ダンジョンにハジケを求めるのは間違ってるだろうか   作:お通しラー油

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結構間が開いてしまいすんませんでした。
今後もこんな感じの不定期更新ですがよろしくお願いします


第8話 生と死の狂乱の舞踏会。躍り狂え!まな板の上で

 前回のあらすじ(語り:アイズ・ヴァレンシュタイン)

 

 前回、私ことアイズは晴れてベル・クラネルと入籍いたしました。

 

「のっけから嘘言わないでよ!してないからね!!」

 

 そんなラブラブになった私達に迫る危機の数々

 

【ケケケーーー!水と食料を寄越せえええーーー!!】

 

【全ての人類を我が前に跪かせてくれるわ!】

 

「何これ?!こんな展開無かったでしょ?!」

 

 かつてない脅威に追い詰められる私達。でも負けない!二人の愛がある限り、私達は決して負けはしない。

 

【御用だ!御用だ!】

 

「最早あらすじですらないし!ってかもう滅茶苦茶じゃないか!早く本編に入ってぇぇ!!」

 

 そんな訳であらすじ終わり。

 

「散々好き放題やって後片付けせずに帰りやがったぁぁぁぁーー!!」

 

 

***

 

 

 前回、エイナの忠告を無視して5階層へと踏み込んだベルではあったが、そのことに関しておとがめなしとはならず、彼には罰として一週間の再教育を命じられてしまった。

 一応ボイコットしたり拒否したりも出来るのだが、相手はあのエイナなので渋々受けることとなった。

 下手に彼女を怒らせて眉間に穴とか開けられたくないしーーー

 

 そんな訳で最初に行った教育の時と同じ教室に行くと、そこには既に講師の先生が壇上に立っていた。

 

「よく来たな!俺がお前の再教育を担当するまな板の鯉だ!よろしくな」

 

「なんで魚に教わらないといけないんだろう」

 

 愚痴りたくなったが愚痴っても仕方ないなと諦めて教育を受けることにした。

 

「よし、それじゃ早速教育の方をはじがはぁぁぁーーー!」

 

 突然まな板の鯉が盛大に吐血しだした。

 

「えええ!!い、一体どうしたんですか?」

 

「く、空気が・・・」

 

「は?」

 

「空気が・・・空気が吸えない・・・く、苦しい」

 

「そりゃそうだよ!だってあんた魚だもん!」

 

 最もなことを言いつつも即座に水槽に水を入れてその中にまな板の鯉先生を入れてあげるあたり流石はベルだと思われる。

 

「ふぅ、危うく死ぬかと思った」

 

「この人、普段どうやって教鞭振るってるんだろう?」

 

「さてと、早速お前の教育を始めるぞ!何せお前はあのエイナさんからミッチリと教えろとお墨付きを食らってるくらいだからな」

 

「う、嬉しくないお墨付きだ」

 

 とは言え彼女の好意なのだから無碍には出来ない。ここはさっさと教わって一刻も早くダンジョンに戻らねば。

 全ては敬愛する神様の為にーーー

 

「まずお前にやってもらうのはこれだ!」

 

 と言ってベルの前に出されたのは一個のまな板と包丁。そしてマグロがまるまる一尾だった。

 

「これを捌け」

 

「これと冒険者になんの関係が?」

 

「うるせーーーー!ガタガタ言ってねぇでさっさと捌きやがれこのノロマ!」

 

「急にキレた!!」

 

 水槽の中でいきなりきれだす教官に驚きながらも仕方なくマグロの解体を行うことにした。

 とは言え、小魚を捌くのとは訳が違う。何せベルの目の前には巨大なクロマグロが丸々一尾。しかもそれを包丁一本で捌けと言うのだから無理がある。

 そもそもベルはズブの素人なので小魚ですら厳しい。

 

「バカヤロー!もっとキビキビ動きやがれ!」

 

「そ、そんな事言ったって!魚捌くなんてやった事ないのに急にマグロ捌くなんて無理ーーー」

 

「このバカチンがぁぁぁーーー!!!」

 

 怒号と共に水槽から突如として跳ね上がったまな板の鯉の尾ビレがベルの頬にクリーンヒット!

 その際に「ヘブラシッ」とベルの口から声が出たのは言わずもがだ。

 

「い、痛い・・・」

 

「てめぇ!やりもしねぇで諦めるなんて、それでも冒険者か!?」

 

「!!!」

 

「てめぇも冒険者なら出来る出来ないなんて言ってないで何にでもチャレンジしてみろや!」

 

 まな板の鯉の言葉にベルは胸を打たれた。

 そうだ、僕は冒険者なんだ!なのに出来ないとかやった事ないとかで諦めるなんて情けない話だ。

 そんな事では神様に笑われてしまう。笑われるくらいなら良いが、最悪愛想尽かされてファミリアを追い出される危険祭もあるかも?

 

 一瞬顔が青ざめたが即座に顔を物凄い勢いで左右に振ってマグロを見る。

 

「先生!僕間違ってました!このマグロの解体、絶対にやり遂げてみせます!」

 

「その意気だ!俺が見守っててやるから頑張れ!」

 

「はい!うおぉぉぉぉーーー!!」

 

 雄叫びをあげ、小さな包丁一本でマグロを捌いていく。慣れない作業の為につたない箇所もあったがなんとか捌き切ることが出来た。

 

「で、出来た・・・出来ましたよ!先生!」

 

「良くやった。それでこそ冒険者だ!」

 

「は、はい!」

 

「まぁ、マグロの解体と冒険者ってなんの関係もないんだけどね」

 

「・・・・・・」

 

 水槽の中で腹を抱えて爆笑してるまな板の鯉。とりあえず初日はなんとか終えることができたようだ。

 帰り際にちゃっかりとベルは水槽の水を全て抜いて行ってから退室した。

 その際に中から「呼吸ができない!」とか「乾いちゃう!」とか聞こえて来たが全て無視した。

 そんな感じに初日が終わり、その翌日もまた冒険とは関係なさそうな講習が行われていった。

 

「なんで冒険者なのにキャベツの千切りなんかしなきゃならないのさ!?」

 

「ツベコベ言ってないでさっさとやれ!」

 

 その日はキャベツの千切りを延々とやらされ続け。またその翌日にはーーー

 

「今度は焼き物?しかも皿を作れって・・・」

 

「文句言わずに作れ!究極の一皿を作るまで終わらないからな!」

 

 などと、とにかく無茶苦茶な内容の講習ばかりやらされ続けるのであった。

 そんな地獄の日々もようやく終わり、晴れて冒険者稼業に復帰できると息巻いていた時だった。

 

「すみません、これ落としましたよ」

 

「え?」

 

 ダンジョンへと向かう途中だったベルを呼び止めたのはベルと同じヒューマンの少女だった。

 綺麗な顔立ちにウェイトレスの格好とか世の男子の妄想を掻き立てさせてくれる組み合わせであった。

 そんな少女が落とし物を拾ってくれた。これはまさか世に言うフラグと言うのではないだろうか?

 淡い期待を胸にベルは少女から落とし物を受け取る。

 彼女から渡されたのは、一本の謎の形をしたトゲだった。

 

「・・・なに、これ?」

 

「落とし物です」

 

「いやいやいや!なにこれ?!僕のじゃないよ!こんな・・・トゲみたいなの!」

 

「でも、この方がそう言ってますよ!

 

「この方?」

 

 一体何者だろうかと少女の後ろにいた人物を見ると、そこには満身創痍の首領パッチと天の助の姿があった。

 

「首領パッチ! それに天の助!」

 

「「ベルゥ!!」」

 

 ベルの姿を確認するなら涙目になり両手を差し伸ばす二匹。

 そんな二匹を喧しいとばかりに容赦なく踏み付ける少女。

 

「ごめんなさいね。生きの良い食材だもんで」

 

「あ、あはは・・・」

 

 先ほどの事をめるで無かった事にするかのように微笑む少女。しかしベルとしては先ほどの強烈なスタンプを見てしまった為に微かに笑みを浮かべる事しかできなかった。

 さっさとこの場から立ち去ろうとしたのだが、その時突如ベルの腹から重低音が鳴り響いた。

 なんて事はない。今まで講習漬けだったが為にまだ朝食を食べてなかった為だ。

 要するに空腹の合図でもある。

 

「まぁ、お腹を空かしてるんですか? 宜しければこれをどうぞ」

 

 少女はそう言って持っていたバスケットをベルに手渡してくれた。

 バスケット越しに触れ合う手と手にベルの心臓は早鳴りしだした。

 例えちょっと暴力的だったとしても見た目は可愛い少女。そしてそんな可愛い子からの差し入れを貰うなんて、これは正しくフラグなのでは?!

 

 期待を胸にベルはバスケットの中身を覗いてみた。

 

 中にあったのはスクーターに乗ったトカゲみたいな何かだった。

 

「・・・・・・えと・・・・・・何、これ?」

 

 思わず中身を取り出して少女に見せた。少女は頬を染めながらもじもじしてる。何処に恥じらう要素があったのだろうか?

 

「ザウルスライダーって言います。私の手作りで、今日の私のお昼なんです」

 

「これがぁ?!」

 

 明らかに食べ物に見えない。それが第一印象だった。

 

「いや、折角なんですけど・・・」

 

「あぁ、気にしないで下さい。私この先の酒場で働いてますので、今日の晩ご飯を食べに来てくれればそれでおあいこですから」

 

「いや、これおあいこどころか貴方だけ得してますよね!?僕損しかしてないんですけど!」

 

「是非いらして下さいね。そしてたらふく食べていってくださいね」

 

 あぁ、こりゃ駄目な類いだ。

 早々にベルは諦めた。彼女も結局は同じ分類の女性のようだ。

 どうしてオラリオの女性達は皆人の話を聞かないのだろうか?

 

「私はシル・フローヴァと言います。冒険者さん、宜しければお名前を教えてもらって良いですか?」

 

「べ、ベル・クラネル・・・です」

 

「ベルさんですか。今夜のご来店をお待ちしておりますね」

 

 そう言って笑顔で去っていくシルを見て、ベルは思った。

 この町にろくな女性はいない事と、やっぱり神様(ヘスティア)こそがこの小説のヒロインなのだと。改めて認識するのであった。

 

「よし、こうなったらさっさと冒険を終わらせて帰ろう! そして神様に報告しよう!」

 

 尚、ベルの脳内では報告ついでにあわよくば神様とイチャイチャとか出来ればいいな、と言う妄想が膨らんでいたそうだが、それを知る者は誰一人としていなかったそうだ。

 余談だが、ザウルスライダーの味は正に運命(ですてぃにー)だったそうだ。

***

 

「ただいま帰りました!神様」

 

「お帰り、ベルくん」

 

 そう言うなりいきなりハグしてくるヘスティア。それによってベルの顔はこれでもかと言うほどに砕け切ったと言うか緩み切った顔になっていた。

 あぁ、これぞ至福。胸元にあたる感触がまた至福。ほのかに香る花のような良い香りもまた至福。何よりこうして神様といる瞬間こそ史上の至福。

 まさに今この瞬間の為にベルは冒険者になったと豪語出来る瞬間だった。

 

「講習お疲れ様。大変だったみたいだね」

 

「そりゃぁもう大変でしたよ。何しろ大半が冒険に関係ない事ばかりでしたから」

 

「そりゃまた災難だったねぇ」

 

 その日にあった事を報告するベル。そんなベルを愛おしそうに見つめるヘスティア。なんとも微笑ましい光景であった。

 

「さてと、それじゃ今日の更新やっちゃおうか」

 

「はい!よろしくお願いします!」

 

 何気にベルにとって密かな楽しみでもある。

 更新を行う為にはベル自身が上着を脱ぎ、うつ伏せになってその上にヘスティアが跨ると言った形を取る。

 これがまたベルにとっては至福でもあった。

 ここオラリオに来てからと言うものヘスティア以外にろくな女性に会ってない為に、こうした彼女との触れ合いはベルにとって三度の飯より重要なイベントだと言えた。

 今もこうして自分の上に彼女が乗っているかと思うとそれだけでもう至福の極みだった。

 

(あぁ、僕・・・ヘスティアファミリアに入って良かったなぁ)

 

 至福のひと時を堪能しつくすベル。そんなベルの胸中を知ってか知らずか、いつも通りに更新を終えて、それを写し終えると改めてステイタスを確認してみた。

 

 

 

ベル・クラネル

 

 

 

魚雷

 

 ステイタスの写しにはこの魚雷の一文字しか記載されていなかった。

 

「え?何ですかこれ?」

 

「見ての通り君のステイタスさ。相変わらずスキルに変化は無かったみたいだけどね」

 

「いやいやいや!そうじゃなくて!なんですかこれ!?簡略化ってレベルじゃないですよ!これ僕強くなってるんですか?」

 

「変化があるって事は強くなってる筈だよ。だから自信を持ちなよ。大丈夫、君は今でも結構強い筈だから」

 

 神様のその励ましを受け、ベルは納得した。そうだ、神様がミスする筈ない。きっとこれは強くなった証拠なんだ!

 その証拠が魚雷ってのは納得出来ないけど、とにかく強くなってる。それだけは事実と受け止められた。

 

「神様!僕もっともっも頑張ります!それでいつか僕らのホームを手に入れましょう!そしてこのヘスティアファミリアをオラリオでいちばんのファミリアにしてみせますよ!」

 

「嬉しいこと言ってくれるねぇ。君みたいな子を迎えられて僕は果報者だよ」

 

「何を言うんですか!僕の方こそ神様に出会えた事を心から感謝してますよ!」

 

 狭い部屋の中で二人しかいないのをいいことにいい雰囲気になりかけてるベルとヘスティア。

 しかし念願のイチャイチャをする為にはもう一押し欲しい。

 そう思ったベルの脳内に、今朝の出来事が思い出される。

 

「神様、晩ご飯まだですよね?良かったら外で一緒に食べに行きませんか?良さそうなお店を紹介してもらったんです」

 

「おやおや、強くなった途端僕にナンパかい?ベルくんも男の子だねぇ」

 

「い、いやぁ〜」

 

「でも、そんな一途なベルくんが僕は大好きさ!なのでご一緒願おう」

 

「はい!行きましょう」

 

 心の中で盛大にガッツポーズを決めるベルなのであった。

 

「ところで、首領パッチと天の助の二人はどうしたんだい?」

 

「さ、さぁ・・・その辺で道草食ってるんじゃないんですか?」

 

 正直今あの二人がいないのが物凄く幸運に思えた。もしこの場にあいつらがいたりしたらそれこそ雰囲気がぶち壊しになりかねない。

 

(これは絶好のチャンスだ!これを起に神様ともっと親密な仲になってそれからそれからーーー)

 

 その先を想像した時のベルの顔がこれまた緩み切っていたのは言うまでも無かった。

 そんな訳でその日の夜、ベルはヘスティアを連れて今朝方シルが教えてくれた店の前まで来ていた。

 

「豊穣の女主人かぁ・・・中々良い面構えの店じゃないか」

 

「はい、僕もつい最近知ったんですよ」

 

 嘘である。実際は今朝方知った店だったりする。

 

「なんだか今日のベルくんいつもより大胆だなぁ。このまま僕の事事お持ち帰りしちゃうつもりなのかい?」

 

(出来る事なら是非そうしたい!!)

 

 最早誘ってるとしか思えないその言葉にベルの鼻息が一層荒くなり出した。

 しかし、まずはここで小手調べだ。この店で男を上げて更にヘスティアに惚れて貰うのがベルの描いた算段であった。

 

「さぁ入りましょう。今は懐があったかいですからなんでも頼んでいいですよ」

 

「もうやめてよベルくん。そんな事言われちゃったら僕期待しちゃうだろ!」

 

 何気に乳繰り合いながら入店する二人。

 

「あ、そーれ!あ、そーれ!ちくわパーティーしようぜぃ〜〜」

 

「ところてんは微糖!だから美味しいところてんんんんん!」

 

 店内に入ってすぐに目に着いたのは、壇上で馬鹿騒ぎしまくる首領パッチと天の助(アホふたり)の姿だった。

 

「あれ、二人ともこの店に来てたんだ」

 

「どちくしょぉぉぉぉーーーーーー!!」

 

 店内に入ってすぐにベルの思い描いていた考えが吹き飛び天国から地獄へ叩き落とされた瞬間であった。

 

 




あっさりと瓦解するベルの目論見。それにしてもオラリオって本当ろくな女性いませんよねw
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