ダンジョンにハジケを求めるのは間違ってるだろうか 作:お通しラー油
その日、オラリオの街上空に一筋の流星が目撃された。
突如出現したその流星は多くの人々に目撃される事となり、ある者は新たな戦乱の予兆に全身の筋肉が強張る者もいれば、またある者は我関せずと、その日を懸命に生きており、またある者はその存在に気づかずにダラダラ過ごしていたり、またある者はその存在に気づかずに食事に夢中になっていたり、またある者はその存在に気づかずに床に落ちている小銭を拾おうとしていたりーーー
と、このようにオラリオの街全体のおよそ2割の住人がその存在に気づき、7割の人間がその存在に全く気付いていなかった。
そして、残りの1割はと言うとーーー
「こんな時間に流星なんて素敵だわぁ」
「モブ子、結婚しよう!」
「も、モブ男さん!!」
残りの1割はその流星の存在を利用してプロポーズし、見事カップリングに成功したと言うそうだ。
そんな事があって、この日をのちに【愛の告白の日】と認定され、その日に告白すると成就すると言う噂がオラリオの一部にて広まったのだそうな。
***
僕がオラリオの街に降り立った日が後に愛の告白の日と呼ばれてる事を知ったのはわりと後の話になる。
その時の僕はと言うとーーー
「死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬぅぅぅぅーーー!!!」
割とリアルに死にかけてました。
だってあの魚雷先生が用意したロケットに身一つでロープによって括り付けられてるわけだから諸にGが掛かっちゃってあの時は本当に死を覚悟したほどだったな。
『間もなく、オラリオ上空に到達致します。5秒後にベル・クラネルを投下致します』
なんかロケットからアナウンスが聞こえてきたがとても反応してられる状況じゃない。
でも、もう間も無くオラリオに着くって聞こえたからきっともうすぐ着ける筈だ。
でも、聞き間違いじゃなければさっき『ベル・クラネルを投下します』って言ってなかった?
一体どうやってーーー
ブチンッーーー
僕を括り付けていたロープが突如音を立てて千切れた。
そしてそのまま僕は重力の流れに従って真っ逆さまに落ちていくことになった。
「ぎゃあああああああーーーーー」
恐怖の余り大声を張り上げるも、それを聞き届けてくれる者など誰もおらず、僕はオラリオの街中にある割と大きめな広間の真ん中に墜落することとなった。
因みに僕をここまで連れてきたロケットは僕を切り離した後その場で旋回して帰っていった。
帰り際に『帰っておやつ食べよぅっと』と呟いていたのも聞こえた。
そんなこんなで本来なら馬車に乗って一週間くらい掛かる距離を僅か5分で到着する事ができた。
でも、もう二度とあのロケットには乗りたくはないなぁ。
***
僕がこの街に来た理由。冒険者になる為にはまずこの街を拠点としている【ファミリア】と呼ばれる冒険者団体に入団しなければならない。
そこで僕は早速手近なファミリアを訪問する事にした。
「すみませぇん!ファミリア入団に来ましたぁ!」
入り口前に立ち大声を上げる。すると、扉が音を立てて開いた。
この後は軽い顔合わせをした後に入団出来る。
そう思っていた僕の前に現れたのは奇妙な姿をしたおっさんだった。
全身ピンク色のタイツを着た明らかに常軌を逸してるとしか思えないおっさんがまっすぐこちらを見ていた。
「あ、あの・・・にゅ、入団希望・・・したいんですけど・・・」
「・・・・・・」
おっさんから帰ってきたのは沈黙だった。ここでもし否定されるのなら諦めて新しいファミリアを探すのだが沈黙な為に良いのかダメなのかさっぱり分からない。
対応に困ってしまったなぁと思ったその時、おっさんは動いた。
「N!! アンド・・・」
「・・・へ?」
突然意味不明な言葉が発せられた。
当然僕は反応など出来ずに目が点になってしまった。
「N!! アンド・・・」
「えと、な、何ですか?それは・・・」
訳が分からず思い切って質問してみたところ、おっさんは何故か深いため息を吐いて僕の方を見てきた。
「帰れ!お前みたいな奴家には要らん!」
「えぇぇぇ!!?」
訳が分からないまま僕は門前払いされる事となった。
一体何がいけなかったんだろうか?
ここで悩んでても仕方ないので諦めず他のファミリアへと入団希望しに行く事にした。
結果は散々だったーーー
「兄ちゃん、舐めてもらっちゃ困るよ。あんたみたいなのお断りだよ!」
と言って断られーーー
「何?あんたそんなので冒険者やろうとしてんの?マジ受けるんですけど!あ、因みに家は駄目だから。他所行ってね」
と言って門前払いされーーー
「君さぁ、冒険者舐めてるの?悪いけどやる気のない子は要らないよ」
と言って締め出されーーー
「ウキウキウキキィ!ウッキッキィィ!!」
と猿にまで拒否されーーー
「クマクマグママァ!グマグマクマグマァァ!」
と熊にまで拒否られーーー
「#/&@?!☆♪→¥€$%#°〒〆々」
何言ってるのか分からないけど拒否られてるのだけはなんとなく理解できたーーー
「はぁ・・・何処も駄目かぁ・・・一体僕の何がいけなかったんだろう?」
既に町の主だったファミリアには訪問したのだが、どこもすぐに門前払いされてしまった。
一体何がいけなかったんだろうか?僕が貧弱そうだから?
でもそれだけにしては皆僕の体つきを見ると言うより別の何かを見ていた気がする。
後、入り口前で皆変な奇声とかあげたり妙な踊りをしてたりしたけどあれは一体なんだったんだろうか?
しかも、それに反応しないでいるともれなく門前払いされるし、反応したとしても「嘘をつくな!」と怒られて結局門前払いされる。
一体アレに何の意味があったんだろうか?
そんなことを考えながら途方に暮れていた時ーーー
「ねぇ、そこの君!」
「え?」
突然呼び止められた。振り返ると其処には一人の少女が居た。
黒髪のツインテールのなんとも不思議な感じの人だった。
「君さぁ、もしかして冒険者?」
「えと、まだですね。入団希望したんですけど、どこも断られてばかりでーーー」
「じゃぁ、君もしかしてフリーなんだね?!」
「えと、そうですけど」
「なら話が早い!僕のファミリアにおいでよ!君なら大歓迎さ!」
「ほ、本当ですか?」
正に捨てる神あらば拾う神ありだ。
僕は藁にもすがる思いで彼女について行く事にした。
ついた先は一軒の雑貨屋みたいな場所だった。
かなり年季の入った店みたいで他の店と比べても二回り近く古臭い。
「何を売ってるんだろう?」
気になったので店内を覗いてみた。
中に置いてあったのはアフロのカツラだった。
他にもアフロのカツラがあってアフロのカツラがあってアフロのカツラがあってーーー
要するにアフロのカツラしか無かった。
「こんなの売れるのか?」
疑問に思ったがとりあえずは放置することにした。
彼女が連れてきたのは店の裏側にある四角い木造の簡素な小屋だった。
どうやら彼女のファミリアは今までのと比べてかなり小さいようだ。
しかし、今更他のところに行ったって入団させて貰える可能性なんてないのだからここで妥協するのが一番だと思い、彼女に続いて家屋の中へと入った。
「フェスティバ〜〜ルフェスティバ〜〜ル」
「ぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬ」
其処に居たのは半違いなテンションで騒ぎまくるオレンジ色の球体みたいなモンスターとひたすらぬと連呼しながらぬの字を書きまくる青いゼラチン質のモンスターの二体が部屋の中を我が物顔で占拠していた。
「・・・・・あの、これは・・・・・」
「気にしなくて良いよ。君の先輩達だから」
「はぁ?!せ、先輩?!あのモンスターみたいな連中がぁ!!」
僕は何度も部屋の中にいるモンスターを指差しながら彼女に尋ねたが、何度尋ねても答えは変わらなかった。
「ほらほら、首領パッチも天の助も少し落ち着いてよ。今日から新しい仲間が入ることになったからさ」
「マジで?!うわぁい!仲間仲間ぁ」
「ところてん食わそうぜぇ!」
やばい。このファミリアはやばい。そう思った僕は彼女がモンスターと話している隙にその場から逃げ出すことにした。
冒険者になりたいと言う気持ちはあるがだからと言ってあんなモンスターの巣窟に入りたくはない。
「紹介するよ。新しい仲間の・・・って、逃げたぁぁぁ!!」
後ろの方で彼女が驚愕の叫びをあげてるが気にしてられない。急いで他のファミリアに逃げ込まないと。
ドゥルルルルルルーーー
後ろの方で変な音が響いてくる。気になって振り返ってみると、さっきのあのモンスター達が奇妙な乗り物に乗って追いかけてきていた。
「ごらぁぁ!新人の癖に先輩に挨拶しねぇとはどう言う教育してんだぁ!」
「てめぇの主食をところてんにしてやんぞオラァァァ!!」
「ひぃぃぃーーー!お、追っかけてきたぁぁぁぁ!!」
僕は賢明に逃げたのだが、人の足より早く走る乗り物(どうやら大型バイクと言うらしい)を相手に走って逃げ切れるはずもなく、結局僕はその二体のモンスターたちに捕まり、さっきの小屋へと連行されていくことになった。
その場所が【ヘスティアファミリア】と呼ばれている事に気づくのはほんの少し後の事になる。
まさかのボーボボ差し置いての首領パッチと天の助登場でした。
因みにちゃんとボーボボも出ますのでご安心を