適当なとこに投げてみようぜぇ!」

 

 と、こんな具合に悪ノリしだす非常食達。

 懸命に拘束から逃れようともがくもその努力も虚しくザイガスの砲塔に押し込まれてしまった。

 

「止めろ! 出せ! ここから出せぇ!!」

 

「発射!!」

 

「ラジャ!オケェイ!!」

 

 ベルの言葉など一切耳を貸す事なく無情にもそれは放たれた。

 砲塔から勢いよく射出されたベル。

 彼の放つ断末魔の叫びも爆音の中では掻き消されてしまっている。そうして、彼の落着地点には何処か見覚えのある店が営業していた。

 

「あ、あの店は!? ほ、ほうーーー」

 

 その日、豊穣の女主人と言う店がオラリオの町から跡形もなく消え去った。

 その翌日には、跡地の上に『豊穣の女主人MK2』が新たに営業をしていたのであったそうだ。

 尚、この事件は後に『流れ星爆破事件』と命名され、多くの謎を残す奇妙な事件として歴史に名を残すこととなるのだが、その事件の犯人は未だ判明していないとのことーーー

 

***

 

 流れ星爆破事件から数日後、オラリオの街は活気に満ち溢れていた。

 と言うのも、今日はガネーシャファミリア主催で行われる年に一度の怪物祭の日だからだ。

 街中お祭りムード全開であちこちで呑んで謳って食べて暴れてハジケまくっての大騒ぎとなっていた。

 それこそ、祭りの最中でモンスターが街中を闊歩してても誰も気にしない程に盛り上がっていたのだった。

 

「いや、そこは気付こうよ!!」

 

 今日もまた、ベルのツッコミは冴え渡っているみたいだった。

 とは言え、既に首領パッチや天の助と言った人外な連中がうろついてる昨今、今更モンスターが街中をうろついてたところで誰も気になんてしてない様子だった。

 今も、ベルの目の前では一体のミノタウロスが出店でイカ焼きを買ってたりしてる位だし、普通なら大混乱になる筈なのだが、この町の住人達はそれ程までにハジケリストのスキルにどっぷり浸透してしまってるようだ。

 

「ブモーーー!(イカ焼きうめぇ!!)」

 

「ブヒブヒッ!(次は豚串食いに行こうぜ!)」

 

「ゴブゴブッ!(ってか、それ共食いじゃんww)」

 

 目の前をミノタウロス、オーク、ゴブリンらが通り過ぎて行ったが街は至って平和そのものだった。

 違和感を感じているのはベル一人だけのようだ。

 

「疲れる・・・」

 

 モンスターが普通に街を歩く光景に異様さを感じながらも出来る限りスルーを決め込む事にした。

 何でもかんでもツッコミを入れてたら疲れるからね。

 

「ねぇねぇ! 僕わたあめ食べたい! パパ買ってぇ!」

 

「僕はところてん食べたいよぉ! パパ買ってよぉ!」

 

「自腹で買え。それと僕はお前らのパパになった覚えはないからな」

 

 ベルのすぐ脇で悪質な集りをしようとした首領パッチと天の助ら二人を軽くあしらう。

 最早こんな程度ではいちいち動じなくなってしまった。

 

「クリップ入りご飯ウメェー! グハッ!!」

 

「やっぱ今時のトレンドはクリップ入りご飯だよなぁ! ガハッ!!」

 

「占ってやる! お前のあんな事やこんな事もれなく全部占ってやる! でも俺漢字読めなかった・・・チクショーー!!」

 

「朝食はパンだよなぁ! 米なんかじゃ無くてパンだよなぁ!?」

 

 気にしないでいるつもりだったのに今日に限っては周りが異常なまでにハジケまくってる有様だった。

 そんな中で1人全くハジケてないベルの場違い感と言ったらもう目も当てられない程だったと言う。

 

「帰りたい・・・」

 

 心の底からそう思ってしまった。しかし、今日に限ってはそう言う訳にはいかない。

 何故なら今日この日はベル・クラネルにとって最悪と最高が同時にやって来た日でもあったのだから。

 

「ヤッホー! ベルくん。待ったかな?」

 

「ご心配なく、神様。僕も今到着したばかりですので」

 

 そう、今日は祭りを楽しむと言う名目の下主神ヘスティアとデートを楽しむ日でもあったからだ。

 前回の食事の際には多数の妨害があったせいでロクな結果を出せなかったが、今回こそはこのチャンスを物にして見せる。

 密かにベルの内に炎が湧き上がって来ていた。

 

「それで、どこへ行きましょうか? とりあえず出店巡りにでもフォオウゥ!!」

 

「う〜ん。僕は何処でも良いよ。ベル君と一緒なら何処行っても楽しいからね」

 

 そう言ってベルの腕にしがみついてくるヘスティア。

 男としてこんな事されて平静を保てるはずが無い。

 間違い無く後先考えない飢えたけだものに成り下がる事間違いない。

 しかし、そこはベル君。顔を真っ赤に染めながらも懸命に堪えている。

 

(落ち着け! 落ち着くんだベル・クラネル! まだデートは始まったばかりなんだぞ! こんなとこでハッスルなんてしたらそれこそムードぶち壊しになってしまう! 落ち着いて昨晩までに練り上げた至高のデートプランを実行するんだ! 誘惑に負けちゃ駄目だ! 気をしっかり持つんだ! 頑張れ僕!)

 

 結構いっぱいいっぱいな様子だった。

 

「ベルきゅ〜ん。パチティアもベルきゅんとデートがした〜い♡」

 

「プルティアもデートがした〜い〜♡」

 

「失せろ、非常食風情が!!」

 

 ヘスティアの格好をして悩殺ポーズからのピンクボイスにて誘惑を図った首領パッチと天の助ら非常食コンビだったがそんな二人に対して情け容赦なく一切の慈悲も同情もなく蹴り飛ばすベルくん。

 宙高く蹴り飛ばされ「ぐばぁ!!」と吐血しながら地面に叩き付けられる。

 

「ひ、酷いよベルきゅん! もうパチティアの事嫌いになっちゃったの?」

 

「黙れ! お前が神様の格好をする事自体僕は許せないんだよ! 今すぐその格好をやめろ! 目に毒だ!」

 

「それじゃ僕はどうかな? ベルきゅぅん?」

 

 そう言って今度は胸の辺りにゴム鞠を挟み込んだプルティアこと天の助が悩殺ポージングからのピンクボイス攻撃を行ってきた。

 流石にこれにはベルも堪えたらしく、何処からか火炎放射器を持って来て非常食のコンビに目掛けて全力噴射しだしたのだった。

 

「汚物は消毒じゃぁぁーーー!」

 

「「ぎゃーー!! 帰ったらうがい手洗いを忘れずににぃーー!!」」

 

 ベルの怒りの感情も篭めて念入りに黒焦げにしていく。

 そうして、見事な備長炭に仕上がったところで火炎放射器をその場に捨てて何事もなかったなのように振る舞いだす。

 これで邪魔者はいなくなった。後は予定通りヘスティアとのデートを楽しむのみ。

 そう思い振り返った先には、ついさっきまでいた筈のヘスティアの姿が忽然と無くなっていた。

 

「へ? えぇ!? 神様!? 何処ですか!?」

 

 辺りを見回して急いで探す。もしかして怒って帰ってしまったのでは?

 そんな不安が頭の中を過ぎる。

 焦りの中必死に辺りに目を凝らした結果、見つけることが出来た。

 そこには、変わらず元気な姿のヘスティアが全身白毛のゴリラのような大猿のようなモンスターに連れ去られている光景が見えていた。

 

「ベルくーーん! ヘーーールプ!!」

 

「んなぁぁぁーーーー!!!」

 

 突然の展開に全く追い付けていないベル・クラネル。

 果たして、彼のデートプランは無事に達成できるのか!?

 そして、出店のくじ引きの当たりくじは本当に存在しているのだろうか!?

 

「いや、くじ引き関係ないからぁぁーーー!!」




怪物祭の前に魔法を覚えてしまった。まぁ早々使うような魔法じゃないだろうから平気だよね
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