幻想郷で死に戻る俺は   作:せかいちっ!

109 / 238
百七話 苦労だらけの新生活〜 don't escape.

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

目を覚ます。もしかしたら昨日までのは夢じゃ無いかと。

当然だがそんな甘い現実はないのだが……

 

 

「身体が痛いし……何より寒い」

 

 

小屋の中で目を覚ます。隙間風は入らないものの、毛布すらも無かった。

 

 

家の前に置かれた食材で料理を作るが……火が使えないのってやっぱり不便だなと……

そもそも……冬とは言え自宅の前に食材が置きっぱなしなのもまずくないか?

 

 

「文句は言えないんだが……」

 

 

その後は朝食を取り花畑を見て回る。

正直一日で回り切れる大きさじゃない。

外周だけでも果てしない距離なのに、中に入り込み一本一本見ていればどれだけの量になるのだろうと……それに関しては花に触るなと言われて助かったかもしれない。

 

 

「……昼でもだいぶ冷えるが」

 

 

ただ……これだけ向日葵があれば、風の通りが悪く、北風で凍えたりはしない……温度が低いから結局は寒いんだが。

 

 

「ただ……これだけ向日葵咲いてると、だいぶ季節感狂いそうだけどさ」

 

 

本当は夏ではないのかと思いながら向日葵畑を回りきる。

回るだけでもくたくただが……部屋の中に鍬を見つけたので少しだけ耕す事にした。

 

 

「正直作業なんてやった事ないけど」

 

 

当然だが上げるだけでも精一杯で綺麗に掘り起こすことが出来ない。

と言うか痛いし辞めたい。ただこれしてないと冷えるんだよな……

 

 

「流石に花に触るわけでも無いし耕して気分が悪くなるとは思えないだろうしなあ……」

 

 

いや……この惨事は流石に怒るか……

まともに耕せてないもんな……

少し真面目に鍛えた方が良いかもしれない……

 

 

「逃げられもしないし、適応するしかないよな」

 

 

「あら?逃げられるなら逃げる気なの?」

 

 

「……滅相もありません」

 

 

唐突に声をかけられ、声が上ずりながら返事をする。

見かけても話しかけてくると思わなかったし……

 

 

「まあ、逃げたいって思うくらいならどうでも良いわ。逃がさないけど」

 

 

「どうせどちらに行けばいいか分かりませんし逃げた所でですがね……」

 

 

捕まる捕まらない以前に、場所が分からないのに逃げた所でどうなるか分からない。

食住は安定してるしまだ大人しくしていた方がいいと思う。

 

 

「まあ言った通りそこはどうでもいいわ。問題はそこじゃない」

 

 

「……何かありましたか?」

 

 

「……何してるのよ」

 

 

「耕しています」

 

 

誰が見ても耕しているようには見えないが……そう言う意思は一応あるので……

 

 

「花に触るなと言ったはずだけど?」

 

 

「触っていません。新しい場所を耕しているだけで……」

 

 

「……これで耕しているつもり?」

 

 

「……いずれは」

 

 

当然だが耕している判定には入らない。

そこは現状は見逃してください。

 

 

「勝手にやるなって言いたい所だけど……こんな事も出来ないの?」

 

 

「力ある無い以前に鍬を初めて持った人に完璧に出来るって言うのは無理ですよ」

 

 

里で生活した事はあったが、教養があったため経理の方に回されたし……あの時皆から農業を少し学んでいた方が良かったかもしれない。

……農業と一緒にしたらこの妖怪にぶん殴られそうだけど。

 

 

「……耕したければ勝手にしなさい」

 

 

「いいのですか?」

 

 

「花は多く咲いている方が良いもの」

 

 

「それならどんどん耕せば……」

 

 

現状が少しはマシになるかもしれない。

紫さんがこの場所に連れて来た理由は前からの発言的にここかその付近で異変が起きるかもしれないから。

そうなった場合……彼女の助けがないと何も知ることのないまま死にそうだし……

 

 

「あのねえ……」

 

 

「どうしました?」

 

 

「この土に花を育てろと言うの?」

 

 

「……すみません」

 

 

花を好く以上、その環境に徹底して拘るんだろう……彼女が満足する土壌を作れるようになるまでどれだけかかるのか。

正直それまでにこの場所を去るか死ぬかとなりそうとしか思えない。

 

 

「流石に勝手にしろって言ったし耕すのを辞めろとは言わないわ」

 

 

「有難うございます」

 

 

「じゃあ、好き勝手にして」

 

 

「あの……」

 

 

「まだ何か?」

 

 

こちらから話されるのが気に食わないのか睨まれる。

正直ここまで恐怖を感じるのは無いとは言わないがそうそう起こらないはずなんだが……

ただ言わなければならない。

 

 

「……風呂ってありませんか?」

 

 

「……は?」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「……助かった」

 

 

五右衛門風呂に近いものだが、よくこんなものが作れるんだなと。

流石に道の上を歩き続けて、鍬を振るって泥だらけだし……水なんざ浴びるわけにもいかないし……

魔法で炎を出さずに一瞬で水を温めたな……正直熱いし調整が出来ないのが難点だが、最初水しか使えないと思っていたしマシか。

 

 

「温め直しが出来ないんだが……」

 

 

一度冷めてしまったらどうしようもない。

冷めてしまったのでもう一度とか言いに行く度胸もないし……

 

 

「茹でる……は流石に不味いし蒸すくらいか」

 

 

風呂のおかげで流石に食材をそのまま入れるわけにはいかないが、上で蒸すことくらいは出来る……暖かいものが食える。

外の世界はともかく去年は相当恵まれていたなあと。

 

 

「アリスさんは本当に女神なんじゃないかって」

 

 

……そう言えばアリスさんは何処かに向かった筈だが、今はどうしているのだろうか?

記憶が戻りっぱなしなら、違和感に気付くかもしれないし……

 

 

「現状は知ることが出来ないけど……」

 

 

また怒られそうな気しかしない。

今回ばかりは俺何も悪くないんです……信じてください。

 

 

「それに遊んでるんじゃなくて異変を探して……いるのかな?」

 

 

異変が起きるかもしれないがあくまで仮定だし実際には何故ここに送られたのかが分からない。

ただ……絶対ここじゃ自分の過去について探れないし……それだけかもしれない。

それだと少し困るが……

 

 

「現状は……少しでも信用してもらえたら何か情報が入ると信じるしかないかな」

 

 

このまま時が進んでなんの成果もないじゃ笑えない。

異変を解決してからと言われたしあちら側もそれを望んでは居そうにないが……

 

 

「まずは……鍬を振るえるようにしよう」

 

 

鍬を振るった事を思い出し、燃え上がるよりも疲れが来て寝かけたがギリギリ起きられた。

 

 

「……あれ?脅威は去ったと思ったけど。もしかして通常時でも今まで以上に命の危険なんじゃ?」

 

 

気付くのは遅かった。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

to be continued

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。