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始めに言っておくが、やったのは俺じゃない。
ただし原因は分からない。
気付かれれば命の危険に及ぶし、どうすればいいのか分からない……
「花が……」
向日葵の花が一本折れて枯れている。
しかもよりにもよって耕していた土地の近くだ……他の人が見れば犯人と言われるだろう。
「ただ……言わないわけにはいかないんだよな……」
それこそ黙っているわけにはいかない……命がまず危ないし。
自分がやっていないなら黙っていれば犯人になるだけだ……
「向かうか……」
彼女の元に……余計な事で来るなとは言われたが、これは余計な事じゃないし大事なことだよな……?
「……正直行くのが怖いんだが」
普通に怒る人ならまだいい、ただし余計な用で怒るなら話は別だ。
ただ……じっとしていても仕方がないと諦めて報告へ向かう事にした。
「何があったんだろうな……本当に」
根を掘ってしまったとかそういう事はない、そこら辺は命に関わる事だから必死に気を付けていた。
「さて……行くか……」
観念して回れ右して足を進めようとする。
未遂だったのは真後ろにいた為だが……
「……」
「違うんです」
「へえ」
「自分では無いです」
「ここの周りは掘り起こされているようだけど?」
「そうですが……気を付けました」
「アンタの土造りがダメだったって可能性は?」
「それだと他の花もダメなような」
「それもそうねえ……」
土を耕して花がこうなったはまず違うと思う。
流石に妖怪が命知らずの事をするとも思えないが。
「……」
ただ……それを信じてくれるかと言えば別だ。
正直……怪しまれるよなあ……
「……他に原因があるとすればなんだと思ってる?」
「……原因ですか?」
「分からないってだけなら貴方が犯人だけど」
「……妖怪はどうでしょう?」
「その妖怪を見たの?」
「見てないです……」
「ならしそうな妖怪でもいる?」
「……そんな命知らずの妖怪がいるかは不安ですが」
「……」
自分で自分の首を締めてる気がして来た。
やったわけじゃ無いのに、やった気が……
「……退いて」
「あっ分かりました」
意地を張る理由は無いしそこを退く。
プロに見てもらった方が現状は分かるだろうし。
「……ふーん」
「何か分かりました……?」
「黙ってなさい」
「……はい」
苛立った顔でまるで花達に何か語りかけているかのように話している。
花と会話ができるのだろうか?
「やってちょうだい」
「え?」
彼女がそう話すと一部の花が動く。
ちょっと待ってくれ……そんな事も可能なのか!?
全ての花がこうなるのならば、確かにこれだと逃げられないって言葉が分かる。
「……これね」
そう言った彼女は土の中から何かを発見する。
目を凝らして見てみると……土竜?鼠?
正確にはよく分からないが、小動物の様だ。
「土の中に居たんですか?」
「ええ、食い荒らしたわけでは無いけど。散々荒らしてくれたわ」
「動物の仕業でしたか……」
確かに何も考えない妖怪は居るかもしれないが……流石にここには来ないだろうしな……
その点動物はそう言った点も感じにくいのかもしれない……だから無謀にも忍び込んだのだろうか?
「あの……すみません」
「何?今機嫌が悪いのは分かるでしょう?」
「気になった事があったので」
「そんな気になる事なんてあったの?」
「花と……会話したのですか?」
「は?」
「いえ、会話した様に思えたので……だからすぐ分かったのかなと」
「会話は出来ないわよ、花と友達では無いもの」
「違うんですか?」
「能力であって好きな物であって……友達では無いわ。それは違うでしょう?」
「そうなんですかね?」
「そうよ」
「ならば何故俺がやったのでは無いって思ったんですかね……?」
てっきり花から聞いたからだと思っていた。
それなのに確信もなく花を動かしたし。
「言う必要はないでしょ?」
「いえ……今回は流石に命懸かってたので聞きたいですが」
気紛れだとか言われたら正直運が良かったとしか言いようがないし……ただそれくらいしか理由が浮かばないし……
「……毎日土を耕しているのでしょう?」
「はい……残念ながら成果はまだ薄いですが……」
「別にそもそも貴方には期待してないわ」
「……まだ暫くかかりますしね」
「態々しなくてもいい上、面倒な事を一々やる人間がわざと怒らせる事はしないでしょう」
「……そう言われるとそうですが」
だからと言ってそう信じられる物なのだろうか?
こちらとしては有難いが……
「以上よ、ちゃんと他に無いか探しておきなさい」
そう言いながら彼女は荒らしていた動物を逃がす……え?逃がした?
「荒らされたけど逃がしていいのですか?」
「別に、もう二度と来ないなら何かする気はないわよ。害意があって来たわけじゃ無いのだし」
予想外の結果で驚いたが……その手心少しでもこちらに無いかなって……
「手心を加えて欲しそうな顔ね」
「……声に出した記憶はないのですが」
「顔って言ったでしょう?」
顔見て分かる物なのか?正直驚いたが……
「そもそも貴方は私の視点では不法侵入者なのだけど」
「……そうでした」
そう言えば急に降って来た立場だもんな……
「今回は状況的にだけど貴方を信じきってはないわ。信用して欲しいならもっと役に立つ事を覚えなさい」
「分かりました」
正直な話、何かをやらかせば命乞いしてもまだ簡単に死ぬ立場であろう。
レミリア達や萃香さん達よりも獰猛だろうし。
ただ……それでも心は残虐では無くて慈悲はあるみたいだ……
「ただ……成果を出さなきゃ速攻でクビを物理的に切りそうだけど」
……ちょっと畑作業をもっと頑張ろうと思った。
もっと信用してもらえる様に。命を散らさない様に。
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to be continued