ミッドガード広報局 ~異世界配信系Vtuber、頑張ります~   作:恋塚 灰羅

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 黎明期からVtuberを追っていらっしゃる方には少し不快な表現があるかもしれません。どうかご了承ください。



【ミルらじ!】女神ミルファはラジオがしたい!その3【ゲスト:シーメンス・クラウン】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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【ミルらじ!】女神ミルファはラジオがしたい!その3【ゲスト:シーメンス・クラウン】

  381 人が視聴中・34分前にライブ配信開始
 
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 ミルファ@女神系バーチャルyoutuber 
 チャンネル登録 

 チャンネル登録者数 1788人 

 

 

「これからはゲームの実況もやっていきたい、ということですね」

「うん。メインコンテンツのゲーム作成動画を疎かにしない程度に、月に一回か二回くらいかな、動画を作っていけたらいいなって思ってるよ。僕は配信向きじゃない分、動画でしっかり、だね」

 

 クリエイト系得意そう

 fpsとかやってみてほしい

 

「何をやるかまでは内緒だよ。というか決まっていないんだ。思いつきだからね。だからまあ期待しないで待ってくれると助かるかな」

「なるほどなるほど。果たしてその時が来るまで私は天界の雑務に集中出来るのかどうか、わくわくしすぎて何も手につかなさそうです。ーーさて、気が付けばいつの間にか三十分。色々とシーメンスさんに聞いてきましたけれど、次で最後にさせていただきたいと思います」

 

 もうそんなにか

 あっという間だった

 時間が経つのは早いのう

 終わらないで

 毎秒やって

 

「最後の質問は……どれにしようかな、っと。うん、これにしましょうか。ミルらじネーム、夢ひとえさんから『ミルファ様、シーメンスさん、こんミルー! シーメンスさんに質問です。他のVtuberさんの動画や配信はどれくらい見るのでしょうか? あとオススメVtuberがいたら教えてください』、ということですが――」

「うーん、そこまでたくさんは見てないんだよね。あんまりのんびりした時間も取れてないから、どうしてもね。だからUnityいじってたり動画作成している裏で流すくらいかな」

「あー、よく分かります。私も女神としての雑務が忙しくて他のVtuberさんの配信を見れなくて。Vtuberが好きでなったはずなのに見れなくなるジレンマ、ありますよね」

 

 あー確かに

 あー…

 

「そうそう。その中でよく見てるのは、ものづくりVtuber東鋼巧さんの配信かな。あの声はすごく柔らかいから作業が捗るんだよね」

 

 巧さんだ!

 誰?

 Vの異端児さん!

 東鋼殿とな!?

 工作はいいぞ

 

「東鋼巧さんというと、私、寡聞にしてあまり詳しくはないのですが、ラジオを自作されていたりする方ですよね? 確か最近ですと、自動開閉するゴミ箱の動画が上がっていたような……」

「だね。Vtuberでは珍しい、リアル映像を駆使した工作系の動画や配信を上げている方だよ。週一で工作しながら雑談する配信をしていて、そのアーカイブは全部見てる……というか作業中にのんびり流して聞いたかな」

 

 なんだかんだ詳しい女神様

 ほうほう

 東鋼殿の動画は分かりやすいんじゃよな

 お手軽、見易い、分かりやすいの三拍子

 

「あとは……10分前後の動画なら移動中とかに見てるかな。東鋼さんの工作動画はもちろんだけど、今爾孟(いまにもう)さんたちのマイクリレーとか猫弁さんの応援歌とか。あとは灰田さんのカルボナーラ動画、リリシアさんの騎士団の動画……あまり見てないって言ったけど、長くないのならだいぶ見てるのかもしれないね」

 

 応援歌聞いてるんだ

 カリフラワーは食べた方がいい

 騎士団の動画やばかったよね

 無修正()のあれか

 すごく見てるじゃん

 

「応援歌ですか! 魔法少女Vのティアーさんがカバーしたので私も知りましたけど、あれいいですよね」

 

 背中を優しく押してもらえる曲

 人生背負ってけ

 もっとカリフラワー食べよ

 

「実は応援歌のカバーソング、既に七本くらいあるんだよね。連続再生してるとテンション上がってすごくいいからオススメだよ」

「それは聞かなくては損というもの、このあとすぐにでも巡回してきますね。……っと、聞きたいことはもっとあるのですけれど、そろそろお時間みたいです。本日はバーチャルクリエイターのシーメンス・クラウンさんにお越しいただきました。シーメンスさん、ありがとうございました!」

「こちらこそ呼んでくれてありがとね。……ところで、一ついいかい?」

「おやおや、何でしょうか?」

 

 お?

 はじまった

 なんだなんだ

 

「そんな大したことじゃあないよ。この女神様の領域に連れてこれる人って選べるんだよね?」

「多少の制限はありますけど、もちろん誰でも。それを聞いてくるということは、つまり……」

「うん、そういうこと。せっかくだし呼んでもらいたい人がいるんだ」

 

 い つ も の

 茶番乙

 

「なるほどなるほど。さてその人物とはいったい……」

「さっき少し話に出した人物さ。地球とは異なる異世界ミッドガードのありのままを伝えるという、錬金術士のVtuber。ミッドガード広報局のリリシアさん」

「--はい! というわけで茶番にお付き合い下さりありがとうございます! 次回のゲストはこちら、ミッドガード広報局からリリシアさんです」

 

 おお!

 おー

 ミッドガード!

 リリシアちゃんだー

 

「騎士団の動画もそうだけど、錬金雑談もすごかったよね。あれはほんとに異世界と言うしかないよ」

「ですね。まさしく異世界!って感じで釘付けになっちゃってました! そんなリリシアさんに色んなことを聞いていっちゃいますので、マシュマロや質問箱にどしどし送ってきてくださいね!」

 

 あの人コラボするんだ

 対談企画出てほしかったから助かる

 いろいろ聞いてみたいよね

 

「さてそれではこの辺りで締めさせていただきましょう。本日のミルらじ、お相手は女神系Vtuberのミルファと」

「バーチャルクリエイターのシーメンス・クラウンでした。よかったらチャンネル登録と評価もよろしくね」

「もちろんシーメンスさんのチャンネル登録もしてくださいね。それではみなさん、さようならー!」

「さようならー」

 

 さようならー

 おつミルー

 お疲れ様!

 

 

 

 

 

 

この放送は終了しました

 

 

 

 

 

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 #ミルファlive #ミルらじ!

【ミルらじ!】女神ミルファはラジオがしたい!その3【ゲスト:シーメンス・クラウン】

  352 人が視聴中・41分前にライブ配信開始
 
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 ミルファ@女神系バーチャルyoutuber 
 チャンネル登録 

 チャンネル登録者数 1914人 

 

 

  ◇  ◆  ◇

 

「はい、配信終了しました。お疲れ様でした」

「お疲れ様でしたー。今日は呼んでくれてありがとうございました」

「こちらこそありがとうございました」

 画面の前で宮原飛鳥は通話相手に配信終了を告げる。個人用のアカウントを使ってしっかりと配信が終わっていることも確認して、ふうと一息つく。

 コラボ配信はやはり緊張してしまう。緊張していることを視聴者に悟らせないようにしつつ、しっかりとスムーズに場を回して盛り上げなければならない。性に合っているとは言えない企画だが、自分がいろんなVと対談したいという邪な思いから続けている。それがなかなかどうして皆に楽しんでもらえているのだから、まあ悪くはないのだろう。

 今回は前からやりたかったシーメンス・クラウンとの対談だった。かねてより聞きたかったバーチャルクリエイターとしての活動のきっかけ、3Dゲームの製作状況や魔法などのエフェクトについての話、或いはシーメンスの個人的な話。40分という短い時間にしては中々の内容だっただろう。

「ところで、次回がミッドガードさんって本当なんです?」

「はい。すでに打診してオッケー貰ってます」

「――大丈夫なんです?」

 シーメンスの心配げな声に、見えていないと分かりつつも、飛鳥はつい頷いてしまう。

 シーメンスの言いたいことは分かっている。事前の打ち合わせで茶番について話していた時に、おおよそ似たような話はしていた。ランダマイズされた騎士団の鎧の摩耗、細かな造形の違い、個々により異なる魔法陣の数々、縦横無尽な動きに正確なトラッキング。その他さまざまな"リアルらしさ"は総合してみれば異常なものとなる。一つ一つは確かに問題ない。ミルファもシーメンスも出来なくはない。だがすべてがあそこまでの精度となると、あらゆるものを度外視しなくてはならない。

 そもこれまでの動画ですら違和感の塊だった。リリシアなる人物の中の人というものを想定した際、どれほどの技術者集団になるのか。プロと名乗るには未熟な飛鳥だが、これでも3Dの畑で仕事をしている身としてはありえないように思えた。それはシーメンスも同じであったらしい。

「大丈夫ですよ。なにせ私はすべてを見通す女神様ですからね」

 つまりリリシアという存在は、ありえないほど組織力を持った技術者集団、或いは――こちらこそもっとありえない話だが――本物であるということになる。後者の可能性は考えることすら馬鹿らしいものではあるが、僅かながらもそうであってほしいと思ってしまうのは仕方ないだろう。そうでなくては女神という眉唾設定で始めていない。

「それならいいんだけれど……、気をつけてくださいね。その、色々とありましたし」

「もちろんです。ご心配ありがとうございます」

 言葉を濁すシーメンスに飛鳥は思い出す。デビューしたかどうかくらいの時にV界隈で起こった事件――通称『C事件』を。

 ボイスチャットアプリ『Chatcode(チャットコード)』で複数のVがコラボした際に起こった事件だ。互いの情報共有の欠如や配信スタイルの違いから起こった不和と、それにともなう炎上事件。コラボに対する拒絶反応は、その後に起こった別のコラボにより払しょくされたのだが、それでもコラボの際には時折話題に上がるほどである。

 飛鳥とてそのことに対して無知ではない。知ったのはラジオを始めようと思ってコラボの歴史を調べていた時だ。詳しい事件の内容については伝聞と推測塗れで正確なところを知っているわけではない。だがそうした事件の存在は認識している。故に事前の打ち合わせを厳密に(おこな)っているし、質問内容を共有し、茶番の可否やその台本が必要か否かまですべて話し合っているのだ。

 今度のミッドガード広報局とのコラボはその再来となりうる。シーメンスはそう思って懸念を示しているのだろう。

 もちろん、分かっている。気をつけなければならない。前々から楽しみであったミッドガード広報局とのコラボ、リリシアとの対談ではあるが、線引きはしっかりしなければならない。




 今回のミルらじ内で紹介したVtuberにはモデルがいらっしゃいますので、謝辞と共に敬称略にて紹介させていただきます。

東鋼巧:オリジナル(似たような活動をされている方がいらっしゃったら教えてくださいませ)
今爾孟/マイクリレー:今和間田せぃが/Vtuber7人でラップしてみた
猫弁/応援歌:イヌージョン/感謝の舞と応援ソング
灰田/カルボナーラ:icotsu/カルボナーラ作成動画(アーカイヴ非公開につき正式名称は不明)
ティアー/応援歌のカバー:星咲ちあ/応援ソング歌ってみた

 また、応援ソングに関するコメント部分で、重要な部分を改変してしまいましたので、謝罪に代わりまして次の言葉を残させていただきます。
 ブロッコリーは食べたほうがいいです。いっぱい食べた方が良いです

 女神ミルファ、シーメンス・クラウンにも意識した方がいらっしゃいますので、こちらも敬称略にて紹介いたします。

女神ミルファ:女神エルミナ
シーメンス・クラウン:つのはねあかぎ

 素敵な動画、配信をありがとうございます。
 当然のことですが作中の人物とモデルとしたVtuberは別人です。また、私とモデルとなったVtuberの方々は別人であること、私とモデルとなったVtuberの方々との間に面識はないこと、私はVtuberとして活動していないことを申し上げておきます。そのうえで、純粋な一ファンとして彼ら彼女らの動画を是非見てくださいと宣伝させていただきます。
 また当作品で彼ら彼女らを初めて知ったという方でも、当作品からというコメントをしないようによろしくお願いいたします。そこまでの知名度が私にあるとは到底思っていませんが、注意喚起としてお伝えさせていただきます。



 作中に上げました『C事件』については『D事件』をモチーフとさせていただいています。話題として挙げた理由は、宮原飛鳥という人物がコラボに際し慎重である理由の補強とするためであり、また、作品の世界観が現実に即しているもの、時代設定としてはバーチャルYoutuber勃興期であることを、当時追っていた読者にも体感していただくためです。この事件の関係者に対する一切の他意はございません。
 不快にさせてしまいましたら申し訳ございません。

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