魔法剣士と異世界の姉妹 作:ニック
嫌な予感が的中したと言っても過言ではない。事態は最悪。
逃げるなんて不可能。この状況。
「グルァァァァァアアアアア!!」
「ッ!?」
その咆哮で正気に戻ったのか、メルド団長が矢継ぎ早に指示を飛ばし始める。
「はぁ。本当嫌になるな」
俺は小さくため息を吐く。恐らく先決は大型な魔物を止めること
そして恐らくベヒモスではなくてミノタウルスなら止められる。いや倒すことが可能だ
「ちょっと行ってくるな」
「えっ?」
「ミノ殺ってくる」
それは二人は驚いているが俺は小さく息を吐く
俺は小さく加速し始める。
そして身体強化を足だけにかけると一瞬のうちに溜めを作る
「瀬川君!!」
八重樫の声が聞こえてくるが俺はスピードを高めそして身体強化で腕の力を高める
俺の剣は大型の両手剣を振りかぶりミノタウルスの腰あたりを目掛けて振ろう
「がぁぁぁあああ!!」
それと同時にミノタウルスも斧を振るいこれなら大剣と斧、普通のステータスであれば押し負けてもおかしくはないだろう。でも。……俺のステータスは異常なのだ
「えっ?」
触れた瞬間ミノタウルスは大きく押し返す
俺の身体強化効率強化Ⅳおかげで最大各4100まで増加できるのだ
流石に最大だと時間がないので1分あたり2割程度のペースで魔力を減らしているのだがそれでも十分だ
後方に下がったことで俺は少し会話の隙が生まれる
「すいません。メルド団長。ミノは俺がやります。……ベヒモス相手にいくら稼げますか?」
「……お前」
「すいません。手短にお願いします。どれくらい稼げますか?」
すると苦い顔をするメルド団長
「ミノタウルスはお前が対応できるなら……持って3分。いや5分は稼いでみせる」
「了解です。こっちも魔力の消費量が多いので切り札になります……いや、3分以内で倒して限界突破で逃げ時間を稼ぐ方がいいでしょう。メルド団長がいなくなる方が逃げ切れる可能性が随分高くなる……ミノタウルス倒した後は俺がそっちを引き継ぎます。メルド団長たちは避難の優先をしてクラスメイトの指示をとってください」
……メルド団長がギョッとした顔になるがミノタウルスが立ち上がるのが早い
「ふぅ。んじゃ行くか」
地を蹴ると高速移動でミノタウルスに近づくと俺は大きく助走をつけ大剣をぶん回し続ける。
敏捷と筋力を最大にすることにより魔力を温存させることができ、尚且つ攻撃力を高めることができる
魔力がなくなるのが先かそれとも
俺は全力で連続で叩き込むがあぁぁあああと叫びごえが聞こえるがもはや関係ない
死ぬのが先か、殺すのが先か
手に魔物の肉が切れる感触が感じる。あまりいい気分ではないがそれでも休みのない攻撃は続かせる
休む暇はない。ただ目の前の魔物を殺すだけ
声が上がることなんてない。
ただ無言で命を奪う行為に嫌気が覚える
何度も斬りまくってそして振りかぶっているときに一瞬だけそのミノタウルスと目があった
「死ね」
俺が最後の一振りを斬り込む。そして目の前の魔物はただじっと動かなくなり永遠に起き上がることはないだろう
俺はポケットに入っている魔力回復薬を一気飲みする
さてととひとまずあける。時間が分からないがかなり魔力は失っている。
一通り魔力の回復が終わり俺がベヒモスのところに行こうとすると
「……なんだあれ?」
俺は一瞬戦場であることを忘れその方向を見てしまった
それは地面に埋もれているベヒモスの姿に俺はただぼけっと見ていたが心当たりがあったので首を振りその方向へ向かう
「錬成!!」
「はぁ。やっぱりか」
少し納得してしまう
俺はハジメを見て少し呆れたようにして少し考え熱したツノでやけどしているところを見てすぐにどうするかを決めた
「冷覚」
ハジメに温度を下げるパフをかける。どうせ引かないことは分かっている。
それなら援護するしかないだろ
そしてハジメがこっちを見ると笑っていた
お互いに無茶する癖は本当に変わってないな
俺は魔力を集めベヒモスの頭上に冷気を生成していく。
「氷結」
ハジメが魔力回復薬を飲む間俺が全てを凍らせ時間を稼ぐ。
抜け出す直前飲み終わったハジメに考えを共有するために話しかける
「ハジメ。俺がクラスメイトを見るからお前は錬成に集中してくれ。逃げるタイミングも指示する方が楽だろ?」
「うん。できれば僕から逃げていいかな?」
「当たり前だろ?職人職なのに俺から逃げるわけない。ギリギリまで足止めするから先に逃げろ」
と俺は当たり前のことをいうと錬成に集中し始める
俺は錬成の合間に氷を製造し、さらに魔力を回復させる
逃げ出す前に大きな魔法をぶつけるからだ
そしてしばらく開けると道を開けたのを確認できた。錬成を使って隙を見る
「次の錬成で離脱して、俺は魔力ギリギリまで魔法を打ってから離脱するから」
「うん。……気をつけてね」
俺は少し頷き、詠唱を始める。流石に時間稼ぎのための魔法で身体強化をかけなければならないのでちょうどいい
「……錬成!!」
と振りほどきそうになったところでハジメが走り始める
ここからは俺の仕事だ。
できるだけギリギリで、ハジメの時間を稼ぐように
そして起き上がりそうになったその瞬間俺は一つの火の最大級魔法を使う
「蒼天」
蒼い火が周辺を包み流石にダメージを負ったのであろう。かなり苦しんでいる
その瞬間俺も走り始め身体強化もこみで走り始める
数十メートル先のハジメに追いつこうとしておりハジメの数十倍は早いであろうが周辺を警戒しながら走る。
ここで奇襲でスケルトンが沸いたら俺が相手をするように、だからこそハジメの少し後ろを走る
すると猛然と魔法の渦が巻き起こる
クラスメイトの足止めの魔法だ。もう50m近く離れているし、平気じゃ
ゾクッ
とそんな甘いことを考えた瞬間だった。粘っこい視線が突き刺さる
その方向を見ると檜山が、詠唱をし始めている。そして嫌な予感が的中した
「……ハジメ!!」
「えっ!?」
俺はハジメの元に急いで駆けつけ強く押し出すとハジメが倒れ混む。その瞬間。
俺の腹部に火球が直撃した
「っ!?タクミ!!」
「いいから逃げろ!!」
俺は最後の力を振り絞る。身体強化で防御に全振りしさらに水の玉をギリギリで展開したので熱もダメージも大したことはないんだが……
「……」
追いつかれるのは時間の問題だった。
俺は小さく息を吐く。魔力は残りわずか。身体強化を使える余地はない。
……小さく苦笑する。
恐怖?そんなものはない。
後ろを見る。不安そうなハジメ、そして怯えたような白崎、どこか怯えたような八重樫
そうだ。俺はこいつらを守れたらいいのだ
家族にも居場所がなかった俺が初めてできた居場所。
それを守れるのならば死んでもいい
だから笑顔で手を振り一呼吸空けた後剣を取る
「限界突破」
そして最後の切り札を発動させる
「
俺はそして高速でベヒモスの方に飛び出す。ギリギリまで体が耐えられるように魔力を耐久に変換させ体の負荷に耐えられるようにして剣を振りかざす
角と剣がぶつかり合い衝撃が周囲に伝わる。もはや力と力の比べ合い。
衝撃によってお互いに後退するが俺はすかさずに前にでる
もはや剣を振るだけのbotと同じ駆逐するだけの兵器となる俺。
感情ももはや感じない
ただ敵を殺すだけ
大事な大切な人たちを守るため両手剣を振り続けた
カーン
と俺が大きくベヒモスのツノを弾き飛ばす
「これで終わりだぁぁ!!!」
最後の一撃に限り全ての魔力を集中し腕の筋力に全ての勢いも身体強化も載せた剣技が最後に襲う
肉の断ち切った感触が俺に伝わってくる。
俺がベヒモスの腹部から思いっきりぶった斬る
「グゥルァガァアアアア!!!!」
と断末魔が聞こえてくると俺は走り出す。
振り返るとハジメがいた
「どうしたの?」
「なんで逃げなかったんだよ!!」
「錬成で危なくなったら地面ごと落とそうと思っていたんだよ。そうしたら二人とも逃げ切れるって気づいたから」
あっ。そうやれば確かに安全に逃げられるな。
一瞬考えたが俺は首を振る
そんな暇がないんだった
「急げ!!崩落するぞ!!」
「へ?」
するとベヒモスがどしんと倒れた瞬間橋が崩落し始める
さっきから剣とツノがぶつかるたび衝撃派が起こり少し地面が危うくなっていることを気づいていた。
そして走り出そうとした瞬間だった体が一気に重くなったように感じ力が一気に抜け俺は前に倒れ込んでいた
「っ!タクミ!!」
「いいから逃げろ!!死ぬぞ!!」
わかっていた。最後の力の副作用だと。
それはもう助からないことを悟っていたのだ。せめてハジメだけでも逃がそうと。そう思っていた
しかしハジメは足を止める。崩落はすぐ近くだったのに下に手を伸ばしそして
「錬成」
と一言声がした。それはどういう意味なのか。
地面が動き俺はなすすべなく地面のまま移動させられる
そして俺はハジメの方を驚いたように見る
「ハジメ?」
「タクミ、ありがとね。僕の親友でいてくれて」
本当の笑顔に俺は手を伸ばそうとするが体が動かない
既にハジメの足元は崩落を始めていて既に落下が始まっていた
「じゃあね。タクミ。お母さんとお父さんによろしくね」
そして落下が始まったハジメ。目の前のことなのに。俺は助けられない
「ハジメ?」
落ちていくハジメに俺は痛みを堪え奈落の方に向かおうとする
「!ダメよ!!」
すると抑えようとする八重樫。だがこの時ばかりはダメだった
「離せよ!!俺もあそこに行かないと」
「駄目よ!!瀬川君!!駄目!!」
「あいつがいないと、俺が生きている意味がないんだよ。だから離せよ!!」
俺はそうやって剥がそうとするが副作用のせいで動きが鈍い。
でも俺は……
俺にとって
あいつだけが俺の居場所だったんだ
「……すまない。」
ガンと首筋に衝撃を受ける。
痛いとも感じず俺は闇の中にとじ込まれている
それは後悔と懺悔だけが残ったまま俺は意識を落とした