幻想郷で死に戻る俺は   作:せかいちっ!

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百五話 過去の事を言うと人は死ぬ〜curiosity killed the cat.

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「蓮司、お前は異変についてどう思う?」

 

 

「異変についてですか?多くの人間や妖怪に影響を及ぼすとか……妖怪が起こすとか」

 

 

「ああ、その通りだ。妖怪が起こすんだ……」

 

 

そこまで言われて理解する。

ああやはりそうなのかと……

 

 

「異変を起こそうとしていたんですね……」

 

 

「ああ、その通りだ」

 

 

「理由はなんなんです……?」

 

 

「詳しくは聞いていないんだが……」

 

 

やっぱりか……目的しか話してないと言われたし、大して話してないんだな。

 

 

「証明したいからとは言っていた」

 

 

「証明したいから?」

 

 

どう言う事だ?誰かに脅されていたとかでは無さそうなんだが……

むしろ逆にも思える。

 

 

「その事を詳しく聞きたいんですが……」

 

 

「……」

 

 

「……なんで話さなかったんだ自分」

 

 

「……紅魔館に行くとは言っていたが」

 

 

紅魔館にか……レミリアが言ったように一度俺は訪れていたのかもしれないな……

それだけじゃ無い、恐らくは幽々子さんの反応的に白玉楼にも……

 

 

「……いや、どうだ?」

 

 

「どうした?」

 

 

「いえ、少し考え事です」

 

 

白玉楼にそもそも行けるわけがない気がするが……色々と謎だらけだな。

少なくとも幽々子さん達と何処かで出会ったのだろうけど……

 

 

「しかし異変ですか……」

 

 

「目的はあるだろうけど……言われたことだけじゃ私もなあ」

 

 

「目的が……」

 

 

証明したいからと言ったって正直今の俺には分からない。そもそも異変を起こすことで何かを証明することなんて出来るのだろうか?

 

 

「……今の蓮司は」

 

 

「起こすわけがないですね……理由も原因も分からないですし」

 

 

「そうしてくれるなら助かる」

 

 

「賛成側だったのでは?」

 

 

「あの頃ならともかく、一応私も懲らしめられた立場だしな。またやるって言われると少し面倒だった」

 

 

「あー……そうですね」

 

 

萃夢異変を起こし止められた鬼の少女。

それ以外の記憶のせいですっかり忘れていたが……確かに異変を扇動したみたいに扱われると困るか。

 

 

「ここも神社ですしね」

 

 

「だろう?そう言う事だよ」

 

 

異変を起こした原因……それも探らないといけないか?

 

 

「ここからは私の推測だがいいか?」

 

 

「勿論、聞かせていただけるなら」

 

 

「多分……アイツが関わってると思う」

 

 

「アイツとは?」

 

 

「八雲紫。名前は聞いた事あるだろう?」

 

 

「あります……」

 

 

頭の中で何かがつっかえたように感じる。

……本当に、過去の自分は知っているんだなと思わされるように。

 

 

「アイツが何かを提案した。そう思っている」

 

 

「……聞いた話じゃ大妖怪の筈ですが、こんな一般人に関わるんですかね?」

 

 

「多分契約が関係している」

 

 

「契約?」

 

 

「死に戻りの関係も紫だと聞いたが……お前はアイツと何を契約した?」

 

 

「何を契約したって……」

 

 

そんな事言われても思い出しようもない。

当然彼女が嘘を吐く筈がないから少なくとも俺がそう話したのだろうけど。

 

 

「契約……」

 

 

ダメだ……全く思い出せない。まだまだ謎が残っている。

 

 

「……ただ……そうですね」

 

 

「なんだ?」

 

 

「その記憶喪失が……異変と共に治るとしたら」

 

 

「……何故断片的なのかは分からないが」

 

 

「でもそんな気がするんです」

 

 

俺は何かを忘れ、思い出すために異変を起こし始めた。

生きるためは……忘れてると命に関わる?

時折夢のように見るものは……それと同時に異変解決を告げられるのは一体……

 

 

「と言う事は蓮司の記憶を奪ったのも」

 

 

「八雲紫さん……?」

 

 

「あらあら、随分な物言いですわね」

 

 

「!?」

 

 

慌てて声のする方を振り向くと、空間が割れている。

これ……何処かで見た事があるような?

そう驚いていると中から金髪の女性が現れる。

彼女が……八雲紫なのだろうか?

白い帽子に、全身は自分の名前を表すかのように紫色に染まっている。

 

 

「なんでもかんでも私がやった、私がやったと酷くありません?」

 

 

「紫、全く無関係な訳でも無いんだろう?」

 

 

「ええまあそれは。しかし彼の記憶喪失には私は関係ありませんわ」

 

 

「記憶喪失……スキマ……」

 

 

そうだ、確かスキマと言えば……

 

 

「アリスさんの脳に埋まっていたと言う奴……」

 

 

「ええまあそれは……ですが前に言った通りです」

 

 

「前に言った通りって……何も思い出せないんですが……」

 

 

「思い出さなくていいですわ。貴方が何故異変を起こそうとしたのか……そんな事は些細な事ですもの」

 

 

「些細な事って……こっちは必要な事で」

 

 

「本当に私のせいでは無いですが、記憶喪失のお陰で助かってますわね」

 

 

「さっきから何を……?」

 

 

「……そうですね……貴方達の言葉で表すなら知り過ぎたでしょうか?今はまだその時ではないのに」

 

 

その話に答えずに、ついには恐ろしい事を言い始めた。

 

 

「その時って……」

 

 

「知る必要はありません。ついでに言えばこれ以上覚える必要はありません」

 

 

「貴方は何を……」

 

 

カンカンカン

 

突如久々に聞いた音がする。

この音は電車の音……しかしなんで?

 

 

「良き旅を」

 

 

「え?」

 

 

「蓮司!?」

 

 

スキマから電車が現れる。

近くにいた萃香さんも、紫さんが現れて慌ててこちらへと近寄って来た二人も間に合わない。

 

 

「……なんで電車が?」

 

 

そのまま猛スピードで蓮司を撥ねる。

身体は割れた筈なのに……まだ意識がある。

これが……死んですぐは生きていられると言う感覚なのだろうか?

 

 

「紫、貴女何を?」

 

 

「霊夢、ごめんなさいね。これはしなきゃいけない事なの」

 

 

「しなきゃって、人間を殺していい訳ないでしょうが」

 

 

「大丈夫か!?」

 

 

霊夢さんの怒号と、妹紅さんが慌てて駆け寄るのが分かる。

もしかして……まだ俺は元気なのか?

 

 

「生命操作を受けている?ならちょうどいいでしょうか?」

 

 

生命操作?ああ、成美さんのか。

だから本来は即死の筈が、まだ四肢が砕けても意識はあるのか。

 

 

「一つだけ私から」

 

 

「そんな話はどうでもいい。さっさと蓮司を治せ」

 

 

妹紅さんの怒号も聞こえる。

……ダメだ、成美さんのお陰で生きていられると思ったが、意識が遠のいてきた。

 

 

「どうせこの世界は幕を閉じます。今更貴女が怒ろうと関係ないのよ」

 

 

「何を言って!!」

 

 

「小野寺蓮司」

 

 

妹紅さんの問いかけには答えず、こちらへと話しかけて来る。

 

 

「確かに死に戻る原因は私ですが……それを望んで契約したのは貴方ですよ?」

 

 

何を言って……

俺が何故これを望んだって言うんだ?

 

 

「これ以上は知り過ぎです、するべき事はまだまだあります」

 

 

彼女の言う事は全く理解出来ない。

 

 

「続きは、もっと異変を解決してからにしましょう」

 

 

異変を解決する事に何があるのだろうか?

意味なんて無いんじゃ……?

 

 

「前の貴方も滑稽で好きでしたが。今の貴方の来世をもっと期待しています」

 

 

そう言うとスキマの中に潜って行く。

手を伸ばそうとするが、既に伸ばす手はない。

 

 

「ああ」

 

 

ダメか、ダメなのか……

油断をしていた気はないが、唐突に現れて殺されるようなヒットマンみたいなものは流石に警戒していなかった。

謝らなきゃいけない人は沢山いるな……ただ動けないし来世しかないか。紅魔館だって、地底だって……行かないと。

覚えててくれればいいが、流石にそれは望み過ぎか……

 

 

「……蓮司すまないな、余計な事を言い過ぎた」

 

 

萃香さんは何も悪くない、知りたい事が知れたから。

しかし……異変探しか。また大変そうだ。

次は何処で起こるか、考えようにも思考が曇っていき、魔法で無理やり生きていた肉体は……停止した。

 

 

この世界はまた消え、巻き戻った世界へと繋がる。

 

 

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