幻想郷で死に戻る俺は   作:せかいちっ!

106 / 238
百四話 来年の事を言うと鬼は笑う〜demon laugh.

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

二週間は経っただろうか……去年の今頃には雪が降っていた気がする。

春雪異変もあったせいで、去年の雪は非常に長く感じた。

 

 

「最近になってやっと萃香さんと話せるようになってきてるな……」

 

 

呆れられているだけかもしれないが、それでも前進したっちゃ前進したんだ。

 

 

「飽きないわね本当に……」

 

 

「霊夢さん……飽きる飽きないの問題じゃ無いです」

 

 

「まあそれもそうね」

 

 

「通い続けますよ」

 

 

「本当に……何も無くて良かったわ」

 

 

もう完全に大丈夫と思っているのだろうか?

確かに最初に比べて命の危険を感じる事は減ったが。

 

 

「それじゃあ失礼します」

 

 

そのまま境内の方へと向かう。

 

 

「……」

 

 

「心配してないんじゃ無いのか?」

 

 

「妹紅……何の用よ?」

 

 

境内の方を不安げに見る霊夢に妹紅は話しかける。

 

 

「いや、偶には話そうと思ってな」

 

 

そう言う妹紅の手には酒瓶がある。

 

 

「……アイツを放っておいていいの?」

 

 

「流石にもう大丈夫だと思ってるしな。偶には私だって気を抜きたいんだよ」

 

 

「まっただ酒を貰えるならいいけど」

 

 

「それに、聞いちゃいけない事な気もするしな」

 

 

「そこまで話すかしらねえ」

 

 

「さあな。ただいちいち気にしたって仕方ねえしな」

 

 

「乾杯」

 

 

外気は寒いにも関わらず、石に座りながら二人は呑み始めた。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「あっちは酒を呑んでるのに、持ってこないってどう言う事だ?」

 

 

「いや、色々とおかしく無いですか?」

 

 

最初にいい酒を選んだ事もあって、最初以降は持って来れていない。

安酒何本もの方が良かったのだろうか?分からないな。

 

 

「まあいい、次は用意しておけよ」

 

 

「辛いですね……」

 

 

そのようなたわいもない話から……と言うかいつも通り酒の話から始まる。

萃香さんは出来上がっているが、俺も匂いで酔っ払いそうだ。

 

 

「なあ蓮司」

 

 

「どうしました?」

 

 

「お前はどれだけ覚えている?」

 

 

「どれだけと言われましても……萃香さんと会った事以外殆ど記憶が無いですよ」

 

 

「ああ、そうじゃ無くてだ……お前自身がどんな人間かって話だ」

 

 

「……え?」

 

 

「前のお前からも聞いたが、今のお前からも聞きたいしな」

 

 

「それは構いませんが……」

 

 

「それに、目的については喋ってたけど……自分の事はそこまで話したがって無かったし」

 

 

「……よくそれで俺の話を聞きましたね」

 

 

「私にとっては面白そうだったしな」

 

 

「一体何を企んでいたんだ……と言いたくなりますね……」

 

 

過去の俺に疑問を持ちつつ、自分自身について考える。

ただの取引相手だとしたら……信用が必要であり、尚更覚えている事が必要な関係だし……忘れたってどんだけだって話になるか。

そして……俺についてか。

 

 

「正直、記憶が残ってない部分は話せないですからね……」

 

 

「それで構わない」

 

 

「分かりました」

 

 

外の世界の事は正直覚えていない。

だから外から来た人間だと言う事だけを話した……詳しくは話せないし。

それについては聞いてないものの、最初から予想がついていたらしいが……そんなに分かりやすいものかな?

 

 

「それで……特異体質なんですが……」

 

 

死に戻りについても改めて話した。

これが一番俺を悩ませている原因でもあるから。

 

 

「……改めて聞くともう呪いレベルだなそれは」

 

 

「……身に染みています」

 

 

今は生きたいから良かったが、あの時の俺は何度死んでも元の場所に戻るだけだったし……地獄にも思えた。

 

 

「そのために色んな奴と出会い、異変を解決して来たと」

 

 

「いや……解決出来る力は無いので完全にお願いしていますが」

 

 

「まあそこは重要じゃ無いしな」

 

 

「重要そうな気はしますが……」

 

 

誰がやったとか言った責任や成績は重要そうだが……

 

 

「それで残された記憶頼りに、妹紅と一緒に私の元を訪れたわけか」

 

 

向こうで酒を呑んでる妹紅の方を向く。

本当に……飲み始めるまでお酒持って来てた事気付かなかったな。

 

 

「そうですね……あると思わなかった、過去を知るために」

 

 

「そんな大事か……?」

 

 

「死に戻りの原因があると思っていますし」

 

 

「あー……ある。ただ私も詳しいわけじゃ無いが」

 

 

「やっぱり……記憶だけじゃ無くて、それさえもですか……」

 

 

「ただ死に戻りの何が嫌か分からないがな」

 

 

「何故?」

 

 

「……死に戻ったって事は、死に戻らなきゃそのまま死んでたって事だろ?」

 

 

「それはそうですが……」

 

 

「後がなくなるだけだぞ?」

 

 

……言われている事は理解出来る。

死に戻りの保険が無きゃ、ただ野垂れ死ぬだけかもしれない。

 

 

「それでもです」

 

 

「……納得させてみろ」

 

 

「今は12月ですが、その12月を超えられるか分からない。原因が分からないなら探りにいけない……何かあったら何も得られぬまままた巻き戻しです」

 

 

「そしたらどうなる?」

 

 

「来年……いや未来に進めません。いつまでもそこで止まったままです」

 

 

前に言っていた事だって真実だ、だが何も知らずに死に戻るのなら未来へ向かって進むことが出来ない。

不老不死と同じでそう言ったのに憧れる奴はいるかもしれないが誰しもがそうでは無いのだ。

 

 

「成る程ね、未来のことをが理由か」

 

 

「こう言う時は来年の事を言うと鬼が笑うでしたっけ?」

 

 

「なんだそれは……」

 

 

「あれ?すみません」

 

 

流通していない言葉らしい、選び方を間違えたか?

 

 

「だがそうかそうか、酒飲んで笑ってる方がいいしな。……来年の事を言うと鬼は笑うか」

 

 

そう言いながら萃香さんは笑い始めた。

笑顔を見たのは今の俺では初めてかもしれない。

 

 

「本当に文字通りに笑うとは思いませんでしたが」

 

 

「いいじゃん」

 

 

「構いませんが」

 

 

そのまま笑い続けた。文字通りってよりも言葉に対して萃香さんがそれに付き合っているだけのようにも思えたが……

 

 

「覚悟出来てる?」

 

 

「覚悟?」

 

 

「聞く覚悟だよ」

 

 

「……勿論、何があろうと俺は俺ですから」

 

 

かつてしでかしたことによる償い、過去にやった事についての事柄、他にも未来に進むために死に戻りについては分からないかもだが過去の行動を知らなければと。

 

 

「分かった、お前の覚悟は受け取ったよ」

 

 

「萃香さん、それじゃあ!」

 

 

「ああ」

 

 

皆の決意は決まった。自分のした事が閻魔様が言うように罪深いのだろうか?

永遠亭でレミリアに言われた、あの過去が存在したりするのであろうか?

それを含めて知らなければいけない事だらけだ。

自分自身を落ち着かせながら。萃香さんが口を開くのを待つ。

そして意を決したように萃香さんは口を開いた。

 

 

「蓮司、お前は……」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

to be continued

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。