天才漫画家の給仕係   作:斎草

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陽は沈み、影は溶け込む

 

サンジェルマンの袋から姿を現した"女性の手"。

美晴と重清がそれを見て動揺する中、男——吉良吉影だけは妙に冷静だった。

「見てしまったか……そして君は、私と同じような能力を持っているようだな……!」

吉良はハーヴェスト達を一瞥してから重清を鋭く睨む。

しかし美晴はそんな吉良よりも、"女性の手"に釘付けになったように視線を注ぎ続けていた。

(あの男の人…!前に会ったわ!思い出した!あの人……私の"手"を舐めるような手つきで触ってきた…!)

露伴が入院していた頃、お見舞いの帰りに会った彼。彼とぶつかってしまった時に手放した自転車や鞄を拾ってもらったが、その直後にそういった事をされた。その行動と3人の間に転がっている女性の手。それらを紐付けて考えてみれば、彼の"趣味"が浮き彫りになっていく。

(私の事もきっとこうするつもりだったんだわ…!!)

あの時自分はすぐに逃げたから追われる事もああなる事もなかった。

頭の中が真っ白になり、ガクリと膝をつく。見つめる己の手から恐怖で血の気が引いていく。

「み……美晴さんの事もこの"手"の人と同じ目に遭わすつもりかど!?そうはさせないど!!」

そんな美晴を振り返った重清はザッと彼女の前に立ち守りの態勢に入る。

「し、重ちーくん……」

「う、動くなど……!」

己の声はひどく情けなく震えていたが、同じように重清の脚も震えていて心拍数と呼吸が上がっていく。

それを吉良はただ静かに見下ろしていた。彼にとっては少女の恐怖も、少年の勇気も、無感動でどうでもいい事だった。

「…………」

唯一感じるのは己の"日常"を壊されてたまるかという、正常だが異常な、矛盾した気持ちだけだった。

「……私の名前は吉良吉影。年齢は33歳」

だが吉良には勝利の確信がある。

「自宅は杜王町北東部の別荘地にあり、結婚はしていない……」

突然始まった吉良の自己紹介に、重清は疑問符を浮かべる。

「仕事は"カメユーチェーン店"の会社員で、毎日遅くとも8時までには帰宅する」

美晴も同じように疑問符を浮かべていたが、なぜ今ここで彼の淡々とした自己紹介が始まるのかと、逆に恐怖を煽られる心地になり鳥肌が立った。

「タバコは吸わない。酒は嗜む程度。夜11時には床につき、必ず8時間は睡眠をとるようにしている……寝る前にあたたかいミルクを飲み、20分ほどストレッチをして体をほぐしてから床につくとほとんど朝まで熟睡さ」

見た目は普通の会社員で、その自己紹介の内容も至って普通。寧ろとても健康で健全な暮らしをしている。なのに、そこに落ちている"女性の手"を見れば分かるのだ。

「赤ん坊のように疲労やストレスを残さずに朝、目を覚ませるんだ……健康診断でも"異常なし"と言われたよ」

この男、どう考えても"異常"だ。

「な、なにを話してるんだど、お前…!」

堪らず重清が声を上げると吉良はフゥ、と短く息を吐く。

「私は常に"心の平穏"を願って生きてる人間だという事を説明しているのだよ。"勝ち負け"にこだわったり、頭を抱えるような"トラブル"とか、夜も眠れないといった"敵"をつくらない……というのが、私の社会に対する姿勢であり、それが自分の"幸福"だというのを知っている」

そして彼は背後に——重清のハーヴェストが見える、その理由と正体を、ついに現した。

「重ちーくんに美晴さん……君達は私の睡眠を妨げる"トラブル"であり"敵"なのだよ。誰かに喋られる前に、1人ずつ、確実に始末させてもらう」

ピンク色をした、筋肉質でまるでボクサーを連想させるその出で立ち。猫のような耳と目を持つ彼の"スタンド"——。

 

「"キラークイーン"と、私はこいつを名付けて呼んでいる」

 

獲物を狩るような鋭いその目つきに、2人は一瞬怯んだ。

「う……"動くな"と警告したはずだど!!」

最初に動いたのは重清だった。彼はハーヴェストを大量に出現させると吉良とキラークイーンに群がらせる。美晴は群体型のスタンドを見るのは初めてで、その数の多さに度肝を抜かれ息を呑んだ。

「しばッ!」

キラークイーンはボクサーのように構え素早いラッシュでハーヴェストを1体ずつ潰すが、本体である重清の体に傷が付く事はなく、圧倒的な物量で彼らを取り囲むとあっという間にその体にびっしりと張り付く。

(あれが群体型スタンド…!形兆さんのスタンドもそうだったと聞くけど、2、3体潰されてもダメージが本体に入らない!)

これならば吉良に勝てるかもしれない。ハーヴェスト達は吉良の首元に針のように腕を差し込み、すぐにでも動脈を切断出来る位置にいた。

「それ以上動くと首の……なんだっけ、頸動脈をブチ切るど!!おらのハーヴェストは無敵なんだどッ!!」

確かにこの数、そしてその応用性。矢安宮重清の"ハーヴェスト"は間違いなく今まで出会ったどのスタンドよりも強い。仗助達が"紹介したい"と言うのも頷ける。

「お前のそのスタンド!パワーはあるが遠くまで行けないタイプのスタンドと見たど!射程距離は1〜2メートルぐらいが限度だどッ!死にたいのなら試しに動いてみるがいいど!」

美晴の見立てでもキラークイーンは恐らく近接パワー型と予想していた。重清、少しバカっぽいかもと思っていたが、洞察力もある。ハーヴェストを使いこなすスタンド使いとしては十分だと思われる。

「なるほど……個人によっていろんなタイプの能力があるという事か?"スタンド"……ふーん、"スタンド"ねェ……」

しかし吉良はここまでされても冷静さを保っていた。彼は"スタンド"という言葉を初めて聞いたらしく、反芻するように繰り返してからキラークイーンの拳をチラつかせる。

「ところで私のキラークイーンにも、ちょっとした特殊な能力があってねェ……」

その拳からキラリと何かが反射して光り、目敏くそれを察知した重清がすかさずハーヴェストを飛ばす。

「何か持ってるな!取り上げろ、ハーヴェストッ!」

しかしそのハーヴェストが目の前まで持ってきた物に、重清と美晴は目を丸く見張った。

「た、ただの100円玉…?」

「こ、こんな物でなにをする気だど…?」

てっきり何か危険な物を仕込んでいたのかと思っていたが、本当にどこにでもある100円硬貨だけがハーヴェストの手にあり、疑問符が浮かぶ。

「いやね……私のキラークイーンの特殊能力を教えようかと思ってね。どうせ君達は既に始末されてしまっているのだからね」

吉良はそんな2人を見て、勝利を確信したように薄らと顔に笑みを張り付けていた。

 

スタンドは単純な攻撃手段だけではなく、特殊な能力を持っている。東方仗助のクレイジー・ダイヤモンドは"壊れた物や傷を治す"能力。虹村億泰のザ・ハンドは"右手で触れた物をなんでも削り取る"能力。そういった本体の性格や性質に合わせた特殊能力がある。

 

「キラークイーンの特殊能力。それは、"触れた物を何でも爆弾に変える"能力……そう、たとえ100円玉だろうと、何であろうと……」

だから吉良吉影のキラークイーンも例外ではない。

 

その言葉にハッと息を呑んで"キラークイーンに触れていた"、今ハーヴェストの1体が持っている100円硬貨を視界に入れる。

「重ちーくん危ないッ!!」

「100円玉を捨てろ、ハーヴェストッ!!」

美晴と重清の声が綺麗に重なり、美晴はガーディアンの守護を掛けようと重清に手を伸ばす。

 

まるでその動作がスローモーションのように流れ、そこで美晴の視界と音が消えてしまった。

 

 

———

 

 

次に意識を取り戻した時、ただひたすらに広がっていたのは"暗闇"だった。

「——ッい、ぅ……ッ!」

慌てて数度瞬きするも視界に光は届かず、それどころか目の奥底から激痛が走り目を手で覆う。横たえている体は痛みで動かす事も叶わず、耳には遠くの方からの喧騒しか聞こえない。

『マモルゾッ』

そんな時、すぐ近くで声が聞こえた。

『マモルゾッ!』

『マモルゾッ!』

『ミハル、マモルゾッ!』

「ひゃ……っ!?」

それは複数体いるようで、何度か体を這いずり回られて思わず声が小さく漏れ出る。

「あ、……ハーヴェスト……達、なの……?」

どこか重清の声にも似ている無数の声。美晴は見えない視界の中でも直感で彼らがハーヴェスト達である事を悟った。

「重ちー、くん……どこ……?」

重清の声も、吉良の声も聞こえない。

ハーヴェスト達がいるという事は重清は生きているという事だ。では吉良はどうなったのか?

あの時なにかが起こった。ハーヴェスト達が吉良の頸動脈を切って殺したのだろうか。では己の満身創痍とでも言わんばかりのこの状況は?

("マモルゾ"って……私の事を今、ハーヴェスト達は守ってくれているのよね…?それって今……もしかして私、ハーヴェスト達に体を覆われて……"見えなくされてる"って事?)

恐らくハーヴェスト達は木の葉でも集めて隠れ蓑のように美晴の身を隠しているのだろう。このスタンド、至れり尽くせりだ。なのになぜ今危機に陥っているのか?

(分からない……分からないわ。でも、この状況がどうしようもなく悪いって事は……それだけは分かるわ……)

目が見えないのはハーヴェスト達に覆われているからじゃあない。文字通り"見えない"から"見えない"のだろう。

最悪だ。きっと体もボロ雑巾みたいになっているに違いない。今までこんな怪我は負った事がないし、普通に生きていたら滅多に負わないものだろう。

(重ちーくん……仗助くん達を呼びに行っているんだわ。そうしたら……目も見えるようになるし、傷も治る……少しの辛抱よ、頑張るのよ……)

このまま息を潜めていれば、吉良に見つかる事はまずないと見ていいだろう。今いる場所は分からないが、喧騒の距離からして先程の校門前から少し離れた辺りにいると思われる。寧ろ擬態しているのならば場所はどこだっていい。今は吉良に見つからない事、それだけが大事な事だった。

 

なのに、運命はいつだって"吉良吉影"の味方なのだ。

 

「……!!」

脚にあったハーヴェストの感触が突如消えた。それに連鎖するように脚から腰、背中、胸、それらに張り付いていたハーヴェスト達の感触がどんどん消えていく。

「まって…!ひとりにしないで…!」

美晴は痛む腕でハーヴェスト達をかき集めるように捥がくが、何も掴む事が出来ないままそれらの気配は完全に消えてしまった。

「重ちーくん…!」

スタンドの死は本体の死。承太郎からそう教わった事を思い出して血の気が引く心地になる。

ついさっきまで矢安宮重清は生きていた。一緒に体育準備室に忍び込んで、お茶を淹れてくれた。そして、吉良吉影と対峙した。たったそれだけの関係でも、"彼がそこにいた"という事実を空気で、肌で感じていた。

「吉良吉影…!」

重清を殺したのは間違いなく吉良吉影だ。

吉良の犯行はどこか手慣れているようにも感じ、美晴の頭にはある仮説が浮かび上がっていた。

美晴は震える手でスカートのポケットから携帯電話を取り出すと、ボタンの感触を頼りに操作して電話を掛ける。

 

「みぃつけた……」

しかしそこで聞き覚えのある低い声にビクリと体が揺れた。

「来宮美晴さん。ここにいたのか……あーあー、満身創痍で可哀相に……さっきの爆発の衝撃で眼球も潰れてしまったのかな?」

私が見えるかい?と、その声は主が屈んだらしくすぐそばで降りかかり、次いで主は美晴の手から携帯電話を取り上げる。

「どこに掛けているのかな?……ふーむ、"岸辺露伴"……?」

呼び出しの一歩手前の画面に浮かぶ名前を不思議そうに見るが、彼の視界の隅に蠢く指が見えてそちらに視線を向けた。

「ああ、すまないね。今返すからね」

彼は美晴が伸ばす手の少し先に携帯電話を置くと立ち上がって距離を取る。

「君の伸ばしている右手の、ほんの数センチ先に置いておいたからね。人の携帯を覗くなんて不躾な事をしてすまない」

美晴が震える手を携帯電話に伸ばすのを見て、彼はほくそ笑む。だって、己のスタンドは既にそれに"触っている"のだから——。

「尤も、不躾なのは人と話しているのに携帯電話をいじくっている君の方だがね」

影のように現れる"キラークイーン"。そう、その声の主は"吉良吉影"。

"触れた物をなんでも爆弾に変える"——それは携帯電話だって同じ事。

目の前にいる来宮美晴は前からずっと目星を付けていた女の子だ。その"手"を手中に出来たらどんなに幸せな事だろうか。吉良は"彼女"とどう過ごすか、今から想像してしまうほど楽しみだった。

 

美晴の手が携帯電話に触れた瞬間、いつものようにドンッ!と大きな爆発が起きた。彼女の"手"だけを残すように爆破範囲を設定しておいたから、この爆煙が晴れた頃には携帯電話と手だけが残っているはずなのだ。

今までずっとそうだった。

だが、その"今まで"とは違う事が今、起こってしまった。

 

「な、……なにっ!?」

爆煙が晴れた、そこにあったのは携帯電話と手だけではなかったのだ。

「……ごめんなさいね。私の能力って……"そういう能力"なのよ……!」

来宮美晴。彼女も"スタンド使い"である事を、吉良吉影は知らなかった。犯行に失敗した事をすぐに悟ると、吉良は携帯電話を見る。その手は通話ボタンを押していて、"岸辺露伴"を呼び出すコール音が微かに流れているのが聞こえていた。

『もしもし?美晴どうした、こんな真っ昼間に』

「露伴……先生……ッ!」

露伴が電話に出るのが予想以上に早く、吉良は慌てて携帯電話を蹴って美晴の手から離すとそれを踏み付けて破壊する。しかしその破壊音を聞いて美晴は絶望するでもなく、目と体の痛みを堪えながらも不敵に笑ってみせた。

「露伴先生……すぐに来るわよ。仗助くん達も探してる……みんなあなたの事探してるわ。あなたの正体を知る私の事を……あなたは殺せないのよ……」

美晴の鉄壁のスタンドがようやく吉良の前に姿を現す。その姿は本体と同じく鎧の所々に損傷があったが、能力自体は健在で本体を爆破から守ったのだ。そしてその守護は今も続いている。

「杉本家の殺人事件……あなたが"犯人"よね?この町に行方不明者が多いのも……あなたがこうやって殺した人間を爆破処理していたから……そうでしょう?」

杉本家の時は恐らくまだスタンドが発現していなかったのだろう。だがある時キラークイーンがなんらかの拍子に発現した。きっとその時から足がつかない犯行が可能になったのだ。殺人鬼にはお誂え向きのスタンド能力だが、その能力も美晴のスタンドの前では無力である。

 

「……そうだね。私のキラークイーンを見た者なら誰でも想像のつく事だ、そんなのは」

しかし吉良はジャケットを脱ぐとそんな美晴を抱え上げ、彼女を覆うようにジャケットをその身に被せる。

「美晴さん。少しだけ肝が冷えたよ。けど……異例だけど"君を殺せなくてもいい"って事にしてみようと思うんだ」

「……ッ?」

コツコツとアスファルトに響く足音と共に己の身が揺れるように感じる。美晴は疑問符を浮かべたが、すぐにどこかに連れて行かれようとしている事に気付くと抵抗しようとした。

「君は今目を潰されて何も見えないし、満身創痍で体をまともに動かす事も叶わない。だからね、"君は君のまま愛でる"事にしようかな、と思ったんだよ」

だが吉良の言葉通り、体は全く言う事を聞いてくれなかった。

「可哀相に……あのまま余計な能力なんて使わずに死んでいれば、痛みなんて感じなくて済んだのに。私は痛いのが嫌いなんだ。君の痛みを想像すると……死んだ方がマシ、って思うよ」

吉良はタクシーを呼び止めると乗り込み、これから言う道順通りに進むように運転手に指示する。この運転手も用が済んだらタクシーごと爆破するつもりなのだろう。美晴はそう思うと手慣れすぎていてゾッとする心地になった。

「大丈夫だよ……手当てもするし、ご飯も食べさせてあげよう。着替えも用意してあげるよ。君の"手"の魅力は……"あたたかい"というところにもあるんだ。ほら、死ぬとどうしても冷たくなるだろう?それでは"君"の魅力も半減してしまう」

美晴の手をジャケットの隙間から覗かせ、スリスリと頬擦りしていると幸せな気分になる。あたたかくて柔らかい、その感触はタクシー内であるにも関わらず己を昂らせる。

「これからは……私とずっと一緒にいようね。大丈夫、今は逃げ出したいかもしれないが……すぐに"今のままでいい"と思うようになるよ。目が見えない君の世話を……ずっと私がしてあげるのだからね」

囁くような優しい声音。優しく背を規則的なリズムで叩かれる感触。なのに美晴は恐怖で浅く呼吸を繰り返しながらも平静を保とうとしていた。そうでもしなければ、この暗闇の中、今から始まろうとしているその"生活"を想像して体が震えてしまうから。

 

そのタクシーと入れ違うように露伴の車が校門前に到着すると、彼は車を降りて躊躇いもなくその門を潜った。

「美晴!どこにいるんだ!?」

美晴からの着信があった画面のままの携帯電話を握り締めながら、露伴は学校の敷地内を駆け回る。体育祭の時にここを訪れたおかげで、どこに何があるのかは記憶出来ている。しかしどこを探しても美晴の姿はなく、体から血の気が引くのと同時に呼吸も浅くなる。

「えっ、露伴!?」

「なんで露伴先生がここにいんだよォ!?」

そこに聞き慣れた声が掛かり振り向くと、そこにあったのはやはり仗助と億泰の姿で彼らに駆け寄る。

「美晴は!?なぜ一緒じゃあないんだ!?」

しかし露伴は彼らの質問に答える事はなく、いつも彼らと一緒にいるその姿が見えなくてサッと青ざめながら仗助の肩を揺さぶった。

「み、美晴ちゃん!?」

「そうだよ!!なぜ一緒じゃあないんだ!!」

露伴のその言葉と様子に、仗助と億泰は顔を見合わせて伝染するように血の気が引く心地になる。

「美晴のヤツ…ッ、まさか重ちーと一緒だったんじゃあねえか!?」

教師から逃げる時にはぐれた2人。重清は中等部の教室に戻ったのだと思ったし、美晴は由花子と康一のところに行ったのだと2人は思っていた。

だが実際は重清はなんらかの事件に巻き込まれていて、恐らく既に手遅れな状態になってしまっている。そこに美晴も一緒にいたとしたら——。

仗助はハーヴェストの1体が命からがら持ってきたジャケットのボタンを見る。これは重清からのなんらかのメッセージなのだ。

「さ……探すぞ。美晴を探すぞ!もしかしたら学校から出ているのかもしれないッ!」

美晴のスタンド、ガーディアンはちょっとやそっとじゃあやられるような代物ではない。

露伴は学校の外を、仗助達はまた校内を改めて探す事にした。

 

しかし見つかる事のない捜索は、ただ時間を喰い潰すだけだった。

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