完全超悪   作:マルアール®️

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やり残した感が有ったので続きを書いてみたけど文字数からしてやり残した方が多かったみたいだ

これも二度と触らないと思うので誤字、脱字は多いと思います



二部

「ハァ ハァッ、気を失ったかそれともくたばったか、視力を喪いながらよく私の拷問に耐えたものだ、だが終わりが見えてるからか新たに真なる王の帰還の詠唱を拒み続けられたか」

 

 

ムスカ忌々しい奴この私をこんな所に閉じ込めるなんて

 

だがまだだ、まだ終わった訳ではない、考えるんだ

 

真なる王の帰還を私とパズーで唱えた…王と民、これが揃って国が成り立つ、だが真なるラピュタという国が成り立つ前に王と民が離れた為石の安全装置が働いたんだろう

 

民を蔑ろにする王に力は与えない訳だ、ラピュタ族め我が祖先ながら小賢しい

 

どうする?このままでは此処が浮力を失った時私は死ぬ、真なる王の帰還の光は既に無い脱出する船も無い唯一機会が有るとすればドーラと落ち合ったパズーが石を持たないが遺跡を攻略する事が出来尚且つその結果得られたものが此処や私に良い方向で影響を与えるものであった時だけ…

 

「無いわ、ムスカも遺跡パズー共に期待してないと言っていた、私を此処に閉じ込めた張本人だけどその考えに間違えはないでしょうね、腹立たしい事だけどね」

 

問題、いや今此処に起きている事の原因はパズーとの距離だ王と民、石が王と民を共に感じられないから石の力を石そのものが失わさせたんだ、それなら!!

 

「どうせ浮力を失えば墜ちて死ぬんだったら試してみようじゃない」

 

現文明の力では飛行船は垂直飛行出来ない安全に高度を上げるには大きな、とても大きな螺旋を描いて高度を上げていくラピュタを目指すのに一日かけて高度を上げていったわ

 

元々ラピュタの位置はその着陸地点である遺跡から然程離れてなくムスカも偽りの中枢を掌握後ラピュタを動かしもせずラピュタの雷を眼下に落とした…此処は帝都近郊、遺跡の上空なのよ

 

そしてムスカがパズーを説得した時も遺跡が近くになければ私達が真なるラピュタに先着するが遺跡は直ぐ真下に有り急げば間に合うと、私を嵌める為とは言えパズーをその気にさせてまんまと私から離れさせた

 

「今必要なのは真なるラピュタを御する力じゃない!私が安全に地上に降りる力だ!なら可能性は有る!」

 

 

一世一代の賭け、チップは自分の命だ

 

「私は真なるラピュタ王必ず成功させてみせる!」

 

 

飛び降りる…遥か上空に位置するこの真なるラピュタの中枢から、パズーとの距離を縮めこの石に再び力を取り戻す為に

 

かなり地上に近付かないと駄目だろう、運が悪ければ地上に墜落しても石の力は戻らないかも知れない

だが何もしなくとも衰弱して死ぬか墜落して死ぬかだわ

パズー待ってて今お前に逢いに行くからそして王と民として再び真なるラピュタを完成させる!お前は奴隷階級の民としてだけどね

 

何度も考え、考えに考え抜いた方向、ただ真下に降りれば良い訳じゃない後はもう自分を信じるしかない

今まで一度もした事がない空中での姿勢制御、常に遺跡を確認しながら風に流されないようにするそして同時に飛行石を確認する、今は未だ無色透明これに僅かでも色が付いたら低速降下の呪文を唱える、今でさえ凄まじい速さで落下中でまだまだ速くなる地上到達前に石の力が戻ってもタイミングを誤れば地上に激突して死ぬ

 

「未だか…未だ石に力は戻らない…」

 

恐怖で気を失いそうな程の速度、激風に曝される中遺跡へと凄まじいスピードで落下し迫っている、だけど私は負けない!私は全てを手に入れるのよ!

 

 

石に色が!

 

「低速降下!!えっ?何で!?何で発動しないの!?」

 

石に色が再び戻り直ぐ様呪文を唱えるが効果が無い

「未だ駄目なの、もう地面が!飛行石ッ!!」

 

地面に激突する直前飛行石が輝きフワリとこれまでの速度が嘘の様にゆっくりと降下していく流石飛行石、飛行船からパズーと接触する為に飛び降りた時と同様にパラシュートとは違って身体に掛かる負担が全く無い、そしてゆっくりと地に足を着けた時飛行石も一旦役目を終えたので光輝く事を止めた、色は未だ最初の飛行石の色に及ばない青み掛かった程度だけど私は賭けに勝ったようね

 

「フッ、フフフ、フフフフフッフファハハハッ、ハッハッハッやった、やったわ私は賭けに勝ったのよ、残念だったわねムスカ私はあなたの命を賭けた罠を喰い破ったのよ、もう邪魔する者も居ないわパズーの元へ行き石の力と真なる王の帰還の力を取り戻しそして再び全てを手に入れるのよ!」

 

ムスカの落としたラピュタの雷で破壊され吹き飛ばされた瓦礫に埋ってるけどこの周辺で一番原型を留めてる建造物此処がラピュタの遺跡で間違いないわ

 

「パズー直ぐに追い付いてみせるわ」

 

不思議なものね歳上だけどあまり頼りにならなくて甘いだけの私の嫌いなタイプの男なのにこんなに逢いたくなるなんてね

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

 

「パズーこっちで間違いないんだろうね」

「うん大丈夫だよドーラおばさん、殆どの扉は開かないし普通に開いた扉は全て行き止まりだった、唯一石を持ってないけど壁が消えて現れたラピュタ族に反応したこの道が王以外のラピュタ族を中枢に導く道だと思うんだ」

 

「ラピュタ族ね、まさかこんな帝都の近くにラピュタの遺跡が有るなんてね態々天空の城へ行ったあの苦労は何だったのかねぇ」

 

「本当そうだよなぁ行かなきゃ此処もこんな風にならなかっただろうしお嬢ちゃんだってなぁ」

 

「ぐちぐち煩いねお黙り!さぁさっさと進んであの娘の企みを止めるんだよ!」

 

 

パズーと空で再開を果たしてこの子は馬鹿共から世界を守った上にちゃんと帰って来たって嬉しくて仕方なかったのにシータの姿が見当たらなく覚悟を決めて聞いたが返って来た答えは驚愕の一言だった…

 

あの娘は最初からムスカも私達も利用し争わせその隙にラピュタを手に入れるつもりだった

ムスカは帝都跡に広がる荒野を作り出し比肩する事など誰にも出来ない程の大罪を犯したがそれすら生易しいと思える事、ラピュタの支配を防ぐ為に起こした事だったというこちらも驚くべき真実だった

 

そのムスカがあの娘を止めてる間にこの遺跡に眠ってるかも知れない飛行石を手に入れあの娘に対抗する術も手に入れる、それがこの世界に残された唯一の手段…しかも時間が無いあの娘が真なるラピュタに辿り着きこの地に降りて来る迄に全てを終えなければならない

 

だが真なるラピュタか…更に大きなものってあの時言ってたな…

 

何時シータが此処に現れるか解らない時間との戦いでもある中必死に中枢への道を探す、辿り着いた先にシータの野望を阻止出来る物が有る事を信じて只ひたすら先に進んで行く、そしてやっと辿り着いたようだ

 

「此処がラピュタの遺跡の中枢…」

「此処にもあんなに大きな飛行石が…」

「間違いねえみてえだな、おいボウズ此処で何を探しゃ良いんだ?」

「…解らないただこの飛行石は必要だと思う、何とかして此処から外して俺達で使えるようにしなくちゃいけない」

「そだな、でもそれ以外でも何か有るかもだから手分けして探そうぜ」

 

 

 

 

「その必要はないわ」

 

 

「!!シータ!」

 

「やっと来てくれたんだパズー待ってたわ」

「シータ…こんなにも早く来るなんて」

「世界の最後かよ…」

「ちっ退きな!ボウヤ!」

 

フフッ折角パズーとの再開を心の底から喜んでたのにドーラおばさんが無駄な事をしてくれる、邪魔しないで欲しいわ私今妙な気分なのよ、こんな頼り無い男の顔を再び見る事になったのに嬉しくて仕方ないのよ

 

無駄に大きな銃の無駄な攻撃を甦った真なる王の帰還の光で無効化すると同時に飛行船内で私にイヤラシイ態度で接してきた三人の息子とついでにジジイを始末する、ラピュタ族でない為ムスカの様にはならない即死だ、だけどドーラは生かしておくパズーに言う事を聞かせる為の人質だ

 

「シャルル、ルイ、アンリ、ハラッ!」

 

「へぇこの遺跡ただの着地点としてしか考えてなかったけど嬉しい誤算ね、王には必要のない力と思ってたけどこの遺跡の中に有った兵の力や将の力も満更でもないわね目を通しておいて良かったわ」

 

 

「シータ!!何故だ!彼らは何もしてなかったじゃないか!どうしてそんなに簡単に人を殺せるんだ!」

 

「この小娘!何故私を狙わないお前を殺そうとしたのは私じゃないか!!」

 

これがあのシータかい!?何の躊躇いもなく四人を殺しやがった、シータを撃った大砲の弾もシータに届く前に爆発してシータは無傷、大きな力を持っても所詮一昨日まで只の小娘だったからまだ殺りようは有ると思ってたけど打つ手が無さそうだよこれは

 

「フフッ、ドーラあなたには暫く生きていてもらうわあなたにはまだ利用価値が有るのよ」

 

「フンッ気に入らないね世界の全てを手に入れられる力が有るんだろ?気に入らなきゃ殺せばいい!」

 

「それがねちょっと予定が狂っちゃって未だなのよそれ」

 

「?真なるラピュタで来てない?こんなに早く降りて来たのに?」

「そうよどうやってかは秘密よ話したくないわ、でもこの遺跡の中の事なら簡単よ王の歩みを阻む事なんて出来ないわ」

 

「真なるラピュタをまだ手に入れてないなら一体何の為に降りて来たんだ、まさか俺やドーラおばさんに逢いに来た訳じゃないんだろ」

 

「うーんドーラおばさんは別にどうでもいいけどパズーあなたに逢いに来たのよ」

「俺に?」

「そうよあなたは私と真なる王の帰還を唱えたのだから真なるラピュタにはあなたも共に行ってもらうわ」

 

「嫌だ!断る!俺はそんな事に手は貸さない」

「そんな訳にもいかないのよあなたも共に来ないと真なるラピュタとは一体化出来ないのよ」

 

「なら尚更だ、死んでも手は貸さない残念だったな」

 

「フフッそこでドーラおばさんに利用価値が出てくるのよ、手を貸さないならドーラおばさんには死ぬより苦しい思いをしてもらうわよ」

 

!!

「私を嘗めるんじゃないよ!!お前のような小娘に利用されるくらいなら今直ぐにでも死んでやるさ!」

 

 

全く私を出汁にパズーに言う事を聞かせるなんて事させる訳ないだろ!私は海賊ドーラ一家のドーラだよ!捕縛されて確実に逃げられないと悟った時即座に死ねるように常に毒は身に着けてるんだよ!口内の毒を飲み込めば直ぐにでも死ぬお前の好きにはさせない!

 

「パズー!あの小娘が真なるラピュタってのをまだ手に入れてないならチャンスだ私はもう覚悟を決めた、あんたも絶対に言う事なんて聞くんじゃないよ!!じゃあねボウヤ…」

 

「!!」

 

…ッ身体が動かない!!声さえ出せないなんて、まさかこれもこの小娘の力なのかい!?

!痛い!口の中がこれは一体!?ガァッ!

 

「へぇ~奥歯かぁこんな中に毒を仕込んでたんだ、でも残念でした真なるラピュタ王の前で自由に振る舞えるなんて思わないでね、まあ正確に言えばこれは将の力なんだけどね」

 

 

しまった!パズーと話した事が裏目に出たこの小娘をまだ甘く見ていたなんて自決出来る唯一の毒を仕込んでいた奥歯ごと引っこ抜かれた、マズいこのままじゃこの小娘の思い通りになってしまう

 

「おばさん!一体、一体どうしたの!?」

「死ぬつもりだったんどけど毒を仕込んでた奥歯ごと取られたんだよ」

 

!!ギャァ………

 

「おばさん!?おばさん!!おばさんしっかりして!おばさん!!」

 

「あら?やり過ぎたかしら加減が難しいわねこれ、でもまあ生きてるみたいね良かった死ななくて」

「シータ!君がやったのか!?」

 

「そうよ早速死んだ方がマシって思いさせて早くあなたを真なるラピュタへと連れて行きたいのよ、でも加減が難しいのよねこれ、お祖母ちゃんの時もそうだったけど直接手を下すにせよ能力でするにせよ拷問って難しいわね」

 

「!!お祖母ちゃん?それってあの時話してたシータの…」

 

「そうよ私のお祖母ちゃん、私と同じように王位を狙ってた人、仕方ないでしょ石の使い方とか色々聞かなきゃいけない事有ったんだし、これまでに教わった事が全てだなんて考えてないわよ実際色々な事が聴けてとても良かったわ」

 

「!!シータ…君はどこまで…」

 

「最初は直ぐ終わらすつもりだったのよ、でも誤って直ぐに殺しちゃわないように慎重にヤってたら自然とそうなっちゃったのよ、でも怪我の功名って言うの?そのお陰で真なる王の帰還と真なるラピュタの事が知れたのよ」

 

「あの人真なるラピュタの事を話したら『これで最後だ頼むから殺してくれ』って頼んできたのよ、でも誰も降りられないゴンドアの谷で事故死にするつもりだったからね、運ぶのも大変だったわ、谷の方で色々吐かせれば良かったって考えたくらいよ、でもあっちには暖炉も火かき棒もないし家で聞き出すしかなかったわ、最後に突き落とした時は肩の荷が降りたって感じたくらいよ、まだ本番の真なるラピュタどころかラピュタにすら行ってないのにね」

 

「…もういい、もうこれ以上喋るな…君の事なんてもう聞きたくない!」

 

「随分と無駄な事をするものだね、真なる王の帰還はどうか知らないが真なるラピュタなら私でも知ってるくらいなのにさ」

「ドーラおばさん!!おばさん大丈夫!?」

 

「あなたも知ってる?真なるラピュタを?何を出任せを!!ラピュタの秘密の中でも秘中の秘を知ってるだって?」

 

「ああ知ってる、真なるラピュタって名前じゃないけどねモントから聞いたのさラピュタの写真を見た時にね」

 

「!おばさん父さんの事を知ってたの?」

「ああラピュタ人とは知らなかったがモントも私も飛行船を扱うからね、海賊の正体は隠してたが部品を融通してもらったり飛行技術を教え合ったりと付き合いが有った」

「だから俺はドーラおばさんと初めて会った時殺されなかったのか…」

「だからって程そこの小娘みたいに誰彼構わず殺したりしないけどそうだねモントの息子だって事は大きかったね」

 

「パズーも納得したみたいだから話を元に戻したいんだけど良いかな?モント…、モンスト・フルイ・ウル・ラピュタから聞いたってどんな事を?隠さずに話なさい」

 

「良いさね話してやろう、モントに写真を見せてもらった時これよりも遥かに大きな物も有るんだって話をしててね、まあ直ぐに取り繕って話を濁したけどね、私はその時そんな物信じちゃいなかったけど実際に有った訳だ、モントに聞けば簡単に手に入った物を態々実の祖母を拷問してまで手に入れるってねとんだお笑い草だよ」

 

「黙りなさい!!」

「ギャァァァ!………」

「おばさん!ドーラおばさん!!」

 

「……」

「聞かれた事だけ答えてれば良いのよ暫く寝てなさい!」

「シィィータァァー!!」

「下がりなさい!」

「グゥッ…」

「お前も良く覚えておきなさいお前達は私の命令だけ聞けば良いの、余計な事はしないでおきなさいそこのババアの様になりたくなかったらね」

「…」

 

 

 

 

 

「…っ」

「ドーラおばさん目が覚めた?」

「あの小娘は?」

 

「シータならあっち…」

 

私の嘲笑が気に障ったのか最初に気絶させられた痛みを再び受けたみたいだ、どれだけ気を失っていたか不明だが結構な時間が経っているようだ、あの小娘の姿が見えなかったのでパズーに聞いたら巨大飛行石の方を指差して答えるパズーの指の先を見たらあの小娘巨大飛行石に何かしてるようだ…

 

 

「やっと目覚めたのねドーラおばさん」

「…気安く呼んで欲しくないね…」

「もう、さっきのまだ怒ってるの真なるラピュタ王が気安く声掛けてるんだから喜んでも良いくらいなのにね、まっ良いわあなたが起きてた方がパズーと交渉し易いから起きるの待ってたのよ」

 

「シータ、僕は行かない連れて行きたきゃラピュタの力で無理矢理連れて行けば良いさ」

 

「そうもいかないのよあなたはラピュタ人、真なる王の帰還の光がムスカを完全に殺しきらなくてただ視力を奪っただけに止まった、更にあなたは私と共に真なる王の帰還を唱えその光はあなたには何も影響を及ぼさないのよ、そんなあなたには能力の効き目は十全には期待出来ないわ、だから自発的に来てもらいたいのよ」

 

「何が自発的なんだそれでも嫌だと言ったらドーラおばさんを酷い目に遇わせるんだろ!それの何が自発的なんだ!!」

「何言ってるの?過程がどうであれ一緒に行かせて下さいって私に頼んだらそれは自発的って事でしょ?何と引き換えでどんな事すればあなたは自発的に私と共に来てくれるかしら楽しみだわ」

 

!!…駄目だ話が通じない…「シータ少し考えさせてくれ、その間ドーラおばさんには何もしないと約束してくれ」

 

「良いわでもあまり多くは待てないわよ三十分時間をあげるわ、私優しいでしょあのムスカの十倍の時間をあなたにあげるんだから王としての器が違うでしょ良かったわね」

「…解った」

 

想定外だわパズーから考えさせてくれって…でもまあ仕方ないかラピュタ人であってもパズーはただの人、何の知識も無ければ技術も無い、私に抗ってみせる力が無いのよ、その点で言えばラピュタ人ではないから全く脅威にはならないけどドーラの方が上ね

 

まあ楽で良いわ私にもあまり時間が無いわラピュタ中枢の巨大飛行石の力は喪われたまま、何時墜落してもおかしくないのよ、ここであまり時間は掛けたくないわパズーは折れる絶対に…今自分を納得させる理由を必死に考えているだけだわ、答が解りきってる事をただ待ってる必要はないわね私は上空に帰る準備をしましょうか

 

 

 

 

 

 

 

「時間よ!」

 

「シータ…王だけでは国は成り立たない民有っての国だ、どうか安易に人の命を奪わないでくれ!君が支配者であり君が治める国の法を君も守るって約束して欲しい!」

 

「当然ね私がパズーを迎えに来たのは何故か話したでしょ真なる王の帰還を王だけでは唱えられない、王とは別にもう一人居て初めて唱えられる様に、王と民が揃って真なるラピュタに到達しないといけない様に民有っての国だと私は理解してるわ、私は全てを殺したい訳じゃないし全てを破壊したい訳じゃない、全てを手に入れたいだけなのよ」

 

「解った俺は行くよシータ」

「良かった解ってもらえて、じゃ行きましょうか」

「パズー!本気か!その女がそんな約束守ると思ってるのか!その時の気分で人を殺す女だぞソイツは!」

「黙りなさい!!」

「ギャァッ…」

「シータ!!」

「大丈夫よパズー殺してなんかいないわ、あなたとの約束ですものね」

「…」

 

 

 

 

シータが巨大飛行石に手を掛ける、俺とシータの身体が宙に浮き巨大飛行石の真上に移動する

 

「この飛行石の力を使って帰るわ、浮く為に反発させてる力を使って上空に飛ぶわ、あなたは特に何もする必要はないわそのままで居なさい…行くわよ!」

 

巨大飛行石の力で上空へと飛び上がる…ドーラおばさんと合流して地上へと降りる速度よりも遥かに速い速度でだ、ムスカの乗ってた巨大戦艦なんかよりも遥かに速い

 

こんな凄い力を持ったシータが果たして俺との約束を守るだろうか…だがシータも誰も居ない国を治めたい訳じゃない筈だそこに望みを掛けるしかない

 

 

フフッもう直ぐもう直ぐよ、私は世界で唯一人の女王となる、女王となったら先ずは何をしようかしら?いやもう決めてたんだったわね…パズーは一体どんな顔してくれるか楽しみだわ

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

あの女が居ない私が気を失っている間に一体何が有ったんだ?まさか絶望して飛び降りたのか?

いや…あの女はそんな奴じゃない、私を拷問し私と共に真なる王の帰還を再び唱える事を考えてたくらいだ、私が死んだならともかく気絶したくらいで絶望などしない

 

だがなら何故あの女は此処に居ないのだ?一体何が起こっている

 

 

「まあ!本当にしぶとい大佐あなたまだ生きてたの」

「その様だな、また拷問でも再開するかね?」

 

「いえ折角だからあなたを真なるラピュタでの私の女王の戴冠式にご招待するわ」

「フッ何を言っているそんな事出来る訳なかろうこの天空の檻はもう何時墜ちてもおかしくないのだからな」

 

「ざ~んねんでした飛行石は力を取り戻したわ既に色も真紅よ、もう此処は天空の檻なんかじゃないわ、ねっパズー」

「パズーだと!パズー!居るのか!何故帰って来た!遺跡にこの女に有効な物が無くとも此処に居る必要は無い筈だ何故だ!何故戻ってきたんだ!!」

 

「ムスカさんごめんシータが遺跡の最奥で待ち構えてて、ドーラを人質に…シャルル達…海賊の三兄弟と機関士のハラ爺さんも殺されて…」

 

「だが!君が戻って来たらその何万倍いや何千万倍の人が死ぬかも知れないのだぞ!!」

「シータだって誰も居ない国を治めたい訳じゃない、約束して欲しいって言ったらシータも同じ意見だって言ってくれたんだ、たから…」

 

「人は死ぬより辛い事も有るのだよ、この女は殺さない約束は守るかも知れないがこの女はそういう事もしないって約束してくれるのかね?」

 

「!!シータ!?」

「大丈夫よ私の機嫌を損なわなければ良いだけなんだから」

「シータ!!それじゃ…それじゃ駄目だ!シータ!!」

「んっも~煩いわね!黙りなさい!!」

「グゥッ…グゥアッ…」

 

「流石真紅の飛行石ねラピュタ人に対しても十分な効果が有るわフフッ」

 

「二人共そこでおとなしくしてなさい、そうしたら私の戴冠式の後の最初の仕事も見せてあげるから…ねっ」

 

 

「…パズー…」

「…話はシータから聞いた、俺が離れたから石の力が消えたって、ムスカさんあなたの罠を無駄にしてごめんなさい」

「いやシータが地上に戻れたんだから君のせいではないさ」

 

 

「ん~そっちだけが喋ってるだけじゃつまんないからムスカさんに一つ良い事教えてあげるわ」

「…何かね?」

 

「あのねあなたラピュタのガラクタの中枢で言ってたわよね自分は地上で別れたトエルの名の次に継承権の高い者だと」

「ああ、そういう事も言っていたな」

「でも真なる王の帰還も真なるラピュタの事も知らなかった」

「ああそうだ」

 

「でもおかしいな~それなら何故モンスト・フルイ・ウル・ラピュタは知ってたのかな~」

「何?」

「モンスト・フルイ・ウル・ラピュタよパズー…パズドラ・フルイ・ウル・ラピュタのお父さん」

「モンスト・フルイ・ウル・ラピュタが?」

 

「そうよお祖母ちゃんもびっくりしたんでしょうね、モンストがそんな最重要機密を知ってるなんてね、トエルの名を持つ者くらいしか知らない筈の事だったろうし、いくら何でもお祖母ちゃんすらその情報を教えてもらった側じゃないだろうから問い詰めたでしょうね、私だってモンストが生きてたら何故知ってるか吐かせてるわ」

 

「…モンストが…パズー本当かね…」

「ああ…ドーラおばさんとも実は飛行船の事で昔からの馴染みだったみたいでおばさんにもラピュタの写真を見せた際に思わず真なるラピュタの事を溢したそうなんだよ、流石にラピュタ人じゃないドーラおばさんには[真なるラピュタ]じゃなくラピュタより更に大きな物とか曖昧な話だったし真なる王の帰還は話してないみたいだけどね」

 

「モンストが真なる王の帰還も…」

「そうよだからあなたの祖先より格が上だったかも知れないわよ」

「………そうかも知れないな………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

「さあ着いたわようこそ我が居城へ」

「…」

「…」

「ふんっまあ良いわ来なさい」

 

 

大きい…ラピュタも大きな空中要塞だが此処はその比ではない確かにラピュタの科学の粋は此処に結晶しているようだな、ガラクタと称されたラピュタと同じ半球状の部分は同じように主砲だろうだが更にその外環部分にリング状の建造物が有り等間隔に計十箇所砲台が有る

 

主砲の他に十門の副砲かこれに何体待機してるか知らんが機械兵も居るだろうな、これだけの圧倒的な兵器群、これは王の意志が絶対であるという事の後ろ楯という意味を持たせてるのだろうな…此処は…

何の為に此処が造られたのか…は…もう見れば解るな司令室でありながらその中心には玉座がある王の間…本来王は俗事に口を出さないだが此処は王が総司令を兼任するかのような造りだ此処でも王の意志は絶対そしてその王が自らの力として真なるラピュタの力を振るうか…

良かったじゃないかリュシータ君好みの王の間であって

 

 

 

「さて戴冠式って言っても特にする事は無いのよね」

「…」

「で、どうするのかね早速遺跡にラピュタを降ろすのかね」

「どうしよっかな~それも良いんだけど世界の支配者が誰なのか知ってもらう為にもう一つくらい都を撃っちゃおうかな~って思ってるのよ」

「シータ!!約束が違うぞ!安易に殺す事はしないって約束じゃないか!!」

 

「これは違うじゃない戴冠式代わりのものでこの世の支配者を教える為に必要な事じゃない、そこそこ大きな都にするけど一発だけにしとくから…ねっ?」

 

「リュシータ、私が最初にラピュタの雷を落としてから一日が過ぎる頃だ」

「そうね、だから?」

「帝国は世界最大最強の国家、勿論地上ではって事だがね、その世界最大最強の国の首都が壊滅し各国と連絡を絶って一日が過ぎる、そろそろ各国の調査隊が帝都周辺に到着する頃だ」

 

「そうねそれで?そいつらを始末して私の事を知らしめるって事?調査隊みたいな小さな存在を始末したところで私の凄さが正確に伝わるとは思えないな~」

 

「何も殺す事だけが世に知らしめる手段ではないと思うがね」

「フフッ帝都を更地にした殺戮者さんが何言ってるのよ、何?自分が殺し過ぎちゃったから殺すの控えようって事?」

「そんな事ではない眼下にラピュタの遺跡が有るんだ、調査隊の目の前で真なるラピュタを降下させて世界にその科学力を知らしめれば良い、科学力はそのまま兵器の力、軍事力と各国は考えるだろう」

 

「ふ~ん、で?何を企んでるの?」

「何も…この期に及んで何を企もうと無駄だろう、只私は我が一族が継承した情報に有るラピュタの遺跡が実際に使われたら満足なだけだ」

 

「…まあ良いわ確かに一番の目的はこんな地に足の着かない所からの支配じゃなく地上に降りての支配だしね、恐らく間違いなさそうだけどあそこが本当にこの真なるラピュタの着陸地点なのかを調べるにも一度降りて確かめないとね」

「感謝する…」

 

「素直過ぎて勘繰りたくなるけど良いわ降りてあげる、でも降りたら次は兵装の確認よね?真なるラピュタの兵装が上からしか狙えない物だけならあんな遺跡要らないわ飛行石だけ取ってあとは私が降りる時以外は人形に護らせて放置ね」

 

「実際人形達だけでも十分世界は私に跪くだろうけど私は人形みたいなちまちました兵器よりもっとこう派手な兵器が好きなのよ」

 

「…」

「何?」

「…いやラピュタの遺跡の形状と下から見上げた時に確認した真なるラピュタの形状からして完全に地上に降りるって訳じゃないと思うがね、だとしたら例え真下にしか撃てなくとも有効な兵器は多いと思うがね」

 

「まあ良いわ降りましょう世界に私の力を知らしめる為にね」

 

 

 

__________

 

 

帝国方面での大規模な爆発後帝国からの一切の連絡が突然絶たれ帝都に何が有ったのでは?と来てみれば…

一面の荒野…昨日まで帝都が有ったとはとても信じられない光景が目の前に広がっている

生存者ゼロ恐らく皇帝すら死んでいるだろう、更におかしいのは帝都防衛軍は全滅してても不思議に思わないが各方面軍は健在の筈、その筈なのだが我々が飛行船で帝都跡地に来るまで帝国軍には一切遭遇しなかった、一体帝都と帝国軍に何が有ったんだ?最近帝国空軍を中心に大規模な空陸併合軍が作戦行動中だという情報は入っているがそれが何か関係してるのか?だが帝都が更地になる事態でも姿を現せない程の作戦とは一体何なんだ?帝国空軍旗艦ゴリアテの推力、踏破力なら例え他国侵攻中でも一日有れば帰って来れる筈だぞ

 

 

「レーダーに感有り!これは…真上です!!」

「!!なんて大きさだ…まだかなりの距離が有る筈なのにこれ程大きく見えるとは…」

「測定結果が出ました推定…一千五百平方粁 !」

「一千五百!?馬鹿な!我が国の首都の三倍だぞ!世界最大の都帝都でも二倍以上だぞ」

「目標凄まじい速さで降下中です!!」

 

なんという事だ突然我等の頭上に姿を現した船と言うより建造物と思える飛翔体…驚くべき事は先ずその大きさだ推定一千五百平方粁という有り得ない大きさそんな物が空を飛んでいるのだ軍属の私からすれば脅威以外何者でもない

そして場合に因っては此方の方が脅威なのだがその姿を忽然を現した事だ、あれだけの大きさだレーダーに掛からなくても普通に肉眼で見える筈、なのにこんなに接近されるまで対空監視すら気付かなかった我々の目を欺く何かが有るのだろうとんでもない技術力だ、恐らく帝都を更地にしたのはこいつだろうな…

 

 

「目標尚も降下中、地表まで推定六百秒!」

「今直ぐこの空域から離れろ!」

「はっ!」

 

 

 

「目標に止まる気配は有るか!?」

「依然降下中です地表まで推定百秒を切りました!」

「駄目だこのままでは目標の予測降下軌道外への退避が間に合わん」

 

 

 

誰もがもう駄目だと思った我々だけでなく連絡の途絶えた帝都を調べに来た者達全てがだ

だが我々は無事だった千米上空で突如停止し城のような建造物を囲う外環部分から光の柱が地上に降りてきた、まるであの城を支える脚のようだ

まるで円卓あろうかという脚の内側には遺跡が有る、あれは帝国の技術力を以てしても解明されてない遺跡だったか?

 

「とうちゃ~く大佐予想通り空中で停止したね、あのまま地表まで突っ込んでったらどうしようかと思ったよ」

「そうだなではこれで無事戴冠式代わりの御披露目は終了だな」

 

「駄目だよまだ終わりじゃない兵装の確認もしなきゃね、主砲は真下なのは仕方ないとして外環部分の砲の射角は知りたいからね」

「それは好きにしたら良いが一隻此方に来るぞ」

「鬱陶しいな」

 

「シータ!」

「解ってるわよ無闇に殺さない、でしょ?大丈夫向こうが手を出さなければ殺しはしないわ」

 

「どうするつもりだ」

「そうね大佐がやってた時はこの人こんなおもちゃを手に入れただけで滑稽ね、なんて思ったけど私もやってみたくなったわ」

「…」

「えーと…この格好じゃ駄目ねこの場合何か良い物は無いかしら?…っとこれね!」

 

ムスカが自分をラピュタ王だと宣言した時の事を思い出す、本来それは私のする事だお前ごときがして良い事じゃないと思うと同時にそんな玩具の兵器を手に入れたくらいで嬉々としてラピュタ王を語ってるなんて滑稽ねって笑いを堪えるのに必死だったわ

そして今後は私の番、真なるラピュタ王の宣言

だが今の私の姿格好は好ましくない、どうせムスカの時と同じように離れた場所からの映像による宣言だしこの際好きなように弄らせてもらおうかしら

 

 

 

リュシータが空中に自分に似せた映像を写している確かにパズーを騙す為に私と偽りの争いを演じてからそのままの格好だからな色々手を加えたいのだろう

自分の少し未来の大人びた姿に恐らくラピュタの記録媒体の中から気に入った衣装を着せた映像、いよいよか終わりの始まりは…

 

 

 

「私の名はリュシータ・トエル・ウル・ラピュタ、復活せしラピュタ国の女王だ、私は世界に宣言するこの旧帝都跡地を新生ラピュタ国の首都とし全世界を一つのラピュタ国として永劫支配する事を…」

 

 

かなり以前から考えていたのだろうリュシータめ世界に対して自分に跪けと宣言した後にも各国首脳陣に対して恭順の方法やその後の統治方法を押し付けているし敵対した場合の派兵の事も持ち出している

どうやら此処に集まる各国の船に対してだけではなく此処以外のそれこそ世界中様々な場所に同じ映像を写しているのだろうな

 

 

「では最後にお前達を支配する私の力の一端を見せてやろう」

 

来たか!これが最後の機会だ!リュシータ…そしてモンストよ力を貸してもらうぞ

 

「シータ!!止めるんだ!」

「無礼者!黙りなさい!」

「グゥッ…シータ…止めろ、止めるんだシータ…止め……」

「お前ごときが世界にラピュタ女王と宣言したこの私をシータなどと気安く呼ぶんじゃない!同じラピュタ人だから、そしてまだお前には見せたいものが有るから生かしてはやるがお前が地上人だったらスラッグ渓谷の民は皆殺しだぞ」

 

「やはりそれが君の本性かリュシータ女王パズーと約束したのではなかったのかね」

 

「私は私の創る法を守るとパズーと約束しただけだわ誰も殺さないなんて約束はしてないのよそれに法はまだ何も創られてないわ、更に言うなれば最初に力を見せておけば死ぬのは最初に死ぬ人間だけで無駄に死ぬ人間は居なくなるわ、結果多くの人間が死なずに済むと思わない?」

 

 

「そんなに顔を歪ませてまで撃ちたくて仕方なさそうにしてる君にそんな事を言われてもね」

 

「クフッフフフフフッだった仕方がないじゃないあなたが此処を更地にした時すっごく羨ましくなって私も殺りたくて仕方なくなったのよ」

「それは済まない事をしたね随分と待たせてしまったかな」

「そうね~、あなたに天空の檻に閉じ込められて、地上にも寄り道させられたし か・な・り 待たされたわ私」

 

「う~ん…」

「パズー気が付いた?良かったわ早く起きてくれて」

「シータ」

「相変わらず無礼者ねあなた、まっ良いわこれから楽しい事が始まるしあなたがどんな顔して楽しんでくれるかも見たいから特別に許してあげる」

 

「シータ…」

「もう止めたまえパズー」

「ムスカさん何言ってるんですか!誰かがシータを止めないと人は…人という種は苦しみの果てに滅亡するかも知れないんですよ!」

 

「パズー…もう終わったんだ何もかも、だからもう何もしなくて良いんだ大丈夫だ」

 

「ムスカさん!シータの余裕から来る気の緩みを利用し俺を逃がしシータを天空の檻にとじこめた自分の命も賭けたあの時のムスカさんは一体何処へ行っちゃったんですか!!」

 

ああムスカさんが諦めてしまったもうシータは止まらないのかなそれにムスカさんは一体どうしたんだろう、天空の檻でシータを道連れにしようとしてたのが嘘の様だ

 

 

「フフッ良いわね上下左右共に百八十度回頭するわ発射準備も出来てるしさあいくわよ~」

 

「シータ!!止めろ!止めろ~~!!」

「パズー!もう良いんだ!もう既に終わったんだ!」

 

 

ああ…駄目だ…この帝都跡地の様にまた人が沢山死ぬんだ、そしてこれが最後じゃない始まったばかりなんだ…

 

 

 

 

 

!?

「なんだ?どうして撃たない!?発射しろ!!」

「?」

「フッ…」

 

なんだ、何故撃たないんだ!命令はしたラピュタを超える破壊の力を世界に見せつけ全ての人間が私に跪くその第一歩なのに!!

 

 

 

ヒュュュュューンーーー ー ー…… …

 

「!!?」

「始まったか」

「何だ何が起こっている!?」

 

何だいきなり飛行石が発していた小さな音が消えてしまい全ての明かりが落ちて暗くなった、外のあらゆる場所を写していた絵も消えた…この玉座の間の明かりがこの赤く光る大小二つの飛行石だけとなってしまった

 

「クソッ 一体何が起こっている」

「終わりの始まりだよリュシータ女王」

「何だ?何を言っている!?まさかお前また何かしたのか!?答えろムスカ!!」

 

「私が?私は何もしていないさ今もあの時もね」

「だったら何故ラピュタが私の思い通りに動かない!?」

 

「言った筈だ私は何もしていないとね、そしこうも言った筈だ終わりの始まりだとね」

 

「終わりの始まりだと?何だそれは、どういう意味だ」

「そのままの意味だよリュシータ女王、いやリュシータ」

「黙りなさい!……!!どうした何故反応しない!?」

「フッ、ラピュタどころか簡単な力も完全に封じられた様だな」

「何だ…一体何が起こっている…」

「何が起こっていると言われてもね真なる王の帰還、真なるラピュタとラピュタの遺跡の結合だが?」

 

「じゃあ何故私の意思通りにラピュタは動かない!?力も使えないんだ!」

「何を勘違いしてるのかねこれこそが真なる王の帰還と真なるラピュタ、ラピュタ遺跡の力だろう」

 

「何だと?一体どういう事だ?答えろムスカ!」

「どういう事も何もそのままの意味だ、今起こっている事が本来の真なる王の帰還の力、真なるラピュタ、ラピュタ遺跡の力であり役目だという事だよ」

 

「嘘だ、どうせお前が何かしたのだろう!」

「何度も言ってる通り私は何もしていない、したのはリュシータ、君とパズー…あとはモントさん、モンスト・フルイ・ウル・ラピュタだ」

 

「父さん?父さんが?」

「そうだパズー、恐らく君のお父さんが命を捨ててした事だ」

「どうして?どうして父さんがこんな事を?」

「私の仮説になるがそれで良いかね?」

 

「キャアッ」

 

シータの悲鳴が聞こえたので振り向くと遠く離れた玉座まで凄い勢いで吹き飛ばされたシータの姿があった、そして玉座にまるで座らされてるかの様だ、一体今何が起こっているんだろうか

 

「フム…玉座すら王を押さえ込む道具か、パズー女王の側へと行こうか、そこで話そう」

 

 

 

 

「リュシータ、パズーがどうしてモントさんが今回の件に関わってるのか聞きたそうなのでね私の仮説となるが話そうかと思っている、もし良ければ君もどうだね?」

 

「そんな事より動けないこれをどうにかしろ!」

「やれやれ飛行石に自由にさせろと命じれば良かろう、さてパズー、リュシータは聞く気がない様だが聞くかね?」

「はい…お願いしますムスカさん」

 

「結果から言うがこの真なる王の帰還、真なるラピュタ、ラピュタ遺跡は王を試すものであり、王を殺すものであり恐らくラピュタ族の遺産を消し去るものだろう」

 

「ラピュタ族の王家は地上に降りた時二つではなく三つに別れたのだろう、真なる王家が存続する間残る二つの家は民の代表として、真なる王家が潰えたら残る二つの内の一つが新たな王家として、そんな役割が有ったのだろうね」

 

「そして七百年後真なる王家に野心有る者が二人現れた、リュシータとその祖母だ」

 

「リュシータの祖母は残る二つの王家の内の一つフルイ家のモンストと接触した、モンスト、いやモントさんは出会った初期の頃からリュシータの祖母の事を見抜いていたのだろうね、何せ真なる王の帰還を王の資格の無い者を唆して罠に嵌める役目を担っていたのだからね」

 

「父さんにそんな役目が?」

「恐らくねそして小さな頃のリュシータさえ見抜いていたのだろう、何故かは追って説明するよ」

 

「先ずはリュシータの祖母だ、リュシータの祖母はモントさんを上手く使っていたつもりだろうがそれもモントさんの手の内だったろう、そしてモントさんは私の事も把握していたのだろうね王を罰する罠の一つは我がパロ家に伝わるラピュタの遺跡だからね」

 

「…」

「そしてラピュタの写真だ政府中枢に居る私にラピュタを狙う者有りと解らせる為に広く世に知らしめ結果モントさんは詐欺師扱いされた、だがそれも想定の内だろう」

「そんな父さんは自分から詐欺師の汚名を被ったなんて…」

「パズー、君のお父さんは強く勇気ある立派な人だそして真なる王家への忠誠心も強かったのだろう」

「だが此処で事態が大きく変わったリュシータが自分の祖母を殺害したんだ、たった十歳の女の子が祖母を殺害する、そこに自分の未来を見たんだろうね」

「未来?」

「そうだ、何故殺されたのかは既に承知だろうモントさんもそれに気付いた、そして未知数なのがどこまで自分の事が聞き出されたかだ、それに因っては自分は勿論だがパズー、君の身も危なくなる、何とかする必要は有るのだが相手は真なる王家の人間だ、ある程度飛行石の力を扱えたなら殺す事は出来ないだろう出来るならリュシータの祖母も始末している」

 

「そこで一計を案じ自らの命を絶つ、詐欺師扱いされ世を捨てた程度の人間と偽ったのだよ、それと同時にリュシータのパズーへの追撃を断つ事にも成功させたんだ、リュシータから拷問を受けた際祖母の性格や思考パターンから真なる王の帰還をモントさんからもたらされた物ではなく真なる王家由来の物として伝えると見抜いてたんだろうね、事実シータが君に接触した際そのようなやり取りは無かっただろう?」

 

「うん、ただ父さんの汚名を晴らす事とラピュタを守る事だけだった」

 

「モントさんの命を捨てた策は成功したんだ、後は知っての通り君とリュシータが真なる王の帰還を共に唱え今に至る、私の仮説も込みだが恐らく間違ってないだろう」

 

「そんな馬鹿な事ある訳ないじゃない、私があの愚鈍なモントなんかに嵌められるなんてある訳がない!」

 

「おや、聞いていたのかね、だが実際君は今その滑稽な玉座に縛られて死を待つ身だろうに」

 

「この玉座が滑稽だと?何故そんな事が言えるお前は遺跡の情報を受け継いだが真なるラピュタを今日初めて見たのだろう!」

 

「そうだ、だが真なるラピュタと呼ばれる罠に初めて入った時には…いやリュシータ、君の持つ飛行石が赤みがかった時から疑問には思っていたし真なるラピュタに来た時には確信していたよ私は」

 

「何だと?そんなに前から?」

 

「ああそうだ、だが確証の無い物より確実に君を始末する為にパズーを逃がし君を天空の檻へ閉じ込める方法を選んだだけだ、そして君とパズーが戻って来た時も私の策が失敗に終わり人々が危険に曝される為何故戻ったのかパズーへと問い質したが諦めてはいなかったよ」

 

「そしてその直後確信となる事を告げられる、罠に嵌める君自身の口からね、君は拷問した祖母からは真なる王家の情報として告げられ後からモントさんも知ってたと言った、真なる王家すら知らない事をモントさんからもたらされたとは言わなかった」

 

「それは…実際モントさんも真なる王家も知ってたかも知れないじゃない!」

「それなら今君はその玉座に縛り付けられたりしてない、真なる王家に伝わってたなら真なる王の帰還は罠ではないからね、罠に嵌める対象にその情報が代々受け継がれるなんて事有る訳ないだろう」

 

「ムスカさんは何故飛行石が赤みがかっただけで疑問に思われたんですか?」

「パズー君ラピュタ族の旗は何色かね?」

「えっ?ラピュタ族の旗の色ですか?すみません知りません」

 

「よく思い出してみたまえ、君は天空の檻から離れる時上の方へ船を探しに行った、ならラピュタに到着した位置は上の城の近くの筈だ、ラピュタを知らない者がそこからいきなりラピュタ中枢に向かうかね?城や街を見て回るだろう?その時リュシータも無理に君をラピュタ中枢へと誘導したりはしないだろう、何が切欠で怪しまれるか解らないからね折角ラピュタまで到着したのに今までの努力が水泡に帰すような真似はしない」

 

「城…街…そうだ朽ちていたけど青い旗が有った、最初の飛行石と同じ青い旗が!」

「そう旗の色は青だそして石の色もだ、更に此処にはラピュタ族の旗は一つも無い、此処はラピュタ族にあるまじき者の行き着く場所だからね」

 

「凄いやムスカさん!でも何故玉座が滑稽なの?」

 

「此処に備わる機能から言えば司令室だ、だが王とはそんな俗事に口を出さない、此処を気に入る者は部下や民を軽視する者だよ、そした此処が罠でなく本当の真なる王を迎える場所ならこんな造りになってない」

 

「そして最も滑稽なのが真紅の飛行石を喜んで使っていたリュシータだな、青き空に浮かぶ青き族旗を持つラピュタ族が青き空の断末魔とも言える真紅の飛行石を嬉々として使うこんな滑稽な事はない、ラピュタ族に因って青き石として王家に献上された石に隠された力は使用する者を王家…いやラピュタ族たり得ない者を示す紅く変色する力とはねお笑いだよ」

 

「これを…これを父さんが…」

「そうだ、これは君のお父さんが成した事だ、君のお父さんは決して詐欺師なんかじゃない、自身の命を捨て世界を救った英雄だ、決して表に出る事も報われる事も無いのにやり遂げる世が世なら英雄として称えられてただろう、私ももし君のお父さんと出会えてたなら違ったやり方が出来たかも知れない、いや殺戮という罪を犯した私が言ってはいけない事だな」

 

「うっ…」

「そろそろ時間か長かったな、やはりラピュタ文明とその粋を結集した飛行石を葬り去る力は並大抵の物ではないようだ」

 

「何だこれは!?私の身体が!」

 

 

シータの身体を見て息を飲む身体が灰となって崩れ落ちている、シータの身体だけじゃない壁や床の一部も同様に灰となって地上へと落ちていってる

 

「フム、これならば無事降りる事も可能か」

 

「何をする!それは私のだ!!」

「葬り去るとは言え最後まで残るのはこの石だろう、ならまだ使えるかも知れん……フッ、石の機能も案外いい加減だなどうやら私をまともな王家の人間と判断してるようだだがこれは行幸だ…パズー!」

 

灰となって崩れ去る周辺を見ていたらムスカさんに呼ばれた…驚いた、だが当たり前か帝都を更地にし帝都民を殺戮したムスカさんだがラピュタの恐怖による支配から世界を守る為の事だった

ムスカさんは青い飛行石をその手に持っていた

 

「パズー今から君を地上に降ろす、だがこの石を含めラピュタ文明は此処で全て葬り去る、だからこの石は持ち出せないから低速降下の力を君に一時的に使う、ゆっくり降りて行くだけの力だから二次被害に遭い無事には降りれないかも知れない、これ位の事しか出来ない私を許して欲しい」

 

「そんな!やっぱりムスカさんも一緒に来て欲しい」

 

「駄目だ天空の檻でも言った筈だ、私は殺戮者として罰を受けなければならない、それに二人共に降りて石をどうやって彼女の手に戻す?真なるラピュタの巨大飛行石、ラピュタ遺跡の巨大飛行石、そしてこの飛行石全てが紅く光る事でラピュタ文明を葬り去る程の力を発揮するのだろう、私は此処に残りラピュタ文明を葬り去り二度と恐怖で人々を支配する力を無くす事で罪を償いたい」

 

「それに此処は君の居場所じゃない、私の言葉を思い出してみたまえ、此処はラピュタ族にあるまじき者の行き着く場所なのだよ」

 

 

 

 

「低速降下、さあパズー行きたまえ」

 

「ムスカさん…」

 

 

半ば強引にムスカさんに突き飛ばされる形で真なるラピュタからゆっくりと遠ざかって行く…

暫くしたら灰の降る量が増えてきだしたまたシータの手に飛行石が戻り紅く変色したのだろう

 

 

 

 

 

「ムスカ…止めて私は…私はもうラピュタを欲しいと思わないわ」

「天空の檻でも言っただろう、君は此処で私と死ぬのだ勿論私も付き合ってやる、君も私もラピュタ文明も今日此処で滅ぶのだ」

「止めて!要らない私要らないわそんな石!」

「先程真紅だったにも関わらず私の石だと言っていたのは何処の誰だったかね、私の手に渡った瞬間青く変色し全ての石が紅く光らないと滅ばないと知ったらそれかね?」

「違う!違うわ!私は本当にそんな石なんか要らないのよ!私は石もラピュタも要らないの!!」

 

「そうかそれ程までに言うなら尚の事この石を持ちたまえ、ラピュタを必要としないならその石は青のままだろうその石の力を使って地上へと降りたまえ」

 

「いや…止めて…それを近づけないで…」

 

酷く拒絶するリュシータの首に飛行石をかける

 

ラピュタをこの手に掴む為実の祖母を拷問の末殺し様々な者達を利用し始末してきたリュシータが自分が死ぬからとは言え渇望してきたラピュタを要らないとはもう考えられないだろう

それに飛行石自体は罠ではない、本当にラピュタを不要と思っているならば今君を捕らえているその玉座から自由に離れられる蓮だ、それが出来ないという事は……そういう事だよリュシータ

 

 

 

 

真なるラピュタとラピュタ遺跡が光に包まれる灰が降るのが止んだ…輝きが無くなるとそこには何も無かった、真なるラピュタもラピュタ遺跡もムスカさんも…シータも…まるで夢だったかのように思えるが今俺が立っている場所は元帝都だった場所だ、夢じゃない本当にラピュタは存在して本当にラピュタは無くなったんだ…

 

 

 

 

 

 

 

 

「そうかラピュタは有ったんだ、そして今無くなった…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…チェッ残念だな…あ~あ欲しかったなラピュタ、でもこれで正解だったんだ死んだら何にもならないのにな、でも最後はヤバかったなムスカが俺に低速降下の呪文を掛けてくれたから助かったけどもしムスカが俺に飛行石を持たせて俺自身が低速降下の呪文を使わなければならなかったなら間違いなく……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

飛行石は真紅だったろうな

 

 

本当に完

 

 


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