幻想郷で死に戻る俺は   作:せかいちっ!

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百二話 去年の事を言うと鬼は怒る〜demon wrath.

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「正直、良く逃げなかったと言いたいが」

 

 

「……そもそも逃げるなら博麗神社に会いに来ないですよ」

 

 

「それもそっか」

 

 

萃香さんは見た感じは笑顔に見えるが、汗が止まらない。

明らかな作り笑いのせいか、殺意を向けられているよりも恐怖を感じる。

 

 

「どうした?怯えたような顔をして」

 

 

「いや怯えては……」

 

 

「ん?」

 

 

「……」

 

 

強がりを言い出すところだった。正直昨日はアレだけだったのにニコニコ笑っているのが分からなすぎて多少怯えてはいるしな。

 

 

「……ん?」

 

 

「どうした?」

 

 

「いえ……」

 

 

嘘を吐く……のは鬼相手にするわけにはいかない。

だからって正直に言えば、何かと言い張って話はここまでになるだろう。

……もしかして詰んでる?

 

 

「おーい大丈夫か」

 

 

「はい、なんとか……」

 

 

「気分が悪いなら……」

 

 

「そう言えば萃香さん!昨日も言いましたがお酒持ってきました!!」

 

 

「……話を逸らす気だな」

 

 

「……」

 

 

どっちみち詰んでる気がするにで許してください。

嘘を吐くわけには行きませんし。

 

 

「まあいい、そこで拘っても仕方ないしな」

 

 

助かった……気がする……

 

 

「それで、これ?」

 

 

「……萃香さんのお酒に負けそうですが、それでも良いものを選んだ筈かと」

 

 

霖之助さん任せとは言え、流石にダメな酒を用意したりはしないだろう。

萃香さんの酒自体がヤバいものだが……これだってタチの悪い酒では無いはずだ……

 

 

「負けるもの用意されてもなあ」

 

 

「そもそも萃香さんの酒自体が上質すぎるんじゃ無いですか……」

 

 

「へぇ、よく覚えてるじゃん」

 

 

「あやふやですが……それ以上に酒の印象が強過ぎたので」

 

 

「ふーん」

 

 

酒の話を聞きながら飲み干す……え?飲み干した!?

 

 

「一気ですか……!?」

 

 

「何か?」

 

 

「いや……驚いただけですが」

 

 

「これくらい普通らっての……」

 

 

「バリバリ酔ってるじゃないですか……」

 

 

「へーきへーき」

 

 

話は通じるのだろうか?

酔って覚えてないとか言われたらどうすれば良いのだろう……?

 

 

「……と言うか本当に覚えてないんだな」

 

 

「すみません……」

 

 

「まあ今のお前も面白そうだけどさあ」

 

 

「面白そうって言われて喜んで良いのか悪いのか……」

 

 

やっぱりと言うか……萃香さんは覚えているのか……

 

 

「良いんじゃ無いの?どうせ記憶が無いならそれが今のお前だし」

 

 

「いや、忘れているから今こうなっているんですよね……」

 

 

「別に良いんじゃ無い?嘘吐きなんてどうでも良いし」

 

 

「おい、流石にそれは」

 

 

「ちょっと、今私と蓮司で話してるんだから邪魔しないで」

 

 

妹紅さんが話に入ろうとするが、萃香さんがあっさりあしらう。

 

 

「いや……そうは言ってもだな」

 

 

「……鬼に対して約束したんだ。その覚悟は分かってるだろう?」

 

 

「……分かってます」

 

 

「なら、私から言う事は……」

 

 

「幾ら何でもじゃ無い?」

 

 

「霊夢……お前には特に関係無いじゃないか」

 

 

「そうは言っても昨日に今日にあれだけ大声ならこっちからも少し言いたくなるわよ」

 

 

「だったら何を言いたいんだ?」

 

 

「昨日の話からして彼は記憶喪失なんでしょ?」

 

 

「それはまあそうだな……」

 

 

「だったらイレギュラーじゃない、それにいつまでも拗ねてても仕方ないでしょう?」

 

 

「いや、拗ねてるわけじゃないんだが……」

 

 

「だったらいいじゃない」

 

 

「……良くない」

 

 

「……はあ、確か小野寺だっけ?」

 

 

「はい、そうですが」

 

 

「根気よく出来る?」

 

 

「どう言う事です?」

 

 

「ほんっっっっっとうに嫌だけど暫く通わないとこうなった萃香はどうしようもないわ」

 

 

「……」

 

 

「今日はこれ以上話さないだろうし、暫く通ってって話よ……神社壊したら怒るけど」

 

 

「いいんですか?」

 

 

「正直な話、事情を聞きたいのだけどね」

 

 

「事情って言われても記憶が……」

 

 

「そうじゃないわよ、なんで今記憶を戻したがるの?」

 

 

「少しだけ……思い出せたからです」

 

 

成美さんのお陰で少しだけ思い出せない記憶が戻った。

 

 

「忘れた記憶を思い出したいのは普通なのでは?と思いますが」

 

 

「それはそうだけど……本当にそれを思い出すのがいい事なのかしらってね」

 

 

「……どう言う事ですか?」

 

 

「記憶喪失には種類があるからね、自分の嫌な過去から逃げる様に忘れる事だってある」

 

 

「……」

 

 

間違いなく自分の過去はそう言った類のものであると思う。

だからこそ思い出すなと言われたし……

 

 

「そうだとしても、自分の過去から逃げ切る事なんて無理ですし。なら知りに行った方がいいですよ」

 

 

「そう……」

 

 

「結局思い出せない事が幸せだったとしても……逆に言えば忘れた時に何か不幸だったことがあったらそれを忘れちゃいけないって……」

 

 

「取り返しのつかないことでもか?」

 

 

「萃香さん?」

 

 

「……」

 

 

それ以上は何も言わなかった。

取り返しのつかない……?そこまでヤバいことしたの俺……?比喩だよな?

 

 

「だったらそれの償いをしないとダメかもしれないですし……」

 

 

「本当に……」

 

 

「ん?」

 

 

「本当に何も覚えてないのがよく分かるな」

 

 

「萃香さ……」

 

 

そのまま萃香さんの姿は見えなくなる。

消えた……?魔法使いじゃなくて鬼だよな?

 

 

「能力まで使うってどんだけ話したくないのよ……」

 

 

「能力ですか……」

 

 

「まっ来るなとは言ってないし一月でも半年でも通い続けなさい」

 

 

「……半年?」

 

 

「償いなんでしょ?」

 

 

「そうですが……」

 

 

それまでに何も無いといいが……

地底や妖怪の山などあちこちの異変が起きるかもしれないって場所の話は紅魔館や魔理沙さん達には話したし気には掛けてくれると思うが……

ただそれでも異変はいつ何処で起きるか分からないしな……

 

 

「……あ」

 

 

「何?」

 

 

そう言えば霊夢さんも異変解決の巫女だったな。

 

 

「いや、異変が万が一起きた場合はと」

 

 

「唐突に何よ……」

 

 

「起きた場合ってだけですよ……」

 

 

「そうそう起きるわけ無いでしょうが」

 

 

もしかしたら萃香さんは永遠に許してくれないかもしれない。

それは俺のせいだから仕方ないが……それでも忘れた事は思い出したい。自分の過去の問題を探りたいから。

終わりどころか道筋すら見えないが……一歩ずつ進める事を祈りながら頑張る事にした。

 

 

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to be continued

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