魔法剣士と異世界の姉妹 作:ニック
「……まぁここまで離れりゃ安全だろ?」
5分後全員の死骸をほったらかしにし俺は幼い二人を担いで別の区域へとやってきた
今や俺は基本顔パスで入ることができ、裏の頂点として君臨している。
なお、二人はポカンとその様子をただ見ていた。一瞬で鉄臭い匂いが蔓延したのを避けただけなのだが
怖がらせちゃったかなって思っていたところだった
「かっこいい」
「えっ?」
「お兄ちゃんかっこよかったです!!」
するとキラキラと目を輝かせてくる妹ちゃんに俺は呆気に取られる
「……まぁ。確かにかっこよかったけど……死神?」
「俺に聞かれても?死神って俺の通り名か?」
「なんで君が知らないの?」
「知らないってお前妙に年齢よりも大人っぽいな…お前いくつ?」
「私はこの世界では7だね」
「……この世界?」
「えっと?私は……前世の記憶があるから」
恐らく信じてもらえないだろうと思っているだろう。けど恐らくというよりも魔法で嘘か本当かわかるので本当のことだろう
「お前らの名前は?」
俺は小さく首を傾げる。すると顔を見合わせる二人
「ない」
「は?」
「スラムってそういうものでしょ?この子も魔人族だけど拾っただけだよ」
まぁ本物の姉妹じゃないってことか。もし本当のこともわからないのか
「お前、転生しているんなら元の名前は?」
「あれ?転生については信じるの?」
「まぁな。んで名前は?」
と俺が聞いた時、その少女は少しだけ嫌な顔をする
「昔の名前あまり言いたくないんだけど?」
「……嫌なのか?」
「嫌じゃないけど……まぁいいや。中村恵里」
「……は?」
中村恵里?
俺はその名前に聞き覚えがあった。いや聞き覚えがない方がおかしい
だってそれは勇者パーティーの一人であり、図書委員会で大人しいクラスメイトと同性同名だった
何かの偶然か?まぁ聞いて見たら早いか
「……お前谷口鈴って聞き覚えはあるか?」
「……えっ?」
すると明らかに動揺が生まれる。……即ち
「ちょっと待って。もしかしてここってトータス?」
「あぁ。ここはフューレンの街だ……一応瀬川匠に覚えは?」
「瀬川匠……ううんクラスメイトにはいなかったはずだけど?」
「……偶然か?まぁ一応南雲ハジメや白崎香織、八重樫雫に聞き覚えは?」
「……ある」
どういうことだ?
俺はしばらく話すと恐らくであるが中村恵里本人であることが分かる。
いや、そうでなければおかしいのだ。
口は悪いがクラスメイトの特徴を理解していたことに俺も、中村(子)も動揺が隠せないようだった
そしてその中には俺だけがいないことも
「……意味わからん」
「私も。今どれくらい?」
「今は転移してから三ヶ月がたったくらいか?俺は異端者扱いになったから正確には分からないけど」
「……何をしたのさ?」
まぁ確かに気になるか
「ハジメが死んでから自暴自棄になってしまってな。俺が二週間近く寝込んでしまった後に絶望してしまって、まぁハジメの親友だったから犯人を探そうとせず陰口言っていた教皇にイラついて思いっきり神の絵に赤でバツマークを書いた」
「何しているの?それにえっ?気絶したの香織じゃなくて?」
「……ん?俺だけどなんで白崎が?」
「ううん。私の世界では香織だったはず。それに南雲が死んだのって奈落から落ちたからでしょ」
「……あぁそうだけど……」
「…ねぇ?もしかしてこの世界の香織って南雲のことを好きじゃないの?」
俺は少しキョトンとしてしまう
もしかして
「……一応白崎は俺のことが好きだったと思う。一度告白されていたし」
「うわぁ。リアルハーレム野郎の女とっているし」
「へ?」
「私の世界だったら南雲はハーレム築いていたよ?」
「……えっ?それってハジメって」
「うん。私の世界では生きていたはず。大迷宮を全部攻略して僕たちの邪魔をしたから」
心臓が一際鼓動する。
そして他にも気になることを言っていたがそれよりもハジメが生きている可能性があるってことだ
「……どうしたの?」
「いや、少しだけ目さめたなって思って。それなら今後の状況分かるか?」
「うん。確か南雲がこの街に来たのは一回だけある。ウルの騒動後ここで海人族の子供を救っているから」
「……その時だな。……まぁなんとか3人分の食事はなんとかするか。ハジメ本人か調べるのはハジメの机の裏のあるエロ本の内容を暴露すれば信用は取れるだろ」
「…うわっ」
と話している途中だった。するとドンと鈍い衝撃が俺に伝わるとそこには妹ちゃんの姿がいた
ギュッと俺を
「パパとお姉ちゃんばっかりずるい!!リンもお話する!!」
「えっ?」
「……ん?」
とりあえずリンという名前ってことは分かった。
てかリンって鈴って漢字だしあっちの世界の谷口って線もありえるか?
……いやないか。さすがにパパとかいうようなものではなさそうだし
「ちょっと待てなんで中村がお姉ちゃんで俺がパパなんだ?」
「お兄ちゃんって言ってもこっち向かなかったもん。だからパパ!!」
「……無視したのは悪かったけどパパは辞めてくれないか。流石に少し恥ずかしいし」
「やっパパがいいです!!」
「いいんじゃない?お・と・う・さ・ん」
明らかにからかっている中村(子)に俺は軽く小突く
……まぁ都合はそっちの方がいいか
「……お前からかっているだろ?つーか中村ってそんなキャラだっけ?」
「猫かぶっていたからね。こっちの世界のボクは分からないけど」
「……ふ〜ん。それとお前のこの世界での名前はミオな」
「へ?」
驚いたようなミオに俺は小さくため息を吐く
色々考えも思い浮かぶ。既に昔、いや普段の俺にシフトしていた
「子供って説得しても結構意固地なことが多いんだよ。どうせこの調子じゃ変化はないだろうしそれにお前ら魔人族だろ?俺なら俺の子どもってことにしたら裏で暮らしやすい。この裏では俺は最強戦力なんだ。俺がいる限りよほどのバカでない限り襲うことはないだろうな」
「……いいの?襲われるリスクは高まるけど」
「いい。それに……流石にこのリンをほったらかしにできる訳ないだろ?」
「君ロリコン?」
「違う。前までは八重樫が好きだったし……ただ義理の妹のことを思い出すだけ」
そうだ。なんで忘れていたんだろう
……ハジメがいなくても大事なものはあったというのに
「パパ」
「……ん?」
「お腹減った」
……まじか。さっき食ったばっかりだろ?
俺は少し悩んで、そしてまぁ仕方ないかと苦笑する
「……タク。どうせ聞いている奴はいるんだろ?金貨10枚やるから携帯食料買ってくれる奴はいるか?」
「俺が行きます!!」
すると真っ先に手を挙げる人間俺はそいつに袋を渡す
「30枚金貨あるからいや20枚使ってありったけの携帯食料とこいつらの衣服買ってこい。その中から10枚はテメェにやる。いつもの寝床に届けろ」
「い、イエッサー」
とすぐに動き始める。俺が相手だと地の底まで追いかけてくるのは分かっているので俺に逆らう奴はいないしな
「……はぁ。ってことで寝床行くぞ」
「「は〜い」」
子供っぽい声を上げる二人に俺は小さく苦笑する
……騒がしいのも久しぶりだな
少しだけ笑みが溢れる
こんな感情いつぐらいだろうか?
そんな思いで俺は鼻歌まじりで借りている寝床へと向かう
少し暖かな雰囲気が路地裏に漂っていた