幻想郷で死に戻る俺は   作:せかいちっ!

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百十一話 河童と過去と〜forgotten past.

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もう年も明ける。太陽の畑にいるからとは言え、マシに過ごせたとは思う。

ただにとりさんのお陰でもあるけど。

 

 

「さて、何を作ろうかなあ」

 

 

「あの……にとりさん?」

 

 

「なんだ?私は今から忙しいんだが……」

 

 

「いや、昨日作ってましたし……怒られてましたよね?」

 

 

「まあそれはそうだけど」

 

 

「それで翌日作るのも中々度胸がありそうですが……」

 

 

「だって他にやる事ないだろう!!」

 

 

「分からなくも無いですが……」

 

 

十二月末ではあるとは言え雪が積もってしまっている。

ホワイトクリスマスとかだった気もするが……気にしてる余裕なんて無かったしなあ。

 

 

「外には出れないし、これしかないだろう?」

 

 

「そうですかねえ……」

 

 

「だったら何かあるか?」

 

 

「何かと言われましても……」

 

 

実際娯楽などは無いし、部屋内で出来る事など限られている。

 

 

「……あっそう言えば」

 

 

「何かあったか?」

 

 

「聞きたい事があったんです」

 

 

「構わないが……それなら私も聞きたい事があったし、聞かせて貰えないか?」

 

 

「勿論です」

 

 

妖怪の山の時から暫く経ったし、その後の話など聞けてない事だらけだったから聞きたかった。

それ以外の事も気になる事があるしな。

 

 

「蓮司も聞きたいことがあるだろうけど、その前にこれだけはハッキリさせておきたい」

 

 

「……なんでしょうか?」

 

 

「変な事を聞くが……蓮司、私と前に会ったことあるか?」

 

 

意外……と言うほどでも無いか。

実際にいつかは来るだろうと思っていたし。

毎回だが……この事情は信じてもらえるのかって少しだけ怖くなる。

 

 

「あります」

 

 

「やっぱ……なのか?そう言う気はしたんだけど……すまない、記憶に無いんだ」

 

 

「それには……理由がありますので」

 

 

「なんだ?記憶を消したっても言うのか?」

 

 

「いや、少しだけ違うんですが」

 

 

「どう言う事?」

 

 

「死に戻りって一種の呪いのような違うようなものがありまして……」

 

 

呪いにしか思えない、だが俺が望んで契約したと言った。

本当は突き止めたいが……そもそも会う手段がないしな。

全部話した死に戻りも、外の人間で、ロボットは外の世界の技術だと言う事も。

 

 

「大体予想はついた……何回くらいしてるんだ?」

 

 

「もう途中から数えてません……」

 

 

「なんでだよー、仕組みとか知りたかったのに……」

 

 

「いや……俺自身も理解してませんから……」

 

 

「残念……出来れば程度だったから無理に突き詰める気は無いけどさ」

 

 

「……まあ……原因とかは探りたいですが、途方も無さそうですし」

 

 

何よりまた殺されたくないし……探るにしてもどうにか目を盗めないものか……

 

 

「妖怪の山に来てたんだな……あの設計図は私じゃ作れないし」

 

 

「見に行ってないから分かりませんが……過去に作った記憶はあるので、そうだとは思います」

 

 

もしかしたら見た目が異なる可能性は0ではないが、見る事は出来ないしな。

 

 

「ロボットが作り終わって……その後の妖怪の山ってどうなったんです?」

 

 

「どうって言われても各自が好き勝手に生きているくらいだよ」

 

 

「まあ確かに……妖怪の山らしくはありますが……」

 

 

「強いて言うなら巨大ロボット作ってから更に私の製作欲求が高まったってのはある」

 

 

「連日作りたがってましたもんね……」

 

 

今日だって話し合いしてなきゃ絶対に作ってただろうし。

 

 

「ああ……そう言えば一つだけあった」

 

 

「あったって、何がでしょうか?」

 

 

「鴉天狗なんだけど」

 

 

「文さん……でしょうか?多分」

 

 

何かしたかと言うと、むしろ何もしてない方が驚くレベルだが……一体何を?

 

 

「人を探していたなって」

 

 

「特にニュース性は無さそうですが……」

 

 

妖怪が人を探すのはある意味事件なのかもしれないが、彼女に限ってのみ正常そうに見えるが……

 

 

「山で探し回っていたんだよ」

 

 

「ああ、それはおかし……」

 

 

ちょっと待て、山で探していた?

もしかしたらだが……

 

 

「あの天狗、誰を探しているか分からないって言いながら探してるしさ……もしかしたら蓮司を探していた可能性もあるなって」

 

 

「どうでしょうね……」

 

 

最後に文さんに会ったのは永夜異変前だが、俺はそれよりも前に戻ったし色々と混濁しているのか?

 

 

「まあ後で顔を出した方がもいいかもしれないぞって」

 

 

「……暫くは太陽の畑ですけどね」

 

 

「……だね」

 

 

少しだけ肩を落とす。

もう問題はないんだが、いい加減やれる事も少ないしと。

 

 

「しかし、こう話してみると意外と互いの中に眠っていたなって」

 

 

「そうですね……異変が終わったら文さんにあった方がいいなって思いましたし」

 

 

「そうだな……」

 

 

にとりさんが急に暗くなる。

さっきまで元気だったが何が……?

 

 

「にとりさん、どうかしましたか?」

 

 

「ちょっとな……」

 

 

「心配ですが……」

 

 

「本当に記憶が無いのが残念だってな……蓮司が見ながらやれば細かい点とかでもっと完璧になれたのかもしれないのに……」

 

 

それはそうか、職人の彼女にとって少しでも良い出来にしたいんだろうしこう言うのはって。

 

 

「あー記憶を蘇れー、封印でもされてるのかー!!」

 

 

「記憶……」

 

 

「ん?どうした?」

 

 

「にとりさん、記憶が禁止されているって経験今までありませんか?」

 

 

先程から記憶って言葉に敏感なせいか、いきなり切り込んでいってしまった。

 

 

「記憶が禁止……なんだそりゃ?」

 

 

「いえ、無いならいいですが……」

 

 

やはりこれも俺だけなのか?

死に戻りと影響している……?

 

 

「ただ……関わってないって言っていたよな……」

 

 

「ん?」

 

 

「ああすみません、独り言が漏れました」

 

 

八雲紫が関わっていないなら、一体誰が何をってなってしまうんだよな……

 

 

「……前に言ったけど、私は蓮司を盟友だと思っているからな。何かあったら言ってくれよ」

 

 

「何か……」

 

 

「死に戻りだけじゃなくて、その禁止って奴にも苦しんでいるんだろ?」

 

 

「……慣れて来てはいるんですけどね」

 

 

「慣れてるとかは正直、今は関係ないかな。どんな感じなんだ?」

 

 

「思い出そうとすると、ガンガンと鳴り響くように禁止されていると」

 

 

「……なんだか能力みたいだな」

 

 

「能力なのかもしれませんが……」

 

 

ただそう言った能力を持つ人間や妖怪を今まで見ていない。

恨まれてとは思いたくないが……記憶はない以上確証はない。

 

 

「他に、思い出せることはないか?」

 

 

「思い出せる事……」

 

 

確か、永夜返しの中で……出会った彼女は……

 

 

「にとりさん」

 

 

「何か思い出したか?」

 

 

「姉妹、或いは親などいます?」

 

 

にとりさんに似た子の存在を思い出した。

彼女が何かを握っているならにとりさんにも。

 

 

「いや、居なかった……筈だけど」

 

 

自信が無い振る舞いに違和感を覚える。

居るか居ないかなんて一目瞭然のはずだが……

 

 

「あれ?でもあれ……」

 

 

にとりさんが困惑し始めてそれを心配そうに見る。

 

 

「でもだって……おかしいな」

 

 

「にとりさん……?」

 

 

「ああすまない、少し混乱していた」

 

 

「それは問題ありませんが……」

 

 

「それで姉妹についてだが……」

 

 

にとりさんの言葉を集中して聞く。

 

 

「居た気がする……でもなんかおかしい。見たことない筈だし、色々と整理しきってない」

 

 

知っているのか?

だったら彼女は空想の存在じゃない?

……髪が桃色に染まるにとりさんに似た子、彼女は一体何者なのか?、そう思いながら疑問が増えるばかりだった。

 

 

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to be continued

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