魔法剣士と異世界の姉妹 作:ニック
翌日大広間に集められたタクミ達は銀色のプレートを手にしていた
早速訓練と座学が始まろうとしていたところで先生役である、騎士団長のメルド・ロギンスが直々に説明を始めた。
「よし、全員に配り終わったな? このプレートは、ステータスプレートと呼ばれている。文字通り、自分の客観的なステータスを数値化して示してくれるものだ。最も信頼のある身分証明書でもある。これがあれば迷子になっても平気だからな、失くすなよ?」
気楽な話し方をするメルドにタクミは昨日リリアーナ姫に聞いた通りに針に指をさし血を魔法陣に垂らす。
きになることがあったので早めに行動したのだがその勘は正しかったことが証明された
瀬川匠 17歳 レベル:1
天職:魔法剣士
筋力:120
体力:70
耐性:50
敏捷:60
魔力:110
魔耐:30
技能:剣術 上限解放 限界突破[+最後の力] 魔力操作 全属性魔法 高速魔力回復 憤慨 言語理解
やっぱりスキルツリーとスキルポイントの欄が消えていることが分かる
タクミの設定したステータスは神が設定したステータスではないことが証明されたわけだ。
メルドの会話を全く聞いていないタクミ。ほとんどのことをリリィに聞いており退屈な時間を過ごしていた。
「……」
「どうしたの?」
「ん?」
「あんまり興味なさげだったから。」
「いや、ちょっとな。」
首を傾げるハジメにタクミは言えることもない。
「それでステータスはどうだった?さっき血をつけていたでしょ?」
「……ほら。」
タクミはハジメに見せるとすると驚いたようにタクミを見る。
「魔法剣士なんて本当に異世界に来た気がするなぁ。それに全属性魔法が使えて限界突破や上限解放って強そうな技能ばっかりじゃん。」」
「う〜ん。まぁ確かに。ってかハジメテンション高いな。そういうハジメのステータスは?」
「僕?」
そういえばハジメのステータスは聞いてなかった。
「僕はまだやってないよ。タクミが先に針使っていたから。」
「あ〜。悪い。それならほれ。」
とハジメに針を渡す。顔を顰めながら指先に針をチョンと刺し、プクと浮き上がった血を魔法陣に擦りつけた。すると、魔法陣が一瞬淡く輝いた。
そしてハジメのステータスはというと
南雲ハジメ 17歳 男 レベル:1
天職:錬成師
筋力:10
体力:10
耐性:10
敏捷:10
魔力:10
魔耐:10
技能:錬成・言語理解
「「……」」
タクミとハジメが顔を見合わせる
明らかに一般人並のステータスであり、そして技能も俺と比べるとかなり少ない。
「えっと。これは。」
「一応姫さんから聞いたらこの世界の平均ステータスは10らしい。だからオール10って平均並。……まぁでも俺からとったらハジメは非戦闘職でよかったけどな。」
「…へ?」
「だって非戦闘職ならば前線に出る必要ないだろ?ハジメって結構譲れないって時だけは絶対に無茶をするから。……誰かが危険な時は絶対ハジメが行動をためらわない。どれだけ怯えていようと、絶対に背を見せないし。」
「それはこっちのセリフだよ。中学校のころスーパーでお婆ちゃんに大学生ぽい人に絡まれていた時真っ先にタクミが突っ込んでいったの忘れないからね。どれだけ注目浴びたと思っているのさ。学校で表彰までされて。」
「……やな思い出だな。」
そうやって目を逸らすタクミ。お互いに困っている人がいたら見逃せない性格なのが悪いんだろう。
話を必死に変えようとしてタクミは話しを振る
「……でもさ、一つ気になったんだけど鍛治師じゃないんだな。錬成って確か金属を鍛えて強くする行為のことだろ?」
「あっ。うん。そうなの?」
「あぁ。異世界ものであればそっちの意味で使われたはず。もともとは心身・技術などを鍛えて立派なものにすることって意味だけど、ファンタジー系だしステータスから見るに鍛治職ぽいんじゃないか?」
すると思っていたよりもショックが少ないハジメに少しだけタクミはホッとする。
こういうサポートは相変わらずタクミはうまいのだ。
それにタクミは本心からハジメが前線に立たないでいいことを安心していた。
ハジメは強い。
強いからこそ逃げないのだ。
幼馴染として、親友としてタクミはハジメだけには絶対に地球に返したかった。
両親に恵まれ、タクミにとってハジメのおかげで腐らずに生きてこられた。
だから万が一ハジメに何かあったら、
それだけが気がかりだったのだ。
自分が自分でいられないような気がして
そうしてメルドがハジメとタクミの方にやってくる。
「それじゃあ二人見せてくれないか?」
「あっ。俺はステータスの開示を拒否させてもらいます。」
「「「は?」」」
するとクラス全員から声が掛けられる。
「ちょ、ちょっとタクミ?」
「いや。姫さんがステータス見せない方がいいって言っていたんで。ちょっと俺はこれ以外にもステータスを知ることができてましてその仕組みがちょっと今後に左右してくるんですよ。」
「姫さん?……もしかしてリリアーナ姫のことか?」
「はい。昨日の夜中少し裏庭で話していたんで。専属で教えてくれる人を紹介してくれるらしいですし。一応姫さんにはステータスを見せてますから。一応俺は誰よりも早くこのステータスプレートの使い方を知っていた。これが証明にならないですか?」
「……うむ。……本当にリリアーナ姫が知っているのか?」
「実際に聞けばいいんじゃないですか?」
すると視線がとある一方から来るのだがその視線を無視してタクミはそのメルドを見る。
「……うむ。それじゃあ君はみんなと別行動になるってことになるが。」
「別に大丈夫です。それにそっちの方が俺も安心するので。」
すると首を傾げるメルド。しかしその部下はその言葉の意味を理解する。
即ち教会は信用してないっていうことに
そんな中でハジメもステータスプレートを見せるとするとその団長の表情が「うん?」と笑顔のまま固まり、プレートをコツコツ叩いたり、光にかざしたりする。そして、ジッと凝視した後、もの凄く微妙そうな表情でプレートをハジメに返した。
「ああ、その、なんだ。錬成師というのは、まぁ、言ってみれば鍛治職のことだ。鍛冶するときに便利だとか……」
歯切れ悪くハジメの天職を説明するメルド団長。
「おいおい、南雲。もしかしてお前、非戦系か?鍛治職でどうやって戦うんだよ?メルドさん、その錬成師って珍しいんっすか?」
するとタクミと仲が悪い檜山大介のグループがニヤニヤと笑いながらハジメに絡んで来る。
恐らく恋愛がらみのことだろうがそれならタクミを狙えばいいものの
「……いや、鍛治職の十人に一人は持っている。国お抱えの職人は全員持っているな」
「おいおい、南雲~。お前、そんなんで戦えるわけ?」
「……てか非戦闘職に戦わせようとする方がバカだろ。」
呆れてしまうタクミ。こいつら脳みそついているのかと言いたげな表情に檜山がタクミの方を睨む。
「はぁ?」
「お前らな強い者には媚び、弱い者には強く出る典型的な小物みたいだぞ。物語でいう。一番最初に死ぬモブキャラみたいな。」
「……てめぇ。」
「やるんだったら俺が相手になるぞ。……生憎俺は簡単な魔法ならば無詠唱で全属性使えるからな。」
ばちんと指を鳴らすと光の玉がタクミの周辺を回り始める。するとメルドもその様子を見てギョッとする。
「……んでやるの?」
「……っ!」
脅しにも取れる言葉に檜山たちは目線を伏せる。
それを見てタクミは魔法を解き光の球は消滅した
「瀬川くん」
「致死性はねぇぞ。無詠唱だったら威力が落ちるから当たっても気絶するくらいの威力に抑えてある。姫さん直伝の初級光属性魔法光球。教えてもらって正解だった」
「……あなたいつのまに」
「昨日寝すぎて眠れなかっただけ。その時姫さんとあって話したんだよ」
「……なるほど」
雫の疑問にタクミはしっかりと答える。
「でも無詠唱なんて。」
「いや。簡単な魔法ならば魔法陣さえあれば唱えられるしな。図書館で朝一で借りてきた。」
「……さっきペンで何か書いているって思ったけど魔法陣だったんだ。」
呆れたようなハジメ。こういったことをするのがタクミっていうのをよくわかっている
それがどんな卑怯なことや自分を犠牲にしてまでも相手を守ることを
少し険悪な様子で最初の会合を終える
でも、ハジメはいつもとは違うタクミの様子に少し違和感を覚えるのであった