やっぱり、ありふれてたまるかッ!   作:千点数

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 南雲ハジメはこんなに面白くない、と怒る方が出るような小説です。ご注意ください。


転校先は魔王の城

 それは、四月のムカつくくらい晴れた日の事だ。

 エイプリルフールが一週間前に過ぎ去った、まだ四月の上旬。桜は未だ散っておらず、新入生が新しいドキドキわくわくに胸いっぱいなこの季節……。

 

「僕は今日が命日なのではなかろうか……」

 

 胸の辺りがキリキリしてきた。

 勿論、僕の胸が、である。ああ、胸の辺りが本当に痛い。これがストレスを感じたときになると云われる伝説の胃潰瘍……ッ!!

 十六歳と四か月の人生の中で、僕は恐らく一番のストレスと緊張を感じている。

 それは、なぜか。勿論理由はある。

 僕の直上。自分が転校生としてやってきた、あるクラスの看板。

 それこそが、僕のストレスの最大の原因。諸悪の根源である。

 

《二年生、特別クラス》。

 

 そう書かれた看板が、僕の頭の上にある。

 僕がこの学校に転校するまで、恐らくかかわることは無いだろう。そう、思っていた者たちの集うクラスの名前である。

「帰還者」。そう、(ちまた)では呼ばれている集団の集まっているクラスがここ、《二年生、特別クラス》なのだ。

 何やら異世界に行っただの神殺しを成しただのと大げさなことを宣って、インターネットでは「嘘乙」「先生何やってたんだ」「誘拐犯に洗脳されたのかな?」などと好き勝手呟かれていたのだが……僕は、強ち嘘ではなかったのではないか、と思っている。

 

 うわさ話や、騒ぎの収束が恐ろしく速かったのだ。不自然極まりないほどに。

 

 まるで、誰もかもが盛大に話をそらされたかのように、誰も帰還者についての話を、ある日を境にぱったりとしなくなってしまったのである。

 何やら、超常的な力が働いたといわれても信じられるほどに騒動の収束は早かった。

 三週間。全国の、一部の権力者すらも興味を持っていた事件は、わずか三週間で、落ち着いてしまったのだ。普通ならば在り得ない。

 まあ、そのお話は今は置いておく。こんな話題で目をつけられたらたまったものじゃない。

 話題を変えよう。

 

 本来、二年生の特別クラスは帰還者専用のクラス。僕のような転校生も、本来ならば普通の学科に編入されるはずだった。

 しかし、僕はある人の計らいで帰還者専用のクラスへねじ込まれることとなる。

 文部科学省のお偉いさんだ。

 僕が転校することをたまたま知ったそのお偉いさんは、転校先が帰還者の通う学校だと知ったとたん、なんと編入試験を自動でパスする代わりに、僕を帰還者のクラスへとねじ込んだのである。

 

 ……実はコレ。文部科学省のお偉いさんが、僕を特別クラスへとねじ込んだ理由もちゃんとあるのだ。

 

 一部の学校関係者やPTAの皆様が、帰還者に対していい思いをしていなかったらしく、なんと文部科学省あてに声明文をぶち込んだらしい。「一年間、どこで何をしていたかわからない危険な奴らを近くにおいていていいのか」、といったような内容だ。僕も読ませてもらった。

 そこで、安全性を証明するために、僕が特別クラスに入って、一緒に過ごすことになったのである。

 勿論、説明は聞いた。

 一生分、その話を受けるか悩んだ。

 結果、僕はその話を受けてしまったのである。編入テストがパスできるのはとても魅力的だったから。

 

 さぁ、場面を教室前へと戻そう。回想をしているうちに覚悟は決まった。

 後は、先生に呼ばれたらドアを開け、偉大なる最初の一歩を踏み出すだけだ。

 胃薬を飲んで、緊張をほぐしてからいつ呼ばれても良いように____

 

『……明らかに、日本政府からの回し者だよな』

 

 姿勢を整え____

 

『俺たち以外に、この帰還者限定の特別クラスに入ってくる時点でそうだろうな』

『どうする?』

『あぁー、そうだな……とりあえず静観、何やら怪しい動きがあったらその都度「村人」に()()で』

 

 帰っていいかい?

 

 *

 

 本日の転校生。そう大きく書かれた黒板の前に、僕は立っている。

 そして、穴が開きそうなほどにジィっと見つめられている。主に、クラスの真ん中あたりに座る魔王じみた風格を持つ男の子に。

 そんな彼の目が赤く染まっているのは気のせいだと思いたい。

 何やら赤い波紋が背後に浮かんでいるのも気のせいだ。

 机の上に、やたら重厚感のあるピストルがあるのも気のせいだ。

 足元に、蜘蛛の形をした小さいロボットがうようよいるのも気のせいだろう、そうだろう。

 教室の後ろのロッカーにやたらメカメカしいグリフォンがいるのも気のせい気のせ___

 

「いや可笑しいだろ何故誰も突っ込まないんだアレにッ!?」

 

 我慢できずに突っ込んでしまった。

 教室にそうやすやすとグリフォンなんていてたまるかッ!

 

「おお、良かった。何時ツッコミを入れてくれるのか楽しみにしていたんだ」

「ボケでグリフォンを出すな馬鹿か!? 突っ込みが難しいんだよ反応に困るだろうッ、何なんだあのメカメカしさ満載にもかかわらずやけに生物らしいあのグリフォンはッ!?」

「クク、まあ、あんまり詳しいことは気にするなよ転校生」

「気にするよ!? 普通に気になるから!?」

 

「そ、それより自己紹介をお願いします」とやたら背の小さな先生に促され、僕は自己紹介がまだだということを思い出す。

 正直ロッカー近くに陣取るグリフォンについて説明を求めたいが、今は自己紹介をするとしよう。

 

「じゃあ、改めまして……僕は三条ヒロ。見たまんま只の一般人だ。よろしく」

 

 この自己紹介から、僕の残り二年の高校生活は波乱万丈この上ないことになってしまうのだが……まぁ、この時の僕が知る由もなかった。




 魔王様「あの反応は予想外だった」
 吸血姫様「……ん」

 ヒロ「ここは人外魔境か何かかい?」

 大体ゆっるいノリで進みます。
 シリアスは無いです。
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