完全に過去の内容を忘れてしまったのでオリジナルです…
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『皆さん、こんティアー。マネッティア・ブルースターです!』
こんばんわー
『はい、今日も私の配信に来てくださりありがとうございます。』
配信のあいさつに対してのコメントに返事をする。こういうのはきちんと返さねば気分が悪くなる気がする。
『さて、今回も皆さんと会話デッキを作っていきたいと思いますが…まずはですね、皆さんに言いたいことがございます。』
なにかやらかしたんですか
別にそういう問題を起こしたわけではない…私のことをなんだと思っているのだろうか。
『いやいや、何も問題は起こしていないですよ…そういうのではなくて、前回の配信についてですよ』
何かまずいことでもしてた?
『いえいえ、どちらかというと感謝の言葉ですよ。』
ここはきちんと伝えたいと思っていたところだ。なのではっきりと言葉にする。
『前回は皆さんのおかげで会話デッキが構築できて本当に嬉しかったです。おかげで娘と楽しいひと時を過ごすことができました。ええ、配信の後に急いで買い物に行ったんですよ。』
まさかすぐに終わるとは思わなかったな。
『いや…そのぉ…その節に関しては本当に申し訳ありませんでした。あの後、娘が帰ってくるまでに急いで準備したいという気持ちが先走ってしまい、あのような強引な終わらせ方をしてしまいました…本当に申し訳ありません』
娘は可愛いからね。仕方ないね
あの配信内容ならあんな終わり方でも許せるかも
暖かいコメントが多く流れてくる。批判が飛んでくることも考え少し怖かったが、こういうコメントでそのような気持ちも薄れてゆく。
『…ええ、本当にありがとうございます。皆さん本当にお優しいですね。』
別にそこまで気にしてない
本当に、暖かいコメントばかりだ
『はい、ありがとうございます…それでは、前回の!会話デッキの結果を語らせていただきたいと思います!』
お礼の言葉もほどほどにして、本題に入ろうと思う。
ようやくか
『先ほども話したように、私は急いでアイスを買いに行ったんですよ。でー、それで急いで家に帰りまして、学校から帰ってくる娘を待っていたんですよ。』
コメント欄のいう通り、あの時はとにかく急がねばという気持ちでいっぱいいっぱいであった。
『ええ、コメントのいう通りなんですけれども、まぁ先に家に帰って帰りを待っていたんですよ』
急いで帰ったため準備は間に合い、あとは帰るのを待つだけだった。
『ただいまって言って帰ってくる娘がですねぇ…もう可愛くて可愛くて、その時に「おかえりー」って声を掛けたときにですねぇ!まぁーまっすぐこっちをみて「ただいま」って言ってくれた時の顔がすごくかわいかったんですよー?、学校で疲れているだろうにこちらを見て少しはにかんでくれて、もうほんとに真面目に最高って感じだったんですよ!』
玄関で出迎えたときに浮かべた表情なんてほんっっとうに可愛かったんだよねぇ…
モンスターの降臨
『その後ですね、まぁ一緒にお茶でもしようよーって言ったときにですねぇ、まぁ少し気だるげな表情だったんですよ。それはそうですよ…だっていきなり帰ってきて「お茶でもしない?」って話しかけられても反応に困りますよね』
普通にお菓子を一緒に食べるだけじゃん、なんでそんなに気にするの…
その普通が出来ていれば、ここでこのような配信はしていない。
『年頃の女の子は多感なんですよ…?自覚のない、何気ない一言に傷つくかもしれないですし、不躾に見ていたら気持ち悪がられて嫌われるじゃないですか…』
今の娘に対する思いとしてはこの言葉に尽きる。何が地雷になるのか、とても難しい年頃なのだ。
そういう時はきちんと叱らないとだぞ
それは逆効果では…
ここのコメント欄に理解者がいて助かる…そして、叱ったとしても逆効果になることもあるだろうし。
『まぁ、一言で言いますと…思春期の子供はとても対応が難しいということですよ。で、話を戻させていただきます。その後ですね、カフェオレとクッキーもあるよーって言った後の娘の表情と言ったらっ…もうっ…さいっこうにかわいかったですねぇ!分かりますか皆さん!アイスとクッキーをいれたお皿を前にして笑顔を浮かべている様子を!コップを差し出して「はやく、はやく!」っていってカフェオレを催促している笑顔の娘の姿を‼』
オタクが推しを語る口調と同じだぁ…
娘の可愛さについて語るというなら、これくらい普通ではないのだろうか…今はともかく、その後について語っていくとしよう。
『それでですね!まぁアイスをチョコレートとバニラの二種類用意したんですね。で、その時にどっちのアイスがおいしい?って聞いたんですよね…でぇ…そのときに「チョコアイスのほうが好きだよ」って言った時の娘の表情と言ったらもう最高でしたね!、ええ!ほっぺを満タンにして見せる笑顔は本当に最カワでしたよ!』
こうね、こっちをみて「わかってないなぁ」って言う感じで、にまぁーって小悪魔的な顔をね…うん、最カワ…
『でもここで会話を終わらせるのもいけないと思い、その後に「私はバニラのほうが好きだよ」っていったんですよ…私が好きというだけではなく、反対の意見を出したらどういう反応をするのかなぁーって思って言ってみたんですよ…そしたらですねぇ!「バニラよりチョコのほうがいい、チョコのほうが最強なんだぞ」って返してきたんですよ。それはもうドヤヤっていう表情を浮かべてこれがもう可愛いのなんのって凄まじくやばかったです‼』
どこまで行っても娘可愛いの一言で終わるのは草
一言で終わらせるだと…!?
『それだけで終わらせるのはもったいないでしょうが!せっかくの機会なんですしいっぱいしゃべりたいですしもっと可愛い娘の顔を見たいというのは間違いではないですよね!?』
可愛いは正義
『コメントのいう通り!可愛いは正義です!…まぁ、本当に聞きたいことは聞けなかったんですけどね』
話すだけじゃなかったのか
もちろんただ可愛いというだけであるなら、日常を見守るだけでは十分ではあるが、流石にそれだけではない。
『その通りですよ…私が聞きたかったのは、学校での生活とかなんですよ』
お菓子を食べているときに聞いてみたのだが、相変わらずはぐらかされてしまったのだ。
娘さん可愛いみたいだし、妬みとかやっかみを受けてそう
『そこも心配なんですけれどもね…ただ単純に学校が楽しいのかなって気になってしまいまして…何か友達のことや学校行事のことを聞いてみても「特に変わっていない」としか言われませんでしたし…』
言いたくないこともあるだろうし、気を付けないと余計に話さなくなるよ
うーん、やはり急に聞き出すのはいけなかったようだ…
『…なるほど、少し強引に行きすぎましたかね…わかりました、この話は一度ここで終わりとしましょう』
考えすぎもよくないね
『わかりました…では、気分を切り替えていきましょう』
気分を切り替えるためにも、配信にの本題に入っていくことにしよう。
『ではでは、今回のテーマについて話していきましょう!今回のテーマは「帰り道に買うちょっとしたお買い物」です!』
どこかに寄り道する感じ?
『そうですそうです!例えば皆さん、学校の帰り道などで、コンビニやスーパー、もしくはスイーツショップなどで買い物をして帰ったことはありませんか?』
私自身も、学生の頃は買い物をして帰ったのだが、今と昔では流行りも変わっていることだろう。
要するに帰り道にどこか寄って帰ろうってやつ?
『はい!その通りです!ただし、今回のテーマは「何を買うか」です!どこに寄るかというよりは、何を買うかを決めたいと思います!』
ここはある程度絞り込んでおこう。前回では指定しないためにコメント欄が早く流れる事となってしまったし。
『うーん…そうですね…今回のは買い物帰りに買って帰るものですから、できるだけ持ち運びがしやすいものがいいと思います。あんまり大きいものだとかえって邪魔になるかもしれませんね、そのようなものを選んでしまっては買い物の邪魔になって、本末転倒になってしまいます』
これくらいのものにしておかないと、大きい物など際限が無くなってしまう。
帰り道だし、高いものはあんまりよくないね
邪魔にならないくらいなら、片手にもてるのがいいかも
『そうですね…あまり高いものは気が引けますし、片付けもいろいろと大変ですしね…そこも踏まえるとある程度絞られてきますね』
コンビニスイーツかぁ…便利だけど少し別のが欲しいところではある。
そう考えていると、一つのコメントが目に入る。
あっ、この案面白そう
『なるほど…いっそのこと運に身をゆだねるようにしてみましょう。帰り道に目についたお菓子を買うということで!』
運に身をゆだねるのか…
『こういうのは勢いも大事と聞きますよ?なにもかも決めていたのでは、面白くないかもしれませんしね』
考えるだけで実行しないのは、何もしないのと同じだろうし
何もかも予定通りだと面白みもなさそうだし
『はい、コメントありがとうございます!では、今回のテーマで決定した内容は「帰り道に、最初に目についたお菓子を買う」といった内容でよろしいでしょうか?』
ここまで決まればいいものでは?
『了解です!ここでうんぬん言ったとしても何も始まりませんし、もしかしたら良い結果にもしれませんし…』
そろそろ、終わりの挨拶をするとしよう。
『それでは、今回の配信はここまでとさせていただきます…それでは皆さん、さようならー』
お疲れ様でしたー
◯
「…人参、玉ねぎ、ジャガイモ、豚バラ肉…あとはカレールーかな?」
「パパー、カレールーとってきたよー」
「…あっ今宵、うん…ルーを持ってきてくれたんだね…ありがとう」
「うん、感謝するといいぞ!」
今日は金曜日。いつも買い物で利用するスーパーは、平日の時とは違い多くの人で賑わっていた。金曜日でもあるからだろうか、家族連れがおおく、殆どの客のカートは山盛りの商品で埋め尽くされていた。
「…今日は手伝ってくれてありがとうね、冷蔵庫の中身が少なくなっていること忘れてて、一杯買い物をしないといけなくなっちゃって」
「もーう、パパもうっかりさんなんだから、私がいなかったら大変だったでしょ!?感謝してほしいね!」
「うん、本当にありがとうね、今宵がいなかったらどうなっていたんだろうね。」
「むふふーん。そうそう、そうやって感謝するのだぞー!」
「はいはい…」
普段から利用しているこのスーパーは、金曜日には特売日になる。多分ではあるが、ここは学校も近く家族連れも多く住んでいるのだろう。そのため、土日は家でゆっくりと休む家庭も多く、土日の分を買う家族であふれているのだろう。そこに合わせて、スーパーは特売日を定めているのであろう。
私自身もこの日に買い物をするのだが、今回は冷蔵庫の中身を確認しておらず、一人で運ぶには少しきつい量となってしまったのだ。
そのため、朝の時に学校に向かう今宵に声を掛け、夕方、学校が終わり帰宅途中の今宵を迎えに行き、そのままスーパーの方に向かったのである。
「…今宵は辛いのだめだったよね、取ってきてくれたルーも甘口だったし」
「なんだよー!辛いのが食べられないとダメだとでも言いたいのか!」
「…いや、別にそういうわけではないよ…私も辛いのはダメな方だし」
「ほっほーう?パパもダメダメなんですな?」
「…うん、そうだよ?今宵とおそろいだね…」
「私は弱くないんだが!今はダメなだけでいつか必ず克服するんだが!」
「うん、一緒に克服していこうね」
車の中で夕飯の話をしていたとき、冷蔵庫の中身がなかったのを思い出し、今日はいつもより荷物が多くなるし、夕飯も何を作ろうか、という話をしていたのである。その時に娘が「今日カレー食べたい」といったので、休日の分の買い物を含め、材料を買っているところである。
「…さて、買いたい物も集まったし、そろそろ精算しようか」
「はーい、これ持っていけばいいの?」
「…うん、そっちのかごをお願いね?」
商品が比較的少ない方のカゴを今宵に渡す。あとはレジにて精算するだけだ。
レジにて商品を運ぶと、ピークが過ぎていたのだろうか…先程までごった返していた客の数は半分くらいに減っており、すんなりとレジに入ることが出来た。レジの人を見ると比較的若い容姿をした、普段は見かけない人が入っていた。よく見ると腕に研修中の腕章をつけている。どうやら新しく入った新人のようだ。
「お買い上げありがとうございます。今日はカゴ一杯に買われるんですね!」
「…まぁ、明日から休日だからね…ここの金曜日は忙しいでしょう?」
「いえいえ、大丈夫ですよ!皆さん優しいので!」
店員さんと他愛もない雑談をする。こういう雑談をする人は珍しいな、と思いつつ雑談を続ける。娘は店員の視線が気になるのだろうか、私の後ろの方に隠れてスマホを弄っているようだ。
その様子を見て、何か思ったのだろう、ふいに店員がこのように返してきた
「そちらの方はお連れの方ですか?凄く可愛らしいですね!」
「えっ、そうですか?ありがとうございます」
「ええ、ホントに可愛いです…」
店員さんが娘のことを可愛いと言っている。自身の娘という身内贔屓があるかもしれないが、こういう風に褒められているのを聞くのは悪くない気分だ。娘も顔を背けているが、耳が少し赤く染まっているのがわかる。その様子を見ていると店員さんが続けて呟いた。
「ええ、本当に可愛いですよ…姉妹仲良く買い物なんて、うらやましいです!」
「ブッフォォwww」
「…姉妹じゃないです‼」
店員がそうつぶやいた後、耐えきれなかったのだろうか、娘が盛大に噴き出している。しかも抑えきれないのか、その後もずっと抑えるように笑っている様子である。
訂正しよう、今の気持ちは非常に悲しい気持ちである。
◯
「…なにもあんなに笑うことはないんじゃないかな?」
「いっ、いやっ、だって…まさか姉妹とが予想できるわけないでしょっっ」
「…少しは手助けをしてくれてもよかったとは思わない?」
「…いや、知らない人に声かけるの怖いし…」
「…ああ、そうなのかい」
あの後、つい大きな声で否定してしまい、周囲の店員さんが集まってくるという事態になってしまった。幸運なことに集まってきた店員の中に顔見知りの人がいた為、自身の説明がスムーズに終わり、迷惑を掛けたことについては軽い謝罪程度で済んだようだ…
最も、今回の件について新人さんは「…嘘でしょ?だってこんなに細いし、顔つきも年が離れてるといえば違和感ないし…ええ…」と、何だか納得はしていないような雰囲気を醸し出していたが。
「…はぁ、何だか今日は疲れたね…」
「ほんとにそうだね、ちょっとした騒ぎになっちゃったし」
「…こういうときは甘いものでも欲しいよ。」
「ん?まだ何か買う?」
「…うーん、そうだねぇ…」
娘の問いかけに対して、少し考える…たしか、ここのスーパーの近くにはクレープ屋さんがあったような…
「…ねぇ今宵?少し寄り道したいところがあるんだけど、いいかな?」
「ん?どうしたの急に…もう買い物終わったんでしょ?早く帰らないとご飯作るの間に合わないよ?」
「…少しだけ付き合ってくれる?たぶん十分もかからないと思うから」
「???まぁいいけどさ…」
娘を連れて近くのクレープ屋さんに向かう、買い物帰りということもあり、店内の客の数はそれほど多くはないようだ。これくらいなら注文しても、すぐに出来上がることだろう。
…あっ、これ、もしかしたら財布の中のお金が足りないかもしれない…
「今宵?好きなのを選んでいいよ」
「うん、わかった。…私このチョコバナナが欲しいかな」
「…私はイチゴチョコでお願いします…」
注文は二人分。銀行に行けばお金は下せるだろうが、さすがに今からお金をおろしてくるというのは時間のかかる行為であろう。
「あれ…パパ二人分しか買わないの?ママの分がないよ?」
「ごめんね今宵…さっきの買い物で手持ちのお金を全部使っちゃったみたいでね、うん…」
「えっ、ホント?なんでさっきお金おろしに行かなかったのさ」
「…いや、これくらいなら足りるかなーって思ってさ…それに、今からおろしに行っても時間がかかるだろうしね…これは今宵と母さんの分っていうことでいいかな?」
「私はいいけどさぁ…パパはそれでいいの?」
「…今日のことは仕方ないよ、誰もお金が足りないなんて考えてなかったんだし」
「ふーん…」
少し含みのあるような答えをした娘をよそに、出来上がった二つのクレープを受け取り駐車場に向かう。
荷物を後ろのトランクに積み、自動車を発進させる。自宅に帰りつくまでには少し時間がある。少し、聞いてみてもいいだろうか。
「…ねぇ今宵、今日みたいにさぁ…」
「ん、いきなりどうしたの?」
「いや、今日の帰り道みたいにね、誰かとお菓子とか買って帰ったりしないのかなって」
「…いや、いつもまっすぐ家に帰ってるよ…」
「…お誘いとか受けないの?たぶん、みんな今宵とおしゃべりとかしてみたいって人いると思うよ」
「…そんなの関係ないじゃん、ていうかパパ昔から「危ないから学校が終わったら早く帰ってきなさい」っていつも言ってたじゃん」
「まぁ、いつも言ってたけどね…」
そう呟くと、顔を窓の方に向け、落ちてゆく夕焼けを見続けていた。窓を向くときに見せた顔は、何を考えているのだろうか、少し憂鬱気な表情を浮かべていた。学校で嫌なことでもあったのだろうか…それとも、何かやりたいことでもあるのだろうか、そう考えながら帰路に着くのであった。
◯
「ただいまー」
「…ただいま」
帰宅した後、後ろのトランクから買い物を取り出し、玄関に運ぶ。扉をあけ、帰宅の言葉を共に中に入る。
その際、玄関の吃置き場を見ると、すでに一足の靴が揃えられてあった。
ああ、なるほど…先に帰っていたのか…
荷物を台所に運ぶため、リビングに入る。
「ただいま、千景」
「ママ、ただいまー!」
「ああ、お帰り二人とも」
今日は仕事が早く終わったのだろうか、リビングには妻が椅子にに座りくつろいでいた。
「今日は早かったね、仕事はもう終わったのかい?」
「まぁ、そんなところだ。二人は今帰ったといったところか?」
「まぁね、買い物がいつもより多くなってね…うん、今から夕飯の支度をするから、それまでゆっくりしてててくれるかい?」
「そうだな、夕飯ができるまでゆっくりさせてもらうとするよ」
そう言ったのち、妻は背筋を伸ばしたと思うと、机に頬杖をつき、ぐったりとしている。よほど仕事で疲れたのだろうか、こちらを見続けているようだ。
夕飯のメニューはカレーであるため、今から作るとなるとそれなりに時間がかかってしまう。材料を切り分け、玉ねぎから順に材料を炒めていく。
料理の最中ではあるがじっと見られているため、視線がくすぐったいように感じる。ここはお疲れ様の思いも込めて、買ってきたばかりのアレを使うとしよう。
「…ちょっと疲れてる?」
「そうだな…今回の案件は少しごたついていてな…中々進展が無いものだからあまり調子が上がらないんだ…」
「本当にお疲れなんだね…夕飯が出来るまで時間もあるし、よかったらこれでも食べる?」
「これ…クレープか?買い物の帰りに買っていたのか」
「そんなところだね、本当は夕飯の後にでも食べようかなって思っていたんだけど、カレー作りも時間がかかるし、これくらいなら食べてもいいかなって」
「…そうなのか。ありがとう、いただくとするよ」
一度火を止め、炒めた具材の中に水を入れて沸騰させる。沸騰するまでに少しコンロを離れても大丈夫だろう。その間に買ってきたクレープを妻に渡す。夕飯の前に食べるのはあまり良くないが、出来上がるまでに少し時間がかかる上、気分が上がらないときは甘いものだと相場が決まっているものだろうしね。
渡した後、妻がクレープをこちらに返してきた。なぜだろう、さっきありがとうって言ってくれたのに…
「…どうしたの?食べてもいいのに…」
「いや、なに…夕飯前に食べるには少し多いし、一人で食べるのは少し寂しいからな…うん」
「うん、それで?」
「半分…そう、半分にしようか」
「半分?残りは夕飯の後にでも食べるのかい?」
「そういうわけではないんだがな…」
具材が沸騰するまでの間に調理道具を洗っていると、妻がそのようなことを呟いた。そのあと、少し視線をそらし、何かを思案するような表情を浮かべる。言いたいことが纏まったのだろうか…こちらに向き直して改めて口を開いた
「…一緒に食べないか?一人分を半分にすればちょうどいいだろうし」
「えっ…いや、今ご飯作ってるし、それに一人分だから食べられる量が減ってしまうよ?」
「いいんだ、というよりも、一緒に食べたいからこう言っているんだろうか」
「…うん、わかったよ」
妻の言葉に頷き、渡されたクレープを半分に切り分ける。上下に切り分けた為か、イチゴジャムとクリームが少し漏れている。そのため別に皿を用意し、フォークと一緒に渡す。
「はい、切り分けたよ…ちょっと待ってね、今準備するから」
「ああ、ありがとう…それでは、いただきます」
「…うん、いただきます」
沸騰した鍋の火を止め、カレールーをいれて弱火に設定する。そうしたのちに二人でクレープを食べ始める。私が選んだイチゴクリームは、甘酸っぱい味で生地とよく絡み、優しい味となり、幸せな気持ちになった。妻もクレープに舌鼓を打っているのだろう、顔の口角がすこし上がっているのがわかる。少しすると、こちらの目線に気づいたのだろうか、ほんのりと顔を赤め、そっぽを向かれてしまった。
私も少し、恥ずかしい気持ちになってしまい、つい視線を逸らしてしまう。
「…なんだ、その反応は?別にいいだろう?…甘いものを食べても」
「いや…つい可愛いものを見てしまって」
「おい…なんだその反応は」
そのような雑談をしつつ、二人してつい笑ってしまう…こんな時間を過ごすのも悪くないなぁ…と思いつつ二人でクレープを食べるのであった。
「…あのー、二人とも?ご飯作っている途中だし、子供ほおっておいて何イチャついているんです?何?あてつけか?こんにゃろうめぇ…」
「「あ…ごめん」」
しまった…つい二人の空間に入ってしまった…そういえば、ご飯が出来るまで待っててねと妻に言ったとき、娘の椅子にすわり、ずっとスマホで暇を潰しつつ待っていたんだった…
この後、急いでお菓子の皿を片付け、夕飯の盛り付けを行うことになった。もちろん、娘はずっと不機嫌のままであり、許してもらうのに次の朝までかかることになってしまったのであった。