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事件が起きたのは数日後だった。
身体も歩くだけではなく少しはマシになってきて、掃除などを手伝っている。
と言うか妖精達が多少掃除はしているようだが、流石に力不足だし。
流石に重過ぎるものは身体が痛むが、軽いものは悠々と持ち上げている。
「にゃー」
「流石にお前はこれ持てないだろう……」
黒猫が鳴くが流石に何か持てるようには見えない……
応援だけ有難く受け取るとしよう。
「……大体これでこっちも完了か」
ふと一息つこうとしたところで。
パリンッと背後から音がした。
「え!?」
慌てて振り向くと壺が割れていた。
「え……なんで!?」
『あっ……』
「俺がやったんじゃないよな……?けどどうするかこれ……この子が怪我しないように早いところ掃除した方がいいかな」
『ごめんねー、お兄さん』
「何事ですか?」
「さっ……さとりさん!?」
音がしたからかさとりさんが部屋へと入ってくる。
それと同時に事態を理解する。
「……手間を増やすくらいなら、始めからやらないで欲しいのですが」
「一応言っておきますが……俺じゃないです……掃除してたからでは無いと信じたいですが……」
何故弁明しているのかは分からないが……
これ以上マイナスなイメージを持たれたく無いのかもしれない。
ただ実際にやってないしと……
「嘘はついていなさそうですが……」
「ただちゃんと見てれば良かったのはあるかもしれないのでそこはすみません」
「お燐、どうでしたか?」
「ん?あたいかい?」
「え?」
声がして慌てて振り向く、さっきの黒猫しかいない……あれ?
「今何処から声が……」
「兄さん目の前にいるだろうっと」
「喋った!?」
黒猫が喋ってる!?それにびっくりして飛び跳ねる。
「あっはは、いい反応だねえ」
喜んだように猫がご機嫌なままクルリと一回転する、そうすると人型になった。
「人型にもなれるんですね……」
「おや、むしろこっちの方が驚かれると思ったのに」
「彼は十分驚かれていますよ」
「そりゃよかった」
もしかして地霊殿のペット達ってみんなこんな感じ?
「お燐が特別なだけですよ」
「そりゃ良かった……みんなこうでしたら腰が抜けそうで……」
「兄さんも大変だねい」
「……まあ、問題ありません」
「あたいは火焔猫燐さ、よろしくな兄さん。」
「よろしくお願いします……えっと化け猫かな……?」
「残念あたいは火車なのさ」
「……え?猫にしか見えないんですが」
と言うか火車って何……?
「妖怪の一端で構いません。それよりも……」
「ああそうだったね、ごめんごめん。この兄さんは何もしてないよ」
「やはり、そうですか……分かりました」
「どうしたんですか?」
「もしかしたらあの子がいるんじゃ無いかって」
「あの子って妹さんですか?」
「そう、自然現象だとは思うのだけどね」
『いるよー』
そう言えば聞いてなかったな……
「さとりさん、そう言えば妹の見た目ってどのような感じなんですか?」
「妹が何ですか……」
警戒されてる……え?今のって警戒される場面だっけ?
「いや……だって知らなければ見つけたりしてもダメじゃ無いですか……」
「それもそうですか……」
「いや……流石に恩人にどうこうって気はないですよ?」
「恩人と言う割にはまだ多少恐怖心があるようですが」
「え?マジですか?」
怖いと思ってるのか。自分でも意識はしてないが……深層ではまだそう思ってるのかな?それなら申し訳ないが。
「……髪の色は私と違って明るい色、緑がかっています」
「姉妹で……いや妖怪だし関係ないか」
「貴方達人間のようにそこまでそっくりではありませんよ」
「少なくともこの地霊殿では見たことないですね……緑髪の妖怪に襲われたことはありますが……」
ただあの子は虫だったし違うだろう絶対に。
「帽子を被っていて……私と同じく目を持っています」
「目ってことは同じく心を読むんですか?」
「いいえ、逆です。閉じてしまっているから……読むのではなく読ませない……気付かせないんです」
「……?」
ちょっと難しいことを言っている?
心を読ませないのはさとりと言う種族がいなければそうだと思うが。
「そこに居ても気付かないのです」
「……」
「貴方がここに呼ばれたって言いましたよね」
「そうですね、じゃないとここに来れないと思いましたから」
「その時彼女にあった記憶は?」
「勿論ないです」
「そう、だからいても気付かないの」
「……気付く方法はあるんですか?」
「そこにいると確信する……根気強く探るとかでしょうか……?」
「難しいですね……」
常に気を張れるわけでもないし……確信なんてできない……見えないのだから。
それではいつまでも見つけられないってことだけどさ……
「見つけられたら、でいいのでお願いしますね」
「分かりましたが……」
「最初から期待なんてしてませんので」
「手厳しい……」
「それじゃお兄さんあたいも行くね!」
「あっはい……」
そりゃ誰も割れたツボの掃除手伝ってくれないよな……と思いつつ掃除を続けた。
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壺の掃除は終わったものの、今日という日は最悪だった。
あちこちで問題が起きる。
「これ全部なのか或いは他に要因があるのか……。
やれカーペットが汚れただとか、戸棚に置いてあったケーキが無くなっただとか、挙げ句の果てには落とし穴に落ちたりした。
「こういうのは
正体はわかっている……古明地こいしと呼ばれた子が地霊殿にいるのだと:
流石に100全部をやったとは思っていないが……少なくとも全くやってないわけでもないだろう。
「見つけられれば……楽になるのだろうけど、正直自信はないな」
現場だってそこにいるなんて確信出来ないし、やっぱり無理なのではと思うばかりだ。
さとりさんとしても早く見つけたいだろうが、そっちで無理なら俺の方が無理じゃないか?とは思いながらも。
「探したところで見当たらないよな……寝ますか」
枕の位置が微妙にズレていると思いながらもそのまま就寝する。
少し寝心地悪いと思いながらまさか部屋にいるのでは?などと余計な思考のせいで眠りが浅い気がするが。
「……」
次の日は明らかに寝不足だった。
眠い目を擦りながら部屋の全体を見る。
またなんか悪戯されてないかなどと確認しながら。
「……んう?」
少し霞んだ目で机の方をじーっと見る。
誰かがいる……
「えっとどちら様……?」
「うーん……ふわぁ……お兄さん?」
そう言った少女はさとりさんとは違った人物に感じた。
ただそれと同時に似ているような感じがした。
ひとまず言うべきことは……
「えっと……貴方は誰ですか?」
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to be continued