百一話 神社にて〜bad impression.
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博麗神社に最後に来たのはいつぶりだろうか?
紅魔館に来る前か……本当に久々だな……
「何の用?」
「あっ霊夢さん」
「……参拝客?」
そうか、博麗神社には来たけど……あの時は霊夢さんと会ってなかったな。
今回はまだ初対面なのか。
「いや、少し異なるのですが」
「理解出来ないわね。この神社には何も無いわよ」
「自分で言うんですか……」
「賽銭泥棒とかしに来たところで何も無いからねって」
「する気はないですよ……」
と言うか博麗神社の賽銭箱は異変を解決してると言うのに……相変わらず入ってないんだろうな……
「少し会う人がいまして……」
「……妖怪退治は今は休止中よ」
「え?」
「それとも異変解決?流石に今は異変が起きてないと思うけど」
「そうでは無くてですね……」
「蓮司、お前の行動が異常なんだから……話さないとどうにもならないぞ」
妹紅さんに注意される。確かに博麗神社に会いに来たって事はそうなるか……
「萃香さんに会いに来たんです」
「はぁ?」
驚かれるのは予想出来ている。
ただ博麗神社から去ったと言う事は無いだろう。
「巫山戯た事言ってるんじゃないわよ」
「いや、真面目なんです!!」
「ただの人間を会わせられるわけないでしょうが」
「そのために私も来てるんだよ」
「えっとアンタは……輝夜と同じ感じがするわね?蓬莱人?」
「輝夜と一緒にすんな!!」
「妹紅さん落ち着いてください……」
悪気はないのは分かるが、妹紅さんの逆鱗に触れてしまったせいで暴走しかける……
何というか……ツイてないな。
「楽しそうね」
「いや霊夢さんのせいで大変な事になりかけてますが……」
「知らないわよ」
「……そうですね」
「とにかく……そこのが不死なのは分かったけど、アンタはそうじゃないでしょ?」
「それはそうですが……」
「うちの神社が血の海になるとかはほんと勘弁して欲しいの」
「それは分かりますが……そこまで危険ですか?」
「鬼ってそんなものでしょうよ」
少なくとも、喧嘩好きなのは分かるが……
あの時の記憶はそこまで乱暴者には見えなかったが……
「宴会やお酒好きなイメージが強いですが」
「は?萃香と知り合いなの?」
「一方的かもしれませんがね」
「なんか煮え切らないわね……」
「最悪が起きても、私達の自己責任って話だから」
「それが許されないのが博麗の巫女なのだけど?」
「大変なのは私だって分かるけどさ」
「それ以上に神社が壊れそうなのが嫌って言ってるんだけど?」
「まあいいじゃん」
「ちょっと萃香!?」
神社の境内の方から萃香さんが歩いて来た。
あの光景で見た姿と瓜二つだ、間違いない。
「それで、アンタが私に用があるって……」
「ああお酒を……」
持ってきたお酒を取り出そうとする。
「要らない」
「え?」
「帰りな」
「……」
それだけ言うと萃香さんはまた境内の方へと戻ろうとする。
「すみませんでした」
「……何をだ?」
「それを思い出せないんです」
「……また明日来い。今日は気分じゃない」
「……分かりました」
「今度は破るなよ」
「……はい」
それだけ言い残して完全に境内の方へと戻って行った。
「大丈夫か?」
「大丈夫かって何もされてないですが……」
「いや、気圧されたりとかだよ。正直私でもキツかったしな」
「ああ……冷や汗は出ましたが……大丈夫です」
「大丈夫ですじゃないわよ、アンタ萃香と本当に何があったのよ!?」
妹紅さんとの会話中に霊夢さんが混ざってくる。
「何があったって……大体今の通りですが」
「鬼相手に嘘吐いたの?」
「吐くつもりは無かった……は言い訳ですね。嘘を吐きました」
「馬鹿じゃないの?殺されたっておかしくない事を……」
「記憶を失っているんです」
「……はぁ?」
「彼女と確かに忘れるなって約束をしたんです……ただそれを思い出せない……嘘を吐いてしまったんです」
「それって事故じゃ?」
「事故でも約束ですから……それでもまだ何も無かっただけマシなんでしょうけど」
実際に嘘でも吐こう物なら、舌を引き摺り出されていたかもしれない。
「それで?わざわざ萃香を何故怒らせに来たの?」
「その忘れた記憶を思い出す事と……忘れた事を謝りたかったから」
忘れた事自体存在を知ったのは朝の事だ……今までの間ずっと裏切っていたんだ。
「やっぱり、さっき思ってた通り無謀じゃない」
「……」
「それでどうせこの後も続けると……」
「続けますし、明日来なきゃまた嘘を吐く事になりますから」
「……万が一神社に何かあったらしっかりと修理しなさい」
「……それは、そうですね」
「はぁ……壊されるなんて無いで欲しいけどね」
「気を付けます」
「と言うか蓮司を鬼に会わせていいのか?力づくでも止めてくると思ったが」
「……止めたら間違い無く萃香が暴れるしね……それよりはマシよ」
「壊さないように……気を付けます」
これで壊そうものなら本気で何が起きるか分からないな……
「それで、ん」
霊夢さんが手を差し出してくる。
ここで握ったりする不埒はぶっ飛ばされるのがオチか。
「お賽銭ですか?」
「いや、酒。持ってるでしょう?」
「これは萃香さん用に……」
「知らないわよ、飲まなきゃやってられないの」
せがまれ続けた為、観念して酒瓶を取り出した。
給料代わりに貰ったとはいえ、俺は酒飲めないし……どうせ果実酒は流石に萃香さんが呑むようにも思えないし、霊夢さんが使ってくれるのが一番だと。
「はぁ……不幸だわ」
そう言いながら霊夢さんは溜息を吐く。
第一段階は萃香さんには最悪な印象が付いてしまったが、記憶があるだけ良い。
もしかしたら嘘吐きだって記憶だけかもしれないが何も無い無関心よりはマシだ。
最悪な印象でも当初の予定通り興味を持ってもらう事は出来たのだから。
「……ここからが本番だ」
階段を降りながら明日こそはと決意するのであった。
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to be continued