味音ショユの短編集   作:味音ショユ

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クロスオーバー杯参加作品です。


鬼畜のアルファガン 無限列車編(鬼滅の刃×チャージマン研!)

 ここは海上工業都市。ここではあらゆるものが作られているんだ。

 そんな都市にある研究所の一つに今日、泉研とその妹キャロン、そして泉家に住んでいるロボット、バリカンが招待されていた。

 

「おお、よく来てくれたね研君」

「吉坂博士。僕達に見せたいものって何ですか?」

「うむ、早速こっちに来てくれ」

 

 研の知人である博士、吉坂の案内で研究所を歩く。

 そうしてしばらく進んでいくと、巨大な何かに布を被せてある物が置いてある場所にたどり着いた。

 吉阪がその布を引きはがす。すると――

 

「これは、スカイロッド?」

「予備ってことですかい?」

 

 研がいつも使っている乗り物、スカイロッドが出てきて困惑する研とバリカン。

 そんな二人の様子が期待通りだったかの様な笑顔を浮かべながら、吉坂は説明をする。

 

「研君。これはこの研究所で私達が作ったタイムマシンだよ」

「何ですって!?」

「まぁ!?」

「えぇーっ!? これで過去や未来に行けるってことですかあ!?」

 

 吉阪の言葉に三者三様に驚く研達。

 しかし三人の言葉を聞いた吉坂は申し訳なさそうにこう言った。

 

「いや、残念だがまだ未来には行けないんだ」

「でも、過去には行けるんですね」

「オイラ、戦国時代に行きたいな~」

「あたしは江戸時代がいいわ。新選組を見てみたいの」

 

 思い思いの願望を話すバリカンとキャロンだが、二人に対しまたも申し訳なさそうにしながら吉坂は話しかけた。

 

「すまないね。実は過去に行けるといっても、どういうわけか大正時代までが限界なんだ」

「なぁんだ。つまんないの」

「こらバリカン。失礼だろ」

 

 バリカンの言葉を窘める研だが、吉坂は特に気を悪くすることもなく言葉をつづける。

 

「研君。良かったら乗ってみるかい? 今は大正時代に行くようセットしてあるよ」

「いいんですか?」

「ああ。試運転自体は済ませたし、いつもジュラル星人と戦ってくれる研君にお礼もしたいからね」

「いやぁ、僕はそんな……」

 

 吉坂の言葉に照れる研。その状況を尻目にキャロンとバリカンはタイムマシンに乗り込んでいく。

 

「お兄ちゃん。早く行きましょうよ」

「そうだそうだ!」

「分かった分かった」

「研君。タイムマシンの操縦はスカイロッドとおなじだから安心してくれ。それと大正時代についたら六時間で元の時代に戻るからね。それ以上いるとその時代に取り残されてしまうんだ。おかげでそのタイムマシンは二代目なんだよ」

「分かりました。気を付けます」

 

 吉坂博士の唐突すぎる上に情報が多いセリフを聞きながら、研達は大正時代へと出発した。

 


 

 大正時代に到着した研達。

 しかし時刻は真夜中。そのせいで何も見えない。

 

「暗くて何も見えないわ」

「ん? あれは……」

 

 ボヤくキャロンとは裏腹に、研はあるものを見つける。

 研の言葉を聞いてキャロンとバリカンも同じ場所に目を向ける。

 

「あれは、汽車だ!」

「あたし初めて見るわ!」

 

 生まれて初めて見る汽車にはしゃぐキャロン。

 しかし次の瞬間、汽車から肉とも泥ともつかない謎の物体が現れ、客車の形を変形させていく。

 その光景にバリカンは大慌て。

 

「け、け、けけけ研坊一体どうことなの!?」

「もしやこれは……ジュラル星人の仕業!!」

 

 不思議な事件が起こると大体ジュラル星人の仕業なので、いつもの如く決めてかかる研。

 しかしそこにキャロンが待ったをかけた。

 

「でもお兄ちゃん。ここは大正時代よ。ジュラル星人なんているわけないわ」

「いや、奴らの科学力は地球よりも遥かに上回っているんだ。タイムマシンがあっても不思議じゃない。それに思い出してごらんよ。前に奴らがサンダラパレスアグリアスっていう、絶滅した筈の蝶を使って襲ってきたことがあっただろ?」

「そんなこともあったわね」

「あれはもしかしたら、タイムスリップして蝶を集めていたのかもしれない」

 

 研の推論に絶句するキャロンとバリカン。

 しかし当の研は話は終わったとばかりに操縦をオートパイロットに切り替えてから席を立ち

 

「チャージング、GO!!」

 

 チャージマン研へと変装した!

 

「二人は危ないからここにいるんだ!」

 

 言うだけ言って研はタイムマシンから汽車の客車へと飛び降りてしまった。

 降りた先で研が見たものは、肉の塊みたいなものから生首が付いている何かと、それに相対する剣士の少年。

 研が剣士達の元へ近づこうとすると、生首が客車の屋根に溶けるように消えていく。

 それと同時に剣士は研に気付いた。

 

「俺は竈門炭治郎! 君は誰だ!? 何でこんなところにいる!?」

 

 炭治郎は研に対しキツめに詰問する。

 彼からすれば研は客車の屋根に現れた変な格好をしたよく分からない少年でしかないからだ。

 それは研も分かっている。

 

「僕はチャージマン研です。ここにはたまたま通りかかったんです」

「そうなのか」

「はい」

 

 色々とツッコミ所の多い研の発言だが、炭治郎は彼から嘘をついている匂いがしなかったので本当のことを言っていると判断した。

 そのまま炭治郎は研に鬼について簡単に説明する。

 

「炭治郎さん。今の怪物は一体なんです?」

「あれは鬼。太陽の光かこの日輪刀で首を斬る以外に倒せない人を喰う怪物なんだ」

 

 簡単すぎる炭治郎の説明だったが、研はテレパシーを併用することで理解した。

 更に鬼の本体は先頭車両にいると話す炭治郎に、研は鬼の足止めをかって出た。

 炭治郎は鬼殺隊でもない研に手伝わせるのに抵抗があったが、研はチャージマンとして人を襲う鬼を見過ごせないと必死に訴え、なおかつ客車にある鬼にアルファガンを放つことで倒すのは無理なものの、動きを止められるところを見せる。

 その甲斐あって研は鬼が倒されるまで人を喰わないように足止めする役を任された。

 研は屋根から降りて客車の中に入る。

 

 そこにあったのは地獄だった。

 鬼の肉がさながら触手の様に伸び、人を喰らおうと蠢く。

 その毒牙に研はアルファガンを放ち、触手を怯ませる。

 研にできるのは炭治郎が鬼を倒すまで、人を喰わせないように時間を稼ぎ続ける遅滞戦闘のみ。

 だが彼はその程度で怯みはしない。

 

 研が鬼を撃つ時の目は、例えるなら作業の目だ。

 人を喰う鬼に対する義憤もなく、時間稼ぎしかできることがない現状に焦りも覚えない、究極の無表情。

 別に普段から無心に戦っているわけではないのだが、今戦っているのは鬼の本体ではない。故に怒る気もしないだけだ。

 そのまましばらく戦っていると、途中後方車両から轟音が響いたが研は気にしない。

 そして更に戦い続けた末に、鬼はいきなり消えていった。

 研は鬼を炭治郎が倒したと判断するが、それと同時に列車が脱線。

 幸いなことに研を含むこの客車にいる人間は誰も怪我はしなかったが、外に出ると怪我をした人が何人もいた。

 研は人々の治療をしたかったが一人では厳しいため、一旦タイムマシンへと戻る。

 そこで待っているキャロンとバリカンに今まで起きたことを簡単に説明し、手伝いをするように頼んだ。

 

「分かったわお兄ちゃん」

「やれやれ。とんだタイムトラベルになったもんですよ」

 

 そして三人で怪我をした乗客の応急処置をしていると、研はふと視線を感じた。

 彼が視線のした方に目をやると、そこは森の中。

 普通なら人などいる筈もないが、さっきまで戦っていたのは人ではなく鬼。

 ひょっとしたら仲間がいるのでは、と考えた研は念の為様子を見に行くことにした。

 

「僕ちょっと見てくる」

 

 キャロンとバリカンにそれだけ言い残し、研は森の中へ。

 彼が森に入ると、黒と茶色の無地の着物を着た二人組の男に出くわした。

 二人は研に気付かず何やら話している。

 

「まさか魘夢がもう倒されるとは……。これでは我々ジュラルの人間絶滅作戦が暗礁に乗り上げてしまうぞ」

「心配するな。元々は平安時代の医者の一人に、どんな病弱な人でも治せる治療として人間を鬼にする方法を伝授し、それを幾人もの人間に受けさせることで日本、ひいては世界を鬼だらけにする。そして最後に鬼を我々ジュラルの科学力で殲滅すれば、たやすく地球は我々のものになる筈だった」

「しかし最初の患者である無惨に医者が殺されてしまうとは誤算だった。しかし当の無惨が愚かにも太陽を克服する方法を探し、その為に多くの人間を殺してくれるのは怪我の功名というものだ」

「そこで我々も無惨をこっそりサポートし、人間を少しでも減らす方向へ切り替えたのだ。なあに、今更下弦の鬼が一匹消えたくらいでどうということもあるまい」

「やはりお前達が絡んでいたんだな。ジュラル星人!」

 

 やたらと説明口調な二人の男はジュラル星人だった。

 彼らに研が怒り、叫んだことで二人は研の存在に気付く。

 

「くそぉ、なぜ奴が大正時代に!?」

「お前達、今度という今度は許さないぞ!!」

「ええい! こうなったら研は我々が始末する!!」

 

 その言葉を最後に二人組の男はジュラル星人の真の姿に戻り、研に向かって目からビームを発射する。

 研はビームをジャンプで躱し、そこで無意味に二回転くらいしてからジュラルの一人に向かってアルファガンを放った。

 

「ギィヤアアアアアア!!」

 

 これで二人のジュラルのうち一人が死亡。

 もう一人はそれでも怯まず研にまたもビームを放つが、彼は今度は飛び上がることでビームを回避。

 

「ええい!」

「グエエエエエエエ!!」

 

 そのままもう一度アルファガンを放ち命中。もう一人のジュラルもこの世を去った。

 

「ふう……」

「研坊大変だ! 新手の鬼がやってきて今は鬼殺隊の煉獄さんって人と戦っているんだ!!」

「何だって!?」

 

 研が一息つく間もなくバリカンからもたらされた速報。

 彼らが慌てて汽車のあるところまで戻ると、そこでは炎の剣士、煉獄と刺青が特徴的な鬼が戦う姿。どちらも目で追うのも困難なスピードで動き回り、一進一退に傷つけあっていく。

 だが鬼は傷がついてもすぐに治るが、煉獄は治らずそのままなことから、このまま何もしなければ決着がつくのは時間の問題だろう。

 

 そして少し離れたところには、二人の戦いを見つめる炭治郎と猪頭の少年の姿があった。

 炭治郎は戦いに加勢したいものの、魘夢との戦いで消耗して動けず待機。猪頭は自身と目の前で戦う二人とのレベル差を察し、うかつに割り込めば足手まといにしかならないと理解して待機。

 研もうかつには入れないと思うが、彼らとの違いは武器が銃であることだ。

 なので隙さえつけば援護ができる、と考えていた。

 

「そこだ!」

 

 そしてその通りに実行し、鬼に命中させ動きを止めることができた。

 とはいっても止められたのは一瞬だけ。だが戦いの場において一瞬という時間は、億千金の価値がある。

 

「うおおおおおおおおおお!!」

 

 鬼が動き止めた刹那に、煉獄が首を斬り落とそうと刀を振るう。

 だが鬼も刀を避ける為一旦距離を置こうとするが――

 

「まだだ!」

 

 研が再びアルファガンを放つことでもう一度動きを止める。

 後はこれの繰り返すだけ。鬼が動き出すより先に研がアルファガンでスタンし、その隙に煉獄が首を斬ろうとするのみ。

 

「おのれええええええええええ!!」

 

 このあまりにも盛り上がりの欠ける戦い方に鬼は怒りを露わにする。

 まあRPGのハメ技みたいな方法で討ち取られそうになっていれば誰でもそうなるだろうが。

 しかし研は戦いを楽しむタイプではなく、煉獄も敵に敬意を払うことはあれど、ここで手を緩めれば無辜の民が巻き込まれるかもしれない状況で私情は入れない。

 

 こうして、研は知らないものの歴史上初めて、上弦の鬼の首は落とされた。

 

「やったぜ研坊!」

「いや、いいのかよアレ……」

 

 無邪気に喜ぶバリカンとは裏腹に、とてつもなくモヤモヤしたものを抱えたような声をあげる猪頭の少年。

 一方、煉獄は研に感謝の言葉を述べようとするも

 

「助かったぞ名も知らぬ少年よ! よければこれから何か礼を――」

「ごめんんさい。僕らもう帰らないと!」

 

 煉獄の言葉を打ち切り、そそくさとタイムマシンに乗り込みそのまま去っていく研達三人。

 それを黙ってみていた猪頭は思わず炭治郎に問うていた。

 

「なあ健八郎。あいつら何だったんだ?」

「俺にも分からない。でも悪い匂いはしなかったから、きっといい子達だよ」

 

 炭治郎の心からの言葉に、猪頭は微塵も納得できなかった。

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